新年あけましておめでとうございます。
昨日は祖母の家に行っており、投稿できず申し訳ありません。
本年もよろしくお願いします。
道順をオレンジプレイヤー狩りで覚えてしまったので一度も地図を見ることなく迷いの森を抜けた俺を先頭に、35層主街区を歩く。
あまりここに立ち寄ったことはなかったが、この牧歌的農村の佇まいはなかなかいい。となんちゃって主街区評論家(俺)は思う。
確か中層プレイヤーの主戦場なこともあって人通りも多い。賑やかなのはリアルでは嫌いだがこの世界では割と心地いい。
シリカはホームを持っていなく、ファミリーに連れて行くわけにもいかないので適当な宿に泊まることにする。
シリカ曰く自分の泊まる宿屋のチーズケーキをかなり気に入っているらしく、ぜひ料理スキルを上げている身としてはひとつ食べて見たいものだと俺は息巻いている。
大通りから転移門広場に出るとシリカに先導をお願いする。
そこになんとも面倒なタイプの男が絡んでくる。はじめはシリカに抗議していたがそのうちにターゲットを俺たちに切り替えてくる。
ここはキリトの出番、と俺は一歩下がる。それを見て一瞬シリカが眉をひそめたがそれもすぐなくなった。
「すまないが、彼女とは訳あって暫くパーティを組むことになっていてね。また後でにしてくれないか」
キリトはソロプレイヤーでなくなってからパーティを、主にアスナやサチと組むことが多くなった。
二人とも可愛いからそれなりに男も寄ってくる。そしてそのうちに体得した本人曰く隠しスキルが、《威圧》らしい。それをすれば大抵の男は逃げて行くと豪語しているのだが、どうにも俺には「俺の女に手ェ出すんじゃねぇよ」と凄んでいるようにしか見えない。
事実若干シリカのほおが赤くなってるように思える。
そら見たことか。
……兄貴が
***
宿屋につき、シリカオススメのチーズケーキを食べる俺たち一行。
パクリと一口食べてキリトが驚いたように僅かに目を見開き頬を緩ませ、
「へー……本当に美味しいな、これ」
その感想にシリカがやや身を乗り出してそれに同意する。
「ですよね!タナトスさんもそう……⁉︎」
「この材料はどの牛乳を……?いや、あの層のアレを使ってるのか……なるほどなるほど、それで通常の行程にそれを加えることでこの味を再現できるのか……アスナにも教えてやろう……」
一口一口味わう俺。ぶつぶつ呟きながら真剣な眼差しでチーズケーキを食べる。
その様子にやや引いた様子のシリカを苦笑しながらキリトがフォローを加える。
「あいつは料理スキルがかなりの熟練度だからさ、こう言うまじで美味しいものを食べた時はついああ言う反応をしちゃうらしいんだよ」
「へ、へー……そうなんですか」
俺は一つチーズケーキを食べ終わり、じっと空っぽの皿を見つめて一言。
「もう一個頼も……」
「俺も……」
結局キリトとそれぞれ三つずつ食べました。
***
さて、宿に着き非常に美味なチーズケーキを堪能した俺たちはそれぞれの部屋に戻ったあと、47層の説明を忘れていたため、シリカの部屋で作戦会議を行うことにした。
「シリカー、起きてるかー?47層の説明をするの忘れてたからしようと思うんだけど、明日にするかー?」
キリトがシリカの部屋のドアをノックする。
き、キリトさん⁉︎は、はい大丈夫です!という元気な声とともに微かに『ペタペタ』という足音が聞こえた。
「キリト、目を反らせ」
「は?」
強引にキリトの首を90度曲げる俺。痛がるキリトだが、シリカとしてはその行動にものすごく感謝することとなった。
ガチャリという音とともにシリカがこちらに顔を出す。
「?どうしたんですか?」
その疑問はもっともだろう。なにせドアを当てたら全力で目をつぶっている俺と思い切り首を曲げられて俺の手を叩いて痛がっているキリトの姿を見たのだから。
「シリカ。先程からお前の足音が“ペタペタ”なんだが、お前の今の格好は大丈夫なんだろうな?」
数秒後、悲鳴が響き渡った。
***
「さて、今後の予定なんだが」
「お前のその切り替えを分けて欲しいもんだな」
俺のその発言の後、どうやら下着姿だったらしいシリカが悲鳴を上げて反射的に目の前にいたキリトを引っ叩いてしまった。
彼女は慌てて着替えた後に五体投地の全身全霊誠心誠意をかけた土下座をキリトに敢行していた。
俺の先ほどの発言はこの状態のままでしている。
「し、シリカ。俺ももう気にしてないし、なにより自分も見られてないからいいじゃないか、な?」
紅葉を頰につけたキリトはリアルに妹がいるらしいそのお兄ちゃんスキルを存分に発揮して無自覚にどんどんシリカを惚れさせていく。
「うぅ……本当にごめんなさいキリトさん」
「安心しろシリカ。美少女エルフっ娘騎士とお風呂好き刺突系お嬢様をそれぞれ指差して『お嫁さんにするならどっち、とか?』なんてことを考え、あまつさえそれを口に出すような男だ。この程度の逆境きっと慣れてる」
やはり兄程ではないとはいえ、ハーレムを目の前で繰り広げられるのは男としては癪だ。俺はアスナと兄と4人でかつて受けたキャンペーンクエストにおいて俺と兄が戦慄し、また尊敬の眼差しを送ることとなった事件のことを持ち出すことにした。
「おい!嫌なこと思い出させるんじゃないぞ!いやてか、失礼なことを言うなよ!……いやまて!シリカ!誤解だからちょっと離れるのはやめて!」
そんな一幕がありつつ、改めて今後のことについての話し合いを始める。
「よし、んじゃ今後の予定についてだが……キリト、アレ出せ」
「アレ?」
疑問符を浮かべるシリカに対し、少しニヤリとしてあるものを取り出したキリト。それは丸いツボのようなもので、蓋に該当する箇所の中央にボタンが付いていた。
「キリトさん、それは?」
「ミラージュスフィアって言ってな……」
そこまで言うとポチり、とボタンを押す。すると蓋の部分が上に持ち上がり、その隙間からホログラムの地球儀のような丸い地図が現れる。
「わぁ……綺麗……!」
これを始めて見たときのアスナ、サチと一言一句違わぬ感想に思わず顔を見合わせて頰を緩めるキリトと俺。
「ここが47層の主街区で……ここが思い出の丘。俺たちが目指すのはこの思い出の丘だ」
ミラージュスフィアを操作しながら説明を加えるキリト。
俺もそれにモンスターの情報におまけに意外と美味しい食材アイテムの場所やら効率のいいレベリングスポットなど、今後役に立ちそうな情報を教えて行く。
その時、俺とキリトが外に僅かな気配を感じた。
通常なら気がつかないであろうそれも、ファミリーに入り、アルゴといるせいで気配には割と敏感になっているのだ。
「誰だ!」
即座に駆け寄り、ドアを開く俺。
階段を降りていく影が見えた。一瞬見えたが、あの小柄な体型からして、多くいる男性プレイヤーのうち小柄なプレイヤーである他にも、女である確率も捨てられないだろう。
シリカが若干怯えながら俺に尋ねる。
「タナトスさん。一体、なんなん、ですか?」
「聞かれてたな……」
キリトのつぶやきにシリカが反応する。
「え?でもこのゲームではノックをしないと部屋の音は聞こえないはずじゃあ」
「聞き耳スキルが高けりゃその限りじゃない。んな趣味の悪いスキル上げてるやつなんざなかなか知らんがね……情報屋の鼠ですらそこまで上げてなかったはずだがな」
俺がシリカの疑問を説明をする。
どうして立ち聞きなんか……と漏らすシリカ。俺とキリトは、互いに顔を見合わせた。
***
次の日。
47層について、俺は真っ先に《隠蔽》スキルを使用した。
なぜかって?
「……わぁ‼︎」
「パシャり、と」
それは花畑の美しい47層について顔を輝かせるシリカとそれを見て頰を緩めるキリトのツーショットを撮るためだ。
俺はここ最近、オレンジ狩りやら情報収集やらでアルゴと行動することが多くなっているため、《隠蔽》スキルがアルゴほどではないがかなり熟練度が高い。
そのため、俺は時々、トラブルメーカーだとか隙を見せたらアルゴレベルに弱みを握られると変な異名がついている俺の存在を忘れ、素顔になった彼らを写真にナーブギアのフォルダに収めるのをもう一つの大事な仕事としている。
いつか、SAOをクリアした後、ナーブギアからこのデータを取り出してみんなで振り返るのをちょっとした目標にしている。
……こんな綺麗な景色を、詩乃にも見せてやりたいと言うのも理由の一つだが。
「ああ、ったく……こんな素晴らしい景色を作ったことに関しちゃ、茅場には感謝しなきゃな……」
俺は穏やかな表情でメニューを操作する。
「本当に、感謝しなきゃな……」
ピッ、ピッと静かに操作をする。
「こんな
To. Asuna Sachi Argo Poh
from. Thanatos
sub. 報告(ロリコン疑惑について)
写真を添付しました
判断はあなたがたに任せます。
「……ふぅ」
清々しい表情で、空を仰ぐ。
俺は最近、アルゴに毒され始めているのやもしれないな。
10秒ほど経った後、顔を真っ青にしたキリトに体術スキルまで使われて思いっきり殴られた。
タナトスが一緒にいる時間が長いのは、PoH、アルゴ、ノーチラス、キリトの順です。
一応ノーチラスとはよく一緒に釣りをしたらどこかで一緒にだべったりする親友的ポジションです。
感想、評価等頂ければ幸いです。