だけど、世界が変わっても彼は変われ無かった模様。
ネクストがない分弱体化しております。
『ミッションを説明します。』
『今回の依頼主はインテリオル。内容はアフリカ北部にあるマクリブ解放戦線の部隊襲撃です。』
『彼らはマクリブ解放戦線の工作隊、現在両勢力に対し妨害工作を続けています。』
『事前の工作で部隊は砂漠の中で孤立しています。その中での優先破壊対象はノーマルではなく、離脱するホバートラックです。逃さないでください。』
『なお、オーメルからパーツのテスト依頼も来ています。MP-O200散布型ミサイル。完成度は8割後半だそうです。今回の状況に適した装備と私達は判断しています。』
『インテリオルはあなたを高く評価しています。いい結果を期待します。』
俺はまだインテリオルの恐ろしさを知らなかった。
『ミッション開始。敵部隊を壊滅させてください。』
【システム、戦闘モード起動】
敵の横から襲撃するコースで侵入する。
もらったばかりのミサイルを起動。
マルチロックしたミサイルが同時に発射され、敵に襲いかかる。
「先にトラックを撃破っと」
部隊の先頭でノーマルに守られたトラック集団がいた。
トップアタック。
「このミサイル、便利だな。」
トラックの集団にミサイルの雨が降る。
一通り目標は壊した。
(…リニアライフル使わなくて良かった)
先日のフィルターの話を思い出す。
ライフルを使ってたら、ミサイルよりも高い確率で殺したところを拝むだろう。
いや、と否定する。
殺したんだ、見るべきだっただろう。
ゲームじゃないと理解するべきだっただろう。
そう思う自分もいる。
ACのようにモニターを挟むと現実味が薄れると実感した。
不都合なものが見えないとなおさらだろう。
だからシャルさんはフィルターを外した。
現実を直視して欲しかったんだ、きっと。
無感情な人殺しに慣れないように。
やる必要が無くなったとき、レイヴンを辞めたくなるように。
続けるなら、それが俺の選択だ。
グレネードが素通りして現実に引き戻される。
敵ノーマルはGA社製。
戦前、大量に輸出され世界で利用される機種だ。
ノーマルだからって油断するとグレードとバズーカで固め殺しされる。
弾幕の隙間を縫って接近、ライフルを連射しAPを削っていく。
膝をついたノーマルを量産。
一通り目につく敵勢力は倒した。
だが、敵側の義勇軍だから普通に後続部隊に結局殺られるのに変わりは無かったことに後で気付いた。
何故後になったかって?
追加依頼だ。
『インテリオルがマクリブ解放戦線の基地を見つけたそうです。依頼を受諾した場合、補給後、再出撃になります。』
受諾した。
マクリブ解放戦線の基地で俺はノーマルの相手をする話だった。
しかし。
【非公認ACパイロット、アマジーグ。ACハイレディンです。敵はショットガンを装備。近距離での戦闘は危険です。機動力を活かした戦闘スタイルと思われます。】
『オーダー⁉話が違います‼』
待ち受けていたのはオーダーだった。
『お前は……まあいい。他の奴は撤退した。諦めろ。』
『気をつけてください。彼はトップクラスのACパイロットです。最悪撤退しても批判はないでしょう。追加依頼分の報酬以外は貰えるはずです。』
相手は襲い掛かってきた。
応戦する。
またたく間になります接近されショットガンの間合いに。
(速い!)
ただ速い。
ショットガンをなんとかかすり傷を負いつつ回避するが、その先にハイレディン。
強烈な回し蹴り。
強化人間の特権である精密な機体制御で放たれたそれを回避できない。
蹴られて体勢の崩れた俺を掴んで壁に押さえつけられた。
『足掻くな。運命を受け入れろ』
「まだ若いんでね、そう言ってられるか!」
俺はEOを起動、ハイレディンは一旦後退する。
しかし、張り付いたハイレディンを離せない。
EOがなんとか攻撃できている状況。
(どうする。離脱も厳しい。)
そんなとき、アマジークに異変が生じる。
『グゥ…消えろ消えろ消えろ!』
中途半端な距離でショットガンを乱射。
その隙に一旦距離を離すことに成功した。
「一体どうしたんだ。奴は。」
『彼は不正規の強化手術を受けています。精神が定期的に不安定になるので、部隊運用が出来ないと聞きました。』
次にこんな幸運はきっとこない。
速いならどうする。
機体の違いからくる差をどう埋める。
右手のリニアを使う。
なら当てるのにどう動く。
やつは来た。
俺の左手に回り込むようにカーブを描くように。
俺の左手はブレードだ。
なら。
俺は右に少しだけ旋回、ブレード。
ショットガンの弾丸が後ろを通る。
そのままリニアをハイレディンに向ける。
タイミングを合わせ……
『食らうか』
すぐに撃つと読んだ彼はOBを起動。
だがな。
「それが狙いだよ!」
同時にリニアを発砲。
命中しコントロールが悪くなったハイレディンは倉庫に肩を掠らせOBが緊急停止する。
『チィッ!』
熱暴走によって彼のACが鈍くなる。
そこにEOとミサイルを同時に放った。
多くが命中し熱暴走が続く。
『貴様!』
「逃がすか!」
なけなしのエネルギーで物陰に移動しようとするハイレディンをリニアで吹き飛ばす。
『バランサーが!』
ハイレディンは着地できず転倒する。
そのまま奴にマウントポジションを取った。
ブレードを突きつける。
「全武装を解除しろ。コックピットを焼くぞ。」
アマジークは大人しくなった。
全武装をパージし、コックピットから出てくる。
「甘いな。お前は」
生身で語りかけてきた。
「ああ、甘いよ。俺はいきなり日常から引っ張り出されて戦場に来たんだ。」
俺は正直に答える。
「……縛られたレイヴンか。なら、お前はその力で、何を守る。」
「家族を、自分自身を守る。気高い志を持ってるわけじゃない。」
「企業にいいようにされてもいいという訳か。」
「だったら、俺かお前はもう死んでる。我を少しでも通せるようにしたつもりだ。」
俺は選んだ、この道を。
「俺はこの基地の脅威の排除しか依頼されてない。早く撤退しろ。」
まだ、徹しきれてないけども。
「……分かった」
マウントポジションを解く。
『いつかその甘さに後悔する日が来ないことを祈る。俺はそうだった。』
「俺も、いつかそうなるかもしれない。気をつける。」
彼は無武装のままOBで去って行った。
『…ミッション終了。帰還してください。』
「不満ですか?」
『いえ、私はあなたの判断を否定しません。』
「そうですか。」
「で、実際は?」
「…言いませんよ。」
自宅のバルコニーで、シャルは月見酒を楽しんでいた。
「おーい。元気にしてたか?」
突如声がする。
見ると屋根にぶら下がる少女が一人。
「全く。屋根からなんて何考えてるの。」
「いや、屋根に落とされたんだ、っと」
勢いをつけてバルコニーに入る。
「さて、仮の我が家にようこそ、4人目の首輪付きさん?」
「おおっと。その言い方はよしてくれ、なり損ねのラストレイヴン。」
「それは酷い言いようね。最後まで生き残ったわよ。」
「一人じゃないじゃんか。それは置いといて。」
首輪が揺れる。
「いい情報はないな。空振りだ。」
「そっちもか。こっちもいうほどの物はなかったよ。」
「そうか…」
シャルは用意してあった盃を渡す。
「お、ありがたい。」
しばらく静かになる。
「ところで、あいつはどうなんだ。」
「アキレス?やっぱり筋はあるわね。オールラウンダーだし。だけど
「協力者になってくれそうか。」
「彼、彼なりにきっちりレイヴンやってるから、彼に言ってみないと分からないわ。納得してくれればね。」
「なら、まだ様子見だな。」
時が来るまでね、と首輪付きと呼ばれた彼女は盃を呷った。
月は静かに、
精神汚染を受け入れても性能の上がり幅は小さいです。
が、実力はあります。
バランサーが壊れてマウントポジション取れなければ、アキレスが不味かったはず。
そう考えてます。
追記
書き直し忘れたところを発見、修正しました。