ソードアート・オンライン〜戦闘狂兄弟が行く〜   作:赤茶犬

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フェイタルバレットのDLC、BoB実装すごく楽しみです。現在金欠ですけど。



棚坂樹とキリトと二刀流

 

 

「──スイッチ!」

 

俺の掛け声とともにキリトは右手に愛剣《エリュシデータ》を、左手に鍛治師リズベットの傑作《ダークリパルサー》を持って突貫する。

 

俺の捨て身の攻撃によりそのHPを半分まで減らしたグリームアイズ相手にキリトはラッシュを開始した。

 

このスキルこそキリトの隠し技、エクストラスキル《二刀流》だ。

その上位スキル《スターバースト・ストリーム》を叩き込む。

 

何度かグリームアイズがキリトの連撃を阻もうとするも全て俺の投げナイフで不発に終わる。

 

しかしついに投げナイフが底をついた。なんとか加勢しようと思ったが回復ポーション類の持ち合わせがない。今飲んだポーションが最後で全て軍と風林火山の連中に上げてしまった。

しかも第1層でも手に入るくらいの安物なので回復してもまだレッドを出ない。

アスナに言って貰おうかとも思ったが完全に放心状態だ。

 

「スペランカー状態だから早く終わらせてくれよ」

 

頼むから雑魚でも来るなよ、と少しずつ回復し始めた残り数ドットのHPでつぶやいた。

 

キリトのその剣戟はまさに鬼神と言うべきもので絶叫しながら左右の剣をグリームアイズに叩き込んでいる。

《スターバースト・ストリーム》は16連撃のスキルだ。まだ二刀流の最高剣技でないのにもかかわらず俺のスキルコネクトの限界連撃数を超えて来るあたり理不尽なものを感じる。

 

キリトの剣はどんどん速くなっていく。システムアシストすら上回ってしまうのではないか、そう誤認させるほどにキリトの動きは速い。

 

「…………ぁぁぁあああああ‼︎」

 

雄叫びとともに放った最後の16連撃目はグリームアイズの胸を貫き、そしてその巨大な悪魔は天を振り仰いで咆哮した瞬間、爆散した。

光の粒が降り注ぎ、キリトのHPバーを見ると赤いラインに入っていた。俺のスペランカー状態ほどひどくはないがそれでも危ないのには変わらない。ついでにポーションをもらおうと立ち上がった瞬間、キリトが倒れた。

 

慌てて滑り込んで支え、その後アスナがものすごい勢いで飛び込んで来た。

数秒ほど気を失っただけでよかったキリトはすぐに目を覚ました。

 

よかったよかったとアスナにキリトの介抱を引き継いで下がるとクラインが俺のHPを見て思い切り吹き出してハイ・ポーションを慌てて投げてよこした。

 

「お前さん、大丈夫かよ⁉︎」

 

流石に怖かったがね、と引きつりながら笑って返すと緑茶にオレンジジュースを混ぜたような味のそれをありがたく頂戴する。

 

「バカっ……!無茶して……!」

 

叫びの方に目をやるとアスナが泣きそうな顔で抱きついていた。そりゃ好きな人がそんな危ない目にあったら心配するわな。

……詩乃がいなくてよかった。あいつなら俺の暴挙に泣きながらカンカンに激怒するに違いない。そんな思いさせたくないし、できる限りさせないつもりだし。

 

軍に聞き、犠牲者の確認をすませると先にキリトたちとクラインに声を掛ける。

 

「軍の連中によると犠牲者は3人。コーバッツと、あと2人俺たちが来る前に死んだそうだ……」

 

「……そうか。ボス攻略で犠牲者が出たのはおにーさんが復帰して以来一度もなかったのにな……」

 

「コーバッツの馬鹿野郎が……。こんなの攻略って言えるかよ。死んじまったら何にもならねえだろうが……」

 

悔しそうに目を伏せるキリトと吐き捨てるようなクラインの台詞。アスナはそんな空気を変えるためにキリトに例のスキルについて聞いた。

 

「キリトくん、さっきのスキルは?」

 

「そうだそうだ!オメエなんだよさっきのは⁉︎」

 

「……言わなきゃダメか?」

 

「ったりめえだ!見たことねえぞあんなの!」

 

キリトは俺をちらりと見て来る。確かにこれは《ファミリー》の切り札の1つだったし、先ほどのマップデータの件が少し気になってるのか。

構わないよと目でいうとキリトはため息をひとつついて話し始めた。

 

「……エクストラスキルだよ。《二刀流》」

 

どよめきが起こる。

 

「出現条件は謎。おにーさんとタナトスの予測では俺の先天的なフルダイブとの親和性の高さからくる反応速度が関係している、とか言ってたっけ?」

 

「そうだな。明らかキリトの反応速度はとんでもないし、条件付けするなら恵まれた才能の持ち主に与えられるユニークスキルってとこか」

 

因みにヒースクリフの持つこの世界もう1つのユニークスキル、《神聖剣》については習得条件がいまいちわからない。強いていうならゲームシステムへの理解度だろうがそんなのどう測れというのか。

今まではキリトのソロ、あるいはペアでひっそり戦うスタイルを尊重してひた隠しにしていたのだが、もうキリトはこれで俺やノーチラスやユナレベル、いや兄並の知名度を誇る羽目になること間違いなしだ。

 

しかし今回の軍の行動は明らかに異常だ。

 

「おい、本部に戻って今回のことを報告しな。もう歩けるだろ?」

 

「はい。……ありがとうございます」

 

「礼はいいから二度と単独で攻略しようなんざ考えるな。兄貴に余計な心労かけんじゃねぇ。あとキバオウ死ねって伝えとけ」

 

「は、はい!すみませんでした」

 

軍のプレイヤーたちはよろよろと立ち上がると俺たちに深々と頭を下げてから出ていった。ボスフィールドの外へ出てから転移結晶で転移していく。

その青い光が収まるとクラインはさて、といった感じで両手に腰を当てた。

 

「俺たちは75層の転移門をアクティベートして行くけどお前さんたちはどうする?今日の立役者だし、キリの字、お前がやるか?」

 

「いや任せる」

 

「そうか……気いつけて帰れよ」

 

そうして《風林火山》の面々は上層につながる階段がある大扉の方に歩いていく。

 

「……ふう。よし、血盟騎士団の本部行くぞ」

 

立ち上がると同時に俺は言う。そもそもこれが本題だったのだ。アスナとキリトは俺の言葉に目を丸くした。

 

 

***

 

 

血盟騎士団本部。俺とキリトとアスナ、そして兄が4人、血盟騎士団の幹部たちの前に立っている。

 

「ヒースクリフ。血盟騎士団に旧ラフコフの人間が入り込んでいたのは由々しき事態だ。つーわけで、アスナはうちに返してもらう」

 

ヒースクリフは剣士というよりも魔術師のような神秘めいた顔立ちのした男で今は組んだ指の上から静かにこちらを見ている。

 

「……ふむ、確かにもともと引き抜きではなく派遣という形だったのがこうなったのだから筋は通ってるか。わかった、認めよう」

 

当然、抗議の声が血盟騎士団側から上がる。それを止めたのは兄だった。

 

「ならキリトとヒースクリフ(ユニークスキル持ち)の決闘を行い、その儲けの100%をそちらに譲渡する、と言うのはどうだ?」

 

「ちょっ⁉︎」

 

慌てるのは当然ながら巻き込まれたキリトだ。

もちろん、二刀流の突破力と持ち前のセンスがあるキリトなら勝ち目は無きにしも非ず、といったところだがキリトはもともと目立つのが嫌で《ファミリー》と言う大きな後ろ盾があったのにもかかわらず今まで二刀流を出してこなかった男だ。

それがまさか他のギルドのための客寄せパンダになれと言われたら憤りも覚えると言うものだ。

それでも首をひねる幹部たち。

 

「しかし──」

 

「なら、負けた方がしばらくの間勝った方のギルドに貸し出される、と言うのはどうだ?」

 

「「ぶっ⁉︎」」

 

アスナと俺は同時に黒ずくめのキリトが真っ白な血盟騎士団の制服を見にまとっているのを想像して噴き出した。

肩を震わせる俺とアスナを見てうらめしそうな目を向けるキリト。

血盟騎士団会計の幹部がその条件に賛成する。

会計面だけでなく、キリトはユニークスキルなしで実力がアスナよりも高く、また爆発力で言えば攻略組最強だろう。

 

そうして血盟騎士団団長ヒースクリフと黒の剣士、キリトの決闘が決まった。

 





入団じゃなくて一時的に所属するということでやや気楽になったキリト。
次回はクラディール出します。

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