警察本部 零課   作:もののあはれ

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七十四 ロシアVSオーディン

 翌日朝五時。

 一番早く起きた炎司は、ジョギングを始める。ロシアの朝は寒い。日本の朝とは訳が違う。炎司は、自身を燃やしながらジョギングを続けた。走ってから約十分経過したときだった。朝早くの公園にトムがいた。トムは、何故だか四つん這いになっていた。

 気付くとトムは、小さな犬になっていた。ふと、トムが炎司の方に振り返る。

 目が合った。

 「嫌ァァァァ!」

 公園の木に止まっていた鳥が羽ばたいた。

 「お前、能力持っているのか……?」

 「まさか見られるとは……!そうです。私は能力を持っています」

 「でも、何で?能力を持つのは日本人だけだろ?」

 「実は私、ハーフなんです、ロシアと日本の。私の本当の名前は、戌井富(いぬいとむ)なんです」

 「もしかして、駆け落ちか?」

 「はい。第二次世界大戦後に、父は日本にやって来ました。そこで出会った母に恋に落ち、結婚をしました。

 P3が出来た頃、日本は、外国人を一人の残さず、国外へ追放しました。勿論父も対象でした。しかし両親は中々帰郷せず、母がP3を摂取した後に、ロシアに二人で向かいました。その後、私が生まれて今、二〇二五年では、元気な二十一歳ということです」

 「なるほどな……。色々大変だったんだな」

 「そうでもないですよ?私が能力を皆見せなければ、少しがたいの良い男の子ですからね」

 「能力は何なんだ?」

 「わかりません。でも多分、“(ウルフ)”とかそこら辺でしょう」

 「今日の戦いに参加するのか?」

 「はい、一応。生まれ育った国ですから……!」

 「よろしく頼むぜ!」

 「はい!」

 

 そして時は経ち、正午数分前。トムを含め九人と、ロシアの軍隊。数はおよそ数百。

 「夢、大丈夫か?」

 炎司は、夢に話し掛ける。

 「うん……」

 「怖いのか?」

 「ううん。何だか胸騒ぎがするの。嫌な予感がするの」

 「心配性だな」

 そう言って炎司は、夢の頭をわしゃわしゃとかいた。

 (俺も、何だか嫌な予感がする……。的中しないと良いが)

 「炎司!」

 「どうした、海人」

 海人は、書類を炎司に見せる。

 「これ、オーディンの能力書だ。オーディンの能力は、“槍神(オーディン)”。所有する槍を自由自在に扱うことが出来る。呼び寄せたり、空中で操ったり……、用途は様々だ。それともう一つ、“背信(はいしん)”と言ってな、恐怖で背を向けた奴を自分の配下に置くっていうヤバい能力だ。下手したら、味方がいないくなる」

 「それだけは、避けたいな」

 「炎司、そろそろ……!」

 トムが、炎司に言った。

 「よし。これから、巨悪と立ち向かう。もしかしたら負けるかも知れない。だが、良いか?俺たちがついている」

 話を聞いていなかった人たちが静まり、炎司を見る。

 「俺たちEternalが何とかする。……背中は任せたぞ」

 軍隊は、Eternalに敬礼をしたのであった。

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