ソードアート・オンライン〜戦闘狂兄弟が行く〜   作:赤茶犬

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今回は急いで書いたので誤字、脱字等がありましたらご指摘お願いいたします。
また、クオリティの低下もご容赦ください。



キリトとアスナと謎の被害者

 

第57層主街区マーテン。

ここは最前線からわずか2層しか離れていないにもかかわらず、多くのプレイヤーたちで賑わっている。

というのも、47層をはじめとする多くの観光スポットから言える通り、ここ最近のSAOでは、一定のペースで攻略のペースが保たれている。

そのため、中層以上のプレイヤーにはささやかながらも生活を楽しむ余裕、というものが生まれ始めているのだ。

 

そしてここはわずか2層しか最前線しか離れていない。そのため、俺たちフロントランナーのベースキャンプになると同時に観光スポットとして現在人気なのだ。

 

「それじゃ、行くか」

 

転移門経由でマーテンにやってきた俺たちは、そうして賑わう街を肩を並べて歩いた。

ファンクラブすら存在するという俺の開始当初からの相棒のファンから嫉妬の視線を浴びせられるかと思いきや、おそらく中層プレイヤーと思われるものたちからの驚愕の視線はあれど、顔見知りの攻略組からは生暖かい視線を受ける。

 

どうしてだろうか?

 

アスナもやや顔を赤らめていることから察するに、やはり俺とは並んで歩きたくはないのだろう。しかし行く先は俺しか知らない。

 

(うっわぁ……これってデートよね⁉︎他の攻略組のみなさんから妙に生暖かい視線を送られるだけでなく口の動きだけで激励されるし……うわあああああああ)

 

アスナの思考は現在大変なことになっているのだが、俺はつゆ知らず。

 

***

 

5分ほど歩いたところで、やや大きめのレストランが現れた。

 

「ここ?」

 

「そ。おすすめは肉より魚」

 

アスナが期待半分、胡散臭さ半分といった目で見つめてくる。俺は頷くとスイングドアを押し開け、ホールドする。澄まし顔を取り繕って入るアスナに一言。

 

「それではどうぞ、お嬢様」

 

フリーズするアスナ。俺はさっさか店内に入る。

 

「……き、キリトくん。あなたファミリーに入ってからスケコマシになったわね……」

 

「……まぁ、アルゴに付き合ってレストランやらにも入るからな。このくらいはジョークでも軽くできるようになってね」

 

アルゴと食レポ的情報収集に手伝うと絶品料理が食べれて大満足なのだが、そのぶん財布が軽くなるのが悩みの点だ。

ぶっちゃけタナトスとかサチの料理の方が美味しいことあるし。

 

閑話休題。

 

そこそこ混み合う店内を好奇と生暖かい視線に囲まれながら席に着くととりあえず俺は食前酒から前菜、メイン料理、デザートまでがっつり注文し、ふう、と一息いれる。

 

すぐに来たフルートグラスに唇をつけてからアスナはいつもよりわずかに険の抜けた見慣れていた優しいライトブラウンの瞳で俺を見て、可聴域ギリギリのボリュームで囁く。

 

「その……なに、今日は……うん、ありがと」

 

「へっ⁉︎」

 

驚愕した俺にアスナはジロッと見てもう一度礼を述べて来た。

 

「ガードしてくれて、よ。いつもはその、昔みたいにゆっくり眠る機会もなくて。……血盟騎士団だと、3時間くらいで目が覚めちゃうから」

 

「え……」

 

確かアスナは《ファミリー》時代はきっちり7時間ほど眠っていたはずだ。

 

「《ファミリー》は落ち着くからね……。初めて当初からの人たちがいるし、何よりキリトくん(命の恩人)がいるから」

 

言ってから恥ずかしくなってしまったらしい、顔をうつむかせて赤面するアスナ。俺も妙に照れ臭くなってしまった。

 

「えー……っと、そうだ、アスナ、いつでもホームに帰って来なよ。いつでも歓迎するから。最近バカップルになりつつあるユナとノーチラス、明るい元黒猫団たちもいるし、最近じゃ、シリカとかも入ったろ?」

 

「……」

 

「もしかしたら、お前はあの場所は変わりすぎてもう来れないとか思ってないか?だったらそりゃ勘違いさ。……ほら、今のギルドマーク、ちょっと変わって本を持ったポンチョ黒猫の背景に剣が二つ、交差してるだろ?」

 

そう俺は頭の上のネームに記されているギルドマークを見せる。運ばれて来た色とりどりの謎野菜に謎スパイスをぶっかけ、フォークで頬張る。

 

マヨネーズ欲しいなぁ……とか思っていると小さく、あ……。とアスナが声を漏らす。

 

「そ。この交差してる剣。片手剣とレイピア。デザイン担当のおにーさん曰く、俺とアスナらしい」

 

「……いいの?」

 

「いいのもなにも、アスナは俺たちの大事な仲間(ファミリー)さ。いつでも帰って来て、ギルドやヒースクリフの愚痴でも聞かせてくれよ」

 

ニッコリ笑いかけてやるとアスナは顔を真っ赤にしてしまった。

 

……怒らせちゃった?と思いきやアスナは上品にサラダを食べる。照れ隠しのようだ。

 

「やっぱさ、それ、マヨネーズくらいは欲しいよな」

 

アスナの物足りなさそうな顔を見て言うとアスナもその話題転換を好機と見て食いつく。

 

「そうよね……。やっぱ調味料は物足りなく感じちゃうわよね」

 

「そうそう、ソースとか、ケチャップとかさー」

 

「あとは」

 

「「醤油!」」

 

二人同時に叫び、思わずプッと吹き出すと。

 

どこかから、悲鳴が聞こえた。

 

紛れも無い、恐怖の悲鳴が。

 

「きゃああああああああああああ‼︎‼︎⁉︎」

 

息を呑み、思わず腰を上げ、背中の剣に手を伸ばす。

 

「外よ!」

 

同じような格好をしていたアスナは飛ぶように店を出た。

俺もそれを追いかける。

 

表通りに出ると再びその悲鳴が聞こえた。

 

「広場!」

 

一ブロック先の広場のことだが、俺たちにはそれで通じた。

今度こそ全力ダッシュでそこへ向かう。

 

《閃光》の名に恥じないそのスピードになんとかついていきながら、広場に出た。

 

そこには信じがたい光景が広がっていた。

 

その広場の北側には教会のような、石造りの建物がある。

一度タナトスたちと立ち寄り、何もねぇとツッコミを入れたのが記憶に新しい。

 

そんな教会もどきの窓から一本のロープが伸び、そこから男が垂れ下がっていた。

 

恐怖に満ちたその顔は、自らの胸を貫く漆黒の槍を見ている。

 

その漆黒の槍のせいで彼には貫通ダメージが通り、今にも彼の命の灯火は書き消えようとしている。

 

そこに知り合いがやって来た。

 

「キリト!」

 

「これは……⁉︎」

 

ノーチラスとユナだ。

俺は彼を助けると同時に犯人を捜すためにノーチラスとユナに指示を出す。

 

「アスナ!彼の救助を!ノーチラス!ユナ!ここから逃げようとするプレイヤーがいないか見てくれ!」

 

「「「わかった!」」」

 

俺はアスナが救助するためにロープを切ろうと建物に入っていくのを確認したあと、男に叫んだ。

 

「早くそれを抜け!」

 

男が何とか抜こうと手を動かすが死の恐怖で力が入らなかったのか、抜けない。

 

「くそっ!」

 

俺は数歩下がり、距離を見定めながらピックを取り出す。

《投剣》スキルで彼のロープを切ろうと試みるのだ。しかしそれはノーチラスに制止される。

 

「ダメだ!タナトスならともかく、キリトの熟練度じゃ彼に当たりかねない!」

 

「……くそっ!」

 

そうこうしているうちに彼は一点を見つめ出した。

俺は直感的に察した。おそらくは自らのHPバーを見ているのだ。

それがゼロになる時。

 

彼は何かを叫んだような気がした。

 

彼を構成していたポリゴンが砕け、無数の青い光とともに彼の姿は消えた。

爆散するポリゴンが夜闇を染める。

 

俺は一瞬呆けたがノーチラスの叫びで冷静になる。

 

「デュエルの勝利表示を!」

 

そうだ。この圏内でダメージを与えるにはそれしか無い。

 

見回す。見回す。見回す。

 

しかし見当たらない。

 

それが表示される気配はない。ノーチラスの叫びに応え、周りのプレイヤーも捜すが見当たらない。

 

「アスナ!ウィナー表示は⁉︎」

 

「ダメ!中には誰もいない!」

 

10秒ほどでアスナが教会もどきの窓から顔を出す。俺が聞くが

 

そしてそれが表示される30秒が過ぎた。

 

「くそっ!」

 

いつの間にやら落ちて来ていた凶器、黒いスピアを見下ろし、毒づく。

 

すぐに教会内に入り、部屋を《索敵》スキルで見渡す。

 

「ダメだ……いない」

 

俺の《索敵》スキルを無効化するほどのアイテムはない。

アスナとユナ、そしてノーチラスがやってくる。

 

「どう?」

 

「ダメだった、俺の《索敵》スキルにも引っかからない」

 

「逃げ出そうとするプレイヤーはいなかったわ。何人かのプレイヤーに監視をお願いしたけど、多分いないわ」

 

「どうなってるんだ……?ああもう、せっかくのディナーの予定が無茶苦茶だ」

 

若干色ボケしているノーチラスの発言をたしなめるユナを横目に、俺はアスナを見る。

 

「協力して欲しい」

 

「もちろん。言っておくけど、昼寝の時間はありませんからね」

 

「してたのはそっちだろ…………」

 

そう言ってから俺たちは黒と白の手袋越しにしっかりと握手した。





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