受験勉強とその後の反動であまり筆が進まず、こんな遅くなってしまいました。
落ち着いたので、チマチマとですが再開しようと思います。
【ミッションを説明する。】
【今回の依頼主は表向きはGA。大本はFGWになる。】
【残念ながら、今回は[乱入者]がらみだ。こちらも出せる手は出しているんだが…。】
【…依頼の話戻らせてもらう。今回、無人機の出どころが分かった。】
【あくまで一か所に過ぎないんだろうが、それでも手掛かりの一つにはなる。】
【場所は東南アジアの密林地帯の真ん中。奴さん、森の地下に基地を隠して熱を誤魔化していやがった。】
【ミッションプランだが、上は木に覆われていて、そんでもって基地は地下だ。よって侵入には陸路を使う。出入り口の一つが掴めたんでな。】
【目的は敵勢力の排除とメインの動力炉を停止、もしくは破壊。ただ、やつに迫る足掛かりだ。壊しすぎないくれよ。】
【特にシステムのメインフレームが入ってる端末にダメージは入れないでほしい。最悪、作戦が徒労に終わる。】
【内容が内容だ、FGWの誰かを僚機に雇うことを強く勧めさせてもらう。未確認兵器への慣れがある奴らだ、上手く立ち回れよ。】
【こんなところか。】
【もしかしたら、これで証拠が見つかってこの戦争が落ち着くかもしれん。悪い話ではないと思う。いい返事を待ってるぜ。】
ようやく[乱入者]へ繋がる物に手が届いたのか。
この戦争が終われば、紫蘭を探すのも楽になるだろう。
なら、参加しない理由は無い。
受諾のボタンを押した。
◇
『ミッション開始。敵要塞に侵入し、無力化してください。』
『マクロバースト了解。』
『ケイローン了解。』
東南アジアの熱い熱気がACを熱する。
今回シャルさんはミッション用の中量二脚、マクロバーストを使用している。
手分けすることも想定したため、お互いに単独での対応力が要求されたためだ。
地味に初めての協働でもあるため楽しみだ。
因みに今日は四脚だ。
マシにショットガン、肩にリニア。
『基地入り口付近、熱源なし。そのまま扉の制御盤を破壊、侵入してください。』
扉をこじ開ける。
敵はいない。
暫く通路を進むが相も変わらず敵影はない。
『その扉の向こうは二つの部屋が繋がっている構造です。』
『先行する。アキレスは後方を警戒して。』
扉はロックされていなかった。
シャルさんはブーストで飛び込んだ。
俺も続いて振り返りつつシャルさんと背中合わせになる。
「ここにもいない……。」
『襲撃がばれていたの?』
そのまま、シャルさんは次の部屋への扉にアクセスした。
次の瞬間。
上から、俺とシャルさんの間に黒い影が割り込む。
そしてロックされていなかったのか、既に開いていた隣の部屋への入り口へシャルさんを蹴り飛ばした。
『うわっ!』
「シャルさっ…粉くそっ!!」
振り返り際に黒いACが放ったレーザーライフルを姿勢を低くして躱した。
急いで後退して距離を取る。
敵ACは中量二脚。
武装はさっきのレーザーライフルにグレネードとブレード、それにコアのEOか。
様子見をしていたら、距離を置いた俺にグレネードで砲撃してきた。
俺はそれを横にブーストして回避しつつ、リニアキャノンでサテライト。
それなりに広い部屋なので壁を気にしていれば突っかからないだろう。
扉の前まで回り込む。
『ゲートチェック、解除できません』
ついでに通信も遮断されている。
(こんなところにいるACなんて、まともな性能してないよな…どうせ。)
性能で負けているのなら技量で勝つしかない。
再度リニアを敵に構え、前進。
黒いACは、距離を詰めつつリニアを撃ち続ける俺にレーザーライフルで応じる。
リニアは脚を地につけていなければ撃てない。
故に被弾がかさむ。
ここで執着するのは意味はない。
左肩をレーザーが掠めたあたりでマシンガンに切り替え引き金を絞る。
吐き出された鉛玉のいくつかが黒いACを撃ち据える。
ENに余裕がないので小刻みに跳ねてレーザーを躱しつつマシンガンの有効射程を維持した。
だが相手も左右に機体を切り替えして被弾を減らす。
とは言え単調で、分かりやすい動き。
しかもあれからレーザーライフルしか使ってこない。
手数を増やすため動きが鈍ったところでショットガンを撃ち放った。
途端に火力に違いが出る。
大きくなるAPの差を埋めようとしたのか。
EOを起動しつつこちらに接近してくる。
「分かりやすいな。機械だな…まあ、当然か。」
予想通りに来たブレードを左ずれて避け、そのがら空きになった脇腹に両手の火器を押し付ける。
「吹き飛べ。」
大量の銃声と金属の砕ける音が響く。
◇
扉が開く。
『そっちは無事だった?』
「ええ、何とか。」
どうやらシャルさんにも似たようなACが襲いかかったようだ。
だが、無残なまでに斬り裂かれている。
三つほど遠くから見てもレーザーブレードで付いたとわかる大きな傷がある。
圧勝だったようだ。
『先を急ごう。時間をかけてもいい事はない。』
「そ、そうですね。行きましょう。」
心なしかシャルさんが苛立っているような気がした。
その部屋の先からはレーザー砲台がちまちまこちらを攻撃してくる。
それを気まぐれに潰しつつ先に進む。
『その先にコンピュータールームと思わしき部屋があります。アクセスして下さい。』
シャルさんがACを降りてコンピュータールームに入った。
俺はその部屋の前に陣取る。
『データは取れました。副電源があればコンピューターのメインフレームは維持できるようなので主電源を停止、もしくは破壊してください。』
『了解、ACに再搭乗するから監視をお願い。』
シャルさんがACに乗り終わる。
「いくら何でも無防備過ぎませんか。さっきなんて撃破の絶好の機会だったのに。」
『ワザとな可能性が高いかしら。情報も偽物かもしれないわね。』
◇
彼の行動パターンからすると、この情報を見せれば高い確率でここに来るはず。
例外を嫌う彼ならこの機を逃さない手はない。
彼が直接手を下すことはないだろうけど、不確定要素の戦力を同時に潰すチャンスだ。
私は、仮の体に電源を入れる
◇
うざったい機銃や砲塔や警備ボットが歓迎してくれる一幕もあったが、主電源へとたどり着いた。
「…電源止めたらボカン、とかありませんよね?」
『流石にそれはなかなかないと思う』
主電源がうなりを上げて停止する。
照明が弱く、橙に滲むものに変わる。
だが、終わりではなかった。
『基地の無力化を確認……いえ、待ってください。所属不明のACが基地に接近中。脱出する際に警戒を怠らないでください。』
「こんなところに来る時点であまりいい予感しないけどな。」
『制圧は後続に任せて急いでコンタクトするよ。』
討ち漏らした機銃などは沈黙していたため、ただ駆け抜けるだけだ。
外に出ると東南アジアの激しい日射、ではなくスコールが出迎えていた。
雨で白く濁る視界。
だがレーダーはその機影を捉えて…
「来たぁ!?」
700メートル程離れていた敵機が一瞬で肉薄し、真っ正面にウサギのようなヘッドパーツが現れる。
既にブレードが発光している。
敵だと判断し、ショットガンを撃ちこんだが
「消えた…じゃなくて真横に飛んだのか。クソ、また規格外機かよ!」
視界から消え去り、レーダーの敵表示は左にまた数百メートル離れたところにあった。
この動きは、セラフやアレサで見たものに近い。
「サイラスフォースか!?」
ローゼンタールのコジマ試験機の話は聞いていた。
ネクストの機動をするオーダーAC。
目の前の機体の動きはまさにそれだ。
機体のカラーリングが深い紫と黒だということを除けば。
『でもあれは蒼いACだったはず。』
シャルさんが呟いた疑問の答えを、オペレーターが教えてくれた。
『敵の所属が割れました。アナトリア所属、AZ‐04。ローゼンタールからAMS試験機として譲渡されていたACです。』
その通信が終わるか終わらないかのところで、視界にとらえていた紫の影が消えた。
そして、右からアサルトライフルの弾丸が襲い来る。
敵から距離を離しつつそちらを向こうと右旋回。
真っ正面にとらえたところでリニアを放つが、あの機動で避けられ、反撃のマイクロミサイルが放たれ、俺の機体を掠めた。
シャルさんがブレードで切りかかるが、いなされたのちに蹴り飛ばされる。
『っ……!やっぱりネクスト相手は荷が重い!』
そして敵の背中に光が集まったと思うと、一瞬で頭上を通り過ぎていく。
振り返る間もなくライフル弾がケイローンに突き刺さる。
(旋回性能も、速度も、機動も、反応も勝てないッ)
ついて行けていた筈の規格外の機動に全くついて行けない。
そこで思い知る。
セラフは全力でなかった。
アレサは有利な条件で戦えていた。
これが規格外機の性能。
これが本来の力。
視界不良は悪い。
こちらは消耗している
密林の中、出入口は川に面していたため開けている。
圧倒的な力を持つ相手のホームグラウンドでの戦い。
勝てる理由が見つからない。
そんな事が頭を掠めたとき、シャルさんのマイクロミサイルが敵に命中。
吹き飛ばされ動きの鈍った敵を正面に捉えた。
マシンガンをもつ右腕を上げる。
が、一瞬でクロスレンジに入った敵の月光で腕ごと斬り飛ばされ、虚しく宙を舞った。
その時、俺を襲ったのは恐怖や焦燥感ではなく、デジャヴだった。
動きに何か、表現のしがたい既視感を覚える。
自然と体が動く。
その返す刃を俺は四つの脚を広げ、頭を下げて回避できた。
隙のできたそいつにショットガンを向けトリガー。
ばら撒かれた弾丸を奴は
機体を右によじり躱してその勢いで180度旋回、四脚の後ろ脚で蹴り。
それは敵の、人で言うところの鳩尾に入り吹き飛ぶ。
敵に振り返りつつショットガンを投げつけ、格納されていたブレードに持ち変える。
そしてリニアで投げつけたショットガンを撃ち抜いた。
爆炎が両者の視界を遮る。
「やっぱり。」
言葉が漏れる。
後ろの上空、敵はブレードを空高く掲げまっすぐこちらを目指す。
気づいていた俺は、四脚の旋回性能を強引に利用して、また振り向きざまにブレードを振り抜く。
激しいスパークが散り、鍔迫り合いとなる。
ライフルを向けられたので、僅差で勝っていた安定性を利用して無理やり吹き飛ばす。
敵と睨みあう。
このデジャヴ。
もとい、直感を信じたくなくなったのはこの時が初めてだった。
あいつとはチャンバラごっこなんて遊びをした事はない。
無論、暴力に訴えるケンカなんてしたこともない。
しいてそれらしいことと言えばゲームで少し遊んだくらいだ。
だから、こんなやり取りで分かるはずはないし、証拠にもならない。
なのに、なんでこんな確信めいた発想をしたのか、全くわからなかった。
「お前は…」
その瞬間、両者の足元が爆ぜた。
俺は、前脚二つを根こそぎ奪われ、APも0にされてしまった。
規格外機相手に無茶したせいで、負荷に耐え切れずそこら中から黒煙が上がっていた。
あいつは直前に例の機動を行い回避したようだ。
『こちらストレイド。救援に来た。お前らは撤退しろ。』
俺の真上で、ACらしき機体が浮遊していた。
ローゼンタールの意匠をもつ、黒と白の機体。
どうやらストレイドさんが、あいつを攻撃したらしい。
なら、俺を攻撃したのは…
正面に向き直ると、あいつの後ろに黒い機影が見えた。
よく見ると、あいつの居たところにはクレーターが二つある。
第三勢力の介入か。
『倉庫から無理やり引っ張り出してきたオーパーツだ。性能は問題ない。まかせろ。』
『マクロバースト了解。アキレス、私に掴まって!』
牽引されながら俺はその戦いを見ていた
分かったのは、紫のあいつは追撃を躱し去って行ったこと。
『じゃあ、お前が相手か。』
そして一騎打ちになった二つの影がより激しく争ったことぐらいだ。
◇
へえ、ネクストを出してくるとは、やはり余裕がないのかな。
確かにネクストに対抗できるのは次世代規格機だけではあるけど。
制約付きでも本気を出されるのは厄介だな。
僕の出した手が悪手だったかな?
さて、あの二人には最高の舞台を用意した方がよさそうだ。
あれ?
こんな趣味僕にあったっけか?
まあいいや。
すべて滅茶苦茶になるなら。