「ここから出しなさい!」
夢は、警察本部、秘密の地下独房「Never」に入れられた。ここは、テレビですら放送できないほどに残虐的な囚人が入る場所であって、世界一硬くて丈夫な金属「叢雲鉄」で作られ、破壊することはほぼ不可能。夢は、徒陰の焔とされる狐火火叢と共に独房に入れられた。
「すげ、この壁の金属、叢雲鉄じゃんか」
彼は壁を叩いていた。何だか狐火の喋り方が変だったが気にしなかった。
「三十ミリか……。内側からの解除も可能……と」
「良くそんな呑気ね。ここから出られると思っているの?」
夢は、八つ当たり気味な言葉を放った。
「焔ならやってくれるさ」
「え?狐火君って、焔じゃないの!?」
私は、狐火の元に歩み寄った。
「まぁな。一応徒陰ではあるんだけどな」
狐火は、笑っていた。
「貴方誰なの?」
「俺か?」
急に彼の一人称が“僕”から“俺”に、変わっていた。
「俺はな徒陰の岩柱の
「貴方が猿!?」
徒陰の猿は、主にスパイや隠密行動を得意とし、変装のエキスパートと言われている。能力は未知数。噂では、焔並みと言われている。
「何で貴方が、あの学校に……?」
「それはな、お前を殺すためだった」
「私を?どういう事……?」
「実はな、お前があの学校に来ることはだいぶ前から知っていた。師匠と水鯨の情報収集でな。あの人たちの情報収集能力は、人工衛星並だよ」
「そこで俺は得意の変装で、あの学校に入学した」
「じゃあ、何で私を殺さなかったの?」
こんな話は私の能力を使ったって理解出来なかった。
「それは、勿論あんたの能力だよ」
「私の能力?」
「お前、前に俺らのアジトに行ったよな?そこで話聞いたんじゃないか?」
私は、焔の言っていた事が鮮明に蘇ってきた。
「じゃあ、貴方達は私が徒陰に入ると思って殺さなかったの?」
「おう」
(馬鹿じゃないの……?)
「馬鹿じゃないの?……か」
「え?」
猿は、間違いなく私の心を読んだ。
(猿にはこんな力があるの?)
「俺だって、最初は馬鹿じゃないのって思ったさ、でも、それが師匠の予言だった」
「師匠って、大黒柱の?」
「そうさ、師匠の能力は“千里眼”地球の反対側だったり、未来だったり、何だって見えるのさ!」
(なるほど、だから徒陰は強いのか。トップがこんなにも慕われているということは、トップの人が信頼してるから、そのグループは強くなる。私は、ボスを信じていた。ボスは私の事を信頼してくれたかな……)
「貴方は……」
夢は、無性に徒陰について知りたくなった。
「ん……?」
「貴方は何で……徒陰に入ったの?貴方が失敗作だったから?」
「……聞きたいか?俺が徒陰に入った理由」
私は、首を縦に振った。
「じゃあ、走りながら喋るか?」
そう言って彼は舌を出した。舌の上には先この「Never」の鍵があった。
「何で口から鍵が!?」
「俺さっき、転んだだろ?その時に奪った」
確かに、あの時彼は転んでいた。まさかあの時に奪うとは、かなりの腕だ。
「じゃあ、行くか」
そう言って彼は、ドアを開けた。
「あれは、徒陰で覚えたの?」
「手癖の悪さか?じゃあ、さっきの質問の答えな。俺の生まれた街はすげぇ、ビンボーな街でよ、それには理由があって俺らの街じゃ人間は大きく分けて三つに分けられてるんだよ。それが貴族と平民と下民だ。この街は、貴族が有利な立場だったから、生活は厳しく犯罪なんか日常茶飯事だったよ。そのときに目覚めたのが能力だった。そのせいで、俺は、闘うことになってな。
そこで出会ったある人のおかげで俺は、故郷を出ることができたんだけどな。何もなくては死にそうだった。そこで出逢ったのが師匠だった。師匠は俺を見ても何とも言わず俺を介抱してくれた。俺は師匠にあの時の恩を返しているだけだ。徒陰が出来たのは師匠が俺達を救うためだ」
夢は眼から涙が出ていた。そんな現実があったなんて信じられなかった。
「もうすぐ地上だぞ」
猿の声に目が覚めた夢は涙を拭った。
「私も戦う。徒陰と共に!」
「……ありがとうな」
地上に出ると、警官が待ち構えていた。
「やっぱし、いるよな。憾咲は、先に外に出ててくれ」
「こんな数、どうするの?」
ざっと三十はいる。
「伸びろ!如意棒!」
すると、急に二メートル位の棒が出てきた。
「先手必勝!“
すると、棒はしなりを増し、二十メートル程までに伸び、警官を薙ぎ倒していった。
「凄い…」
「待たせたな。さぁ、行くか!」
「え?どうやって?」
すると猿は指笛を吹いた。すると遠くの方から金色の雲が現れた。
「これってまさか!
「さぁ、乗れ!」
「貴方の能力ってまさか…」
「そうだ。俺の能力は“孫悟空”だ」
「今から、アジトに向かう。良いな?」
私は首を縦に振った。
猿/猿飛戯介能力“孫悟空”
・伝説の孫悟空になることが出きる。如意棒を使ったり、觔斗雲に乗ったり、毛で分身作ったり、できる。かなりの強者。猿と喋れる。