結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

年末はバタバタと忙しくなる為、これが年内最後の投稿となります。

先日、友人と共に『すずめの戸締まり』を観てきましたが、前々から呟かれていた通り、『ゆゆゆ』の世界観と何処となくマッチしてる感じがあり、それほど違和感なく物語を考察できて、良い映画だったと思います。まだ観てない方は、ゆゆゆファンなら必見です。





EV8:ぎっくり腰になりやすいのは、まだまだ若い証拠

「うんしょ……、うんしょ……」

「フゥ……」

 

讃州市のとある畑にて、2人の中学生が10月半ばにも関わらず、汗を流しながら収穫作業を進めている姿が。

カボチャの突然変異によって、重労働が増えた事もあってか、さすがの歌野も童山も、会話する余裕すら失せているようだ。因みに助っ人役の水都は別件で、この場にはいない。

と、そこへ幾人もの団体客が、畑にいる2人に声をかけてきた。

 

「「チワッス歌野さん、童山さん!」」

「ちわっす〜」

「こんにちは〜!」

「こんにちは。ご精が出ますね」

「……こんにちは」

 

やってきたのは、小学生と中学生の銀、園子(中)、晴人、東郷、巧(小)の6人。普段から行動を共にする事の多い面子ではあるが、珍しく不在のメンバーもいるとなると、歌野達も気になった様子だ。

 

「あらみんな。これまたお揃いで、お出かけ?」

「まぁそんな感じだけど、ここが目的地なんだ!」

「ほぉ」

「あらあら!また私の畑に来てくれるなんて!でもごめんなさい。ソバの収穫はもう少し先で……」

「いえ、あの、そういう訳ではなくて……」

 

一瞬期待の眼差しを向ける歌野であったが、東郷が即座に遮る。ソバが目的でないとすれば、と察した童山が、納得した表情を浮かべる。

 

「あぁ、この間のカボチャじゃな。アレならたくさん持って行っても構わんぞい」

「そのカボチャの件で色々お世話になったので、お手伝いしに来ました!」

「来ました〜」

 

どうやら彼らの目的は、晴人と銀(小)の呼びかけで発令された、現在進行中の『ハッピーハロウィン大作戦』において、カボチャのお裾分けをしてくれたお礼として、収穫作業の手伝いをしに来た、という事なのだろう。

 

「そうなの?ありがとう!でも、何だか今日は珍しい組み合わせね」

「そうなんすよ。本当はあたしと晴人だけで行こうとしたんすけど、巧もついてくって言うし、大きい方のあたし達も一緒に行くって聞かないし」

「世話になったのはこっちも同じだからな。ジャックオーランタンの方も出来上がりつつあるから、たまには息抜きも、って思ってな」

「という訳で、今日はリトルミノさん達の保護者的立場なのです〜」

「この前は、ウチの晴人君が色々と迷惑をかけてしまって……」

 

まさに母親と言うべき立場から頭を下げる東郷。

 

「迷惑だなんて!最終的には私の畑が役に立って良かったわ」

「……それにしても、改めて見渡すと、被害も小規模とは言い難いようだな」

 

巧(小)を初め、晴人達も畑に目をやる。造反神側の侵攻により、結界に巻き込まれた畑が被害を受けたわけだが、童山は次のように語った。

 

「アレから色々と見て回ったが、実際に影響を受けたカボチャは一部分だけみたいじゃった」

「じゃあ、全部のカボチャが食べられなくなったわけじゃないのか」

「それは良かったわ」

「そうそう!あのカボチャめっちゃ良かったっすよ!」

「ふふ。美味しく食べてあげる事は出来なかったけど、そう言ってもらえれば、あのカボチャ達も報われるわ」

「それで、何か手伝う事ってあるのかな?耕したり収穫したり、何でもするからさ!」

「じゃったら丁度えぇ。今、大きくなったカボチャを収穫しててのぉ。アレをどかさん事には、他の作物が取れんからのぉ」

「ううむ。確かにまだ残ってるなぁ」

「何だか、メルヘンですな〜」

「流石に馬車に出来る程の大きさはないけど、それでもこれが中々に重くてヘビーなの……」

「それじゃあ、大きな南瓜を収穫するのを、みんなで手伝いましょうか」

「おう!みんなで手伝おう!」

「よぉし!銀様大活躍だ!」

「頑張るよ〜!」

 

そうして、6人の助っ人が加わり、大きくなったカボチャの収穫に取り掛かる一同。大人数という事もあり、作業がスムーズに進むかと思われたが……。

 

「お、おお〜。ホントにヘビーだよ〜……」

「改めて持ってみると、凄いわね……。もう少し増員した方が良かったかしら……?」

「これで食べられたら凄く良いんだろうけど……」

 

想像以上の重量に悪戦苦闘する助っ人達。2人1組でも苦しい様子だ。増員も考える東郷だったが、遊月は大赦に用事があり、中学生の昴と巧もそれぞれ別件で外に出ている為、応援は期待出来そうにない。

そんな中、ゆっくり丁寧にカボチャを運んでいる歌野がこんな事を告げた。

 

「みんな、ヘビーだから腰に気をつけてね」

「大丈夫!これでも師匠からみっちり鍛えられてるんで、足腰には自信あるから!」

「ううん晴人君、畑仕事は腰の痛みとの戦いなのよ!ちょっと気を抜くと」

「あ〜……⁉︎こ、腰がぁ……⁉︎」

 

その矢先の出来事だった。晴人達の目の前で、園子(中)が崩れ落ちる姿を目撃したのは。反対側を持っていた東郷も、支えきれずに大きなカボチャを土の上に落としてしまう。

 

「園子⁉︎」

「大丈夫⁉︎」

「どんなに若くてピチピチでも……、バキッと来る時は来るわ」

「マジか……」

「た〜す〜け〜て〜……、う〜ご〜け〜な〜い〜……」

「慣れない事を張り切ってやった結果だな……」

「ほら、カボチャはあたしが持つから」

「座れるか?ゆっくりゆっくり」

「そぉーっと、そぉーっとよ。イージー、イージーにね!」

 

すかさず2人の銀がフォローに入り、中学生がカボチャの運搬を、小学生が園子(中)の手を取り、人1人が座れるような大きな石の上に腰をかけられるように支えた。

 

「な、何とか座れたよ〜……」

「これって、俗に言うぎっくり腰ってやつかな?」

「そこまでじゃなかろうが、少し安静にしておいた方がえぇのぉ」

「取り敢えず南瓜運びは私達で続けるから、そのっちはそこでゆっくり休んでて」

「たはは、面目ない〜……」

 

助っ人として来たはずが、逆に助けられてしまうシチュエーションに、流石の園子にも反省の色が伺える。

 

「私こそごめんなさい。もっと早く腰について言っておくべきだったわ」

「確かに変な持ち方しちゃったら、腰にきちゃうかもな」

「ついつい、重心が前に行ってしまうものね」

 

改めて、畑作の大変さを実感した一同であった。

 

「いやぁ、東郷さんは元からおっきなカボチャが胸についてますもんね!」

「?やっぱ胸って大きかったら前に体重かかるのかねぇ、巧?」

「俺に質問するな」

 

などと小学生が他愛もない発言をしている姿を見た東郷の反応はと言うと……。

 

「うふふ、またそんな事言って。牡丹餅食べる?」

「また何処から出しとるんじゃ……?」

「あ、相変わらず東郷さんの、小学生組への甘やかしっぷりは凄いわね……」

「そーなんすよねー。あたしが同じ事言おうものなら、そりゃあもう般若の如く……」

 

勿論、銀(中)のこの発言が小声だという事は言わずもがな。

 

「何をやっても言われても、可愛く見えるのです〜」

「そこが小さい方の須美達とは違うとこなんすよ。何でっすかね?」

「何か甘やかされすぎてるって、須美も言ってたような気がするけど……。何か理由でもあるんですか、東郷さん?」

「……」

 

晴人にそう尋ねられた東郷は、返答に迷い、黙り込んでしまう。その様子を見ていた、中学生2人もまた然り。しかし悟られないようにと、銀が素早く手を打った。

 

「はいはい!おしゃべりはこれくらいにして、早く運ぼうぜ!いっぱい働いた後の東郷の牡丹餅は格別だからな!」

「……そうっすね!」

 

そうして園子(中)のぎっくり腰(?)騒動で中断していた収穫作業を再開。1人減ったとはいえ、その後の作業は特に問題なく進行し、大部分のカボチャを畑から取り除いた所で、歌野が声をかけた。

 

「ふぅ。ちょっと休憩しましょうか」

「かなり畑がスッキリしてきましたね!」

「えぇ、お陰で何とかまた畑を耕せそうよ」

「ありがとのぉ」

「みんな〜、こっちこっち〜。お日様が当たって気持ちいいよ〜」

 

園子(中)に呼ばれた一同は、汗を拭いながら彼女の周りに群がる。

 

「園子、腰は大丈夫か?」

「先に休ませてもらってたから、かなり楽になってきたよ〜」

「良かったよかった。どっこらしょ……と」

 

銀(小)のこの発言に対し、東郷が苦笑する。

 

「銀ちゃんったら、相変わらずお年寄りみたいなんだから。よっこいしょういち……と」

「しょ、しょういち……?」

「ど、どっちもどっちじゃな。どっこらせっと」

「ヒア・ウイ・アー……と」

「……独自色が強すぎる」

 

東郷の言葉に首を傾げながら腰を下ろす晴人や童山、歌野。

 

「あ〜、座ると疲れがドッと来る〜」

「ほら晴人君。休憩時の甘いもの」

「おぉ、安定の牡丹餅!」

「その前に先ず手を洗った方が良い。さっき掘り出す時に土まみれになっただろ。銀も」

「「あ、ホントだ」」

 

巧(小)に指摘された通り、晴人と銀(小)の手は汚れており、衛生的な観点から、先ずは手を洗いに行く事に。

 

「歌野さん、童山さん、水道とかって近くにあるんすかね?」

「あ、ごめんなさいね。ちょっと離れた所にあるの。案内するわ」

「ワシも行くかのぉ」

 

そうして歌野、童山、晴人、銀(小)は手を洗いにその場を離れる事に。

すると、一息ついて天を仰いでいる巧(小)に、銀(中)が近づく。

 

「巧」

「?何ですか」

「ちょっとジッとしててな」

 

そう言って持参していたタオルで、巧の顔の左目辺りを擦り始める。初めはキョトンとしていた巧だが、顔から離れたタオルに土がついているのを確認して、納得した。どうやらついさっき、一際大きなカボチャを持ち上げる際、顔半分がカボチャに密着してしまい、その際に土がついたのを気づかないまま運んでいたようだ。

銀(中)は微笑みながら、傷一つついていない、巧(小)の左目に優しく触れる。

 

「頑張るのは結構だけど、自分も大切にしような。みんなと一緒に洗いに行きなよ」

「あ、ありがと……ございます」

 

小っ恥ずかしくなったのか、普段は言い慣れていない言葉を口にしながら、巧(小)は晴人達の後を追うように早歩きで去っていった。

 

「……へへっ。あの感じも、あの頃のままだな」

「そーだね〜」

「そうね。巧君も、晴人君も、銀ちゃんも……。須美ちゃん達も、あの頃と変わってないわ。何だか、懐かしいわね……」

 

でも、だからこそ、哀しくなる。

この先、彼らが辿る、過酷な運命を知っているからこそ、それを口に出して、彼らが知ってしまう事が、内心恐ろしい。その躊躇いが、今の自分達をセーブさせてしまっている。

 

「……なぁ園子、東郷。やっぱちゃんと話した方が良いと思うなぁ。このままモヤモヤしてたら、何か先に進めないっていうか……」

「でも、それが原因でお役目に支障をきたしたら……、先生達も、慎重に対応した方が良いって言われてたでしょ?」

「そーだね〜。取り敢えずすばるん達とも相談するとして〜、……今は、もうちょっとだけ、あの頃のすばるん達と一緒にいようかな〜って思ってるんよ〜。どうしても話さなきゃって時は……、その時は、隠さず話して、うんと怒られて、目一杯謝ろうね。私達は、大赦とは違うから」

「……そうね」

 

話が一区切りついた所で、晴人達が戻ってくるのが見えた。

 

「お待たせ!んじゃ早速東郷さんの牡丹餅、たくさん食べるぞぉ!」

「食べ過ぎると今度は腰じゃなくて、お腹が痛くなっちゃうからビーケアフルよ」

 

晴人の為にと多めに作っておいた牡丹餅が、次々と少年少女達の胃袋に収まる様子を見ながら、とりわけ美味しそうに頬張る晴人のハキハキとした姿を見ながら、東郷はポツリと呟く。

 

「『その日』は近いのかもしれないわね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、休憩も済んだし、作業を再開しましょうか!」

「後少しでカボチャも片付くな!」

 

銀(中)の言う通り、2人がかりで運ぶ必要のあったカボチャは序盤で殆ど畑から取り除かれ、残りは、小ぶりなカボチャが数個転がっているだけで、腰を痛めている園子(中)を除けば、1人でも運ぶのに苦労しない数だ。

体力が回復した面々は、そそくさと小ぶりカボチャを収穫し、ようやく収穫作業も目処が立ち始めてきたのだが……。

 

「後は……、あの一際大きな南瓜かしら?でも、何だか……」

 

東郷がそう呟くように、残ったカボチャは後一つ。これを取り出せばミッションコンプリートなのだが、問題はその大きさだった。

 

「随分大きいな……」

「何故か半分以上、土に埋まってるわね」

「これは、確実に腰にくるやつじゃのぉ」

 

事実、畑仕事をしていた面々も自然と避けていただけに、見た目からも判断できる、その大きさに唸るばかり。

 

「取り敢えず、園子さんは関わらない方が身の為、だな」

「分かってるよ〜」

「園子さんがぎっくり腰になりかけたって、須美達に言ったらどうなるかなぁ」

「ぜ、絶対言わないでねリトルミノさん〜!恥ずかしいから〜!」

「(普段から俺達をそうやって辱めているクセに……)」

 

悪態づく巧(小)だが、今回は黙っておく事に。

 

「じゃあ園子さんは大丈夫だから、他のみんなで掘り出しましょうか。先ずは周りの土を……」

「あ、ちょっと待ってください!ここは先ず、あたしだけにやらせてもらえないでしょうかね」

「何でじゃ?」

「元々はあたしがカボチャのお礼したかったのを、みんなに手伝ってもらっちゃいましたから。最後の一個くらいは、あたしがやるっす!」

「……うむ!良い気合いじゃな!なら腰に気をつけてやるんじゃぞ。厳しいようなら、みんなで手伝うからの」

「うん、腰は大事だよ〜」

「了解っす!」

「……何だか、中学生と小学生の会話に聞こえないわね」

 

そんなこんなで、先ずは銀(小)が1人でカボチャの引っこ抜きに挑戦する事に。腰に気をつけながら、一つ気合いを入れて、思いっきり引っ張り上げる。

 

「行くぞぉ!ふんぬ〜!……あ、あれ?ビクともしない……」

「だから言ったでしょ?埋まってる部分を掘ってからでないと……」

「なんのぉ!丸ごと引き抜いてみせる!うんとこしょ、どっこいしょ!」

「……けれども南瓜は抜けません」

 

ロシアに伝わる某有名な絵本に準えて呟く東郷。その後も挑戦し続ける銀(小)だったが、見かねた巧(小)が、彼女の後方に立ち、息を合わせて引っ張り上げる。

 

「「うんとこしょ、どっこいしょ!」」

「……まだまだ南瓜は抜けません」

「(あ!これ母ちゃんが読んでくれた絵本と同じやつだ!よーしそれなら)……チュウチュウ!お困りのようですな!手伝ってあげましょう!」

「(何で孫と犬と猫をすっぽかした⁉︎)」

 

場違いな困惑をする巧(小)を気にする事なく、晴人は巧(小)の後方に立ち、3人で息を合わせて引っ張り上げる。

 

「「「うんとこしょ、どっこいしょ!」」」

「頑張れ〜!」

「師匠譲りの腕っ節、ナメんじゃねぇぞぉ〜!」

 

晴人の叫び声と共に、更に腕に力を込める3人。

すると、急に大きな音と共にカボチャが地面から離れ、必死に引っ張っていた3人はそのまま尻餅をついてしまう。ようやく抜けた事に喜びを分かち合う……よりも早く、予想外の展開が彼らを襲う。

 

「抜けたぁ……って」

「イィ⁉︎抜いた所から水出てきたぞ⁉︎」

「何じゃとぉ⁉︎」

「な……」

「「何でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎」」

 

呆然とする小学生達に、体についた土を洗い流すかのように噴水が降り注ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……その後、緊急事態として顧問の源道や、巧(中)を呼び出し、応急処置を施した後、水が噴き出た所に簡易的な井戸を作成。何故水が噴き出たのか、原因は依然として分からず仕舞いだったが、畑作に欠かせない資源を確保できた事に、喜びを感じる諏訪組。

三ノ輪銀のトラブル体質が招いた結果ではないだろうか、と推測する巧であったが、その真意は、未だ謎のままであったとさ。

めでたし、めでたし。

 

 

 




皆さんもぎっくり腰には十分ご注意を。

それでは、来年度もご意見・ご感想共々よろしくお願いいたします。


〜次回予告〜


「衣装を決めないとな」

「恋の相談⁉︎」

「大型のバーテックスです!」

「心配ではありますが……」

「あぁ、見てるさ」

「背中を預けられる奴がいるのって、最高だろ?」


〜自作のコスプレを完成させた時の達成感は格別〜

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