プリズマ☆カズマ 雪下の誓い   作:こしあんA

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高校生活ってなかなか落ち着きませんね。
落ち着くまで投稿頻度はかなり下がると思います。
久しぶりなのでリハビリ回ですかね。

一応ノートに下書きした内容のストックはかなりあります。なので14ページのストックがあります。


8話 キャベツハンターカズマ

 街全体に警報が鳴り響いた。

 

『緊急クエスト! 緊急クエスト! 街の中に居る冒険者の各員は至急街の外に集まってください!』

 

 アナウンスは二回繰り返された。

 

「なんだ! モンスターでも攻めて来たのか!」

 

 俺は慌てて装備を整えながらにそう尋ねた。

 

「いいえ、多分キャベツの収穫でしょう。もうそろそろ収穫の時期なので」

 

 確かに野菜が動くのは知っている。だから既に絶命したものをいつも使っていた。

 だが、冒険者が集められるほど獰猛だとは聞いていない。

 

「もう寝てていいかな?」

 

「一個一万エリスですよ」

 

「よし行こう、今すぐだ!」

 

 

 

 

 この世界のキャベツは味が濃縮され、収穫時期に近づくと食べられまいと平原を越え、荒野を駆け、人知らぬ秘境の地にて朽ち果てて行くのだとか。

 

 

 

 空に浮かぶキャベツは編隊を組み、それが一つの大きな個体と見間違える。

 それはまるで渡り鳥の様だった。

 

 しかし、こんな空を飛び回っているものが果たして美味いのだろうか。酸化していて不味そうに思える。

 

「『スティール』」

 

 試しにあの集団の中から一つを手に取り寄せ、騙されたと思って齧り付く。

 シャキッと新鮮なキャベツを噛んだ時の特有の音が鳴る。

 

「ッ!! ……うますぎる!!」

 

 気が付けば、俺はキャベツ一玉丸々食べていた。

 

 キャベツは水々しく、まるで果実のように甘かった。

 日本のキャベツとは比べ物にならない!

 

 もっと食べたかったが、胃が拒絶したため、襲い来るキャベツを全てスティールで収穫し、籠に収めた。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 今日は珍しくギルドで夕食をとることにした。

 今出されている野菜炒めは今日収穫されたキャベツだ。

 街中ではあちこちで収穫されたキャベツがセリに出され、八百屋、飲食店が購入し、街中でキャベツ料理が振舞われる。

それを今食べているところなのだが。

 

 しかし、何故炒めただけのキャベツがこんなにも美味いのだろうか。

 

「そういえばめぐみん。お前爆裂魔法撃ったろ? あれは討伐じゃなく、捕獲だからな」

 

「べふにひひじゃなひでふか(別にいいじゃないですか)」

 

「美遊はどうだった?」

 

「んく……あまり捕まえられなかった。でも楽しかったよ。お兄ちゃんは?」

 

 話すために食べ物を飲み込む仕草は小動物のようで、とても可愛らしい。

 

「俺? 本当に上手いのかどうか確かめるため、一玉食べた。もっと食べたかったが、胃袋が拒絶したから仕方なく俺目掛けて突撃して来るやつだけ捕まえた。ゆんゆんは?」

 

「えっ、私ですか? 風魔法を上から発生させて落ちて来たキャベツを捕まえましたよ」

 

 こんな何気ない会話の時間が今はとても幸せだ。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 レベルが8に上がった。

 以前が5だったことに対し、かなりの成長だと思う。

 まさかキャベツを捕まえて、食べるだけでレベルが上がるとは思わなかった。

 

 皆にレベルを聞いたところ、

 ゆんゆんは7

 めぐみんは6

 美遊は4

 とのこと。

 

「つまり、この中で俺が一番強いってことだな」

 

 フンっと鼻息を立て、冒険者カードを見せびらかす。

 

「いえ、成長が早い人ほど弱く、しかも上級職でそこまで上がりやすいとなると、余程弱……」

 

 俺はこの世界の辛い現実を突きつけられ、しばらく立ち直れなかった。

 

「そういえば美遊はあの悪魔を倒したのに大してレベル変わってないな」

 

「弱ったところにとどめを刺しただけだからあまりレベルが上がらなかったんだと思う」

 

 ホッ、良かった。

 もし美遊が上位悪魔を倒してもあまりレベルが上がらないほど強かったら立ち直れないところだった。

 

 

 

 ☆

 

 

 美遊はパーティー内で一番低いことが嫌なのかレベル上げをしたいと言い出した。

『どうして?』

 と聞いたら

『早くお兄ちゃんに追いつきたいから』

 

 健気過ぎて涙をほろりと流してしまった。

 

 

 ギルドの人にプリーストがレベル上げに効率の良いクエストはないかと尋ねたところ『ゾンビメーカー』の討伐を勧められた。

 

 

 街はずれの共同墓地。

 以前美遊のレベル上げをした場所。

 そういえばしばらく来ていなかったな。

 

 当然の事ながらアンデットは夜にしか現れないため、深夜に共同墓地に居る。

 昔、深夜お墓に行くと『呪われる』とか『ナニか出る』とよく言っていたのが懐かしい。

 なにせ、この世界では本当に出るのだから。

 

「もう春も終盤なのに、やけに寒くないか?」

 

「うん、ゾンビメーカーなんて比にならないくらいの大物が出そう」

 

「……美遊、怖いからそれ以上はやめて」

 

 俺は暗い場所は嫌いだ。

 まだ他の人が居るなら全く怖くない。

 だが深夜、一人になると物音一つでがくつく。

 もしも一人暮らしをしたら一週間で孤独死すると自負できる。

 

「怖かったら私に抱きついてもいいんだよ?」

 

 ニヤニヤとしながら魅力的な提案をこちらに出してくる。

 恐るべし、魔性の妹。

 

「兄妹愛もそこまで行くと流石にヤバイと思いますよ」

 

 と、その時。

 敵感知に反応があった。

 

「待て、敵感知に反応があった。反応は十体。これは誤差の範囲に入るのか?」

 

 ゾンビメーカーの取り巻きは1から3体。

 はっきり言って誤差の範囲に納まらない。

 

「見て、あれ」

 

 ゆんゆんの指が指す方角を向くとそこには。

 妖しく、それでいて幻想的な青白い光が溢れてくる。

 

 その光の正体は大きな円形の魔法陣。

 魔術素人でもそれなりに大規模なものだと分かる。

 

「う、うそ。なんでこんなところにリッチーが……」

 

 明らかに初心者の街に居ていいはずのない大物の名が挙がる。

 だがあいつは俺達の存在に気が付いていない。

 

 俺は小声で話し出す。

 

「めぐみんはこの場で爆裂魔法の準備。ゆんゆんと美遊は途中までついて来てくれ。二人は自身の中で最も強力な魔法、浄化魔法を頼む」

 

 二人の手を握り、二人にも潜伏スキルを発動させる。

 

 5メートルまで近づいたところで、二人に待機命令を出し、俺は最接近する。

 

「今すぐその怪しい行動を止めろ。その魔法陣で何をする気だ? まさか死者の魂を弄ぶ気か?」

 

 リッチーは不死王とも呼ばれる存在。

 死者を配下にするなど造作も無いだろう。

 

「ち、違います! この魔法陣は未だ成仏できない迷える魂達を天に還してあげるためのものです。ほら、たくさんの魂が空に昇って行くでしょう!」

 

 確かに魂みたいなものが空に浮いている。

 

 あれ?

 

「えっと、リッチーのあなたがなんでそんなプリーストみたいなことをしているんですか?」

 

 どうしようアンデットが聖者に見える。

 

「あ、あれ? ウ、ウィズさん⁉︎」

 

「ゆんゆんさんじゃないですか!」

 

 どうやらこの人は街で魔道具店をしており、以前ホースト対策にウィズさんの店で購入したらしい。

 それがあのパラライズを強化する代わりに強力すぎて自分までもが痺れる魔道具。

 そして、どうしてこんなことをしているかと言うと、一応はアンデットの王だから困っているアンデットを見捨てておけず、除霊をしているのだとか。

 そんなのプリーストに任せておけばいいじゃないかと聞くと。

 

『ちょっと前まではあるプリーストがここで除霊をしてくれていたんですが、最近は見かけず……この街のプリーストは拝金主義者で、ここのお金のない人達の除霊は後回しにするんです』

 

 以前エリス教徒から話を聞いたがアンデットは浄化してやる!

 との教えがあるのだそうだが、完全に無視してるじゃん。

 無宗教のアークプリーストの妹が居るが。

 

 前に宗教の勧誘があった時は日本でよく使った必殺『仏教です』を使った。やはり異世界だろうが『仏教です』は最強だった。

 

 中世のヨーロッパは聖職者の汚職行為が有名だが、この世界も文明レベルが中世なので、聖職者の汚職は普通なのだろうか。

 

 

 その場の空気に流され、俺達はウィズの代わりに除霊をしなくてはいけなくなった。

 もし、俺達以外にもバレたら私生活が大変であろう。出来ればこんな良い人は平穏な生活を送ってほしい。

 

 

 

 ゾンビメーカーが原因と思われ、出されたクエストはゾンビメーカー自体存在していなかったため、失敗に終わった。

 

 このファンタジー世界と地球での伝承の怪物とは違うため、めぐみんとゆんゆんにリッチーがどれだけ凄いのかを聞いた。

 

 リッチーは高い魔法防御力と魔法攻撃力を持ち、魔法の掛かった武器以外の武器での攻撃は無効。

 触れられるだけであらゆる異常状態を引き起こし、相手の魔力、生命力を奪い取る。

 

 想像しただけで全身が震える。

 あの人が優しい人で良かった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「なあ、知ってるか? なんでも魔王軍の幹部の一人がこの街からちょっと離れた古い城を乗っ取ったらしいぜ」

 

 ギルド内でそんな噂が広まっていた。

 いったいなぜこんなところに来るのかが理解出来ない。

 暇なのだろうか。

 早く王都に攻めてチーターどもにやられろよ。

 

 そんな俺はというと

 

「だああああ、しゃあああっ!!!」

 

 野菜スティックに手を伸ばし、取ろうとした時。

 野菜は生意気にもヒョイっと避けやがった。

 

「『スティール』!」

 

 野菜ごときにスキルを使い、捕まえた。

 捕まえられても尚、抵抗を続ける野菜スティックを先からポリポリと噛み砕いていく。

 

 この世界の野菜は新鮮だと動く。

 そして美味い。

 そのため、日本に魚の活き造りがあるようにこの世界には野菜の活き造りが存在する。

 

 例のキャベツ狩りから早二週間。

 あの時収穫されたキャベツが全て売り出され、冒険者に報酬が払われた。

 

 パーティー内での稼いだ順位は

 

 一位 俺 300万

 二位 ゆんゆん 150万

 三位 美遊 10万

 四位 めぐみん ゼロ

 

 

 その合計を四で割り、一人115万エリスを得た。

 

 キャベツ狩りを三回行うだけでアーネス討伐時の報酬を超えるのだが。

 

 美遊はお金はいらないからお兄ちゃんが持っててと言うため、自己管理能力を養わせるため、お金を持たせた。

 財布と貯金箱を買わせ、自分で持ち歩く分と貯めておく分を自分で決めさせた。

 これでゆんゆんとかと一緒に、自由に買い物でもして欲しい。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「……ハア……ハア……。堪りません! 魔力溢れるマナタイト製の杖のこの色艶! ……ハア……ハア……」

 

 めぐみんは新調した杖を抱きかかえ、股で杖を挟み、スリスリし、頬ずりをしていた。

 

 マナタイトは魔力を肩代わりしてくれるだけでなく、杖に混ぜると魔法の威力を上げられるらしい。

 ちなみに今回の報酬を全額支払ったもよう。

 

「美遊、自己管理能力が無いとああなるからな。ちゃんと自己管理能力を養おう」

 

「うん、お兄ちゃんの言っていた意味が分かった。」

 

 ちなみに俺は

 

「ハア……ハア……人を魅了する魔力が秘められた特注の弓の色艶と来たら、堪らん! ハア……ハア……」

 

「……本当、お兄ちゃんが言っていた意味が深くわかるよ……」

 

 それにはマリアナ海溝よりもとても深い理由があるのだ。

 

 鍛冶屋のおっちゃんが良いものを手に入れたから来い!

 と呼ばれた。

 巨大な蜘蛛のから取れる、鋼のような強度を持つ糸を使って弓を作るらしい。

 今回は最高傑作になるだろうと言っていた為、予約しておいた。

 

 出来上がった弓はこの街ではまず出回ってない魔法の込められた武器。

 放つ矢の威力を上昇させる魔法が掛かっている。

 

 それは弓道部員の琴線に触れるのには十分過ぎる出来だった。

 折角なので前に買え、買え言われた金属製の矢も購入した。

 ついでに新品のゆがけもこうにゅうした。

 

 ゆがけとは指を弦から守るもの。

 弓道で使うものとは形が違うが。

 一応持ってはいるのだが、何故か買ってしまった。

 

 

 ということがあったのだ。

 

 それを説明したらゆんゆんに水溜りより浅いですよと言われた。

 これだから魔法使いは。

 遠距離攻撃が出来るのがどれだけ有難いかしらないのか。あの弦を絞る時の音、放った時の空を裂く音。

 矢が的のど真ん中に当たった時の快感。

 これを味わったらそうそう弓矢を手放せない。

 

「な、なあ。クエストに行かないか? それも雑魚がたくさんいるやつを」

 

「おやおやカズマ、前まではあれ程クエストに行きたがらなかったのにどんな風の吹き回しでしょうか?」

 

 めぐみんは俺が弓矢の試し撃ちをしたいのを見抜き、煽ってくる。

 

「じゃあやめに……」

 

「いえ、行きましょう」

 

 

 

「おいおい、なんだよこれ。全部高難易度のクエストじゃねぇか!」

 

 これでは雑魚相手に俺TUEEEが出来ないじゃないか。

 

「カズマカズマ、これにしましょう。森に棲みついたブラックファングの群れの討伐」

 

 どうやら本当に魔王軍幹部が付近に滞在しているらしく、レベルの低いモンスターは軒並み隠れてしまった。

 仕方なくレベル1のキョウヤを壁役に連れて行こうとしたが姿が見当たらない。

 ギルドの人から聞くと。

 

『レベル15になったので、隣街に行ってきます。って言って出て行ったんですけど、確かあの人レベル30はあったはず……』とのこと。

 

 レベル上げるの早!

 と思ったがあいつのレベルを下げてから数週間は経ったんだよな。

 

 しかも最初こそはジャイアントトードを狩ってはいたものの、ゴブリン、コボルドと難易度を少しずつ上げていき、初心者殺しを貧相なロングソードで倒したそうだ。その後は、魔王軍幹部の影響で残った高難易度のクエストを受け続け、日に日に傷を負いながらもその全てをクリアしたらしい。

 

 中でもフィルススパイダーとか言う森の奥に棲みついた巨大蜘蛛討伐の時はいつもより重症だったとか。

 その手に入った糸をギルドに売って、どこかの鍛冶屋が購入したらしい。

 

 

 そんなことはどうでもいいが、俺達は新調した武器の試し撃ちのため仕方なく二人でクエストを受けることにした。

 さすがに俺たちの都合にボードゲームに熱中している美遊とゆんゆんを連れて行くわけには行かない。

 

 

 森の奥地

 生い茂った木々は巨木と言えるほどにまで成長しており、光は木々に遮られ、森の中は薄気味悪い。

 森の中は起伏が激しく、遮蔽物が多い。

 

「見つかりませんね」

 

「だな」

 

「やはり森を一面焦土にした方が……」

 

「森の生態系を変えて、ギルドから多額の賠償金が請求されるんだぞ!」

 

 不意打ち防止のため、敵感知を発動し続けているが全く反応がない。

 

「なあ、めぐみん。一旦帰ろう。群れを成す動物は大抵狡猾だ。きっと帰ったフリをすれば、背後から襲い掛かって来るはずだ」

 

「成る程、一理ありますね」

 

 

 数分後

 森の出口付近にて。

 

「ハァ……ハァ……急げ! 走れ走れ!」

 

 予想どうり出て来た所までは良かった。良かったのだが、20頭以上も出て来るなんて聞いてない。

 地球の狼では比べ物にならない。

 獣共は伸びきるほどにまで舌を出し、涎をダバダバと垂らす。

 余程腹が減っていたのだろう。

 そういえば、弱き者。つまり捕食対象が全て魔法軍幹部のせいで隠れてしまったため、食べ物にありつけなかったのだろう。

 

 

 森の中、牽制に弓を放ったが、木々が遮蔽物となっており、1、2本しか命中しなかった。

 しかも、ケチって安物の木の矢を使った為、硬い皮に阻まれ、深くは刺さらなかった。

 クエストの説明にも、矢は全くと言っていいほど刺さらない。弾かれることをあった。と記載されていた。

 弓を新調した為、歯応えがあって良いだろうと思ったが、あまり弦を絞らなかったせいだろう。刺さらない。

 

「いいか、めぐみん。俺らは今追い詰められている。そう思い込ませるんだ。そうすれば易々と平原に誘導できる!」

 

 街からかなり離れているせいか、まだ街の姿は見えない。

 獣共はさらに速度を上げた。

 

「ま、まだですか……」

「まだだ、50メートル走を思い出せ!7、8秒もすれば終わる!」

 

 8秒経過

 森からは大分離れ、平原が広がる。

 距離にして10メートル。

 まだだ、まだ反撃の時ではない。

 

 5メートル

 俺達の肉を貪ろうと獣共は飛び掛かってくる。

 俺は後ろに手を出し、唱える。

 

「『パラライズ』」

 

 それは相手を一時的に麻痺させる魔法。

 範囲はそれなりに広く、制圧力に優れている。いるのだが、俺は魔法職の放つそれよりも、範囲は狭く射程距離も短い。

 前線にいた10頭は範囲内に入って、痺れたが、残りの10頭は未だ健在。

 しかし、危機を察した10頭は仲間を置き、我先にと森へと走っていく。だが、森まではかなり離れている。

 

 

 俺は180度回り、弓矢を構え、引いた弦から指を離す。

 

「『狙撃』」

 

 金属製の矢は、ビュンと唸り声を上げた。

 矢はブラックファングの硬い皮膚を易々と貫き、中を喰らい、あろうことか貫通した。

 

 矢は依然と運動エネルギーを保持し、真っ直ぐとさらに前方のブラックファングを突き刺す。

 

 二頭の獣は犬のような悲鳴を上げ、絶命した。

 再度矢を番え、矢を放ち続け、ブラックファングの群れ全ては平原に倒れていた。

 

 痺れ、動けなくなったブラックファングの首元を強化した剣の先で突き刺す。だが、刃先はブラックファングの硬い皮膚によって阻まれた。

 このとき、新調した弓の威力を改めて思い知らされた。

 仕方なく、全てのブラックファングの頭部に矢を撃ち、絶命させた。

 

 もちろん、矢は全て回収した。

 

 俺は新調した弓矢の火力を試せたのでホクホクとし、街へと向かっていた。

「むぅーーー、結局私だけ何も出来なかったじゃないですか。一人だけスッキリするのはどうかと思います」

 

 その言い方はやめろ。

 

「フンッ、いいです。もうあの森に撃ちます」

 

「ままま、まて! もう少し何もないところにしよう。生態系を変えるのはまずい」

 

「むぅーーー」

 

 

 

 ☆

 

 

 

「ではあれにしましょう」

 

 それは丘にポツンと捨てられたように佇む朽ちた古い城。

 

「ちょっと薄気味悪くないか? なにかに呪われそうだぞ」

 

「いいえ、限界です。撃ちます」

 

 俺の言葉を無視し、徐に詠唱し始めた。

 

「『エクスプロージョン』」

 

「『テレポート』」

 

 

 俺は何かに呪われる事を恐れ、そそくさと逃げた。

 

 




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