一方その頃、海柱の愛衣と魚柱の崚八は共に二体のゼウスと戦っていた。
「何でお前がいるんだよ!」
「良いでしょ!私の勝手でしょ?」
あろうことか喧嘩を始めた二人は、近づくゼウスに気付かない。崚八は、思いっ切り顔面殴られる。が、崚八は、ビクともしなかった。
「なんだその硬い殻は?」
「蟹です」
崚八は、蛸足をゼウスに巻き付ける。
「蛸です」
「こんな足、引き千切ってやる」
ゼウスは、引き千切ろうとするが、引き千切れない。
「俺らが行ったのは、能力の強化、覚醒だ」
締め付けが強くなっていく。が、ゼウスは引き千切った。そのゼウスは、全身が黒くなっていた。
「それが、お前の本気か?」
そう言った途端だった。横を見ると、波が襲ってきていた。崚八もろとも流されてしまった。
「俺まで流すこたぁねぇだろ!」
「だってあんた、えら呼吸できるでしょ?なら良いでしょ」
「そう言う問題じゃ……って、ゼウスは?」
「私が流したわ。ったく手間を掛けて……」
「これから本気出したっての。……!伏せろ!」
水の中から出てきたのは、ゼウスだった。
「あの水圧で……?」
「我が呼んでいる。お前らに構っている場合じゃ無い」
そう言ってゼウスは、炎司の方へ飛んでいってしまった。
「追い掛けるぞ!」
二人は、ゼウスの元へ向かった。
一方その頃、炎司とゼウスは炎司の方が圧倒的有利だった。天叢雲剣を持った炎司は、黒いゼウスにとどめを刺そうとしていた。しかし、ゼウスは不気味に微笑んでいた。
「何が可笑しい?」
「数秒後、お前は死ぬ」
「下らないな、負け惜しみか?」
すると遠くの方から、金属片が続々と飛んで来る。
「何をした!ゼウス!」
「我が何故、雷を操れるか知っているか?
我、ベストロンの開発第一人者、安藤比呂子先生は、教え子の水嶋海人と共にある偉業を成した。それが“物に能力を与える技術”だ。我が与えられた能力は、“
「一つ良いか?……何故お前は、安藤先生を殺した?」
ゼウスが言った答えに炎司は、戸惑っていた。
「安藤比呂子先生は、死んでなどいない」
「どういうことだ!」
「お前に教える必要ないだろ!どうせここで死ぬのだからな!」
ゼウスにどんどん金属片がくっついていく。
「我は、自分の意思でもう一つ能力を手に入れた!それが“|電磁石”だ」
ゼウスは、大きくなっていく。何百体のベストロンを取り込んだゼウスには、腕が六本になり、まるで國崎敏正の様だった。
「無駄にデカくなったな」
「元は、ベストロンの破片だ。一つ一つが自分の意思で動くことができる。勿論我にも動かすことができるが」
六本の腕の乱れ打ちが炎司を襲う。
「“
炎司は、難なくゼウスの攻撃を受け止める。
「“日ノ型
炎司の攻撃で、ゼウスの一本の腕が地面に落ちる。しかし、また動き出した。
「まさか、こんな動きをするとはな……」
四本の腕は、ゼウスによって、宙に浮いていた。
「炎司!」
そこにやって来たのは、柱たちだった。
「みんな」
「弁慶が溶かしたゼウス以外は、全部向こうへ行っちまった!すまない!」
「炎司!」
また名前を呼ばれた炎司は、声のする方へ振り返る。そこには、夢が立っていた。
「負けないで!炎司!」
「わかってるよ!」
炎司は剣を収めて、目を閉じる。
「頼むぜ、“九尾の狐”、“
炎司は、剣を構えた。