巻き込まれた少年は烏になった   作:桜エビ

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あなたは、裏側を見ることを選びましたね?



見たくない人の為に同時に最新話を投稿してます。


忘れられた者たち〜Those who survive to the illusion〜

俺は意を決して言った。

 

「これで目を背けて、何も知らないふりして。それで行った選択に俺は胸を張れません。好奇心も、恐怖心も大ありです。逃げないとは誓えません。けど、それよりも事実から目を背けたくないんです‼」

 

しん、と静まり返る。

俺は真っ直ぐunknownの目を見つめ返す。

 

 

unknownの右手が動いた。

 

「なら握手をしましょう。」

 

俺はそれに応じた。

右手を握り合う。

 

 

 

 

刹那。

 

 

 

 

一瞬で相手の握力が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(そんな事だろうと思ったよ‼)

 

 

 

 

俺はunknownをテーブルの反対側に背負い投した。

 

そして腰からナイフを抜き喉元に突きつける。

そして扉の方に行くため、ジリジリと彼女の正面から頭の上の方に回る。

 

また、静寂が場を支配した。

 

 

それを俺は壊した。

 

 

「…『今なら右手だけで済んだのに』とか言い出します?」

「いや、大丈夫。油断してはなかった上に、勝てないって理解してくれただけ合格よ。」

 

 

unknownは立ち上がりから俺はナイフを仕舞う。

まだ、警戒は解いてない。

 

「…流石にバーで何度も暴れたりする程、節操ない人じゃないつもりよ。」

「信じますよ、今度は。」

「まあ、化け物は疑うに越したことはないんだけどね。」

 

俺達は席に戻った。

 

「もう、無関係では居られなくなる。きっと私達がずっと付き纏うことになるわ。それでもいいの?」

「言いました。目は背けないと。」

 

unknownは俺の目をじっと見つめる。

そして納得したのか、椅子に座り直した。

 

 

「それじゃあ、私達の存在について幾らか言っといたほうが良さそうね。」

 

しばらく話し続けるつもりか、水を一口飲む。

 

「私達は誰にも知られていない村のような所からやって来た。」

 

「さっき見たと思うけれど、そこには今では存在すら笑われるような、かつて[妖怪]とか呼ばれたの者たちが、隠れて住まう場所だったの。無論、普通の人間も住んでるんだけど。」

「具体的にはどう言う?」

 

いきなり漫画みたいな話を切り出される

 

「シャルはもう二十歳を超えてるって話をしたけど、実際はそれどころじゃない年月を生きてるの。そして、片手で苦もなく木を叩き折って、ヘリなんかよりも速く空を飛ぶ。そんな人外が集まって、人の姿をして暮しているの。」

 

怖い。

普通の人間が身一つでいたら即死。

 

というか、俺はその中に居るのか。

身体が震えてきた。

 

「流石に手加減は出来るわよ。簡単に死なれたら困るわ。」

「そこまで怖がらなくても…」

 

これにはシャルさんも苦笑い。

 

…じゃあ、信じますよ?

 

 

そしてシャルさんが続けた。

 

「そういう訳で私達には国籍が存在しない。レイヴンなのは身元確認が要らない、実力があればよかったから。」

 

「きっと、何もなければレイヴンになることも、君に会うことも無かった。」

 

一つ一つ言葉を選ぶように語るシャルさん。

 

「だけど、40年前、事件が起きた。他の世界から逃げてきた人たちが、私達の住む所に堕ちてきたのよ。」

「他の世界から?どういう意味ですか。」

 

あまり聞かない言い回しに困惑してしまった。

ミストレスさんが補足する。

 

「君はこの宇宙は11次元空間で、私達がいるのは11次元から見たら膜みたいな存在なのは知ってるかしら?」

「話だけは。それがどうしたんです?」

「その膜は一つだけじゃないってことよ。物理法則が違う物は数しれず、同じ物でも数えるには一生掛かるレベルなの。」

 

ちょっと分かったような分からないような。

というか、この人胡散臭い。

 

「そして、私達より科学技術の進んだ世界から、彼らは来た。空間操作、跳躍技術を持っていたから。」

「SFじみてますね。」

 

シャルさんがその後をまた引き継いだ。

 

「そうだね。でも、それ以外は今じゃほとんど追いつかれちゃった。だけど、その落着時、村の中で我が物顔している私達を許せない人間達との間に紛争が起こったの。」

 

シャルさんの顔は晴れない。

 

「それを私達との間を取り持ってくれていた一人の人間が、持ち込まれた技術をもって、全てを犠牲にする覚悟で紛争を止めた。結果、偶発的にその子が世界の外に弾き出されてしまった。」

 

「その子呼びはいいわよ。本人がここに居るんだから。」

「飛ばされたんですか⁉あなたが!」

「大変だったのよ。もとの世界に帰るの。」

 

すっごい気だるそうなunknownさん。

どれだけのものだったんだろうか。

 

「そんな訳で友人だった私達は、技術を借り他の世界を捜索する事にした。でも、これがすべての始まりだったのかも。」

 

「様様な世界を手分けして探したんだけど、何故かみんなACが存在する荒廃した世界に辿り着いた。」

 

シャルさんも、グラスに口を付ける。

とんでもない事ばかりが飛び出す。

 

「そんな世界だったから、unknownを探しながら、生き残るために私達は戦いに明け暮れた。結果、unknownは見つかり、帰ることが出来た。」

 

「そして、時は流れ30年前、今まであまり出ることの無かった村の外に出始め、気づいた。かつて見た他の世界の出来事が起こり始めていたと。」

「どういう意味ですか?」

「つまり、かつて訪れた世界の一つが私達の並行世界、つまりそっくりさん世界の未来だった、と言うこと。」

 

あまりに突飛な話だ。

 

「でも、違った。確かに同じ名前を持つ人達はいた。けど、それだけの世界だった。」

「かつて訪れた世界と違うところがあった。と言うことですね。」

「ええ、私達はMTの出現からさっきの考えに至ったけど、そこから既に違ってた。開発したのでは無く、渡された技術を自分の物にしたの。」

 

つまり、今の兵器は齎されたんだ。

 

 

「私達は身内も含め徹底的に調べ直した。だけど技術を流したものはこちらには誰もいなかった。そして一つの答えに辿り着いた。」

 

 

「それは、世界を渡れる何者かがこの世界に介入しているって事ですか?」

 

「正解。しかも2つの勢力がこの世界に手を出しているの。片方、[厄災]は状況をもとより悪化させてるようにしか思えない動きね。」

 

「そして、今、管理戦争に介入している方の勢力、[乱入者]の話をしてたの。」

 

この世界の動きそのものが、誰かに仕組まれている。

そんなことが出来る勢力とシャルさんは戦っていた。

 

「でも私達が取れる手段は少ない。」

「人外の力を持ちながらですか。」

 

てっきりAC相手に素手で勝てるレベルかと思ってた。

 

「私達がその村に篭もらなきゃいけなくなったのは排斥されただけじゃないの。」

 

「昔の怪物はね、人々が理解出来ないという恐れから生じ、それを糧としていたの。その系譜に私も連なっている。」

 

「でも、時は流れ科学が進歩し、それが減るにつれ、私達は力を失っていった。」

 

「私達は、一つの村の文化レベルを固定して、そこを孤立させ、私達に対する恐れを持ってもらう人々を囲い込んでなんとか存在を保ったの。それでも弱体化してる。…あんまり聞いていて気持ちの良い話じゃないだろうけど。」

 

確かに、非人道的だ。けどメインは其処じゃない。

 

「ということは、その外側だとあなた達は力を発揮できないんですね。」

「ええ、今の私はただの人間の腕力しかない、というより一部を除いてほぼ真人間よ。だから対抗するためにレイヴンになり、そいつを追っている。ここに集まっているのは、かつて他の世界を旅した人達よ。みんな腕利き。」

 

周りを見回すとみんな、どうだ、とドヤ顔だ。

 

「……って事は、ランクが60代な俺は場違いってことですね。なんか…すいません。」

 

ついしょげてしまう。

 

「しょげるこたぁねえって。だろうみんな。」

 

ナインブレイカーと呼ばれた男が軽く笑い飛ばす。

正直ありがたい。

 

そこで、もともと何を聞いていたのかを思い出す。

 

 

「一ついいですか。」

「なに?」

「確かに、このままでは戦争は悪化の一途を辿るでしょう。ですが、今まであなた達が見つかってないところを見ると、どうしてもこの戦争はあなた達にとって対岸の火事しか思えないんです。何故このままでの介入を?」

 

何故介入するのか、その話だった。

渋い顔をするシャルさん。

でも俺はこれを知らないと、正しい選択をしたと思えないのだ。

 

「今まで以上に利己的な話よ。私達が生き残る為、ただそれだけよ。」

 

 

「私達は恐れの密度を高めるため、その感情を内外からシャットアウト出来る環境を作った。副作用として生物は行き来出来なくなったの。」

「それでは余計に…」

 

関係なくなるのでは、と言いかけた俺の言葉をシャルさんが遮る。

 

「でも、無生物は通しちゃう。閉鎖環境は長く保たないことが研究で分かっているから、そういう仕組みにしてる。もし世界が荒廃すれば少なからず影響は受けるの。いちいち引っ越すのも現実的じゃない。」

 

無生物を通す。それが問題なのか。

 

「私達の知る限り、訪れた世界は汚染物質が充満したり、無人機によって大打撃を受けたりしている。もしそれが現実になったら、恐らく巻き込まれる。」

 

「関係ない人のせいで滅ぶなんてまっぴら御免よ。方針としては、外の世界で大虐殺が起ころうと影響なければ言われた通り対岸の火事よ。」

 

…恐ろしい。これが人外の価値観。

かなり利己的な思想にビビる。

 

「まあ、少しずつ変わり始めてるから安心して。…でも思わぬ収穫よ。」

「何がですか?」

「あなたの恐れ。身体に水が染み込んでいく気分。」

 

ああ、恐れが糧と言ってましたね。

 

「さて、化け物達の弁解は終わった。どうするの?」

 

シャルさんが早速人外の雰囲気を出して来た。

 

「今のことを漏らさないと誓えるなら、このまま親交を持ってもらう。まあ、宇佐美氏と同じ協力者かな?忘れて今までの関係に戻るならそれもできる。私達の村に幽閉することも、ここで命を落とすこともできる。」

 

いや、怖いですって。

でも。

 

「口割らなきゃ、普通にこのままでいられるんですね。」

「もっと脅迫されると思った?正直なところ人手不足でね。」

「人手不足?」

 

人員を追加できない理由でもあるのかな?

 

「さっき言った通り、技術に関係する人以外は文化レベルが明治初期に毛が生えた程度なの。それを連れてきて、ボロ連発する訳にいかないからね。」

「それで他の世界に行った、この文化レベルに慣れてる人しか来れないんですね。」

 

なるほど、そりゃ足りないわ。

 

 

「それにね。その環境はこっちとあっちの常識の違いを利用して構成されてるから、あまり知られ過ぎるとその環境が崩壊して滅亡。だから不用意に知られたくないの。協力者も絞りたい。」

「無意味に覗いたら……。」

「神隠しよ。言葉通り。』

 

おっそろし。

 

「まあ、後何人かこっち側が居るんだけどね。いま別件で来れなかったの。」

「例えば?」

「私が他世界探査した時の連れが二人が南アメリカにね。武装勢力の不正規レイヴンとして情報収集してくれてるの。」

 

戦友さんですか。

 

 

「ああ、そう言えば忘れてた。ダークスレイヤーあるでしょ。」

「え?あの実体剣ですか。」

 

まさかあれも繋がりがあるのかな。

 

「あれ、うちがこの世界でまだ勝ってる兵器用のナノマシン技術を使って作られてるの。…いや〜どうしても使ってほしいって技術者が聞かなくて。」

「なんか嬉しいですね。認めて貰えて。」

「実際そうだよ。天狗にならない程度には誇っていいかな。」

 

そこで気付く。

あの剣についてた[FGW]という名義はもしかして。

 

「この勢力に、名前って有るんですか?」

「一応、あんまりバラしたくない時は【ForGotten.Who】。[忘れられた者達]で通してる。ちなみに、生き残りを賭けた今の作戦コードは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【東方Project】。そう言ってるわ。」

 

 




クロス先発表。

苦情は荒らしにならないなら受けます。


なお、原作タグの変更を予定しておりますので、ご注意下さい。
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