多くの犠牲を伴った戦いは、人間側の勝利。したのも束の間、炎司が聞いたのはゼウス以外のベストロンが世界にいること。炎司は、うかうかしていられなかった。
夢の携帯から、現総理大臣
「至急集合して欲しい」
と。戦いの疲れが癒えぬまま、炎司たちは国会議事堂に向かった。
「急に呼び出してすまなかった」
「何で俺たちを集合させた?」
ぼろぼろの炎司が問い掛けた。
「ロシアの大統領から、メッセージが届いた」
そう言って義正は、パソコンを炎司たちの方に向けた。そこには、ロシアの大統領が映っていた。
「炎司たちにわかるように、翻訳しておいた」
『Mr.ヨシマサ。久しぶりだね。急なんだが助けて欲しい。私らの共同プロジェクト、ベストロンのある一体が暴走している。奴は自分で“オーディン”と名乗り、各地で暴れている。私達では対処仕切れない。頼む!ヨシマサ』
「“ゼウス”の次は“オーディン”か……」
海人が溜め息交じりの声で言った。
「頼む炎司!ロシアには、能力を持つ者はいない。あいつらに対抗するには君達しかいない!」
「……わかった。今すぐ行く」
「ありがとう」
炎司たちは、服を着替え義正が準備した飛行機で、ロシアへ向かった。
ロシアは寒く、炎司たちは厚着をしていても寒さを感じていた。
「ざぶっ……」
震えながら、炎司が言った。
「初めまして!」
そこにいたのは、当たりの良さそうな青年だった。
「私は、大統領の専属秘書のトムです!よろしくお願いします!」
「よろしく」
そう言って、炎司はトムと握手を交わした。
「ここじゃ寒いでしょう、ささ速く入って!」
炎司たちは、言われるがままに中に入っていった。
「トムは日本語上手いんだな」
「まぁ……、大統領の秘書ですから……。多少の言語は」
「なるほどな」
他愛もない会話をしている間に、炎司たちは大統領室の前に着いた。大統領室に入ると、ロシア大統領が立っていた。
「Приятно познакомиться.Вы спаситель в Японии!」
「へ……?」
トムは、急いである物を差し出した。
「すいません!この小型翻訳機をつけて下さい!」
炎司たちは、小型翻訳機を耳につけた。
「私の秘書が失礼しました。初めまして」
「よろしくお願いします、大統領」
炎司は、大統領とも握手を交わした。
「単刀直入に言います。私達の国をお助け下さい!」
「一つ疑問なんですけど、俺が見た感じ街は平和だったぞ……?」
「……それは、私達の街だけです。私達の国は大きいですからね」
「それで、オーディンはいつ?」
「明日の正午です……」
「早いな……」
海人が、
「いやむしろ丁度良いぜ。休める」
「よろしく頼むよ、英雄達!」
炎司たちは、近くのホテルに泊まった。たまたま、炎司と夢は同じ部屋になった。
「明日の正午、ここは戦場になるぞ」
「私もう嫌だよ、何で戦うの?」
「ベストロンの目的には、何か欠けてる気がするんだよなあ……」
しかし、炎司は考えるのを止めて、眠りについた。