結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜 作:スターダストライダー
2月から始まった『デリシャスパーティ♡プリキュア』、通称『デパプリ』ですが、あの飯テロ感ヤバくないですか……?3話まで放送されましたが、内容も大人が関心するレベルで良いですし、今後に期待ですね。
「んん〜っ、一旦退いた感じか?まだ来そうだけど……」
ようやく敵の数がまばらになったのを確認した晴人は、薙刀を下ろして、肩の力を抜いた。武神の部隊長を務めている彼も、この連戦を前に、徒労は隠しきれていない様子だ。そんな彼を心配してか、須美が近づいてきた。
「晴人君!ずっと前線で戦ってて、大丈夫⁉︎」
「!平気へいき!お前が矢で援護してくれてるお陰で、こっちも助かってるからな!愛してるぜぃ!」
「⁉︎あ、あ、ア、あ、愛って……!愛って……!」
「い、いやいや今のは軽口だから!間に受けなくていいから!こっちも恥ずかしくなるだろ⁉︎」
半ば冗談のつもりで呟いた一言が、須美の心に深く突き刺さったようだ。この世界に召還されて以来、2年後の自分でもある『東郷美森』と、同じく未来の晴人でもある『小川遊月』の、なりふり構わず愛し合っている行為を見かける内に、須美自身も晴人に対する意識が変わりつつあった。加えて東郷からも、晴人への想いをちゃんと伝えられるように、といった圧を受けているような気がしてならない為、彼を見る度に頬が熱くなる。
お互い気まずい状況下にあるのを察したのか、園子がすかさずフォローに入る。
「乃木さん家の園子さんも、わっしーをアイラブユーよ?」
「ま、まぁ、そのっちはね……、うん。私もよって返せるけど、晴人君のそれは、完全に奇襲だったわ……」
「うふふ。少しずつだけど、自覚し始めてる感じがするわね。雪花さんもそう思わないかしら?」
「タフな小学生だにゃあ。ほんと皆さん頼もしくて嬉しくなっちゃう」
スコープ越しに小学生組の様子を観察していた東郷と雪花が、口々にそう呟く。
一方、犬吠埼姉妹は、この3人と合流をしていた。
「あ、棗!冬弥と奏太も、さっきは妹をありがとうね!」
「なんのなんの!困った時は助け合いやで!」
「無事で良かったッス!」
「まぁあれくらい、この娘ならば対応できたと思うが……」
「本当に助かりました!」
「無事なら、それで良いんだ」
そう呟くが早いか、突然目を閉じて座り込む棗。
「……で、いきなり座ってどうしたのよ棗?」
「敵はすぐに来る。それまでに瞑想して、心身共に回復しておく」
どうやら元いた世界でも同じ事をしていたのか、慣れた様子で瞑想を始める棗。それを見て、同じ西暦の時代を駆け抜けた勇者達も興味を示す。
「成る程、私も隣でやってみよう。……瞑想!」
「はいはい!私もやらせて!」
「うむ。俺もだ!」
そうして若葉、歌野、流星も試みるが……。
「……♪」
「……っ!」
「瞑想中に鼻歌はダメでしょうが歌野⁉︎おしゃべりなアンタに瞑想は不向きよ!」
「流星さんは集中してるのは分かるが、そのせいで目が半開きになっているしな……」
「私も棗さんのように格好良くなりたいなぁ……」
「ま、いきなりは難しいでしょうし、取り敢えず今できる事から始めなさい。ほら、サプリをキメるのよ」
「そ、それは大丈夫かなぁ……と」
「にぼっしーはブレないなぁ〜」
「何でよ⁉︎……って、棗、瞑想終わったの?じゃあ棗からも言ってやって。サプリは良いと」
夏凜の催促が全くもって上手くいっていない中、棗が瞑想モードを終えて立ち上がったのを見て、夏凜は樹に説得してもらうよう試みる。
が、棗は困り果てたように返答する。
「……私も飲まないから、よく分からない」
「じゃあ同じ勇者として、私が教えてあげる!如何にサプリがいけてるかをね!」
「「……」」
「これは完全に困ってますよね……」
「だな。まぁ棗の事も少しずつ分かっては来たからな。各々チームワークに馴染んでいるなら、何よりだ」
そんなやりとりを見て、真琴と藤四郎は苦笑混じりにそう呟く。
その頃、目を閉じて座禅を組んでいる若葉が、依然として瞑想モードを解かない事が気になった千景が、彼女に近づいてみた。
「……乃木さん、乃木さん?もしかして、あなたも子孫のように……」
「……Zzz……」
「やはり寝ている……!瞑想したかと思えば、この状況下である意味大したものね」
どうやら連戦で疲労が溜まった事に加えて、瞑想して目を閉じた事で、かえって眠気を誘ってしまったようだ。やはり彼女にも瞑想は不向きらしい。
やれやれと思いつつも、彼女の事を放っておけないのか、隣に立って様子を見守る事に。
しばらくすると……。
「Zzz……はっ、いかん。一瞬、寝てしまっていたか」
「一瞬なんて生易しいレベルじゃないわよ……。あなた、様子を見に来た私に寄りかかってきたのよ。様子を見に行ってる神奈月君達からはまだ報告もないし、休憩中だったとはいえ、まだ周囲は樹海化してるんだけど?」
「す、すまない、気をつける……。というか、そのまま肩をかしてくれたのか。ありがとう、千景」
「乃木さん。毎日気を張りすぎたんじゃないの?今は、人数も増えてきたんだし……。秋原さんの台詞通り、結果を出せるならそこそこの頑張りで良いと思うの。全力でやって、潰れるよりは」
千景のアドバイスに加勢するかのように、風と紅希も近寄ってきた。
「そうね。勇者部五箇条に、『なるべく諦めない』ってのがあるけど、なるべくって言葉がミソだと思うのよ。因みにこの言葉考えたの、アンタの子孫なのよね」
「ちったぁ肩の力抜いても良いと思うぜ!割りかし前線に出過ぎて迷惑かけてる俺が言うのもアレだけど」
「……そうだな。ありがとう」
「小休止の間とか、つい寝ちゃいますよね〜。やっぱりご先祖様もそうだった〜」
「うぅ……。事実とはいえ、何だか恥ずかしい……」
そんなやりとりを見ていた銀(小)が、須美に顔を向ける。
「聞いてたか、鷲尾さん家の須美さんや。あれ、お前にも言える事だぞ」
「私は大丈夫よ。銀や晴人君の無鉄砲な行動には時々ハラハラするけど」
「そっか。まぁ須美、頑張れ」
「先ず無鉄砲を直せ」
やれやれといった表情の巧(小)。そこへ、球子が銀をフォローするかのように割り込んできた。
「でもな須美、巧。銀も晴人も、近接だぞ。近接に鉄砲装備は相性が悪いんじゃ……って、どうした調?急に掴んできて」
「……タマ。無鉄砲の意味、勘違いしてる」
「調君の言う通りだよタマっち先輩!無鉄砲っていうのは、そういう意味があって……!」
『無鉄砲』を直接的な意味で捉えてしまっているのか、的外れなアドバイスをしているのを聞いた調は、裾を掴んで間違いを指摘する。杏にまで呆れられたのを見て、球子は慌てた様子で訂正する。
「も、ももももももももももも勿論知ってたぞ!銀、今のは冗談だって分かるよな!」
「はい、分かってます!」
「……神世紀は、本当に良い子揃いだなぁ」
「(いや、この反応……。銀も分かってないやつだな)」
関心した様子の杏の背後で、銀とはそこそこ付き合いの長い巧(小)はそう推測する。
「皆、本当に仲良しなのね。それがチームプレイの秘訣かしら」
「せっちゃんも友達だよ!仲良しになろうね!」
「……何だか優しさが沁みるわ。学ぶ事が多いし、どうせなら、もっと早く会いたかったなぁ」
「……その沁みるって言葉、分かるわ」
友奈達と出会った当初、幼馴染み以外の面子と積極的に絡もうとしてこなかった夏凜も、雪花の気持ちが良く理解できるようだ。
するとそこへ、高台で敵の動きを観察していた昴達が戻ってくるのが見えた。
「敵が動き始めました!」
「真っ直ぐこちらに向かってきます!」
「!ならば、正面から迎え撃つのみ!共に行くぞ!」
流星が童子切を構えると、球子達もそれに続く。
「どんな攻撃も、鉄壁のタマが防ぎ!」
「アタシが押し返ーす!そりぁああああああ!」
「ハァッ!」
球子、銀(小)、そして巧(小)の連携が炸裂し、向かってきた星屑が消滅する。
「良い気合いだ。やるな、小学生」
「おい、タマは中学生だからな。そこ間違えるとWW(ワールド・ウォー)3だからな」
「(そこまで深刻な事なのか……)」
棗に、小学生に間違えられた球子が青筋を浮かべる。
「ようし、やっつけちゃおうよ!勇者パンチが火をふっくっぞ!」
「ほいほい。死なない程度に征っきます!」
「……来い!」
高嶋、雪花、誠也に続いて、他の面々も交戦を始める。
休息に時間を割いた事で、士気も上がり、各々が持てる力を余す事なく発揮できている。
「少しずつ減ってきてはいるが、まだ遠くに見えるな……。油断するなよ!」
「ここが勝機。一気に押し切る」
「はいはいはーい!それなら、一緒にやろう!せーのっ!」
「ふっ!」
「勇者ソバーット!……あと一息!」
棗と友奈が、息のあったコンビネーションを早速発揮し、中型のバーテックスを撃破する。
「任せて!響け、私のフェイバリット!ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「こいつで、終いじゃあ!」
嵐のような鞭の連撃で、バーテックスが怯んだ所に、童山がタックルをかまして吹き飛ばす。
「行くぜ冬弥!」
「了解ッス!ブチ抜けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
飛ばされたバーテックスに、冬弥と奏太のハンマーが直撃し、敵影は姿を消した。
「!あと、2方向!」
「よし、左手は私と雪花で!行くぞ!」
「了解!チームプレイを学んだ、私による必殺の一撃!」
「ハァァァァァァァァァァァァ!」
「せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!」
雪花が勢いよく放った槍の一撃は、がむしゃらに向かってきた敵を薙ぎ倒し、怯んだ所に、若葉の一閃がトドメを刺した。
「なら、こっちは俺が!誠也さん、お願いします!」
「……決めるぞ、兎角!」
「ダァァァァァァァァァァァァァ!」
「ッラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
残った敵は、兎角がレイピアを突き出して吹き飛ばし、分断された敵は誠也が回転を加えた斬撃で一掃する。
「おぉ!息ピッタリだな!」
「敵、完全に消滅を確認しました!皆さん、お疲れ様でした!」
杏の言葉を聞いて、ようやく長い戦いが終わった事に安堵する一同。
「やー棗。デビューを飾ったわね。こりゃ頼りになる同級生が来たワ」
「そうか。同じ中学3年だったな。今後とも宜しく」
「……とても私と同じ年代とは思えない落ち着きね」
「あ、千景さんも中学3年生、でしたね」
「まぁ、一応……。他の中3と比べて、少し自己嫌悪に陥るけど」
「だ、大丈夫ですよ!千景さんは、千景さんです!僕も、自分に自信がない時が多いですけど、少しずつ変わろうと頑張ってる最中なんです。だから、もっと自分を誇らしくしてても、良いと思います!」
「……ありがとう、一ノ瀬君」
風と棗のやり取りを見ていて、少し沈んだ様子の千景を見て、心配になった真琴が声をかける。
「……ふぅ、お疲れさん。最後の一撃、特にカッコよかったよ」
「そちらこそ、な。さっきはつっかかって、悪かった」
「そこ気にしてたんだ。こっちこそ、誤解させるような事言ったかも。ごめんして」
「ね?戦えばチームワークの良さが分かるでしょ?」
「冬弥もお疲れさん!中々にキマッとったで!」
「奏太の兄貴も、カッコよかったッス!」
「改めて見ると、凄いしなやかな回転だったな、誠也さん。いつもあんな感じでスケートやってるんですか?」
「あれぐらいはまだ大した動きじゃない。氷が張られた場所と樹海じゃ、感覚も変わってくる。ま、ここでの戦いの方が、個人的にはやりやすいかもな」
「よーし!今上げるのは女子力ではなくて、カチドキ!えいえい、おー!」
「「「えいえい、おー!」」」
「ほら、4人も一緒に!」
風が勝ちどきを始めたのを見て、他の面々もそれに続く。あまりにもラフな、一連の流れに困惑する新参を誘うべく、高嶋も皆の輪に入れる。
「……(照れ)」
「……おうおう!なんや皆、ノリのえぇ子らの集まりで、ワイとしては仲良うやってけそうや!」
「……俺はもう早速キツくなってるけどな」
「あはは……。このノリに慣れるのは、もうちょい時間がかかりそう……」
「誠也っ!」
「っと。美羽、どうした?」
「良かった……!誠也が無事で……!ねぇ、上の服だけで良いから、ちょっと脱いで!」
「な、何してんのよあんた達⁉︎」
部室に戻って早々、誠也に抱きついてきたのは、幼馴染みの美羽だった。涙目で誠也の無事を確認するが早いか、念の為にと、彼の制服を脱がそうとした為、慌てて夏凜達に止められる。
「大丈夫だって。この世界なら性能も格段に上がってるって、説明受けてただろ?怪我なんて全然」
「それはそうかもだけど、やっぱり心配なの!誠也、また無茶ばかりしてるんじゃないかと思うと……!……部屋を用意してもらったら、また確認するからね」
「はいはい。それで構わねぇよ。お前の気が済むなら」
「随分慣れた感じだな。毎回そんな感じなのか?」
「また癖のある面子が出てきたな……」
美羽の、過剰なまでの心配症を見て、皆が苦笑する中、水都が机の上にお茶を並べているのが見えた。
「皆さんお帰りなさい。蕎麦茶を用意してあるよ」
「蕎麦茶って普段飲まないけど、どんな味なんだろ?」
「んー、美味しい!みーちゃんナイスよ。頬擦り頬擦り」
「うどんの国で、蕎麦を推していくとは……。まぁ、私はラーメン派だけど」
「ラーメンなら俺も時々食べるぜ。四六時中うどんばかりでも飽きるしさ」
「うんうん、ラーメンも美味しいよね〜!」
「結城っちはラーメン派なんだ!……と喜ぶのは罠。あくまでメインはうどんの筈」
北海道出身の雪花がラーメン派を主張した事で、他の新人達も声を上げる。
「……沖縄そばは良いぞ」
「俺達は断然、きしめんだな。あれに勝る麺類は存在しない。そうだろ美羽?」
「うん!」
「ワイは焼きそば!って言いたい所やけど、最近は長崎ちゃんぽんにどハマりや!」
「ゲッ……、ラーメンに、きしめんに、ちゃんぽん⁉︎」
「また新たな派閥が……!」
また新たな対抗馬の登場に、頭を抱える球子と照彦。
「師匠、只今戻りました!」
「うむ!皆ご苦労!今回の戦闘を共に戦った事で、より一層連携が深まったと見える!」
「そうね。雪花さんは私の畑で農作業をするプロミスすらしてくれたわ」
「いや、親戚が農家って言ってただけのような気がするけど……。でも面白そうかも、土いじり」
「棗さん、今度、稽古に付き合ってください!」
「あぁ、宜しく」
「棗達も凄腕の勇者だったし、戦力的にも大収穫よ。このまま敵の土地に攻め込みたいぐらいよ」
「で、でも、土地の奪還ってそんな簡単にはいかないって、ひなたさん言ってましたし……。いくら何でも攻め急ぎすぎじゃあ……」
「そうとも限りませんよ、真琴君」
と、そこへひなたが重要な事を話し始めた。
「まさに今が、次のステージに行くタイミングだと思うのです」
「?それは、どういう……」
「あ!ひょっとして新しい神託とか!」
「うん、その通り。誠也達が戦ってる間にね、神託があったの」
「皆さん、初期目的は覚えていますか?ズバリ、造反神を鎮める事です」
「あぁ。そいつが神樹様の中で暴れ回ってるんだろ?んで、俺ら勇者が、それを何とかする、って感じだろ?」
「うん。鎮める為には、奪われた土地を取り戻さないといけない」
「今までは防戦一方でしたが、皆さんの頑張りで、遂に攻め入る事が可能になりました」
「おぉ、言ってみるものね。実現したわ」
何気なく呟いた、当の本人がこの吉報に1番驚いている様子だ。
「何や、ワイらえぇタイミングで呼ばれたんとちゃうんか⁉︎」
「そうだな、奏太。腕の振るい甲斐がある」
「神託に従って、次の満月に仕掛けます。徐々に、土地を奪還していきましょう」
「うむ!ある意味で、ここからが本番というわけか!血が滾る!」
「皆と一緒に頑張ろう!全員で挑めば、大丈夫!」
「美しい我が国の為に、力を尽くします」
「うへへ!ワシも人肌脱ぐとするかのう!」
「俺達の新たな戦いが、また始まる……」
窓の外に目を向け、決意を新たにする兎角達。
造反神との戦いは、新たなステージへと昇格するのであった。
ここから土地の奪還が始まるわけですが、次回は奪還前に、雪花と誠也、美羽に焦点を当てていきたいと思います。
〜次回予告〜
「今日もモテモテでした」
「早く文字に起こさないと〜……!」
「夏凜ちゃん?」
「最強コンビだしな!」
「期待されてるからな」
「それが、私に出来る精一杯なら」
「気持ち、ちょっと分かるから……」
〜孤高の雪花 護りたい想い人〜