「國崎……!お前……!」
「君達の仕事が省けて良かったじゃないか」
「そういうことじゃねぇんだよ!」
炎司は、國崎を斬りつけようとする。しかし、横から復讐心に堕ちた風間が炎司にぶつかる。
「風間さん!目ェ覚ませ!あんたとやり合ってる場合じゃねぇ!」
炎司は、風間を剣で吹き飛ばす。しかし、國崎によって炎司も飛ばされてしまう。
「もう止めて……」
夢が放った言葉は、虚しく誰にも聞こえない。
「もう止めて!」
やっと聞こえた夢の声に振り向く炎司と國崎。
「夢……!その姿……!?」
夢は、自身の体を見回す。夢の体は、炎のようなはたまた、光のような温かく輝かしく照らされていた。
「何この体……!?」
変化に一番驚いているのは夢、自分自身だった。やがて、炎のような光のようなものは、着物となり白い生地に、金の刺繍が施された。更に、金色の翼が生え、顔もさっきまで無かった化粧で艶美の顔となった。
「ここまでの変化は……?まさか!“神武炎装化”……!?」
「まさか!夢がそんな能力があるなんて……!」
夢は、手にリボルバーを持つ。そのリボルバーは、形を変え、扇の形になっていた。
「凄い……!力が湧いてくる!」
夢の急激な変化に驚いている中、風間は有無言わずに夢に襲い掛かる。夢は思わず、扇で扇ぐ。風間の攻撃は当たるどころか、風間は飛ばされる。しかし、風間は飛ばされず、飛んだのは風間の復讐心だった。
風間は、床に落ちる。
「復讐心だけを抜き取った……?」
炎司は風間の元へ駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「ああ……」
どうやら、記憶はあったようだ。
「それより、夢のあの姿は本当に“神武炎装化”なんですか……?」
「恐らくね……。兄妹(きょうだい)だね……」
風間は、炎司を見て笑顔を見せる。
「君に國崎を不利にする方法を教える。私の仮説が正しければ、いける!」
風間は、炎司に耳打ちをする。
「……分かりました。やってみます!」
そう言って、炎司は夢の元へ駆ける。
「夢ェ!」
「炎司!?風間さんは!?」
「大丈夫だ!それより……」
炎司は、國崎に向きを変え
「國崎に夢の扇を使って扇げ!」
夢は、突然言われたその言葉に、一瞬戸惑いながらも、國崎に向かって扇ぐ。金の扇から発せられる風は、物凄い勢いで國崎にぶつかる。
「こんな風、どうってこと……!?」
「夢の扇の風は、あらゆるものを分ける。さっき、風間さんの復讐心を剥いだように!」
國崎の体がミシミシと軋(きし)み出す。國崎の体から、入江與、郡谷凍斗が現れる。
炎司は、左手で國崎敏正、入江與、郡谷凍斗に触れる。郡谷は反抗して、氷を発生させようとする。
「能力が出ない!?」
「俺の義手は、能力を消す!」
「お手上げだね……」
國崎は両手をあげる。それに続いて、入江與、郡谷凍斗も両手をあげる。
風間は、國崎たちの元へ駆け寄る。夢は、地に足を付けた。しかし、すぐに倒れてしまう。それと同時に、金の翼は消えていき、着物も消えて、先程の服に戻った。
闘いは終わったと全員思った。
しかし、腰を下ろしている夢の目の前に、入江真緒が現れる。
「君は分解したはずだぞ!?」
「私は、言わば氷!分解されてもすぐくっつくわ!」
入江真緒は、夢に氷の氷柱(つらら)を刺そうとしていた。炎司は、一瞬躊躇したが、入江真緒を斬りつける。燃える剣で斬ったため、勿論、入江真緒は血が出る。入江真緒はまっ二つになった。辺りは、騒然とした。氷の床は、血で赤く染まり、入江真緒の内臓が散乱していた。炎司は、肩を動かしながら、息をしていた。
「夢……」
炎司の顔は返り血を浴びていた。そして、炎司は、夢に両手を差し出した。
「俺を逮捕しろよ、夢……?」
「え……?」
夢は、躊躇する。
「確かに炎司は、人を殺したけどさ!私を救おうとして」
「俺は、入江真緒を殺す気でやった」
「嘘でしょ!」
そこに風間がやって来た。
「夢、君は警察官だろ……?君の行動は絶対に間違えてはいけない。悲しむべきことだ」
夢は涙を浮かべながら、頷く。そして、手に手錠を持ち
「神木炎司、殺人の容疑で逮捕します」
炎司の手首には、手錠がはまった。