巻き込まれた少年は烏になった   作:桜エビ

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真相は明かされず、終幕だけが近づく。


結末への秒読み

【さてと、一応直に言う予定ではあるが、予習、復習資料としてこのブリーフィング映像を作らせてもらった。ストレイドだ。】

 

【今回の任務は、中枢への突入。及び敵無人兵器の制御体の無力化だ。】

 

【この作戦はGAとレイレナードの終戦交渉と同時に行う。場合によっては作戦途中で戦闘の必要がなくなるかもしれない。】

 

【話が変わり、【乱入者】の居場所と正体だが、完全に見落としていたことが分かった。】

 

【私たちがいるこの足下。そこに存在する地下空間に隣接したエリアに、かつて管理していた都市ごと転移した超大型コンピューター。それのメインAIが【乱入者】の正体だ】

 

【そしてそのAIの製造理由から、奴の目的も見当がついた。人類の存続のために戦っていたのは確かだ。】

 

【どのような手段で、どのように人類の存続をなすつもりなのかはまだまとまっていない。だが、手を取れるはずの存在にこのような作戦行動をするには理由がある。】

 

【その存続を願うものの中に、私達は入っていないように思える。これから行うのは私達の生存を訴える抗議だ。】

 

【そんな作戦に無理矢理参加させるつもりはない。受ける受けないはお前たちで決めてくれ。】

 

【もしここでお前が参加せず、私達が負けて姿を消したとしよう。それでも日常に回帰したお前たちには何の影響もない筈だ。】

 

【既にお前たちを縛る鎖は砕いた。この交渉でお前たちの企業からの干渉は無くなることだけは確実になったからな。】

 

【最後に、いままで私達の依頼を受けてくれたこと。感謝する。以上だ】

 

端末の明かりに照らされた練の顔は、穏やかではなかった。

すっかり家同然になったセーフハウスの、練の部屋。

月と星の輝き、端末の画面がこの部屋を照らす全てだ。

 

既に直接ブリーフィングを受けた後にも関わらず、彼はこのブリーフィングメールを何度も繰り返し見ていた。

 

目を伏せ、今まで世話になったFGWの面々を思い出す。

いつも助けてくれた人がいる。

既に会うことすらできなくなった人もいる。

その人たちのためにも、この依頼は受けるべきだと彼は考えていた。

 

だが、彼は即答しなかった。

自分が失ったはずの【日常】に帰れるという想像のせいで、戦場に出向く心が削がれつつあるのだ。

 

(今の俺は明らかに実力不足だ。ここまで来て死ねないのに。)

 

戦場に立つ楽しさとFGWへの義理が結末を迎えたい心とぶつかり、決断を鈍らせる。

 

時計は午前1時を示していた。

開けられた窓から肌寒い風を運び込み、月の色に染まったカーテンを躍らせる。

 

眠れない彼は、ゆっくりとベッドから身を起こし窓に向かっていった。

かつてシャルたちが酒盛りなどで過ごしていたベランダがそこにある。

その椅子にシャルやストレイド、Unknownらの姿を幻視した練は、ため息をついて手すりに手をかけて月を見る。

 

「まだ起きてたんだ。」

 

テーブルの向こう側から声がかけられる。

紫蘭だ。

彼女も同じようにこのセーフハウスの部屋で過ごすようになっていた。

 

 

今日はこの二人を除いて誰もいない。

ガレージに行けば控えの整備員がいるのだが、ガレージに寝室があるためこの家には寝泊まりしないのだ。

 

シャルは下準備のため本拠地に戻っているし、他の面々も最終決戦同然の作戦を前に忙しい。

結果、この家にいるのは二人だけ。

 

「やっぱり悩んでるんだ。次の作戦を受けること。」

 

「ああ、無意味なら死に行くことはないって思えてさ。」

 

「…この前の撃墜が効いてるの?」

 

俯き、彼は眉間に皺を寄せる。

 

「自分はいつだって下克上を成し遂げられるほど強くはないんだ。これまで足掻いて何とかしてきたが、それもそろそろ限界なんだなって。」

 

その肩に、紫蘭の手が触れる。

 

「じゃあ、最後に見て見ぬふりするの?」

 

「…そうしたくないって思うことが答えなんだろうけど、な。」

 

練の表情は少し緩み、肩の力が抜けた。

今度は空を仰いで呟く。

 

「この心のしこりはなんだろうな。この思いに嘘はないって思えるのに。」

 

都会の明かりから少し離れ、かつ東京の明かりが消えた星空は、今まで見たそれより遥かに美しかった。

その星空を二人で眺めつつ、今度は紫蘭が口を開いた。

 

「もしかしたらさ。」

 

「ん?」

 

空から紫蘭へと目を移した練。

星空を見上げている紫蘭の横顔が、少しきれいだと彼は頭の片隅で思考した。

その次の言葉を逃すことができなかったから。

 

「練は次のステージに進むための扉を目の前にして、少し怖くなってるんじゃないかな。」

 

練は目を見開いた。

 

__次が、怖い…?

 

「あ、一応言っておくけど私も怖いよ。ようやく手に入れた居場所が急になくなるかもしれない、幸せを取りこぼすかもしれないって。」

 

どうにか気を取り直した練は、息を吐いた後にもう一度空を見上げる。

前は東京の明かりがあったが、それ抜きでもここから見る星空は奇麗だった。

この星空の下で、彼は一年近くを過ごしたのだ。

 

「そうか…一度滅茶苦茶に変わって手に入れたものだから、もう一度変わるのが怖いのか。」

 

「言っといてあれだけど、次の作戦に参加しなくてもこの生活は終わっちゃうよ。」

 

「分かってる。だからああいう言い方をしたんだろ。自らの手で終わらせるのが怖い。自分で終わりを告げるのを嫌がってたんだ(人任せのヴァーディクトデイだったんだ)。」

 

今度は、紫蘭が練の顔を見つめる。

微笑みながら彼女は、彼に声をかける。

 

「私は練についていく。無責任って思うかもしれないけど、練とばらばらになるのがいやっていうのが私の意思。」

 

「いや、それがお前の意思だって言うなら文句はないさ。…さてと、俺は俺の意思を貫くことにする。」

 

練は紫蘭の瞳を見つめた。

その瞳には、今まで見たことが無いほどの覇気がある。

 

「今回は俺に付き合ってもらうぞ。」

 

()()()、じゃないかな」

 

一拍おいて二人とも笑いがこぼれた。

両者の笑いが落ち着いたのち、話は続く

 

「でさ、最後の機体どうするの?」

 

「…ああ。あの話か。」

 

 

 

数時間前に、出かける前のシャルと練との話だ。

 

 

 

『練はさ、本当は中距離戦が得意なはずなんんだよ。』

 

『そうですか?実感はないですが…。』

 

『それ以前の話、アキレスは射撃の腕はかなりあるはずなんだよ。紫蘭の手に持ったリボルバーだけを撃ったり、付け焼刃のスナイパーキャノンを扱って見せたり。』

 

アキレスは首を傾げた。

普段の戦いのせいで、彼にとって左手の武装はブレードと決まっていたからだ。

 

『多分、私達の戦い方を真似たせいで接近戦闘に偏っちゃったんだと思う。でも、戦いっていうのは相手の有利な距離より遠くから攻撃する方が本来強い筈なの。』

 

『でも、ACの近接戦がなくならないのは、その威力で戦局をひっくり返せるから、ですね。』

 

『そう。だけど、わざわざ格上の相手にリスクを取る戦い方をする必要はないでしょ__』

 

 

 

 

練はその言葉を反芻した。

今までのブレードは余りにも大きすぎる力の差を埋める方法が必要だったから。

 

「流石にダブルトリガーにはするさ。あいつ相手に格闘戦はリスクがデカい。」

 

「まあ、そっちの方が私はありがたいな。無理矢理敵に向かっていく練を見るのはハラハラするし。」

 

おやすみ、と言葉を残してそれぞれの寝室へと戻っていく。

 

 

(惚れ直し、か)

 

ベッドの中で、二人は同じことを考えながら眠りについた。

 

 

 

一週間という時が流れ、作戦開始の時を迎えた。

 

『二人とも、作戦の詳細を確認する。』

 

「チェインド了解。」

 

「ブレティア了解。」

 

二人はリフトで地下へと降下する機体の中で返答する。

 

『中枢を目指すのはネクストとオーダーのコンビを組んだ部隊だ。その中には無論お前達二人のコンビも含まれる。』

 

目の前に写されるメンバーとACネームのうち、紫蘭と練の部分がピックアップされた。

 

『指定エリアに侵入したら各機散開。それぞれ指定された候補ルートを侵攻し中枢を叩け。』

 

映し出される敵本拠地のマップに複数個所の光点が付けられる。事前の調べが入念だったからか、既に4か所まで絞られている。

そのうち、入って奥の右側が俺たちの突入ポイントだ。

 

『もし外れだったら引き返して中央に作った拠点で待機。支援要請があったらそこを援護してやってくれ。』

 

『あと、見たことない大型の人型兵器がお前達を迎えるだろうが、それがこっちの主力だ。今回は突入部隊の援護が目的で配備されてる。突入までは奴らを頼ってくれればいい。』

 

『こんなところだ。質問は今のうちに頼む。』

 

「チェインド、問題なし。」

 

「こちらブレティア、大丈夫です。」

 

『よし、最後に一つ…』

 

通信越しに響く大きな深呼吸の後に、ストレイドさんは口を開いた。

 

『こっちの都合なのに、受けてくれてありがとな。生きて帰れ。じゃないと死体を直接焼いてやる。』

 

「物騒ですね…死ねませんよ。ここまで来て。」

 

「これで終わりなんですから。」

 

 

リフトが降りきって、そこから一歩踏み出す。

薄暗いながらも明かりのある、不思議な空間。

 

 

『今回護衛をする、〔は〕小隊だ。よろしく頼む』

 

そうやって通信を繋げててきたのは16ⅿほどの人型兵器だった。

これが先ほどストレイドさんが言っていたFGWの主力兵器か。

 

「こちらこそ。いろはですか?その感じだと。」

 

『そうだな。第三小隊って思ってくれて構わない』

 

受け答えに応じてくれたのは、青年の声だった。

右手に持つアサルトライフル(に見える銃)を構えなおし、歩みを始める。

 

『出撃位置はこっちだ。付いてこい』

 

「了解。」

 

その背中に俺と紫蘭はついていく。

少し歩いたところで、町明かりのような光、いや町明かりそのものが背中を照らした。

 

「こんな所に、町が…」

 

『嫌われモンの巣窟、文字通りアンダーグラウンドってな。まあ、今はそうでもないがな。』

 

顔だけをこちらに向け、隊長格の男が答えた。

 

『ここのせいでここの地下って発想が生まれなかったし、逆にここに人がいたおかげで最終確認ができた。塞翁が馬ってな。』

 

三機の主力機が一斉に立ち止まる。

それに倣い、その数歩後ろで俺達も立ち止まって目的地の様子に目を剥いた。

 

その穴の向こうには、滅びを迎えたビル街がくすんだ空に突き立っている。

 

「これは一体…」

 

『【レイヤード】。マメイヤー大尉が探査した世界で確認された地下の居住区域だ。地表に住めなくなった人類が最後の依り辺にした数隻のノアの箱舟。その一隻さ。』

 

隊長はそっけなく言うが、目の前にあるのは終末を迎えた世界そのものに見えて仕方がない。

 

「これがストレイドさんの言っていた転移した都市…なの…。」

 

「空まで完備って…。」

 

『はい、呆けるのはそこまで。5分後には始める。』

 

Unknownさんの声に、俺と紫蘭は弾かれたように周囲を見回す。

二人がその巨大さに気圧されている間に、ほかのチームは集合し終わっていたのだ。

 

『各機巡航モードで侵攻後、接敵次第戦闘モードに移行する。出撃用意!』

 

場に緊張が走る中、俺たち二人もまた戦闘に意識を向ける。

 

「練、どうしてだろうね。」

 

「ん?何かあったのか?」

 

映像付きの通信にして会話を促した。

彼女の顔は伏せていて、ヘルメットの鍔で表情はうかがい知れなった。

 

「少し、楽しみなんだ。たった一度しか訪れないような大一番に命張る、その緊張感と興奮が止まらない。」

 

伏せた顔を上げる。

少し赤みを帯びた頬を、笑みで僅かに持ち上げていた。

その瞳には、俺と同じ戦いに溺れた色が僅かにかかっている。

俺の知らないところで出撃を繰り返したことは、彼女の口からすでに聞いていた。

だが、俺はもう気にしない。

彼女は彼女で道を選ぶのなら、それを見送ってやればいい。

 

「安心しろ。」

 

俺は声を返す。

 

「俺もだ。」

 

 

 

『作戦開始!全機出撃!』

 

 

 

 

『イの1から各機へ。このまま道なりに直進、指定ポイントで右折だ。』

 

『イの2了解です。』

 

『イの3了解。』

 

それに続けて俺らも返事をした。

 

「チェインド了解。」

 

「ブレティア了解。」

 

今のところは敵が見えない。

だが敵のホームグラウンドに突っ込んでいるいま、どう攻撃されてもおかしくないのだ。

油断すれば一瞬で包囲殲滅の疎き目にあうだろう。

 

『イの1、左折ポイント接近、総員戦闘モード起動!』

 

咄嗟にいくつかのスイッチを弄り、システムの切り替えを行った。

突入ポイントまであと少しあるところでの指令。

 

〔メインシステム、セカンドフェイズ・コンバット。戦闘を開始します〕

 

ターンと同時にリニアライフルを構える。

その先にいたのは真紅と黒に機体を染め上げ、グレネードランチャーを展開したAC(ナインボール)数機だった。

 

『ってい!!』

 

敵が見えたと同時に全機から放たれた、容赦ない弾幕がACの装甲を削り取る。

だが相手も黙ってやられるようなAIではない。

崩れる姿勢を無視して放たれる榴弾が、イの2に向かって突き進んだ。

それをイの2は左手に設置された物理シールドで防ぐ

 

『イの2!上にACが一機!』

 

すぐさまイの2は左に回避運動を取る。

その瞬間に上から降り立つACがブレードを展開し、寸前までイの2がいた空間を縦に割った。

 

その後頭部にアキレスはリニアライフルを押し当てる。

 

「あとは任せてください。」

 

容赦なく4発撃ち込みコックピット付近から内部機構を完全に破壊。

その後ビルに蹴り飛ばし叩きつけられた機体が爆散した。

 

『アキレス、チェック6(後ろを見ろ)

 

「何!」

 

振り返るとパルスガンの銃口をこちらに覗かせたナインボールの姿がある。

だが光弾が放たれることはなく、横合いから放たれた高速の金属の雨に撃たれてバラバラに砕け散った。

 

「助かった。…にしてもすごい威力だな。」

 

『こちらイの1、どういたしまして。そっちの使ってるリニアライフルを連射可能にしたようなものだからね。』

 

そうすると俺の前に立って、そのリニアアサルトライフルを構える。

 

『君たちは先を目指して。ここで敵を足止めするのが私達の仕事だから。』

 

交差点から飛び出してきたナインボールを粉砕して、彼女はそう呟いた。

それにACと共に頷いたアキレスはブースターを吹かして最後の大通りを駆け抜ける。

 

「紫蘭、行くぞ!」

 

「分かってる、合流まで3セカンド。」

 

そうすると前の交差点からブレティアが先程のナインボールのように飛び出し、こちらに相対速度を合わせて進み始めた。

 

その瞬間少し先の地面が破壊され、咄嗟に二人はそれを躱す形で前進する。

その穴からはナインボールが這い上がり、肩の砲身を展開してこちらを追いかけてきた。。

 

「迎撃、いける?」

 

「ああ。」

 

紫蘭がQTと同時に左肩のグレネードを素早く撃ち放つ。

着弾した一機が完全に吹き飛び、もう一機も爆風に煽られ宙を舞う。

何とか体勢を立て直したそいつに容赦なく散布型ミサイルが殺到した。

その攻撃はパルスガンとコアの迎撃によりほぼ無効化される。

撃ち返されるグレネード。

だが、アキレスは細かくステップを繰り返し、ゆすられた二次ロックによって弾丸はチェインドの頭上を通り越して後ろのビルに命中した。

 

両手に握られた銃器の射程に潜り込んだアキレスはトリガーを躊躇なく押し込む。

吐き出されるリニアとアサルトによる弾速と連射性が異なる弾丸。

それを避けきれず後ろに押し返されたナインボールは、足下に放たれた弾丸で転倒してしまった。

 

仰向けのまま地面を滑り、ナインボールはようやく停止した。

そのコアの先端にアキレスはリニアライフルを突き付ける。

 

「いつかの逆だな、ナインボール。」

 

全ての始まりと全くの逆。

 

(あの時の自分は、こんな光景を見て恐怖するかもしれない。…だが、今の自分は紛れもなく愉しんでいるんだ。それだけでいい。)

 

その思考が終わるか終わらないというときにアキレスは引き金を引き絞り、トドメを刺した。

 

「練!行くよ!こっちに来て!」

 

突入予定ポイントで紫蘭はネクストで手を振りアキレスに呼びかけている。

余韻を振り切るように、彼は立ち去る。

 

「チーム4。突入ポイント到達。これより中枢襲撃を試みる!」

 

『HQ了解。中枢にたどり着けないルートだった場合は戻ってエリア中央の待機所で遊撃隊になってもらう。』

 

「了解。」

 

シャッターが開き、薄暗い中身をのぞかせる。

 

 

 

「こちらチーム1。突入したが早々行き止まりだ。各所で爆破破壊を試みたが、ここは外れだ。遊撃に回る。」

 

「アヤ、とっとと行かないと。」

 

「分かってるわよUnknown!それと今の私はシャル!」

 

「悪かったわよ。」

 

口論を続ける二人。

だが、二色蝶とマクロバーストの手はしっかり結ばれ、二色蝶のOBで元来た道を超スピードで引き返す。

 

「出入り口にお迎え、投げ飛ばすから初動はお願い。」

 

「任された。」

 

スロープの先にある出口の寸前で二色蝶はマクロバーストを放り投げる。

出口を一瞬で通り越し、宙に躍り出るマクロバースト。

 

「さあ、浴びなさい。鉛の雨を。」

 

撃ちおろされるマシンガンの弾幕が、集結していた複数のACの頭上に降り注ぐ。

その視線がシャルに移った隙に、二色蝶は敵部隊の真ん中に滑り込んだ。

 

「脇に誰もいないと思った?」

 

回転しながら放たれる弾丸が次々とACに突き刺さる。

そのまま敵中で停止した二色蝶。

 

銃口がすべて二色蝶に向けられた。

 

「悪いけど。ここで容赦はしない。」

 

前進のユニットが展開し、プライマルアーマーの形状が変化していく。

やがては機体の周囲が緑色に発光し始め、そしてそれは唐突に爆発。

大半の機体が爆砕し。外側にいた機体も煽られ宙を舞う。

その機体も、マクロバーストのマシンガンによって掃討されていった。

 

『こちらHQ。そちらに向かう二つの機影あり。警戒せよ。』

 

風切り音と共に降り立つ赤い二つの機影。

着地の際に巻き上げた埃の中から眼光のようなカメラアイの輝きがこちらを覗く。

 

その直後、三日月の形をした光の塊(高威力の光波)が放たれ、埃の煙幕を切り裂いた。

光波を飛びあがることで回避したシャルは敵を視認する。

 

「セラフとセラフライザー…本気ね。」

セラフが一瞬で加速してマクロバーストの懐に入り込み、ブレードを展開。

蒼い光が弧を描いてマクロバーストに向けて薙がれる。

 

〔メインシステム、サードフェイズ・オーバード。〕

 

ナインボール・セラフの視界からマクロバーストが消えた。

その直後、紫色の高収束レーザーがセラフの胸部を穿つ。

 

「これはもう練だけの特権じゃない。いずれすべてのレイヴンが手に入れるであろう力。」

 

機体のそこら中から白煙を吐き出すマクロバーストがそこにいた。

 

FGWのオーダーACはすべてこの改修を受けていたのだ。

そして、ネクストに僅かに報いる可能性を持つその力がかつてのラストレイヴンの手に渡され、ネクストに匹敵する力の前に立つ。

 

その可能性を掴める存在が、それと同等の力の前に立ちふさがる。

 

「とっとと決めるわよ、パパラッチ。」

 

「最速の、よ。鬼巫女さん。」

 

紅蓮の二機が、二人の例外と衝突する。

 

「見てなさい、IBIS(渡りトキ)。」

 

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