プリズマ☆カズマ 雪下の誓い   作:こしあんA

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こっちを投稿するのは何ヶ月ぶりでしょうか。

そういえば私は『戦う弟子』様に謝罪しなくてはなりません。
本編をオリジナルでやろうとストーリーを考えたんですがなかなか決まらず断念してしまいました。
本当に申し訳ありません。


題名の美遊依存症いいですよね。
自分も美遊みたいな可愛い子に依存したい。


7話 美遊依存症

 上位悪魔二体の討伐が終わり早数日が経過した。

 ちょっと前に俺が悪魔にぶっ壊された高級ロープの賠償金100万を支払う羽目になってしまった。

 

 そして今

 

「冒険に行きましょう!」

 

 室内にめぐみんの声が響き渡る。

 

「いやです」

 

 100万エリスを払ったとは言え俺達は800万もの大金を持っている。しばらくクエストに行く必要性がない。

 そのため今は俺達は英気を養っている。

 

 他にも理由はある。

 ゲームの後半に出てくるような強キャラが二体も出てそれを撃破してしまったのだ。

 俺はRPGゲームの序盤。雑魚を狩りまくり、金を集めレベルを上げ、そこからボスに挑むのが大好きなのだ。

 俺の考えていた異世界とは違うと思い萎えてしまった。

 

 俺はここでふと疑問に思っていたことがようやく理解できた。

 

 俺が送られる前にも、キョウヤ以外に多くの日本人がそれこそ世界を揺るがしかねないチートアイテムを持ってここに来たかもしれない。

 

 それなのに何故、未だ魔王はおろか魔王軍幹部の一人も倒せていないのか?

 それは魔王軍を相手にしなくともクエストを受ければ一生楽して生きていけるからだ。

 わざわざ我が身を張って魔王軍と戦って、勝利した対価が自分の願いを一つしか叶えられない。

 

 もしくは魔王軍が強過ぎるかのどちらかだ。

 そもそも世界を揺るがしかねない物を神が人間風情に渡すわけが無い。どうせ魔剣グラムといえど劣化品。模造品であろう。

 それにただ斬れ味が凄いだけ。

 

 だからきっと魔王を倒すのはチーターどもではなく、最初は何の力も無い者が必死に努力し、力をつけ、知恵を振り絞り、自身の全てのスキルを駆使し、死力の限りを尽くした者が魔王を倒すのだ。

 

 俺や転生者みたいに貰い物の力を振るう者では魔王は倒せないのだ。

 

 それに俺はもう美遊が幸せでいてくれれば俺も幸せなのだ。

 魔王なんてどうでもいい。それにこんな辺境じゃ関係ない。王都の奴らの仕事だ。

 

 おそらく転生者の中で真剣に魔王討伐を考えているのはキョウヤくらいだと思う。

 

「ゆんゆんも黙ってないで何とか言ってください!」

 

「え〜、私はこのままでいいよ〜。今凄く幸せだし。あっ、ソードマスターでアーチャーに攻撃。」

 

 今まで誰とも遊んだことのないボッチは美遊と遊べることに感動し、頬が緩みきっており、なんともだらしない顔をしていた。

 

 今美遊達が遊んでいるボードゲームは異世界版チェスだ。アークウィザードが居る場合は爆裂魔法が使えゲーム自体をなかったことにできるとか言う馬鹿みたいなルールがあるが、どうも面白そうだ。

 

 しかも少し将棋のルールが混ざっていた。

 

 アークプリーストがある場合倒した敵駒を自軍に呼べるらしい。

 

「甘い、冒険者でソードマスターを攻撃」

 

「ああっ! そんなところに冒険者がいたなんて、存在感が薄すぎて気が付かなかった」

 

 お前が言うか

 

 それにしてもゆんゆんは劣勢だというのにとても楽しそうに無邪気に笑っている。

 余程遊び相手が居なかったのだろう。

 

「盗賊でソードマスターの武器を強奪。これで美遊ちゃんのソードマスターは使えないわ!」

 

 しかし美遊は動じない。

 淡々と駒を進める。そう、それはいつのまにかゆんゆん陣地へと進行していた冒険者である。

 

「敵陣地の最奥に到着したことによりアーチャーにジョブチェンジ。そしてアーチャースキルの狙撃で王を攻撃」

 

 冒険者はチェスで言うポーンだ。

 ポーンは敵陣地の最奥に到着すると好きな駒に成れる。

 美遊は先程からやけに冒険者とアーチャーを使っている気がする。

 

「あーあ、負けちゃった。でも仲間と一緒に遊べるなんて……仲間、仲間……フフフッ」

 

 だめだ、ゆんゆんを直視すると目から水が溢れてくる。

 俺は手で目を覆い、ソッポを向く。

 

「このままではだめ人間になってしまいますよカズマ」

 

「どこがだ! 失礼なやつだな。第一だめ人間はこの街を救えない。だが俺は違う。この街を救った。だから俺はダメ人間ではない。Q.E.D.証明完了」

 

 ふっ、勝った。これでしばらくは外に出ない!

 

「いいんですか、そんなこと言ってゴロゴロしていて」

 

 めぐみんはそう耳元で囁いてくる。

 

「は?」

 

「このまま食っちゃ寝生活を送り続ければ、体重が増えます。

 そして、腹、腕、脚と体の隅から隅までがブクブクに膨れ上がり、丸まっていくでしょう」

 

 俺はゴクリと固唾を飲む。

 顔からは妙な汗が吹き出てきた。

 

「そんな兄の姿を妹が見たらどうなってしまうのでしょうか」

 

 めぐみんは勝ち誇った顔でこちらを見る。

 

 俺の脳裏には、

『お兄ちゃん最低』という言葉と共にこちらを見下す美遊の顔が浮かぶ。

 嫌だ、美遊に嫌われたら生きていけない。

 俺から遠ざかって行く美遊の姿が、いとも容易く思い浮かべることができる。

 

「よし、行こう。今すぐ行こう!」

 

 寝間着の俺は別部屋へと移り着替え、玄関の扉を開ける。

 もうすぐ南中する太陽の陽射しが部屋に篭り、光に敏感になった俺の瞳を刺激する。

 眩しすぎて瞼を開けない。まるで玉ねぎの汁を直に目にかけられたようだ。

 

 思いっきり体を伸ばし、準備体操を始める。しばらく運動してない俺の筋肉は強張っており準備体操だけで息が上がる。頭には血が上り、ふらつく。

 

「で、めぐみん。何をする?」

 

「では私の爆裂魔法の特訓に付き合ってもらいましょうか」

 

「……それ本当に必要か?」

 

 一回使い、失敗した未熟者の俺ですらあの威力なのだからめぐみんは何を特訓するのだろう。

 制御出来ないならまだしも、しっかり制御出来ている。

 

「真の使い手は常日頃の鍛錬は怠らないのです」

 

「……ただ撃ちたいだけだろ?」

 

「はい」

 

 言い切りやがった。

 

「じゃあ護身用として安物の剣買ってくるわ」

 

「……全然護身できないじゃありませんか」

 

 門の外に出る前に武器屋へと向かった。

 

「おっちゃんやってるか?」

「ああ、カズマか。で、何にする?」

「俺みたいな素人でも扱える片手剣をくれ」

「あいよ、盾は要るか?」

「筋力的に使えないからやめておく」

「へいへい。これなんかどうだ?」

 

 ザ・西洋剣の量産型の無骨なものだが、それでいて暖かみがかんじられる。

 

 刃渡りは40センチほど。

 剣を剣たらしめるのに必要なものは全て揃っている。

 柄には布が何重にも巻かれ、手にすんなりフィットし、手離しにくい。

 

「これにするよ」

 

「毎度あり。また来てくれよな」

 

「今度矢を足しに来るからな」

 

「ああ、安物の木の矢じゃなく試しに鉄の矢も買ってくれよ。エンチャントされた矢は扱ってないけどな」

 

「ああ」

 

 剣は鞘を付けて、3万エリス。

 

「では行きましょうか」

 

「その前にギルドへ行こう。何もないところに撃つより敵を殲滅した方が楽しいだろ?」

 

「確かにそうですね」

 

 めぐみんの了承を得て、ギルドへと向かった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 ギルド内には昼間だというのに酒を飲んだくれている者。

 新規登録の申請をする者。

 パーティー募集の張り紙を出す者。

 今日分の食い扶持の繋ぐためクエストを探す者。

 このギルド内には多くの人種が存在する。

 

 そういえば異世界だというのに俺はまだファンタジー系の代名詞とも言えるエルフやドワーフ、獣人族を見たことがない。

 

 俺には異世界転生したというよりも中世のヨーロッパにタイムスリップしたようにしか感じられない。

 

 まあ異世界なんてこんなこんなもんだと割り切りジャイアントトード10体の討伐を受けた。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

「なあ? めぐみん」

 

「なんですか?」

 

「カエル多くない?」

 

「もう春も中盤ですからね。活発にでもなるでしょう」

 

 それだけなら良いんだ。

 ただ、以前俺が弓で倒したカエルよりも一回り大きいような……

 

 俺が考えている間にもめぐみんは詠唱を終えていた。

 

「『エクスプロージョン』」

 

 カエルの群れに一筋の閃光が空高くから落とされた。

 カエルの群れは光に吸い込まれるようにして消えた。

 その直後、空気を震わせる轟音と共に揺れる。

 

 先程までは確かに存在したカエル共は綺麗さっぱり消え去り、代わりに黒い燃えカスが残っていた。

 辺りは肉の焼けた香ばしい匂いが漂っていた。

 

「やりました。今ので10匹やりました……すごく気持ち良かったです……ふぁ」

 

 最後の気力を振り絞って言ったのか、その後、力無く倒れた。

 

 納得はいかないがクエスト完了。

 

 とは行かず、さっきの衝撃と轟音で目を覚ましたのか、土の中からカエルが一匹出現した。

 

「なんでだよ!」

 

 そう叫んだ後、詠唱を開始する。

 

「『ライト・オブ・セイバー』」

 

 スカ、

 何も出ない。

 

 何故?

 美遊からの魔力供給が断絶されている。考えられるとしたら、離れ過ぎて魔力が俺まで届かない。

 

 嘘だろ!

 もしそうだったら、俺は完全に美遊に依存していることになる。

 でも、よくよく考えてみれば、美遊に依存して、甘やかされると考えれば天国か!

 美遊に束縛されて離れられない? もっと縛ってくれよ。目隠し追加でな!

 

 やばい、妄想しただけで鼻血が……

 どこかに今の妄想を夢に見させてくれる店とかやってないかな。

 

 そんなアホみたいなことを考えているうちに10メートルまで近付かれていた。

 

「近くからカエルが沸き出すなんて予想外です。私をおぶって帰りましょう」

 

「いや、折角だし戦う!」

 

 購入したばかりの新品の片手剣を鞘から引き抜き、カエルへと向かい駆け走る。

 

「うおおおおッ!」

 

 雄叫びを上げ、自身を奮い立たせる。

 

「へっ?」

 

 カエルは口を開き、舌を伸ばしてきた。

 舌は俺の胴体と腕を絡み付ける。

 まさかカエルの舌がここまで長いとは思っていなかった。

 

 カエルは舌をムチのようにしならせ、俺は宙に上げられる。

 カエルは舌を戻し、俺を捕食しようと口を大きく開き、俺が落ちてくるのを待っている。

 

 抵抗したくてもぬめった舌の拘束は解けない。

 

 俺はカエルにパクっとやられてしまった。

 

 カエルの体内はヌメヌメとし、粘液が身体中にへばり付く。

 中は生臭く、酸素も薄く意識が飛びそうになる。

 きっと俺の体に着いた粘液は消化液だろう。

 

 俺は手に持つ剣で天上を突き刺す。肉はプリンのように柔らかく剣はすんなりと入っていく。

 

 何度も何度も、剣を刺しているうちに、カエルは絶命したのか、口がぱかっと開いた。

 

 俺はカエルの中を這いつくばり、脱出した。

 

 俺はこの日、弓だけは手放さないと心に誓った。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 魔力不足で、動けなくなっためぐみんにドレインタッチで魔力をやろうと思ったら、『触らないでください』と拒絶されたので、めぐみんを草原に置き、大浴場へと向かう。

 

 

「お、おい。見ろよあれ……粘液まみれだぜ、きっと。あんなんにはなりたくねぇな」

 

「あいつ確か、あの上位悪魔を倒したやつだろ? いったいどんな奴と戦ったんだよ⁉︎」

 

「てことは竜か?」

 

「カエル……な訳ねぇもんな」

 

 すいません、カエルです。

 

「竜に食われて尚脱出するとは……」

「恐れ入ったな」

 

 大浴場へと向かう道中、敬意の眼差しで見てくる冒険者の目が辛い。

 俺はそれに耐え抜き、大浴場で身体中に着いた粘液を洗い落とした。

 

 まさか昼間から風呂に入るとは思わなかった。

 

 湯船に浸かり、くつろいでいた。

 その時ふと疑問が浮かぶ。

 

「着替えどうしよう」

 

 結局俺はヌメヌメの衣服を着ることになった。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

「……ただいま」

 

「おかえりなさ……お兄ちゃんどうしたのそれ!」

 

「……れた」

 

「えっ?」

 

「カエルに捕食された」

 

「ええっ! カズマさん食べられちゃったんですか⁉︎」

 吹っ飛ぶようにゆんゆんまでもが出てきた。

 机にはまだチェス盤が置かれていた。どうやらまだチェスをやっていたらしい。

 

 その後美遊に着替えを出してもらい、別部屋で着替えた。

 部屋に戻ってくると美遊は着替え、血相を変え玄関へと向かった。

 

 

「お、おい。どこに行くんだ!」

 

「お兄ちゃんを虐めるカエルなんて生かしておかない。駆逐する。一匹残らず!」

 

 どこかの主人公のような台詞を吐いて、吹っ飛ぶようにして出て行った。

 その数分後、入れ替わるようにしてめぐみんが帰宅した。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「……お、お兄ちゃん」

 

 美遊が出てから何時間経ったであろうか。

 美遊がようやく帰ってきてくれた。

 

 美遊の声は触れてしまえば、枯れてしまう花のように弱々しいものだった。

 

 玄関にはベトベトになったみゆの姿があった。

 

「しばらくはカエルには近づかない。いいな?」

 

「うん」

 

 俺は自分自身を戒めるように美遊に言いつける。

 

 カエルに辱められ。半泣きになった美遊を、新品の服が汚れることも関係なく。

 しっかりとその身を抱きしめた。

 

「着替えを持って大浴場に行こうな」

 

「うん」

 

 今日はまさか二回も風呂に入るとは思わなかった。

 

 

 

 翌日

 クエストを受け、達成してしまったせいで、(ギルド)に赴かなくてはならない。

 こんなことならクエストを受けず、適当に撃たせとけば良かったと今になって後悔する。

 後悔先に立たずとはよく言ったものだ。

 

 

 

「はい、では報酬の20万5千エリス……と言いたいところですが、お仲間さんの作ったクレーターの修繕費を引き抜いて、十万五千エリスになります」

 

 10万エリスがポンッと吹き飛んだ。

 この調子でめぐみんにポンポン撃たせては81回で財産が吹き飛ぶ。

 

「今度からは人通りのないところでやってくださいね」

 

「はい」

 

 あそこは商人が交易に使う道のため、クレーターを作れば作るほど罰金の額をあげますよと言われた。

 ただ、人畜無害なところならいいですよとも言っていた。

 

 くそッ!

 俺がやった訳じゃないのに!

 

「見つけたぞ! エミヤカズマ!」

 

 室内に馬鹿でかい声が轟いた。

 

「何? カツカギキョウヤ?」

 

「ミツルギだ!」

 

「で、何の用だよ?」

 

「それはだな……」

 

 

 

 

 もう一度勝負したいとのこと。

 

「あのときの戦いで僕ははっきりとわかった。僕は魔剣グラムに頼り切って、剣技など全く無い。剣を振り下ろすだけで敵は簡単に死んで行くんだ。それじゃ僕は魔王軍幹部クラスの手練れと相手にした時手も足も出ずにやられると思う。だから戦闘経験を積みたいんだ」

 

 要約すると相手をしてくれとのこと。

 

「いいけど俺は冒険者の上位互換スキルマスターだ。使えるスキルはなんだって使うぞ」

 

「ああ、そうでなきゃ意味がない」

 

 ギルドの裏の修練場へと向かった。

 

 武器を持ってないため、武器をレンタルしようとしたら。

 ギルドの人が『良いけど、壊さないでください。前の件のように』と言われてしまった。

 

 俺は片手剣と弓矢を。

 キョウヤはロングソードをレンタルした。

 

 そういえばキョウヤはグラムを持ってないな。

 家にでも置いてきたのか。

 

 

 

 互いに各々の武具を構える。

 彼我の距離は20メートル。

 

「『狙撃』」

 

 俺は速攻剣を投擲した。

 

「あぶッ!」

 

 初っ端から剣を投げてくることに驚いたのかキョウヤは大げさに横に避けた。

 

 剣は修練場の木製の壁に突き刺さる。

 

 キョウヤは素早く、もうこちらに接近しており、ロングソードの射程圏内に俺は入っていた。

 

 剣は俺目掛け振り下ろされる。

 

「『スティール』」

 

 キョウヤの手からロングソードは消え、キョウヤの攻撃は素振りに終わった。

 

 刃を縦にし、振り下ろす。

 

「グヘッ……」

 

 驚くことにキョウヤの頭は割れていなかった。

 ただ断末魔はとても情けない。

 

「じゃ、終わりな」

 

「まっ、待って。もう一回!」

 

「さっき一度って言ったよな?」

 

「頼む! お願い、お願いします!」

 

 その後幾度となく戦闘が繰り返された。

 

 ある時はクリエイトウォーターで口に水を押し込み、溺死寸前に。

 またある時は矢を額に集中して撃ち続けた。もし、キョウヤの額がダーツの的の100点なら俺は千点を得た事になる。

 

「まっ、まだだ!」

 

 額からは血が滲み出ており、口からは肺に溜まった水を吐き出しながらに言ってくる。

 

「ああ! もうしぶといな」

 

 美遊からの魔力供給が望めない今、上級魔法でズタボロにさせる事ができない。

 

「諦めないのが、僕の魔……」

 

「それ以上はアカン!!!(いろんな意味で)」

 

 地に伏したキョウヤの頭を踏み付け、黙らせる。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「ほら、落ち着いたか?」

 

 流石の俺も罪悪感を感じ、濡らしたタオルをキョウヤに渡す。

 

「ああ、そういえばカズマ。僕の魔剣を使ったようだけど……」

 

「悪かったな……」

 

「いや、そうじゃないんだ。あの魔剣は僕しか使えないんだ。他の人が使っても重いし、そこらへんの剣よりは多少切れるだけなんだ」

 

「……えっ⁉︎」

 

 つまりあの時重いからと捨てず、そのままたたかっていたら……

 考えただけで背中に悪寒が走り、顔からへんな汗がにじみ出る。

 

「そこで君にお願いしたいんだ。しばらくの間グラムを預かっていてくれ。もし持っていたら僕はまたあれに頼ってしまう。

 だから、君に勝てる時が来るまで預かっていてほしい。いや、ぶきだけじゃない。防具もだ。

 武器と防具は一番安い物からはじめるよ。文字通り一からだな」

 

 そうやって爽やかな笑顔で話しかけてくる。

 それを取り巻きの女どもに見せてやれよ。

 

 

 キョウヤの止まっている宿にて

 

「それじゃしばらく預かっていてくれ」

 

 よし、じゃあさっそく売りに……

 

「売るなよ」

 

「……えっ?」

 

「売るなよ」

 

「はい」

 

 こいつエスパーかよ

 

 気を取り直し、俺は真面目な顔をする。

 

「で、本当に()()()やり直すんだな?」

 

「ああ」

 

「本当だな?」

 

「ああ、そうだ」

 

「そうか」

 

 俺は肩にポンと手を乗せる。

 

「……ッ!! なんだこれ、体が……」

 

「ステータス見てごらん」

 

「レベルが1になってる。しかもステータス全て初期化された! あれ? でも……」

 

 その後取り巻きの二人もキョウヤが最初からやるなら私もと言うため望み通りレベル一にしてやった。

 

「ありがとうカズマ! こんなスキルまであるなんて!」

 

 スキル名の『不死王の手』を教えると大問題になりかねないので言わないでおく。

 

 

 

 

 

 俺はキョウヤから預かった武具を売り払いたい気持ちをグッと堪え、物置部屋へと放り込んだ。




はい、今回はこんな感じです。
カズマがカエルに食べられるのって他のこのすばのssにはあまりないと思うんですよね。
自分は見たことありません。

美遊に見下されるなんて最高じゃないか!
て人は居るはず。

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