警察本部 零課   作:もののあはれ

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五十四 本音

 「さ、早く行ってくれ」

 炎司はみんなに言った。小山たちは頷き、走りだした。

 「行かせないわ!」

 「風間さんは入江真緒の相手を!夢は周りのUMAたちを!俺は正木をやる!水口はしばらく起きない!」

 炎司は、正木の元へ走った。

 「懲りないですね。また殺しますよ?」

 「もう死なねぇよ!」

 「お前、“光の型”を使ってんだろ?」

 「何ですかそれ?」

 (自覚無しか……)

 炎司は、正木に向かって

 「“日ノ型 ”」

 正木は押される。炎司の華麗な剣術で、正木はどんどん押されていく。

 (さっきより格段に強い……!動くごとに剣に重さが増えている気がする!)

 「お前が使っている剣術はな、威力が弱い分、“風間流”より動きが速い。威力が弱い分、聖剣エクスカリバーで威力を補っているんだ」

 正木の頭の上にハテナが湧いていた。

 「自覚はないと思うけどな!」

 正木は、叫びながら炎司に斬り掛かる。しかし、全て受け流されてしまう。

 「そろそろ決着をつける」

 炎司の髪がなびきだし、心なしか、体が大きくなっていた。

 「正木皓。お主は、この戦いに何臨む?」

 (口調が変わった……?)

 炎司は、腰を落とした。すると、地面がえぐれると同時に、正木が吹っ飛んだ。

 (速ぇ!肉眼じゃ追いつけねぇ!)

 壁にめり込んだ体を抜こうとする正木に、炎司はゆっくりと歩み寄る。

 「やめて!」

 炎司は足を止めた。正木の目の前に、夢が立ちはだかる。

 「二人ともやめてよ!こんなのおかしいって!」

 「でも、こいつをやらなきゃ、入江真緒だって倒せない!」

 「他に方法はないの!?」

 「夢、お前はどっちの味方なんだ?」

 「どっちも味方だよ!」

 すると、遠くの方から入江が叫んだ。

 「皓!その女を殺してしまいなさい!戦力を削るのよ!」

 夢は、咄嗟に正木を見るために振り返る。そのときには、正木は剣を振り上げていた。夢は瞼を閉じる。

 「うおぉぉぉ!!!」

 正木に声と共に、激しく壁が崩れた。

 夢は、少しずつ目を開けた。そこには、壁だけを斬りつけた正木がいた。

 「夢を殺すなんて……、好きな人を傷付けるなんて、できないよ……!」

 正木は、剣を投げ捨てる。

 「夢……。僕は、夢のこと好きだったよ……。でも、タイミングが分からなかった。そして、付き合えないって分かってたから……、言えなかったんだ」

 「そんなこと……!」

 夢が正木の元へ歩み寄る。がしかし、正木は、口から血が溢れて出てくる。

 「え……?皓……?」

 夢の体に寄りかかった正木の体は、胸から大量に血が出ていた。

 「よくも命令を背いたわね!皓!」

 入江は、今にも正木に襲い掛かろうとしていた。風間が入江を抑えているので、こちらに来ることはなかった。

 「こう!しっかりして!」

 「ゆめ……!ごめんな……、大切な人たちを傷付けてしまって……!」

 「喋るな、傷口が開く」

 炎司が、正木を介抱する。

 「炎司の炎で何とかできないの!?」

 炎司が首を横に振る。

 「俺はもう、誰も救えねぇ……!」

 「何でなの!」

 「二年前のあの事件で、俺はウランを大量に浴びて、能力因子が傷付いてな……」

 「能力因子……?」

 「後で説明する。俺は人を助けることなんてできない」

 「そんな……!」

 「炎司さん……!」

 「だから喋るなって!」

 正木は、炎司のパーカーを握る。

 「僕から、頼みごとが三つあります……!一つ目は、この聖剣エクスカリバーをあなたに託します。二つ目は、入江真緒を止めて下さい。三つ目は、ゆめやみんなを救って下さい……!」

 正木は、静かに目を閉じる。と同時に、握っていた聖剣エクスカリバーが落ち、金属音が響いた。

 「こう……?こう!起きてよ!……起きてってば!」

 夢は、必死に正木の肩を揺さぶる。現実を受け入れた炎司は静かに目を閉じた。やっと現実を受け入れた夢は、泣き叫んだ。

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