警察本部 零課   作:もののあはれ

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六十三 混沌

 炎司たちは、研究所の地下に向かった。

 そこは、全面真っ白で、とても広かった。

 「ここで何をするんだ……?」

 アンダーアーマーを着た炎司が海人に言った。

 「その部屋は、一万平方メートルあるから、そこでどんなことをしてもいいから、現れたものをどんどん倒してくれ」

 「おう、分かった」

 数秒後、真っ白だった空間が暗くなり、炎司は思わず目を閉じた。気付くと水の流れる音が聞こえた。炎司はゆっくりと目を開けた。

 そこには、今まで無かった草原に木々が生い茂っていた。

 「海人、ここは……?」

 「僕は、ある研究で、物に能力を組みことに成功したんだ。そこで生まれたのは、この“形成”を組み込んだ床や壁だ」

 (スゲぇな海人は……!)

 そこに現れたのは、ベストロンだった。炎司は、ベストロンの攻撃を避けながら、

 「こいつらは!?」

 「そいつらは、壁のもう一つの能力“量産”。これはベストロンのクローンだ。攻撃はするが、僕らは死にはしない」

 「なるほど……!」

 炎司は、ベストロンの顔を炎を(まと)わせた拳で殴る。ベストロンは宙に舞った。そのベストロンは、首が一回転して、火花を撒き散らしながら、ピクリとも動かなくなった。

 「こんなもんかよ……?」

 すると、四方八方から、ベストロンが湧いてきた。炎司は、ここで左腕が全く動かないことの気がついた。

 「ちっと本気出すか……!」

 炎司は、左腕の義手を外し、投げ捨てた。

 「起きてるか……?行くぞ!」

 炎司は、胸に手を当てた。

 「神聖なる神、素戔嗚尊(すさのおのみこと)よ……!我に力を……!」

 すると、炎司の体が急に炎を放ち、神々しく輝いた。やがて輝きが弱まると、そこには、赤い和服に黒い線が入り、耳が立ち、九尾の尾を持ち、束ねていた髪は更に伸びてなびいていた。

 「皆に見せるのこれが初めてだったよな……?“神武炎装化”と、俺の炎を合わせた技、“混沌(こんとん)”」

 ベストロンは、炎司の発する熱で、溶けてしまった。

 「凄いな、炎司……!」

 部屋は、以前の真っ白い部屋に戻ると、扉から海人が入ってきた。と同時に炎司は、倒れてしまった。

 「ハァ、ハァ……。やっぱり、出来たては持続しないな……」

 「いつから、こんな技を……?」

 「つい最近でよ……、かなりの集中力が必要で、数十秒しか()たないんだ」

 「だったら、この力を重点的に伸ばそう!それと、義手の改造も」

 「あぁ……」

 炎司たちが話しているところに、誰かが入ってきた。

 「貴方は……!?」

 炎司は、急にかしこまってしまった。

 「お久しぶりです。堀田先生!」

 五年前の姿と(ほとん)ど変わりない堀田の姿に、炎司は

 「お元気そうですね……!」

 「君のことは、色んな人から聞いてるからね……、まだ体力はある?」

 「このかすり傷だったら、残りの体力で回復できそうです」

 「じゃあ、見せて」

 炎司は、右腕を堀田に見せた。堀田は、炎司の右腕に手をかざす。眩い光と共に、炎司のかすり傷は、癒えてゆく。

 「……ありがとうございます」

 海人の無線から、二人の男女の声が聞こえた。

 「ダーリンの闘う姿見たら、私も闘いたくなっちゃった!」

 「ぉう!俺も闘わせろ!」

 「……。だったら、二人で入ってくれ……」

 するとすぐに、二人は出てきた。

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