警察本部 零課   作:もののあはれ

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七十三 ロシア

 多くの犠牲を伴った戦いは、人間側の勝利。したのも束の間、炎司が聞いたのはゼウス以外のベストロンが世界にいること。炎司は、うかうかしていられなかった。

 夢の携帯から、現総理大臣 國崎義正(くにさきよしまさ)から電話が掛かってきてきた。

 「至急集合して欲しい」

 と。戦いの疲れが癒えぬまま、炎司たちは国会議事堂に向かった。

 「急に呼び出してすまなかった」

 「何で俺たちを集合させた?」

 ぼろぼろの炎司が問い掛けた。

 「ロシアの大統領から、メッセージが届いた」

 そう言って義正は、パソコンを炎司たちの方に向けた。そこには、ロシアの大統領が映っていた。

 「炎司たちにわかるように、翻訳しておいた」

 『Mr.ヨシマサ。久しぶりだね。急なんだが助けて欲しい。私らの共同プロジェクト、ベストロンのある一体が暴走している。奴は自分で“オーディン”と名乗り、各地で暴れている。私達では対処仕切れない。頼む!ヨシマサ』

 「“ゼウス”の次は“オーディン”か……」

 海人が溜め息交じりの声で言った。

 「頼む炎司!ロシアには、能力を持つ者はいない。あいつらに対抗するには君達しかいない!」

 「……わかった。今すぐ行く」

 「ありがとう」

 炎司たちは、服を着替え義正が準備した飛行機で、ロシアへ向かった。

 

 ロシアは寒く、炎司たちは厚着をしていても寒さを感じていた。

 「ざぶっ……」

 震えながら、炎司が言った。

 「初めまして!」

 そこにいたのは、当たりの良さそうな青年だった。

 「私は、大統領の専属秘書のトムです!よろしくお願いします!」

 「よろしく」

 そう言って、炎司はトムと握手を交わした。

 「ここじゃ寒いでしょう、ささ速く入って!」

 炎司たちは、言われるがままに中に入っていった。

 「トムは日本語上手いんだな」

 「まぁ……、大統領の秘書ですから……。多少の言語は」

 「なるほどな」

 他愛もない会話をしている間に、炎司たちは大統領室の前に着いた。大統領室に入ると、ロシア大統領が立っていた。

 「Приятно познакомиться.Вы спаситель в Японии!」

 「へ……?」

 トムは、急いである物を差し出した。

 「すいません!この小型翻訳機をつけて下さい!」

 炎司たちは、小型翻訳機を耳につけた。

 「私の秘書が失礼しました。初めまして」

 「よろしくお願いします、大統領」

 炎司は、大統領とも握手を交わした。

 「単刀直入に言います。私達の国をお助け下さい!」

 「一つ疑問なんですけど、俺が見た感じ街は平和だったぞ……?」

 「……それは、私達の街だけです。私達の国は大きいですからね」

 「それで、オーディンはいつ?」

 「明日の正午です……」

 「早いな……」

 海人が、(うな)る。

 「いやむしろ丁度良いぜ。休める」

 「よろしく頼むよ、英雄達!」

 炎司たちは、近くのホテルに泊まった。たまたま、炎司と夢は同じ部屋になった。

 「明日の正午、ここは戦場になるぞ」

 「私もう嫌だよ、何で戦うの?」

 「ベストロンの目的には、何か欠けてる気がするんだよなあ……」

 しかし、炎司は考えるのを止めて、眠りについた。

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