崚八によるプロメテウスの破壊で、フランスは大火事を防ぐことが出来た。
休息も束の間、夢に再び電話が掛かってくる。
『大変だ!夢!』
「あなた、世界はいつも大変なことになっているわよ……」
『いや、アメリカが!特に!』
「どういうこと……?」
『また新たなベストロンが……!』
「どんな奴だ?」
炎司が横から、割って入ってくる。
「名前は、“トール”。ゼウス同様雷を操ることが出来るが、ゼウスとは力が違う!」
「また雷か……」
炎司は、そう思いながら、空港へ向かった。
「まさかプロメテウスまでもがやられるとは……」
「先生、これでは“あれ”の完成前にEternalが我々を破壊するでしょう……。ここは我の改良よりも“あれ”の完成を急がせた方が良いかと……」
「そうですね……、それでは私達の希望の完成を急がせましょう。彼等の足止めは宜しくお願いしましたよ、トール」
謎の女性はそう言い残し、画面は暗くなった。
「Eternalか……。楽しみだな」
トールは、雷と共に姿を消したのであった。
炎司たちは、アメリカに着くと早速、ホワイトハウスへ向かった。
「はぁ、はぁ……、こんにちは……」
「Are you okay ?You looks at a lot like tiring.」
「はぁ……」
炎司は、海人が言う前に翻訳機を海人から奪った。
「急に呼び出して済まない。君達しか頼れる人はいないんだ!」
「今、朝ですよね?何でこんなに暗いんですか?」
「奴の能力で、雷雲が発生している。雷の音が聞こえなかったかい?」
「確かに……」
炎司は、頷いた。
「トールは今どこに……?」
「奴は、変電所を我が城と化した。奴は、電気を操ることが出来る。奴はすぐにこのアメリカを潰すつもりだ……!」
大統領は、頭を抱えた。
「落ち着いて下さい!俺たちがついてますから!」
「ありがとう……!皆さん……」
炎司たちは、大統領が紹介してくれたホテルに泊まった。
「おかしいな……」
炎司が、
「どうしたの?」
夢が、炎司の様子を心配して話し掛けてきた。
「人が通らない。それにこのホテルだって、俺らしかいないんだ」
「貸し切りなんじゃない?」
「それにトールの考えだって、謎が多すぎる。何でトールは俺たちを待っていたんだ?変電所にいるならとっくに、アメリカは既に墜ちているはずだ」
「考えすぎじゃない?」
「そうだと良いな」
そう言って二人はそれぞれのベットに入り、眠りについた。
ここは、アメリカの大半の電気を扱う変電所。そこにトールはいた。
「お疲れ」
トールの目の前には、アメリカの大統領が立っていた。
「奴らは、明日にもここへ来るかと」
「馬鹿な奴らさ」
大統領は、自分で皮膚を剥がし始めた。皮膚を剥がすと、大統領だった人は、人間では無くベストロンだった。
「さぁ、ここでEternalを食い止めようか」
トールは、不気味に微笑んだ。