なんで!
なんで邪魔をするの!
人の為に、未来のためにやってるつもりなのに。
間違ってるの?ねえ。
ねえ、誰か教えてよ。
誰か答えてよ!ねえ!
『宇佐見だ。少々事情があって、直に依頼をすることになった。』
『国連軍施設に未確認機が侵入。それが暴れまわり、そこが壊滅した。』
『問題はその後。そこはそいつによって要塞化したとの報告が入った。』
『これが難攻不落で既に両軍に無視できない被害が発生している。』
『大半が既に攻略を諦め監視に入ったが、我々にはどうしても見過ごせない点がある。』
『未確認機はナインブレイカーがかつて交戦した規格外機と類似点が多く、既に何者かは割れている。』
『恐らく[厄災]か[乱入者]の物だ。【FGW】としてオーバーテクノロジーの流出を見過ごすわけにはいかない。』
『そこで、ナインブレイカーど協働しこれを破壊してくれ。』
『不思議な事に難攻不落なのは外壁だけで、内側は奴以外の攻撃手段が無い。GAが攻略の名目で外壁の対空砲等を攻撃し引きつける、その間に上空から侵入し目標の破壊にかかってくれ。』
『万全を期す為にシャルマメイヤーをバックアップに入れる。あくまでバックアップだ。』
『我々の命運は君にかかっている。頼む。』
『あと、ダークスレイヤーのアップデートがそっちにある。二脚限定だが、マニピュレータモードのモーションが完成したからな。』
オーバーテクノロジー搭載の規格外兵器との戦闘。
初めてのタイプのミッションに緊張する。
「ナインブレイカーさん。」
「ナインで良いって、アキレス。」
「分かりました。ナインさん。奴の特徴って何ですか?」
アセンの方向性のため敵の事を知りたい。
恐らく同タイプだっただろう機体と交戦した彼に尋ねた。
「あいつか。ただ、速い。一瞬で見失っちまうぐらいにな。それと火力が高い。ブレードとその光波には絶対に当たるな!って言ったところか。」
「火力と機動力の両立ですか。オーバーテクノロジーって凄いんですね。」
大雑把ながら、手強そうな敵なのはわかる。
「だが弱点はモロさ。いろんな武器を内側に突っ込んだせいで頑丈さが無い。速さに追いつけて攻撃を当てられれば確実に勝てる!!」
「は、はい。」
何か妙な自信があるな、この人。
一度堕としてるから当たり前か。
「よろしくお願いします。」
「おお!任せろ!」
輸送機の中、機体を起動する。
【メインシステム。通常モード】
今回はぎりぎりまで通常モード降下する。
発見されて迎撃されるのを防ぐためだ。
下に戦火が見える。
そろそろだ。
『降下開始!本機はこのまま上空で待機する。』
浮遊感が体を支配する。
雲が上に流れていき、高度計の数字がどんどん小さくなる。
【LOCK ON】
画面に浮かび上がる文字。
それは敵意がこちらを向いてる事を示していた。
『戦闘モード起動!来るぞ!』
ミサイルが横を通り過ぎる。
俺も戦闘モード起動。
回避に専念した。
近づくにつれ、だんだんと精度を増していく。
「コンニャロ!」
ナインさんがカラサワMK-2を下に向けて幾らか放った。
相手が回避に回ったのか一時的に砲撃が止む。
そして、その隙に侵入に成功した。
『不味い。奴だ。』
「何かあったんですか。」
敵を一目見た瞬間、ナインさんが苦虫を噛み潰したような顔をする。
『シャル、マズイ。…セラフライザーだ。』
『ライザー…コジマ転用機⁉援護用意するか耐えて!』
「ライザーって何ですか、一体。」
かなり不味そうな空気になっている。
『俺が会ったやつを、さらに別のオーバーテクノロジーで強化した機体だ。ぶっちゃけヤベェ。逃げ回れ!機動性が比較にならねェ!』
ゆらり、ゆらりとこちらに向かう機影が一つ。
赤と黒の機体。
背中に大きなバインダーを背負い、頭から一本のスタビライザーが突き出ている。
そこにノイズがかった通信がつながる。
とても寂しそうな。
『私はいらないんですか?必要ないんですか?人から必要とされてないんですか?私はどうすればいいんですか?』
「…耳を貸すな。奴のバグだ。」
『何故台無しにしまうんですか?どうして抗ってしまうんですか?私は手を差し伸べただけなのに、どうして…』
『どうしてどうしてどうしてどうしてどうして殺してどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして止めてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてェェ!』
奴の姿が一瞬にして大きくなる。
正確には、距離を詰められたんだが。
振り上げられた奴の右手に光が灯る。
俺は咄嗟にダークスレイヤーを構えた。
そこに振り降ろされる右手のレーザーブレードの磁気反発器と、同じ機能を兼ねたナノマシン制御磁気がぶつかりスパークを発生させる。
磁気反発システムが機能した。
数百メートル飛ばされて建物にぶつかる。
「ガアアァァッ!!」
『アキレス!クソっ!』
彼のカラサワmk-2から蒼い光が放たれるが、当たらない。
その速さでナインさんを翻弄する。
なんとかまともに視界にはいった、とトリガーを引いたが、その瞬間視界から消えた。
そして、気付けば真左にいた。
『な、ゴワっ!』
そして、赤い機体は彼のACを蹴り飛ばす。
さらに、オービットによるオールレンジ攻撃をしてきた。
俺らは動き続けて避けるしかなかった。
圧倒的性能差に初動を持って行かれた。
性能差はテクニックや発想で埋めるしかない。
デカイのを当てれば。
つまりナインさんのカラサワMk-2やムーンライト、俺のダークスレイヤーのどれかがクリーンヒットすれば一気に形勢は逆転するはずだ。
無論目標はそれではなく撃墜だが。
どうすればいい。
必死に攻撃を避けながら考える。
地形。
奴のホームだ。
装備。
どれも癖のないものばかり、工夫が必要。
今はそれを考えてる。
機体特性。
装甲以外勝てない。
その装甲もまず攻撃が当たらない。
パイロット。
多分AI。
なら想定を超えれば機能低下するはずだ。
何をする?
この状況下、何が奴にとって想定外な事なんだ?
考えても考えてもいい案が出ない。
どう戦う?
頭の中がぐるぐる回る。
奴に勝つにはどうすればいい。
どうすれば。
『おい!!!もっと動け!鈍いと的だぞ!』
思考から引っ張り出された。
そして、視界の中に赤い機影が映ったとき、咄嗟にトリガーを引く。
撃ち出された高速の飛翔体が、奴の右肩を掠めた。
(当たった?)
驚きしか無かった。
今まで当たらなかったのに、どうして。
『あまり考え詰めるなよ。こういうのは地力勝負だ。弱けりゃ負ける。それだけ。』
今のはきっと無意識で、非論理的だったからだ。
マグレ。
そう考えたとき、彼がそう言ってくれた。
気付けばオービットは無くなっていた。
彼が撃ち落としたのか。
実力勝負、強い者が残る。
そういう思考の中に、〈自分は奴より上だ〉という意思を感じる。
奴を超えればいい。
そう彼が言っている。
それが何故か俺に火をつけた。
奴を睨む。
その瞬間、消えた。
(右!!)
左手のダークスレイヤーをマニピュレータ保持に切り替える。
そして振り返る動きと同時にダークスレイヤーを振り上げた。
振り返った所に奴が現れる
袈裟斬り。
結果は防がれた。
レーザーブレードで受け止められて。
だが。
『「ようやく足を止めたなぁ!セラフッ!』」
横からナインさんがカラサワMk-2を放った。
奴は直ぐに後退し、俺とセラフの間を蒼い光が遮る。
セラフはそれが切れるか切れないかのところで右手から光波を放った。
俺は少し横に飛んで躱す。
そして、リニアで返した。
命中はしなかったが、だんだんと手応えが強くなってくる。
『それでいい!アキレス!』
そこから旋回戦になる。
いくらかチェーンガンを掠めたが、戦えている。
不意をついてナインさんがレーザーを撃つ。
セラフは左に例の機動をし、攻撃は難無く回避された。
その時見えた。
噴射炎はバインダーだ。
しかも、さっきより遅い。
それでも捉えきれず見失う。
レーダーが後ろに敵がいることを告げる。
それなら、と俺は真上に飛んだ。
足元をパルスが過ぎ去り、向こうで建物を焦がしたのが見えた。
そして振り返ると奴は変形したのか、戦闘機じみた姿でこちらに猛スピードで向かってくる。
(相手よりも速く!)
手前で変形しブレードを起動して迫るセラフ。
俺はOBを起動し、ダークスレイヤーを逆手に持った。
(斬る!)
セラフがブレードを振る前に通り過ぎる。
そして
左肩とバインダーが火を吹いた。
「これであの動きは…ナインさん!」
『おうよ!』
セラフはなんとか体制を立て直していた。
だが減速が間に合わなかったか、大きな音を立てる。
そのセラフの右からナインさんは迫る。
月光に光が灯る。
狙いはバインダー。
だが、その機動を生むのもバインダー。
右バインダーのスラスターが噴射され、一瞬で距離を離される。
だが、彼は織り込み済みだった。
背中に光が集まり噴射。
セラフの懐へと、一気に離された距離を詰めた。
右肩とバインダーを斬り裂く。
「『これで!!!」』
ナインさんは振り返りカラサワMk-2を、俺はリニアを同時に放った。
セラフは
ACは簡単に
二人は更に大きくなった爆発に吹き飛ばされる。
「なんだ!?何が。」
急いで立ち上がる二人。
そしてその爆炎の中、何かが持ち上がるのが見えた。
アキレスに向かってチェーンガンが、ナインにはパルスがそれぞれに放たれた。