警察本部 零課   作:もののあはれ

83 / 83
八十 アメリカ

 崚八によるプロメテウスの破壊で、フランスは大火事を防ぐことが出来た。

 休息も束の間、夢に再び電話が掛かってくる。

 『大変だ!夢!』

 「あなた、世界はいつも大変なことになっているわよ……」

 『いや、アメリカが!特に!』

 「どういうこと……?」

 『また新たなベストロンが……!』

 「どんな奴だ?」

 炎司が横から、割って入ってくる。

 「名前は、“トール”。ゼウス同様雷を操ることが出来るが、ゼウスとは力が違う!」

 「また雷か……」

 炎司は、そう思いながら、空港へ向かった。

 

 「まさかプロメテウスまでもがやられるとは……」

 「先生、これでは“あれ”の完成前にEternalが我々を破壊するでしょう……。ここは我の改良よりも“あれ”の完成を急がせた方が良いかと……」

 「そうですね……、それでは私達の希望の完成を急がせましょう。彼等の足止めは宜しくお願いしましたよ、トール」

 謎の女性はそう言い残し、画面は暗くなった。

 「Eternalか……。楽しみだな」

 トールは、雷と共に姿を消したのであった。

 

 炎司たちは、アメリカに着くと早速、ホワイトハウスへ向かった。

 「はぁ、はぁ……、こんにちは……」

 「Are you okay ?You looks at a lot like tiring.」

 「はぁ……」

 炎司は、海人が言う前に翻訳機を海人から奪った。

 「急に呼び出して済まない。君達しか頼れる人はいないんだ!」

 「今、朝ですよね?何でこんなに暗いんですか?」

 「奴の能力で、雷雲が発生している。雷の音が聞こえなかったかい?」

 「確かに……」

 炎司は、頷いた。

 「トールは今どこに……?」

 「奴は、変電所を我が城と化した。奴は、電気を操ることが出来る。奴はすぐにこのアメリカを潰すつもりだ……!」

 大統領は、頭を抱えた。

 「落ち着いて下さい!俺たちがついてますから!」

 「ありがとう……!皆さん……」

 炎司たちは、大統領が紹介してくれたホテルに泊まった。

 「おかしいな……」

 炎司が、(あご)に手を当て、考え込んでいた

 「どうしたの?」

 夢が、炎司の様子を心配して話し掛けてきた。

 「人が通らない。それにこのホテルだって、俺らしかいないんだ」

 「貸し切りなんじゃない?」

 「それにトールの考えだって、謎が多すぎる。何でトールは俺たちを待っていたんだ?変電所にいるならとっくに、アメリカは既に墜ちているはずだ」

 「考えすぎじゃない?」

 「そうだと良いな」

 そう言って二人はそれぞれのベットに入り、眠りについた。

 

 ここは、アメリカの大半の電気を扱う変電所。そこにトールはいた。

 「お疲れ」

 トールの目の前には、アメリカの大統領が立っていた。

 「奴らは、明日にもここへ来るかと」

 「馬鹿な奴らさ」

 大統領は、自分で皮膚を剥がし始めた。皮膚を剥がすと、大統領だった人は、人間では無くベストロンだった。

 「さぁ、ここでEternalを食い止めようか」

 トールは、不気味に微笑んだ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。