ソードアート・オンライン〜戦闘狂兄弟が行く〜   作:赤茶犬

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短いです。
74層攻略編もこれにまとめるかどうか検討中。あんまりにもこの章、オリ主を混ぜられないことに気がついたので結構早めに終わってしまいそうなのです。リズのファンの方、申し訳ないです。



心の温度編
キリトと鍛冶屋さん


 

涼しげな金属音とともに散る火花。それとともに銀色の輝きがよみがえるレイピア。研磨が完了し、ピンクのふわふわしたショートヘアの少女が立ち上がり、彼女より少し背の高い少女の顔を見上げる。

 

「はい、終わったよ、アスナ」

 

「ありがとう、リズ」

 

レイピアを受け取るとにこりと笑う栗色の髪の美少女、アスナ。リズと呼ばれた少女がまじまじと見るといつもの血盟騎士団の赤白騎士服に下ろしたてのように輝くブーツ、そして耳には小さなイヤリングまで。

 

「ほほーう。噂の人に本格的にアプローチするわけですなぁ?」

 

「ちょ、ちょってやめてよ、リズ」

 

顔をほんのり赤らめ、そっぽを向くアスナ。それが非常にいじらしく可愛らしかったためにリズはニマーッと笑うと肩を組む。

 

「私はまだ会ったことないけど、ちゃんと上手くいったら紹介しなさいよ?どんな人?」

 

「うーん、変な人?掴み所がなくて、マイペースなんだけど、めちゃくちゃ強くて……」

 

リズの頭に思い当たる人物が一人。

男なのに妙に似合う猫耳フード付きパーカーを着て、投げナイフ、体術を使ったじわじわ殺す性格悪い戦闘方法をとるのに趣味は音楽と昼寝というわけのわからない不良男子。

 

「……タナトスくん?」

 

「あはは、確かにイケメンさんだけど、あの人には詩乃さんって人がいるらしいからね。それに、一対一だったらタナトスくんも勝てないかも。私じゃ、1分も持たないよ」

 

「ほほー。よっぽどお好きなんですね?」

 

「も、もうリズ!やめてよー」

 

そんな会話をしつつ笑い合うとアスナはまた今度、と手を振って逃げるようにリズの工房から飛び出していった。

その幸せそうな顔を見て、リズはポツリと。

 

 

「……いいなぁ、私も『素敵な出会い』、ないかなぁー?」

 

 

***

 

 

ここ、第48層、リンダースの街にタナトスとアスナのお気に入りの鍛冶屋があるそうだ。

とある事情で剣がもう一本必要となった俺、キリトはその鍛冶屋に現在来ていた。

その鍛冶屋はそこまで大きくはないが、水車が付いていてお洒落な雰囲気が漂う、いい感じの店だった。

名前は《リズベット武具店》。俺は扉をあけて中に入っていった。

 

置いてある剣を見ると確かに彼女の鍛治の腕は確かなようで、プレイヤーメイドではかなり高い水準なのが見て取れる。

 

そういえば、アスナのレイピア、《ランベントライト》も彼女が作ったって聞いたっけ。

 

少し見ていると、店主の少女がやってくる。

ピンクの髪が特徴的な元気のいい少女だ。

 

「あ、オーダーメイドを頼みたいんだけど」

 

「あ、はい。今金属の相場が少し上がっておりまして……」

 

「予算は気にしなくていいから、今作れる最高の剣を作って欲しいんだ」

 

とここまで言うと店主のリズベットは性能の目標値を聞いてきた。

俺は背中の剣を抜き、彼女に渡す。

 

「この剣、エリュシデータと同等以上の剣を頼めないか」

 

この剣は第50層のボスのラストアタックでドロップした、おにーさんの友切包丁(メイトチョッパー)と同等の魔剣と呼ばれるクラスの名剣である。

 

流石のリズベットも驚いた様子で、俺が作れそう?と聞くと一瞬の思考ののち、自分の後ろにあった数々の武器から一つ取り出して俺に差し出した。

 

「これならどう?私が作った中で最高のものよ」

 

何度か振ってみる。

 

「うーん、少し軽い、かなぁ?」

 

おそらくこの剣はタナトスみたいなそこまで筋力に振ってない人間に向いていると思う。

自分はSTR()AGI(敏捷)極振りの、タナトス曰く『移動砲台』であるが故に少し物足りなく感じてしまう。

事実、スピード重視の金属で作ったそうだ。が、性能はかなりいいし、捨てがたい。

 

……あ、そだ。

 

俺はおもむろに自分の剣を片手に持ち、もう片方にリズベットの剣を持つと彼女に聞く。

 

「すこし、耐久度を試していい?」

 

「えっ⁉︎ちょ、ちょっと!そんなことしたら、あんたの剣が折れちゃうわよ⁉︎」

 

ヘラっと俺は笑うと剣を振りかぶる。

 

「そんときゃ、そんときさ!」

 

パキイイイイン!と、おにーさんのPvPでよく聞く音が。

 

刀身のど真ん中からへし折れ、吹き飛んだ。

 

 

リズベットの最高傑作の剣が。

 

 

「うぎゃああああああああああああ⁉︎⁉︎」

 

とんでもない悲鳴とともに俺から残った剣の下半分をもぎ取り、剣を見る。

 

「……修復、不可能」

 

がっくりと肩を落とすと同時にポリゴンに還る剣。

 

そこから彼女はものすごい勢いで俺に掴みかかってきた。

 

「な、なんてことしてくれんのよこのーっ!折れちゃったじゃないのよーっ!」

 

俺は思わず顔を引きつらせながら、答える。

 

「ご、ごめん!まさか当てた方が折れるなんて思いもしなくて……」

 

かっちーん。と、音がした。

 

「それはつまり、私の剣が思ったよりやわっちかったってわけ⁉︎」

 

ひとしきり首をガクガクされた後、俺は静かに胸ぐらから手を離させると、キリッとしてからこういった。

 

「まぁ、そうだな」

 

「あっ⁉︎開き直ったわねこのっ!いい⁉︎材料さえあればねぇ⁉︎あんたの剣なんてポッキポキ折れちゃうのなんて、いくらでも作れちゃうんだからね!」

 

言ったな。

俺はニヤリと笑うと、エリュシデータを背中に収める。

 

「そりゃあ是非、お願いしたいね。こいつがポキポキ折れちゃうやつを、さ」

 

するとリズベットは顔を真っ赤にして全て付き合わせる、と宣言し、マスターメイサーであるらしい彼女とともに、材料を取りに行くところから始まる羽目になったのだった。

 

 




なんだかキリが良かったここで切ったものの、流石に短すぎたと思った。申し訳ありません。

感想、評価等頂ければ幸いです。
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