巻き込まれた少年は烏になった   作:桜エビ

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誰がための

『作戦を説明する。』

 

『今回の作戦目標はインテリオルのネクスト、クリティークとそのリンクス、シェリングの撃破だ。』

 

『こいつとそいつが抱えるノーマル部隊が、こちらの海洋拠点を占拠。そのおかげで前線に戦力を割けない。ゆえに排除を依頼する。』

 

『今回は紫蘭とお前の二人に出てもらう。お前たち二人でもこの任務は達成可能とこちらは判断した。』

 

『【乱入者】の足さえ掴めばこの戦争は終わる。それまでの辛抱だ。』

 

『いい返事を、そして成功の吉報を待っている。』

 

 

 

 

 

 

「いいの、練。昔協働したレイヴンなんでしょ?」

 

どうにか復活した紫蘭のブレティアからの声。

酷く落ち込んでいて、暫く戦線復帰は無理かと思っていた彼女はここにいる。

 

女というものは、こうも強いものなのか。

 

練はかなり的外れなことを考えつつその言葉を返す。

 

「問題ない。レイヴン同士、そこらへん手を抜く方が失礼だ。ユーリックさんとの戦いを見れば分かるだろう。」

 

リンクスになったユーリックさんは現在アナトリアの守護神としてアナトリアに寄る賊や企業を蹴散らしているらしい。

そのきっかけとなったエキシビションマッチ。人生の転機となった、と笑顔で伝えられたらこちらも悪い気はしない。

なら、彼の選択を見守るのが、師匠代わりだった彼へのせめてもの恩返しだ。

 

ヘリが海上施設に近づき、始まりが目の前になる。

相手は、腕利きのレイヴンだったシェリングと彼の率いるハイエンド部隊。

数は明らかに相手が上。

 

なら、質でそぎ落とすまで。

 

『降下、開始してください。』

 

「アキレス了解。ミッション開始、敵ネクストとその部隊を排除する。」

 

[メインシステム、セカンドフェイズ・コンバット。戦闘を開始します。]

 

「紫蘭同じく。戦闘を開始する。」

 

紫蘭のネクストは前回鹵獲した、という扱いで手に入れたサラのアリーヤとなり、アサルトライフル、マシンガン、そこにOGOTOを積んだジュリープスに近いアセンブルとなる。

違いはフレアでなく連動ミサイル、そして開いた左肩にGAの小型ミサイルを搭載している点だ。

 

機体が重く、明らかにアリーヤに合わないアセンのように見えるが。

 

「ノーマルをフルロック。落とす。」

 

ミサイルは強襲用の撃ちきりだ。ノーマルに殺到するミサイルは容赦なくその装甲を食い破り破壊した。

その隙に俺は一気に基地に迫る。

海上ということで俺はフロートに換装していた愛機を滑らせ、レーザーブレードを一閃。

その一撃で脚部が半壊し、水中に没する。

 

コアは破損していない上に、水深も決して深くないここならばまぁ助かるだろう。

助けさえくれば。

 

下らない思考と意識を切り替え、別のノーマルにマイクロミサイルを撃ち込む。

紫蘭のミサイルによる爆撃で敵の数は半数を下回り、彼らは軍事上の壊滅に追い込まれた。

 

「そろそろネクストかハイエンドが来そうだが…」

 

今回、フロートという積載量=総火力の低い機体で臨んでいるため、出来る限り短期決戦にしたいアキレス。

その思いが口から洩れる。

 

『ネクスト反応、施設から。…確認、クリティークです。ブレティアは撃破に向かってください。』

 

淡々とした報告。

 

だがその声は、次の瞬間焦燥に変わる。

 

『…アキレス!!クリティークがそちらへ向かっています!!退避を!』

 

だが、その警告は遅かった。いや、ネクストの速度からすれば無意味な抵抗だったというべきか。

 

施設の方角を向いたチェインド。その眼前に右腕のハイレーザーライフルを突き付けるクリティーク。

既に右手のHLR01-CANOPUSの銃口から、彼を焼かんとする力の余剰が輝いてた。

 

「倒せる奴から倒す。基本だ。」

 

轟音とともに、ネクストが腕に装備出来る中でトップクラスのレーザーが放たれた。

 

「ほう、そう来るか。」

 

目の前のオーダーは彼のハイレーザーライフルを間一髪で躱し、通り過ぎざまにPAの内側からマシンガンを直接叩き込んで離脱していった。

 

APが一気に2000ほど削られ、シェリングの顔が驚愕に染まる。

回避だけではなく攻撃、離脱まで流れるように行う姿はベテランのそれだ。

 

情報によるとリミッター解除のようなことを行うというが、未だにその様子は見えない。

全身から白煙をばらまき、QBに近い動きをするというそれを彼は警戒していた。

 

(性能、腕、共に油断出来ん。その上…!!)

 

クリティークが右にQBした。

その直後、上空から撃ち下ろされたグレネード弾がクリティークが直前までいた海面を叩き、爆発する。

 

紫蘭のブレティアが放ったグレネードだ。

外したことを確認し、海面へと下りた彼女は一気に距離を詰める。

クリティークは一直線に迫る紫蘭のその正面に左手のレーザーを放つが、ロック警告に気づいた彼女は右QBで回避。

 

「素人でも、これくらいは!!」

 

即座に放たれるハイレーザーライフルを右旋回ドリフトターンすることで向きを変え、正面QBで凌ぐ。

ブレティアを捉えなかったレーザーはその後ろにあった鉄骨を破壊した。

 

「囮とわかる!!」

 

二段QBをすることもできたが、それに任せた戦いに胡坐をかいていたくないというのが彼女の考えだ。

再度左にドリフトターンしてクリティークを視界に捉えなおす。

その直後、クリティークがASミサイルが上方に放った。簡易的な垂直ミサイルとなったそれを回避するが、それを見計らったかのようにレーザーの弾幕が張られる。

その一発がブレティアを掠めた。PAが減少しAPも僅かながら持っていかれたが、接近を止めない。

 

「懐に入ればこっちのもの。」

 

「させんよ。」

 

背後を取ろうと中距離からサテライトしつつ接近の隙を伺う。

その距離は一番危険であることは彼女も把握していたが、現状接近する以外に有効打が出せない。

そしてシェリングもその思考を見破れないわけがないのだ。

右手のレーザーを一射したのち、距離を放そうと後ろにQB。それに追いつこうしたか、ブレティアはOBを起動する。

 

(悪いが決めさせてもらうぞ)

 

しかし、クリティークの引きは一種のフェイク。

敢えて相手を近づけて、自らも接近。二人の相対速度で反応できないであろう状態のカノープスを至近距離で放つ作戦。

至近距離のカノープスを喰らえば、ネクストとて致命傷だ。

撃墜できなくとも、挽回の難しいディスアドバンテージを与えることはできる。

 

そこで焦りを誘えば、流れは完全に彼のものだ。

 

 

ブレティアのOBが発動し、一瞬で亜音速に到達する。

それに対するクリティークも引き付けたのちに正面にQBした。

 

距離が縮まり交錯しようとするその刹那、彼は気づく。それと同時に彼は血の気が引いた。

ブレティアの右肩の大型砲塔は既に展開され、クリティークのほうを向いている。

 

(読まれていた?!)

 

紫蘭もまた至近距離でグレネードを当てる為に動いていた。OBで接近を焦るように見せかけ、実際は彼女も一撃離脱を狙っている。

シェリングは急いで右QB、グレネード弾がクリティークのスレスレを通っていった。

ニ機はすれ違い、QTで振り向く。

 

直撃すればタダでは済まなかっただろう。と彼は思う。

確かに攻撃のチャンスも失われた。だが、たとえ攻撃したとて、実弾に弱いこの機体では受けるダメージは彼の方が大きい。 

 

(あのネクスト、侮っていたか…)

 

その後悔とともに放たれた一射は僅かな機体制動により躱される。

だがその時、機体が僅かにぐらついたのを彼は見逃さなかった。

即座に放たれるカノープス、そのまま連続して放たれるASミサイルが紫蘭のブレティアに襲い掛かる。

 

姿勢制御から生まれた隙、それのカバーを二段QBで無理矢理補うが後続のASミサイルに対処できず被弾。

OBによって減少したPAが更に削れ、貫通したミサイルの破片が装甲を穿つ。

 

「やっぱり、強い…!!」

 

その一言とともに再度距離を詰めるために前進する。

QBを繰り返しクリティークとの間に生まれた距離という盾の内側へと迫った。

だが、シェリングも黙っているわけがない。ASミサイルを放った後後退し、レーザーライフルをブレティアの正面へ叩き込んだ。

QBの間隙めがけて放たれたそれを、QBで回避することはできない。

ASミサイルをアサルトライフルで迎撃した後、レーザーライフルは敢えてブースターを切って僅かに水中に沈むことで回避した。

 

そこから、アサルトライフルとマシンガンの弾幕を展開。PAを弾丸が叩き、少しづつ、だが確実にPAを削っていく。

 

「堅実、ゆえに物足りんな。」

 

有効射程外から放たれた攻撃は、PA越しには何の脅威も感じられない。

マシンガンに至っては大半の弾丸が逸れてしまっている。

 

そこで、彼は引き撃ちを選択し、両手のレーザーを交互に撃ち放ちつつ後ろへ定期に後ろに下がる。

だが、機体のスピード的にはいずれ追いつかれる。

だからこそ、蛇行するように移動することで簡単には追いつかれないようにした。常に中距離が保たれ、アリーヤの爆発力が生かせない戦いが続いた。

 

しかし、途中でシェリングに疑問が生まれる。

 

いくら何でも追いつけないのはおかしい。

素の機体速度を考えると、ここまでくる間に一回は追いつかれ接近戦に持ち込まれているはずだ。

腕の差、と言い切るのは簡単だが、歴戦のレイヴンであるシェリングは油断しない。

 

(罠の類か。格納に何か隠し持っているか…それとも何かを待っている…!!)

 

ハッとしてレーダーを見やる。

敵を示す光点が一つ、味方を示す光点が三つ。それのいずれもがこちらに向かっていた。

 

それが意味することは一つ。

 

「深追いするな!!誘い込まれてるぞ!!」

 

その瞬間、未だにパージしていなかったブレティアのミサイルがハイエンド三機に殺到した。

 

 

数分前

 

「囲んで叩く。新入り、遅れるなよ。」

 

「りょ、了解!」

 

ネスタは自らACを引っ張り出しての出撃であった。レイヴン時代のシェリングの友人であり、今回のミッションでは小隊長としてシェリングから依頼をされてここにいる。

 

正面から接近するオーダーAC、チェインド。彼自身のランクは41である上、アキレスには一度敗北している身だ。

でも任務は任務であり、過去の勝敗など関係なく依頼を達成すればいいだけだ。過程など関係ない。

 

オーダー1、ハイエンド2機で当たるのはオーダー1機。

戦力比からすれば絶望的な状況だが、ランクと戦績からすればこれでも心配である。

 

 

 

 

機体を改造したとはいえ実質オーダー1機でネクスト1機を作戦続行不能に追いやった化け物。

 

 

 

改造はネクストと当たらない限り使用しないハイリスクハイリターンの機能らしいのは分かっているが、それでもやり手だというのはアリーナで彼自身が体験したことである。

だからこそ、入ったばっかりの新入りの初陣がこの戦闘に投入されることに同情していた。

自分だってトップランカー相手に初陣なんてやったら、レイヴンになる前にあの世にいく幽霊になっていいただろう。

 

とれる手段は手数で圧倒し押し潰す。

 

 

視認と同時にマイクロミサイルを放ち、機体のOBを起動。

ミサイルを追いかけるように接近し、両手に構えたマシンガンを同時に撃ちはなった。

アキレスはそれを左右に無限ブーストし弾丸を散らすことで被害を最小限にすると、マイクロミサイルを撃ち返し直進。被弾をものともせず擦れ違いざまにブレードで切り裂いた。

 

 

「ぐっ!!…だが、これで!!」

 

その一撃はマイクロミサイルをそぎ落とし、盛大な爆発でネスタを吹き飛ばした。

前衛のネスタを抜いた彼は後衛として控えていた二機に迫る。

だが、罠であった。

 

二人は左右に後退しつつ散開、結果的に三角形の包囲陣が完成した。

 

「各員、弾幕を切らすな!!」

 

両手のマシンガンを、そしてマイクロミサイルを交互にそれぞれが撃ち放ち三方位から責め立てる。

これがネスタが考えたアキレス殺しである。

新入りは経験が薄いながら機体制御はそれなりに出来、フォーメーションを組みつつ攻撃する程度には才能があった。

そして三角形ならフレンドリーファイアの心配も少ない。

 

最低限のテクニックで、ランカーを相手取るには現状最高の作戦である。

実際、彼は回避行動をメインに移り攻撃が散発的になっていた。

 

効いている、あの化け物相手に。

 

その事実は小隊全体に興奮をもたらした。

だからといって抜け駆けする奴もいない。この状態だから押せているのであって、間違ってもネクストとタメを張れる奴にタイマンを挑む馬鹿をすることはなかった。

力量差は全員が承知していたための作戦、壊すものなどいるはずがいるわけがない。

 

アキレスは三角形の部隊の中で踊り続けた。

必死に檻を脱する手段を探すように機体を振り回し、そのたびに包囲網が彼を逃がさんとばかりに移動する。

ようやく新入りに活路を見出したのか、攻撃の矛先は彼に向かう。

 

彼らにとっては想定済みの事態だ。

 

背後に回っていたネスタが敢えて両手のマシンガンを同時に放ち若干前進。

被弾がかさんで、アキレスの意識が回避に向かう。その瞬間新入りが接近してマイクロミサイルを叩き込む。

 

攻勢に出るリスクを体感すれば、嫌でも防戦に意識が向かうはずだ。

そして、トップランカーを削り落とす。

 

 

 

「そっちに誘い込む。乱戦覚悟、ってことで。」

 

『要求するレベルが高いよ…』

 

「できるだろ、お前なら。」

 

 

「センパイ!!」

 

「ち!すまんシェリング!!」

 

 

しかし、罠である。

アキレスは、この包囲網の作戦に気づいた時点で彼は次の手を仕込んでいた。

 

内側から破れないなら、外からこじ開けてもらう。

 

アキレスは、紫蘭にミサイルのパージを待ってもらい三機を紫蘭の近くまで誘い込む。

そこを紫蘭がミサイルで撃墜するという作戦だ。

直前でシェリングに気づかれ、ミサイルを撃ち落とされたため二機も生き残ってしまった。

逆に言えば、一機撃墜されたということでもある。

包囲網が崩れ、アキレスは脱出。紫蘭はレーザーライフルのリロードタイムを縫って接近した。

紫蘭の手から弾数の減ったアサルトライフルが手放され、右手には新たにレーザーブレードが握られている。

 

「たとえEN防御が高くても!!」

 

擦れ違う刹那に放たれる一閃。それは容赦なくクリティークの装甲を熱し、PAに致命的な欠損をもたらす。

 

「舐めるな!!ぁ!!」

 

QTでブレティアの無防備な背中を捉えようとした、その瞬間に彼は再び激しい衝撃を受けた。

QTの後OGOTOを放った、にしては早すぎる。

彼は体勢を立て直し、視界を正面に向け、驚愕。

 

正面には白煙を上げ始めたチェインドがいたのだ。

つまり、シェリングを左手のブレードで切り裂いたということになる。

実際ダメージは正面から受けており、彼の一撃であったことは疑いようのない事実だ。

ただ、二人は[正面から格闘攻撃を、お互いに当てないように擦れ違った]ということになる。

 

最近になってペアを組んだ仲と思えない動きにシェリングから微笑が漏れた。

そうしているうちに、ブレティアからOGOTOの強烈な一撃が放たれネスタがぎりぎりで躱す。

それと同時にマシンガンを放ち、ブレードで再度切り裂こうと迫るアキレス。

マシンガンが僅かに残ったPAを剥ぎ取り、直に弾丸が装甲を穿った。

既にAPは1万5千を切り、機体各所から悲鳴のようなエラーメッセージが脳内に送られてくる。

 

「ただでやれるつもりはない!!」

 

ブレードを振りかぶったアキレスに向かいQB、擦れ違ったのちにドリフトターンで後ろを取った。

そのままブレードを空振りがら空きになった背中に、シェリングは容赦なくカノープスを撃ち放つ。

オーダーなら一撃が致命傷になりうるそのレーザーは、わずかに逸れてチェインドのマシンガンに命中。

 

たった少しの誤差、しかしそれで撃墜できなかったことが一番の痛手であった。

 

「紫蘭!!」

 

「行くよ!!」

 

そこで起きたことはこの現象を見ていた者だけでなく、その後戦術を語る者にとってすら知られることとなる。

 

二人はお互いに右手を掴み一回半を回転、ブレティアが途中でQBを吹かしたことにより両者QB並の速度で紫蘭はシェリングに、アキレスはネスタに襲い掛かった。

シェリングはその突飛さに、ネスタはそもそも機体性能的に対処できるはずもなく大きな隙を見せていた。

 

「これで!!!」

 

「トドメ!!!」

 

クリティークのコアに至近距離のOGOTOが突き刺さり大きな爆発が機体を包む。

ネスタは正面からの斬撃で切り伏せられた。

 

 

「負けた、か。」

 

水中に沈みゆく愛機の中で彼はつぶやいた。

彼らの連携は、初の実戦とは思えないほど見事で、意表を突かれた。

ネクストの加速力と軽量化の施されていないオーダーの重量を使い、両者ともにQBと同等の速度を与えるなど普通は思いつない。

 

作戦負けだ

 

「ネスタ…生きてるなら返事してくれ。」

 

「…お互いに悪運は強いようだな。まぁ、死に時が遠のいただけの気もするが。」

 

ノイズ混じりではあったが、彼の声が聞こえる。

お互いの生存に安堵の息が出た。

 

「まあ、窒息死させるほどの外道ではないと思いたいな。」

 

シェリングの声にネスタは返事をしない

 

「どうした?怖くなったのか?」

 

「いや、あの新入り。どうなったか、気がかりでな。」

 

「まあ、たとえ最悪の結果に終わっても。」

 

 

 

お前のせいではないさ

 

 

 

コアに突き刺した左腕を、ゆっくりと引き抜いた。

 

「よかったの?声の感じからして私たちとそんな変わらない年の声だったけど。」

 

「俺がすべてを守れるほど強いと思うか?」

 

紫蘭のほうに振り向き言葉を返す。

 

最後の一機は、自らの不利を顧みずことなく戦闘を続行。アキレスは一人で相手をし、施設に叩きつけてコックピットをブレードで焼いた。

 

「いや。まあ、助けられる人を助けるだけ。届かない手に手を伸ばすこともないか。」

 

「そういうことだ。帰還しようか。」

 

「うん。」

 

二人は宙に舞い上がり、ヘリへと向かう。

戦場になじんだ二人を、暖かな夕日が照らしていた。

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