結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜 作:スターダストライダー
遅ればせながら、新年1発目の投稿となります。本年度もよろしくお願いします。
早速ですが、オリキャラを含めた新参の登場です。
「ねぇ兎角。ここもだいぶ賑やかになってきたね!」
「そうだな。西暦組も加わって、人の出入りが多くなったのは間違いないよな」
友奈と兎角がそう語るように、先日新たに召還された歌野、童山、水都を含めて、現在勇者部は、総勢34名。運動系の部活と大差ない。
「勇者だらけの部屋、勇者ルーム。なんと心強い響きでしょうか……!」
「……けど、正直狭いわ。犬吠埼さん、浜田さん。何とかならないのかしら?」
しかしこれだけ大所帯ともなれば、千景のような不満を抱える者も当然出てくる訳で。
「元々は14人で活動してたわけだしね。一応、源道先生も対応を考えてはくれてるみたいだから、まぁ我慢してちょうだいな、千景」
「じゃあ空間を確保する為に、私はぐんちゃんの膝にすーわろっと」
「……!ま、まぁ、人が多いという事は、戦力も増えて、良い事だわ、うん……」
唐突に高嶋が空間確保の為にと、千景の膝の上に座ると、先ほどまでの不満は何処へやら。さも嬉しそうに頬を紅くして、それ以上物申す事はなかった。
「晴人君、照彦君。新しい牡丹餅を作ったわよ。たんと食べてね」
「いただきます!……おほぉ。大きい須美の料理はメチャうまだし、優しいし……。もぐもぐ」
「……今日は砂糖少なめなんだな。……まぁ、悪くない」
「……こっちもこっちで平常運転、だな」
部屋の隅で依頼されていたストーブの修理を終えた巧(中)が、肩をすくめてそう呟く。
「……そういえば、ひなた、水都。賑やかといえば、これで召還される勇者ってのは、これで全部なのか?」
ふと、藤四郎が気になった事を尋ねる。
「えっと。実はあと5人ほど来るみたいでして。その内の1人が巫女だそうで……。でも、ちょっと特殊なケースという神託が……」
「?それって、神樹様が特殊なケースっていう言葉を使ってるのか?」
「そもそも、神託ってどんな感じで来るんですか?」
紅希と銀(小)が、水都の言葉に引っかかり、首を傾げる。
「明確な言葉じゃなくて、イメージとして伝えてくるのが主流かな。それを私達が解釈していくの。大抵、分かりやすいイメージで脳内に流れ込んでくるんだよ」
「へぇ、そうなんだね。ウチの所は、精霊が色々教えてくれるケド」
「そ、それは便利だね……て」
2人の質問に答えるように説明したのは、水都でも、ひなたでもなかった。2人の後方に立っていた、風や藤四郎と同じ背丈の、後ろ髪を白いリボンで結っている、何処となく神秘的な立ち振る舞いの、見慣れない制服の少女だった。そしてその隣には、下ぶちメガネとカチューシャをつけた、社交的な少女の姿も。
一瞬スルーしかけた部員達だったが、見ず知らずの者達の介入に、数秒後にはざわつき始めた。
「え、ちょまっ⁉︎いきなり誰⁉︎」
「だ、誰か知ってるか?この人達……」
「ならば話しかけるのが得策だろう!失礼仕る!見慣れない顔ぶれだが、勇者部に用あっての事か?すまないが、名を名乗ってもらいたい!」
早速流星が物怖じする事なく、相手の名を聞き出そうとする。
「私は
「!北海道!……北海道?」
「あ、そうか。新世紀の人達はピンとこないかな。上の方の、さむーい所だよ」
「あ、あー!北海道!試される大地!ようこそ勇者部へ!」
「友奈、無理して知ってる体で取り繕う事はないからな?俺だって北海道の事はそんなに知らないから」
「えっと、ごめんね。突然の事で驚いちゃったよね?私は
カチューシャの少女……雪花と、白リボンの少女……美羽が紹介した後、美羽が斜め後ろに目をやる。他の面々がそちらに視線を向けると、壁際にスラっとしたスタイルで高身長の、美少年と呼ぶに相応しい少年が、突然皆から視線を向けられてそっぽを向く姿が。
「ほら、誠也。挨拶はキチンと、だよ」
「……
「「(あ、この感じ。どっかで見た事ある……)」」
美少年……誠也のぶっきらぼうな自己紹介の仕方に、同一人物がいる少女は、似たような性格の仲間に自然と目を向ける。
「あ、因みに私と誠也は、愛知県出身なの。名古屋を中心に活動してるんだけど、北海道を知らないって事は、多分分からないよね」
「!聞いた事はあります!かの有名な戦国武将、織田、豊臣、徳川は皆、愛知県に縁があったと習った事がありますので」
美羽の紹介に、早速歴史に精通している須美がその知識を曝け出す。
「おうおう!何や盛り上がっとるやないか!ならワイの事も紹介させてーや!」
「うわっ、こっちにも⁉︎」
夏凜がそう驚くように、部屋に突然現れたのは、3人だけではなかった。人一倍賑やかそうな、光るネックレスを首から提げている少年が大らかに手を振って注目を集める。
「ちゅー訳で、ワイは
勇者部の新たなムードメーカーとして一躍活躍しそうな少年……奏太の紹介を終えると、今度は昴(小)が、おずおずを挙手する。
「あ、あの……。ここにももう1人、いらっしゃるのですが、その……」
「……」
昴(小)が困惑するのも、褐色の少女が、皆の注目が集まっているにも関わらず、依然として堂々たる態度で何一つ口を開こうとしない姿勢なのだから無理もない。
「な、名前が分からん……」
「水都さん、神樹様から何か聞いてますか?」
「し、神樹様はそこまでケアしてくれないかな……」
水都も困り果てていると、ようやく少女が状況を把握したのか、閉ざされていた口が開かれる。
「……
「あ、話してくれましたね」
「古波蔵……聞きなれない苗字だな」
「沖縄に住んでる方は、割と特殊な苗字の方が多いって聞きますからね。知念とか……」
そんなこんなで、褐色の少女……棗の紹介も済んだところで、外に出ていた源道と安芸を呼び、大人達から今いる世界に起きている問題等を新たに呼ばれた5人に説明する。
「成る程。大体分かった」
「分かりやすい説明をしてくださり、ありがとうございます。源道先生、安芸先生」
「一応精霊からも状況は大体聞いてたけど、更に理解できたよ」
「む?精霊から……?」
雪花の発言に疑問を抱いたのは、源道だけではなかった。
「精霊から聞いたって、それ……」
「あ、ひょっとして雪花の精霊も、喋ったりするのか?鈴鹿御前や義輝みたいに!」
「そだよ。まぁ心の中で……テレパシーで会話するって感じだけどね」
「な、中々やるじゃないのよ。ウチの義輝もまぁ、中々だけど……」
『諸行無常』
「おぉ、喋っとるやんけ!これが精霊っちゅうもんか!」
「いや、精霊が全員喋る訳じゃないけどな……」
「しかし驚いたな。テレパシーとはいえ、会話できるまで明確な言葉を発する事が出来る精霊とは」
若葉がそう呟くように、西暦時代、四国で戦ってきた者達は、切り札として精霊下ろしで体内に精霊を宿す事はあったが、目に見えるわけではないので、当然会話する事もない。
「まぁその辺は、神様の性質の違いなんじゃないかな?お互い土地神の庇護って点は同じだろうけど」
「!そうか……、私達四国と、それ以外の土地では、神様の系統が違うんですね」
「うんうん。こっちの神様は『カムイ』って呼ばれてるよ」
「愛知県では、『天照大神』がそれに該当する、かな」
「ワイの所は『筒男三神』いうて、ホンマは長崎の御祭神の一体やけど、何や聞いた話やと、大阪に由来してる神様らしくてな。まぁその縁あってワイが選ばれたんかもしれへんけど。沖縄もそないな感じやろ?」
「そうだ。私のは、海の神。……こう、ええっと……、海の底から、ゆらっときた……。……分かるか?」
「いや分からへんわ!めっちゃあやふややんけ!」
やはり大阪気質は抜けていないのか、早速奏太のツッコミが炸裂する。そんな中、棗の味方になる者が現れ始める。
「分かります!」
「寧ろ簡潔でアタシらには有り難い!」
「それは良かった」
晴人や銀(小)といった小学生組には、それくらい曖昧な表現の方が伝わったようだ。
「そういや、俺達の時代では、北の大地から南西の諸島まで、4つぐらい生命反応があったって聞いたが、それが……」
「まぁ十中八九、俺達の事だな」
「今回の件はそれぞれの時代に影響を及ぼしかねない事態だから、私達の神様と神樹様が同盟を結んだ形になってるの。だからこうして私達も、神樹様の加護を受けられるようになって、ここに来られたの」
「現実世界でも、こうして合流できるといいが……。どうも神樹の中と現実世界では、勝手が違うようだ……」
「「「「……」」」」
同じ西暦の勇者でも、合流できない。その理由を端的に知っている者達からすれば、どうしても反応に困ってしまう。
「でもいいなぁ。ここにいる皆はチームで戦えて。ちょっとは楽が出来るでしょ」
「いやいや、楽なんて事はないぞ。毎回毎回必死だ」
「こっちは独り身だから、戦う最中、歌とか自分で歌って、気分を盛り上げたりしてるよ。イェアーって」
「そ、それは確かに大変ですね……」
そんな中、美羽から視線を向けられている事に気づく誠也。
「?何だ」
「誠也も、1人で戦ってる身だよね。だから、その……。もし、辛くなったりしたら、私、今以上に誠也の為に頑張らないと、って思って……」
「バカ言え。お前がいなかったら、俺はとっくにダメになってた。今だって十分世話になってるしな」
「誠也……。ありがとう。やっぱり、誠也はあったかいね」
「お前こそ……」
自然と手を握る2人を見て、色めきたったのは、やはりこの2人だった。
「お!オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……!み、見ましたか園子先輩!この胸の高鳴りはまさしく……!」
「ビュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォゥ……!創作意欲を高める波動を感じるね〜」
園子ズが早速小説の新作に着手しようとしている中、雪花はあっけからんと口を開く。
「何だか皆、凄く真面目なんだね。もっとそこそこで良いのににゃあ」
「御役目でそこそこなんて、そんな事は」
人一倍生真面目な須美が物申そうとしたその時、部室内にアラームが鳴り始めた。敵の襲来だ。
「何やこれ⁉︎」
「樹海化警報……出撃の合図です!」
「い、いきなりで大変でしょうけど……」
「分かった。戦闘は任せろ」
「か、カッコいい……」
棗の堂々たる姿勢に、思わず惚れ惚れとしてしまう樹であった。
「みんな、怪我しないようにね」
「!はい、ありがとうございます!」
最年長の巫女からエールをもらい、友奈達は色とりどりの世界へと向かっていく。
「それじゃあ、さっき教えた通りに、スマホをタップすれば変身できるから!」
「ホンマこの世界の便利さには頭下がるわ!んじゃ、やったるでぇ!」
そうして奏太を中心に4人が端末をタップすると、4人の服装に変化が。
雪花は紫色の、投げ槍を携えた勇者に。
棗は水色の、琉球古武術のヌンチャクを携えた勇者に。
誠也は白と紫を合わせた、2刀のカットラスに似た形状の武器を携えた勇者に。
奏太は黄色の、自身の身長と同じ大きさのハンマーを携えた勇者に。
「これが……。けど確かに、力が漲るって感じはしてるな」
「あぁ。この時代の勇者システムは素晴らしい戦闘力だ」
「びっくりの力だよねぇ。ちょっと素振りするから、離れていてね。ヨッ、フッ、ハァッ!」
早速神樹の世界の恩恵を受けて、その変化に気づいた雪花は槍を振り回し始めて、ウォーミングアップを始める。誠也と奏太も軽く武器を振るって、体を慣らしていく。
「よぅし、チューニング終わりっと。そういえば、棗さんは体動かさなくても大丈夫?」
「大丈夫だ。ここに移動している内に慣れた。気遣い、礼を言う」
「んふふ。新参参戦同士、仲良くしましょーね」
「せやな!ちゅー訳で、誠也はんも頼むで!」
「言われるまでもない。ここに呼ばれた理由がある以上、俺はそれを成し遂げるだけだ」
と、その時。高台から偵察していた真琴が切羽詰まった声をかけてきた。
「!バーテックスを複数体確認しました!しかも、これまでとは段違いに、最大規模の敵影です!」
「いよいよ本腰入れてきた感じか……!」
「あんなに大きな敵がいっぱい来るなんて……」
「でも、今は、仲間がたくさん。だから僕、頑張る」
不安いっぱいの杏を鼓舞するように呟く調も、広範囲に見える敵の姿に震えてはいるものの、弱気にならないようにと、踏みとどまっている様子だ。
「よく言ったぞ調!なぁに、いざとなったらタマに任せタマえよ!チョチョイのチョイだ!」
「!……うん」
「球子さんの言葉には毎回励まされますからね」
「だろう昴?お前達も困った事があれば、タマ大明神を頼れ、勉強以外は何でもムテキだ!」
その一方で、依然として必要以上に会話をしない棗を見て、流石に不安になったのか、夏凜が話しかける。
「えぇっと、な、な、棗。あんた、その……、大丈夫?」
「……」
「あ、これ全然大丈夫ね。既に気を練ってる。中々に頼もしいじゃない」
「凛とした佇まい……。私、棗さんのファンになっちゃいそうです」
気合いを入れている姿勢に、尊敬の眼差しを向ける樹。
「おぉー、敵さんデッカいなー。そして複数体かぁ。先生、今日は初戦闘って事で、自分見学いいですか?」
「……本当に怖いならそれもアリでしょうけど、アンタ絶対違うわよね?多分そう言ってホントは環境クラスの強キャラタイプでしょ?」
直感的に、雪花の潜在能力を指摘する風。
「ふひぃ。これを相手にするのは中々骨ですなぁ……」
「だから、連携すれば良い」
「そうだよせっちゃん!皆がいるもん!」
「力を合わせれば、大抵なんだって出来るよ!」
「前衛は俺が駆け抜けるぜ!」
「へへっ。この三ノ輪銀様に、任せときな!」
「ここにいる全員、とっても頼れる仲間ですよ〜」
「貴方は今まで、独りだったから個人技で戦わざるを得なかったでしょうけど、今はフレンドがいる。心強さにビックリするわよ」
「ま、慣れない内は戸惑うけど、仲間との連携、やってみれば自然に分かるもんさ」
「なるへそ……。2人で戦闘してた歌野の言葉だと、説得力増し増しだね。そう言う事なら、連携してみましょ。秋原雪花、そこそこにやりまっせ!」
「うぉい!そこそこじゃ流石に困るぞ!」
「……だから貴方は真面目が過ぎるのよ、乃木さん」
千景のボヤきは、返す刀でツッコミを入れた若葉には届いていないようだ。
「俺は、やる事をやるだけだ。全力でな」
「みんな盛り上がっとるな!ワイもこの世界での初陣、華麗にきめちゃるわい!」
「こっちもやる気満々だな。なら、気合い入れていくぜ!」
誠也と奏太に続いて、司も屈伸しながら臨戦体制に入る。
「古波蔵棗、戦闘を開始する。人類の敵……、花により散れ」
「か、カッコいい……!」
思わずそう呟いてしまう杏。が、その余韻に浸る間もなく、戦闘は始まり、杏も後方援護に徹する。
今回の注目の的は、やはり新参の4人の動きだ。4人とも、友奈達と違って、単騎で人類の敵と戦ってきている事から、神樹の加護こそあれど、修羅場を超えてきた貫禄がある。
棗はヌンチャクを振り回し、目にも留まらぬ速さで星屑を塵にしている。
誠也は、自分の体を軸に、回転を加えながらカットラスで向かってくる敵を引き裂いている。まるで地面を飛ぶような闘い方に、照彦はある事を考えていた。
奏太は、大きなハンマーを振り回し、星屑を叩き潰している。その姿勢に、同じくハンマーを用いて戦う冬弥も、負けじと彼の後に続く。
そして、先ほどはそこそこ程度に、としかボヤいていなかった雪花だが、言葉に反して、戦果を上げていた。投げた槍が敵に直撃し、消滅すると、槍は霧散し、再び手元に戻ってくる。こうして鋭い一撃を何発も放つ事で、いつの間にか、彼女の目の前から敵影は消えていた。
「いくでぇ!」
「ブチ抜けぇぇぇぇぇ!」
奏太と冬弥が、クロス切りとばかりにハンマーを振り下ろし、星屑が消滅したのを確認した所で、皆は肩の力を抜いた。敵の第一波は完全に退けたようだ。
「とりあえず、第一陣は倒せましたね」
「でも、まだ油断できない。真琴君、今度は僕達が見張るから、少し下がって休息してて」
「了解しました!」
そうして真琴と交代する形で、今度はダブル昴が高台から敵の動きを観察する事に。その頃、地上では友奈が雪花に声をかけていた。
「どうかな、せっちゃん。チームプレイは?」
「いいねぇ、これ大好き。連携結構楽しいし。それにしても、皆、強いわね」
「お前も中々やるじゃねぇか。俺もそっちの武器の方が良かったって思ったぜ。投げ槍なんてワイルドな戦い方、俺の性に合ってるし。鉄扇も悪くはねぇんだが、やっぱ陸上やってた俺からしたら、投げ槍なんておあつらえ向きじゃねぇかと思ってさ」
「にゃるほどねぇ。ま、遠距離で攻撃できるから、そこん所も気に入ってるのよ。いざとなれば投げずに戦えるしさ」
「それにしても雪花。そこそこ戦うとか言ってる割には、凄く頑張ってくれたな」
若葉がそう語るように、群がって攻めてくる敵に槍を投げ込み、戦力を分散させたりするなど、その貢献度は高い方だ。
「あれぐらいは、そこそこ、だよ。いざとなれば逃げるかもしれないけど許してね」
「(やっぱり強キャラだ……)」
「フフフ。そう言いながらも、やっぱり貴方、勇者ね。歓迎するわ。良い野菜を作りましょ」
早速勧誘を始める歌野から少し離れた所でも、交流が行われていた。
「……なぁ、誠也」
「?確か、照彦、だったな」
「さっきの動き……。回転を加えながら、飛ぶような戦い方……。あれって、スケート選手の動きによく似ていたが、ひょっとして……」
「ま、大方予想通りだ。勇者になる前から、一応アマチュアのスケート選手の代表として、大会には出ていたからな」
「わぁ凄い!本物のスポーツ選手だ!サイン欲しいなぁ!」
「確かにアクロバティックな動きが多かったからな。結構長い事やってたのか?」
「まぁ、幼稚園の時から。近所にスケートリンクの設備があったから、親に言われるがままに練習してたら、いつの間にか名が知れ渡ってな」
つまるところ、誠也は元の時代では『スケート選手』と『勇者』。2つの名で、周囲から期待されていたようだ。故に、『失敗は許されない』というプレッシャーの中で、常に目の前の事に取り組んできたのだろう。
「それにしても、冬弥、やったな。あんさんも結構頑張っとるやないか。同じ武器使い同士、仲良くしようや!」
「そ、そうッスね、奏太先輩!オイラは全然付いてくのに必死だったッスけど」
「気にする事あらへんで!ワイはちょいと長い事戦いに慣れてたかんな。そいでな、もしアンタでよければ、敬語はナシでかまへんか?その方がワイも気が楽や」
「そ、そうなんスか?……じゃあ、もし良かったら、兄貴って呼んでも良いッスか?奏太のアニキって!」
「おっ!それエェ響きやな!大歓迎や!」
「じゃあ、これからも宜しくしてくださいッス、奏太のアニキ!」
新たな兄貴分の登場に、冬弥も気を良くしたようだ。
「!この気配……!」
「敵の反応あり!皆さん、戦闘準備を!」
辺りを見渡していた棗と、高台から降りてきたダブル昴が反応を見せたのはほぼ同時。奏太達も気を引き締める。
「うっしゃあ!再度前線に出るぞ!2人とも俺に超続けぇ!三ノ輪式、三日月の陣を敷くぞぉ!」
「了解ですご先祖様ぁ!」
「超ついていきます!」
「なら、俺達は前衛の援護だ!」
「射撃、開始!」
「敵、バーテックスに対して、撃てぇ!」
「息のあった連撃を見よ!」
3人の三ノ輪が攻め上がったのを見て、真琴、杏、東郷、須美、遊月といった遠距離攻撃組も豪快な銃撃を放つ。
「おぉ。皆が燃えてると、こっちも熱くなるなぁ。私も張り切っちゃお。どんどん投げるよ」
同じ遠距離アタッカーの雪花もそれに続く。
しかし、戦闘開始から数秒後。敵の動きに疑問を持つ者達が出始めた。
「……妙だな」
「巧君もそう思う?杏さん、敵の動きが少し妙じゃない?」
「確かに……。わざと目をひく動きをしているような……」
「何か企んでるって事か?」
「……!」
杏達のやりとりを聞いていた園子(中)は、不意に何かを察したのか、端末を操作する。
「!やっぱり〜、敵の数があってないよ……!これ、地面を潜行してる動きだ〜!」
「⁉︎みんな、気をつけろ!」
「……えっ?きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
「樹ぃ!」
不意に打ち上げられたように、上空へと飛ばされる樹。隣にいた風は突然の事で動けていない。園子の推測通り、地面の中を潜って侵攻してくる敵が、樹に狙いを定めたようだ。見ればそのバーテックスは、魚座をモチーフとした、ピスケス・バーテックス。元の世界でも、東郷と遊月が苦戦を強いられた敵だ。
「大丈夫、私がいる。ハァッ!」
「オイラも!樹に手ェ出すなァァァァ!」
「やらせるかよっ!」
空中で身動きが取れない樹に向かっていく魚型に対し、冷静に対処したのは、先に回り込んでいた棗だった。樹と魚型の間に入り、ヌンチャクで怯ませて、敵の動きを止める。更に横手から冬弥と奏太のハンマーによる一撃も加わり、魚型は地上に向かって吹き飛ばされ、そこを通過していた星屑が潰されて消滅する。
「オォ、ナイス連携!」
「一瞬で瓦解したな」
「けど、よく分かりましたね」
「潜るのは私の得意技だ。潜行してくる相手は、大体分かる」
「流石沖縄の勇者や!敵さんも相手が悪かったっちゅうわけや!」
「あ、ありがとうございます!冬弥君もありがとう!」
「無事で良かったッス!」
樹の無事が確認された所で、魚型が体制を立て直してこちらに向かってくるのが見えた。
「また来てる!星屑も連れてきてやがるぞ!」
「……くも」
「えっ」
「よくも妹を……!あたしの目の前で襲うとは……!許せない!潰してやるぅ!」
先ほど、最愛の妹が危険に晒されたとあって、沸点を飛び越えたらしく、全身から邪悪なオーラが溢れ出ている……ように見える。
そんな彼女の歯止めをかけたのは、西暦組のリーダーだった。
「風!気持ちは分かるが冷静になれ!私も以前熱くなりすぎて、怒られた事がある!」
「っ。オッケィ。まぁ樹も無事でピンピンしてるし、ここはクールに戦いましょ。……てな訳で、こぉい!」
「ん〜、ホット!」
歌野も安心したように、前線に参加する。
藤四郎と千景も、彼らに見えない所でホッとする様子を見せていた。藤四郎はガールフレンドの、千景は元いた世界での少し前に起きた出来事を思い出して、変な形で振り切れないか、心配していたようだ。
ともあれ、落ち着きを取り戻した風を筆頭に、再び敵と衝突する面々。
戦いは、まだ終わっていない。
本日、『アサルトリリィ Last Bullet』がリリース1周年を迎えました!それに合わせて新たな新キャラ追加で、今後も期待したい所です!
ガチャで引けるかどうかは……神樹様に祈るしかないですね(笑)。
〜次回予告〜
「共に行くぞ!」
「また新たな派閥が……!」
「勇者ソバーット!」
「あなたも子孫のように……」
「愛してるぜぃ!」
「もっと早く会いたかったなぁ」
「俺達の新たな戦いが、また始まる……」
〜勝利への決意〜