警察本部 零課   作:もののあはれ

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七十五 背信

 オーディンがいるロシアのある廃墟。

 そこにあるのは、最新鋭のコンピュータと、大きな画面。

 『まさか、あのゼウスがやられるとは……!』

 『無理もない。所詮最高神の能力。我が能力の方が上に決まっている』

 「よせ、トール。貴様はただの筋肉馬鹿だろう」

 『うるさい、オーディン!』

 『止めとけ、お前ら。次来るのはフランスで良いだろう。そこで俺プロメテウスが、Eternalを潰す!』

 『楽しみにしているよ、私の息子達……』

 通信が切れるとオーディンは立ち上がった。

 「プロメテウスに手を煩わすなど……、私でEternalを止めてやる」

 オーディンは、口角を上げながら、廃墟を後にした。

 

 炎司は、オーディンの元へ歩み出す。

 「炎司、街の人たちを国外へ避難させないで良いんですか?」

 「バカ言え、日本以外に安全な場所はねぇし、オーディンがそれを許すとは思わねぇ」

 「炎司!もう見えた!行くか!?」

 「いや、ギリギリまで引き付けて今朝言った作戦を行ってくれ!」

 「わかった!」

 オーディンが率いるベストロンたちが、遂に来た。軍隊は、銃を構える。

 「お前ら、好きなように打て。前線で俺が暴れる」

 炎司は、そう言って空中に跳んだ。

 「海人!敵はもう入った!良いぞ!」

 海人は、そう言われると地面に手をつけた。

 「これ結構集中するから、邪魔すんなよ!」

 やがて地面から水が湧いてくる。ベストロンは、戸惑っている。その水は、天に昇っていき、どんどん伸びていく。水は、やがて、ベストロン全てを包み込んだ。

 「“水会場(ブルードーム)”」

 ベストロンたちは、水でできた壁を殴る。しかし、液体のはずの水は、ダイヤモンドの様に硬く、ベストロンの拳を破壊していく。

 「止めとけ、この水は、僕の能力の覚醒で硬くした。このまま上に上げれば……、あっという間に空中戦場に早変わりだ。これで民間人には、危害は加わらない」

 「では簡単な話……、貴様を殺す!」

 海人の目の前には、オーディンが槍を構えていた。

 「させるかよ」

 炎司は、オーディンの攻撃を天叢雲剣で受け止めた。

 「神木炎司か、貴様の能力はゼウスによってもう調査済みだ」

 「じゃあ、あのときより少し本気を出せば良いんだな?」

 「ふははは!面白い!」

 そう言って、オーディンは遠くの方へ飛んでいった。

 「何なんだあいつ、結局俺が怖いのか?」

 「かもな」

 そう言って、二人は笑っていた。

 

 戦いが始まって数十分経過。人間が優勢な今の状況で、トムは迷っていた。

 (ここまで皆は命を懸けて、戦っている!なのに私は、命令をしているだけ……。こんなんじゃだめだ!私も戦う!)

 トムは、

 「君たちはもう自分の意思で動きなさい。私は、炎司たちと戦ってくる!」

 トムは走り出す。しかし、目の前にオーディンが表れる。

 「お、オーディン!」

 「私に挑むか?」

 オーディンは、誰にでも聞こえるような声で叫んだ。

 「良いか、人間共!私に歯向かうなど、愚かだな!そうだ、今から一人一人の皮を剥ぎ取ろう!悲痛な叫びを聞きながら、仲間の死を見れば良い!」

 「嫌だァァァァ!お母ァァァァん!!」

 多くの兵士たちがオーディンから、逃げていく。トムは足の震えを必死に抑えていた。

 「トム負けるな!俺らがついている!」

 しかしトムは、オーディンに背を向けて走り出してしまった。

 「人間は、有利な方によく寝返る……。例え今まで生きてきた意義を失うとしてもな……!」

 「トム!!」

 トムや、兵士たちはオーディンに(ひざまず)いていた。

 「私は、オーディン様に仕えるもの……」

 トムたちは、オーディンの能力“背信”にかかってしまっていた。

 「“蛸足(たこあし)”」

 トムたちは、蛸足によって拘束される。

 「崚八!」

 「大丈夫だ、絞め殺したりしない。しかし、マダコの唾液に含まれる神経毒を投与させた。しばらくは動けないと思うぜ」

 トムは、このとき父との思い出を思い出していた。

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