警察本部 零課   作:もののあはれ

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五 殲滅

「失礼します」

 夢は、ドアをノックし部屋に入った。そこには、歴代の総理大臣の写真が飾られており、机には、小さな国旗が刺さっていた。

 「呼び出して悪いな」

 そこには、現内閣総理大臣、國崎敏正(くにさきとしまさ)が座っていた。

 「いいえ。ところでご用件とは……?」

 國崎は、一呼吸置いてから話し始めた。

 「君は以前、徒陰の焔との戦闘を経験したと言っていたね。その時に君が焔に付けたGPS発信機の情報から彼が埼玉の森の奥にある廃坑に潜伏している事が判明した。そこで明日、我らは敵名焔及び、徒陰の殲滅作戦を決行しようと思っている。そこで君を、この作戦の司令官に任命をしたいのだが?どうだ……?やるか?」

 まさか、徒陰を殺すと思っていなかったので、口がポカンと開いてしまった。

 「わ、私がですが……?」

 「君が相応しい。私からお願いしたい」

 「ボスのご命令ならば、喜んで!」

 すると、ボスは微笑んで、

 「君なら、そう言うと思ったよ。そう言えば、かれこれ夢は、卒業後はどうするつもりだ?」

 「ここに就きたいと思っています」

 「そうか…。じゃあ、明日頼むよ」

 夢は、頭を下げ部屋を後にした。國崎は、何かを言おうとしていた。

 (ボスはいったい何を言おうとしていたのだろう……?)

 夢は、そのことに関して歯痒い思いを抱きながら、国会議事堂を後にした。

 私は、二百キロのダンベルで筋トレをした。

 このままじゃダメだ。こんなんじゃ、奴に勝てない。あんな奴がまだいるのと思うと、体が震えた。

 (声格好良かったな……。あれ……?なに言ってんだ私!)

 気付けば、自問自答していたことに気付いた夢は、筋トレに集中した。

 そして、当日。

 夢は、防弾チョッキに拳銃、警察手帳を持ち、警察車両に乗り込んだ。そして、三時間かけ埼玉の森の奥にある廃坑に向かった。

 廃坑は、廃坑という割りには綺麗だったが中から入るなとオーラを出していた。

 この作戦には、私の他に、能力“ネット”の捕間(とるま) みかと、能力“檻”の捕間(とるま) おりが参加しており、彼女らも、零課の所属だった。

 「司令官、ご命令を」

 「良いか、正義の者達よ。今こそ徒陰を捕まえるぞ……!」

 そう言うと、特殊部隊の人達は雄叫びをあげ廃坑へ向かって走って行った。私を含めて、三人は歩んでいった。廃坑内はもぬけの殻であった。

 「どこに行ったの?」

 私のハイスペックですら、わからなかった。

 「ここにいますが?」

 私は、前を見た。暗くてよく見えないので特殊部隊の人達はライトの光を向けた。そこには、狐の半面をつけフードを被り、ポケットに手を入れた徒陰の焔が立っていた。

 「久しぶりだな、憾咲夢」

 「何で私の名前を!?」

 「俺らの情報力を舐めるなよ」

 「俺らって、もちろん俺も入ってるよな?」

 横から、ペストマスクをした男が現れた。

 「鳶……!」

 「あ、夢ちゃん、俺の名前知ってんの!俺も有名人か!」

 鳶は、甲高く声を上げ笑っていた。

 「お前ら、情報は全て俺が扱ってるから俺が一番凄いからな」

 横から、ガスマスクをした男が現れた。

 「水鯨……!」

 「ほほう、俺の名も知っているのか」

 「まさか、“柱”が三人もいるとはね。想定外だったわ」

 「お前の能力を持ってすれば、想定内だろ」

 「あなた達を殺せば、昇格間違いなしね」

 「負けるの間違いじゃないの?」

 特殊部隊の人達は銃を構えていた。

 「おいおい、こっちに向けんなよ」

 鳶は冗談っぽく、両手を上げた。

 「司令官、いつでも」

 二人は、準備が出来ていた。

 「貴方達に任せるわ。貴方達はあくまで捕獲係、無理はしないで」

 「了解」

 そう言いと彼女たちは、焔たちに向かって、攻撃を仕掛けた。まず、ネットで奴らの動きを止めた。

 「何だこれ、べとべとしてる。あんた能力“蜘蛛”か?」

 水鯨がそう言うと、鳶が吹き出して、笑った。

 「失礼だわ。私は“ネット”だ!姉ちゃん任せたよ!」

 そして、捕間おりは生成した檻で奴らの体を拘束した。

 「ほほう、俺らを捕まえるか」

 「私達姉妹の前で捕まんなかったのは、この世にいないわ!」

 この発言に関して、異議は無い。事実、あの二人から逃れた人を見たことがない。

 「ちーっと、本気を出そうかな……!」

 「やめとけ、鳶。ここは、僕一人で十分だ」

 「無理よ。まあ、協力したとしても同じ事だけどね!」

 違う。奴らはやりかねない。だが、奴らの悪足掻きを止めるつもりは無い。それがボスの命令だから。この作戦の目的は徒陰の捕獲兼殲滅であるが、もう一つ彼らの能力の調査も含まれている。

 「お前らは、僕を舐めすぎだ。徒陰を舐めすぎだ」

 そう言うと、水鯨はぐんぐん大きくなり、みるみるうちに大きな鯨になった。

 「大きくなったぐらいで、私達のネット、檻を止める事は出来ないわ!」

 すると、水鯨は水鯨になった。水鯨になったことで。檻は体内へと沈み込んでしまった。

 「液体は、捕まえたこと無かったわ……!」

 「なるほどね、水鯨は水鯨になることができる、ま、当然ね」

 夢は、小さく言ったつもりなのに水鯨には聞こえたらしい。夢は、水鯨を見上げた

 る。特殊部隊の人たちは銃を撃っているが、当たっても体内から弾が抜けていくばかりでダメージを与えることは出来ない。

 「お前らを流してやる」

 そう言い、水鯨は完全に液体になった。私達は出口へと走った。しかし、液体のスピードには勝てず、流されてしまった。

 (息が出来ない。苦しい……!)

 夢たりは気絶してしまった。

 目が覚めると、そこはさっきいた廃坑の入口だった。入り口は、瓦礫で塞がり、入りようが無かった。そして、夢の眼鏡はボキボキになっており、データも見れなかった。

 夢たちは完全に負けた。たった一人の柱に。

 夢たちはひとまず、戻った。夢は、ボスにこの事を全て報告した。

 「やはり、一哉と、義正も参加させるべきだった……。まあ、君が無事だったから良しとしよう。戻って良いぞ」

 ボスはこう言っているが、内心かなり失望しているように思えた。

 夢は、悔しくてしょうが無かった。

 悔しさと、徒陰への復讐心が増していった。




 捕間みか能力“ネット”
 ・自身の掌から、粘着性のアミを出すことが出来る。
 納豆や、オクラなどを食べた後は、粘着力が強くなる。
 
 捕間おり能力“檻”
 ・自身を檻を発生させることが出来る。
 鉄分を摂ることで、強度が増す。
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