その頃世界は、ベストロンという自動危険探知ロボットを警備にあてている国が殆どだった。そんなある日、一つのロボットが人を殺した。そのロボットはゼウスと名乗り、数多のロボットを従え、人間を服従させようとしていた。
出所まで残り五年をきった神木炎司は、突然面会をしてきた風間雄太に、ベストロンの破壊を頼まれた。
そこで再び、徒陰が再結成され、新たにEternalというチームになった炎司たちは数々の苦難を乗り越え、真相に向かう。
炎司たちはゼウスを倒すことができるのか……?
六十 再結成
二〇二二年。アメリカを始めとする六カ国による共同プロジェクトが開始した。
それは、機械に感情や五感を入れるプロジェクト、通称“
「三〇二五番、面会だ」
不気味に開く鉄格子を潜り、
薄暗く窓が一つも無い廊下を歩き、面会室へ入った炎司は椅子に腰掛けた。顔の所に無数の穴が空いたガラスの向こうでは、
「お久しぶりです」
「見ない内に大人になったな……」
「もう三年ですからね、二十三ですよ……。何か用事ですか?」
風間の顔が曇る。炎司は、黙り込む風間の顔を見ていた。
「炎司に頼みたいことがある」
「俺で良ければ……?」
「世界を救って欲しい」
「え……?」
炎司は、突然言われて戸惑ってしまった。
「何かあったんですか?」
「“ベストロン”って知っているか?」
「噂で聞いたことあります。それがどうしたんですか?」
「ベストロンは、自動危険探知ロボットで、警備、警護は一流だ。世界の約九十パーセント近くの国々が、ベストロンの警備を認可している。瞬く間に、犯罪率は低下していった。そんなある日。ベストロンが人を殺した。それを境に、ロボットは人間に反発するようになった。ベストロンに統率者が出た。それが“ゼウス”と名乗る電気を操るロボットだった」
「そのゼウスを倒せと……?でも、まだ刑務所からは……」
「この仕事を受けてくれるなら、釈放してくれるそうだ」
「え……?」
「もう出て良いんだよ!炎司!来いよ!」
「……わかりました」
翌日、炎司は刑務所を出た。外では、風間が出迎えてくれた。
「お帰り」
「ただいまです……。夢は?」
「あの事件から会ってないよ。今頃、警察署だろう」
「そうですか……」
「行こうか」
炎司は頷いた。炎司は風間の運転するスポーツカーで、風間の自宅へ向かった。
家に着くと、早速炎司は風間を問いただした。
「……で俺はどうすれば?」
「東京のある街がベストロンによって占領されている。それが原宿。奴らの完全なる住処になっている」
「それを俺が住処を破壊する……?」
「まあ、そうなんだけどね。その住処には、“エネマナ”という日本のベストロンの操作を補助している機械があるんだ。それを破壊すれば、ベストロンは自然に消滅する」
「じゃあ、俺が行けば良いんですね」
炎司は早速立ち上がる。
「待ってくれ。能力もなしにベストロンに敵うはずがないよ」
炎司は思い出した。刑務所に入る前に能力を自身の左手で消すように命令されたのであった。
「じゃあ、どうすれば……!」
「そんなことがあろうと……!」
炎司は、後ろから聞こえた懐かしい声に反応し振り向く。そこには、
「久しぶりだな、炎司!」
「海人!老けたな!」
「余計だ……!」
海人のキレのあるツッコミが来る。ツッコミが劣っていないことを感じた。
「でも何で海人が?」
横から風間が質問に答えた。
「海人もベストロンの開発に携わっていた。人類で一番ベストロンに詳しいのは海人だと思う」
「製作者は……?」
「ベストロン、いやゼウスに殺された」
「ゼウスの目的は何なんだ?」
「人類滅亡だろう。人類でも、地球を救うために人類を減らすという考えに奴らが少なくは無い」
炎司はふと、自分の左腕を見た。錆びた義手から火花が舞い、動かなくなっていた。
「もう三年も調整してないもんな、これを機に新型にするか?」
炎司は目を輝かせ、頷いた。海人が出してきたのは、金属光沢で輝く叢雲鉄でできた義手だった。
「へぇ、叢雲鉄ってこんな細かなこともできるようになったのか!」
「ああ。ベストロンも叢雲鉄でできている。いや、正確には叢雲鉄が含まれている」
「ベストロンは、あらゆる金属のハイブリッドだ。熱にも、傷にも打撃にも強い」
「最強じゃんか……!」
「だから、僕たちは強くならなければならない。だからこれ」
そう言って、ポケットとから出したのは薬だった。
「これで能力が戻る。炎司の能力因子を僕が治してあげる」
炎司は、一つ間を開け頷く。
「ありがとう!俺、ブランクあると思うから風間さん鍛え直してくれ!」
「良いが、鍛え直すのは私ではないよ……」
風間は、再び奥のドアを見る。そこには、
「徒陰の再結成さ!」
「また徒陰が復活するとはな……!」
炎司は涙を浮かべながら言った。
「これを機に新しい名前にしないか?名前の由来もなんだし……」
戯介がみんなに問いかけた。みんなが頷く。
「炎司なんかないか……?」
戯介の急な無茶ぶりに戸惑う様子も無く、
「
このとき、全員がその名前にしっくりきていた。
「Eternalか……!でも、何で永遠なんかの意味合いを……?」
風間だけは、意味が分からないと言ったような顔だった。
「俺らにとって徒陰は、永遠な存在だったからな……」
「なるほどな。じゃあ、徒陰改めEternal!これから頼むよ!」
このときはまだ呑気でいられていた。