結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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『仮面ライダーガヴ』、初っ端からエグい描写が多過ぎて、玩具系の収益、売り上げに響いてこないか、流石に心配ですね……。去年は子供ウケを狙って、カードを変身アイテムとして取り入れていた為、評判は良かったみたいですが。
一応子供向けコンテンツではあるため、下手に大人ウケを狙うと、かえって逆効果、なんて事になり兼ねませんからね……。

それはそれとして、悟いろカップル成立、おめでとうございます!(わんぷり35、36話より)


EV18:寒い日に激辛料理は悪手

「ハァ……。どうしたら良いんだろう……」

 

クリスマスパーティーが盛大に幕を閉じた翌々日。年末に向けて、姉と共に部室に残って掃除を終わらせたばかりの樹が1人、ため息をついていた。

 

「どうした、樹?ため息なんかついて」

「あ、お姉ちゃん、実はね……」

 

と、樹が何かを打ち明けようとするよりも早く、風が待ったをかけた。

 

「あ、ちょい待って!可愛い妹の悩みくらい、顔を見れば分かるわ」

「ホントに?」

「当然よ、樹のその顔から察するに、樹の悩み事、それは……。今日の夜ご飯に何をリクエストしようか、悩んでたってとこでしょ?因みに樹が食べたいものはズバリ、カレーかうどんのどっちかってとこね。けど安心なさい。そんな悩みは、カレーうどんにしちゃえば一石二ちょ」

「……違う」

 

予想通りと言えば予想通りの展開に、樹は更にため息を吐く。

 

「えっ?だとすると、う〜ん……」

 

本人にとっては予想外の反応だったらしく、更に頭を悩ませる。このままでは埒が開かないと思った樹は、包み隠す事なく悩みを打ち明ける。

 

「寒がってる棗をどうにかしてあげたい?まぁ部室にもあんまり来なくなっちゃったし……」

「だって部室は、私も寒いもの……」

「でも、部室はあれ以上の対策は出来ないわ。先生達もそう言ってたでしょ?」

「だよねぇ。でもこのまま部室に来なくなったら、寂しいよ。どうすればいいかなぁ」

「(姉としての名誉を回復する為にも、良いアドバイスをしなくては……!)」

 

妹からの信用が地に落ちかけている姉が、無い頭を振り絞って模索している中、不意に部室へ入ってくる人影が。

 

「内側が無理なら、外側から、変える……」

「調君?」

 

どうやら外回りの掃除を終えた調が、用具を片付ける為に立ち寄った際に犬吠埼姉妹の会話を耳にしたようだ。

だが調の意見も的を得ていると思った樹は、早速プランの大幅な見直しを検討する。

……一方で、おいしいところを後輩に持って行かれたと思った風が、陰ながらその小さな体を睨みつけていた件に関してはスルーさせていただく。

 

「部室を温める以外の方法とはいうけど、中々の難題よね……」

 

すると、部室に新参者の姿が。調と同じく外掃除を終えたばかりの流星と球子だった。

 

「おっ、みんなお揃いで!」

「丁度良い!これより中庭にて雪上訓練改め、雪合戦を執り行おうと思っている!人数合わせの為、是非とも参加してもらいたい!」

「寒いのに元気ねぇ……。ん?そういえばあんた達、ちょっと前までは寒いの苦手じゃなかったっけ?」

 

確かに、神樹と造反神の衝突によって引き起こされた大寒波が直撃した際は、流星はともかく、球子は常に震えながら生活していたように思われていたが……。

 

「それについては造作もない!寒さを克服する、最も簡単な方法、それは、寒いと思わない事だ!心に炎を灯し、常に意識を胸の内に向ける!それだけの事だ!」

「なるほど!寒いと思うから寒い!今日も暑いな〜、とか思っておけば平気になるのか!」

「まさかの精神論……」

 

流石の犬吠埼姉妹も、この脳筋的発想に空いた口が塞がらない。

 

「あ、みんな信じてないやつだなこれ?こうなったら、タマが身をもって証明してやる!」

 

そう言って球子は羽織っていた上着を脱いで腰に巻く。冬真っ只中にも関わらず、何故か半袖を着ていた球子は平然とした表情で仁王立ちしている。

 

「この通り!寒いと思わなければ半袖になったって平気ききききききだ!ち、ちっとも寒くなんてててててて」

「タマ……!」

 

ものの数秒もしない内に体が震え始めた球子に、慌てて背後から抱きつく調。体を密着させることで、少しでも球子を暖めようと尽力している。

 

「どうした球子!これしきの寒さで根を上げているようでは、この後の雪上訓練には到底耐えきれないぞ!」

 

そう叫ぶ流星もまた、いつの間にか上着を脱いで仁王立ちしている。一見すると震えている様子はないが、腕周りに鳥肌が目立つほど立っている。それを見かけた風が、見てる側も寒くなる、という理由で無理やり上着を着させた。

 

「仕方ないわね。こうなったら、風先輩特製の、熱々激辛料理で温まりなさい」

 

そう言って隣の家庭科室の厨房を借りた風が、予め買い溜めしておいたであろう、ある食材を使って料理を始める。

 

「じゃじゃーん!唐辛子たっぷりの、激辛スパイシーうどんよ!」

「……辛そう」

 

そうして流星と球子の前に出されたのは、出汁がマグマを彷彿とさせるような色味を帯びた、うどん。特売で大量に購入した唐辛子をふんだんに使って、出汁だけでなく、トッピングにも添えられたソレは、見るだけでも汗が吹き出そうだ。

調が一歩身を引く中、流星は物怖じする事なく、いただきますと告げてから、躊躇なく啜り始める。

 

「!んまい!香ばしい唐辛子の匂いが鼻の奥を突き刺してくる……!」

「んん〜!辛いけど美味い!全身から汗が吹き出してきたぁ!」

「これを棗にも食べさせれば、悩みもイチコロってことよ!」

「確かにそうかも……!流石はお姉ちゃん!」

「ようやく見直してくれたみたいね」

 

鼻高々に胸を張る風。

と、そこへ家庭科室から聞こえる声に誘われたのか、ダブル昴が扉を開けて入ってきた。

 

「あれ?風先輩、何か作ってたんですか?」

「わわっ⁉︎この独特な匂いに真っ赤な出汁……⁉︎ひょっとしてひょっとしなくても、多量の唐辛子をうどんと絡めて……⁉︎」

「そっ。ほんとは外に出たがらない棗の為に、体があったまる料理を作ってて、それを2人に試食してもらってるとこ」

 

得意げに説明する風。が、これを聞いたダブル昴は酷く慌てた様子を見せる。

 

「そ、それはマズいですよ風先輩⁉︎」

「そ、そうですよ!少量なら血の巡りを良くする為、温まるかとは思いますが、これだけ多量に摂取したら、汗を大量に体内から放出してしまって、逆に体を冷やす事になりますよ⁉︎」

「「……え」」

 

料理の知識では風の格上である2人の指摘を受けて、犬吠埼姉妹がうどんを黙々と啜る2人に顔を向けるが、時すでに遅し。球子は基より、一応痩せ我慢できていた流星の全身は、流れ出る汗と共に体の震えが、一段と増していた。

 

「ごめん、そうだった……。棗に食べさせる前で良かったわ」

「何と⁉︎実験台にされたのか⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして激辛料理プランも失敗に終わり、ますます焦りを覚える風は、この日も棗が部室に来ていない事を確認してため息をつく。

 

「やっぱり、今日も来ないわね、棗」

「まさか、風邪をひいてダウン、なんて事ないよね……」

「いや、そのまさか、みたいだぞ」

 

そう言って部室にやって来たのは、チュッパチャプス(白桃味)を咥えている藤四郎だった。

 

「棗のやつ、風邪で学校に来てないみたいだ。この後、安芸先生が寮に行って様子を見に行くらしいが、お前らも行くか?」

 

藤四郎からの誘いを受け、迷う事なく頷く犬吠埼姉妹。

数分後、棗が住む一室に、副顧問の安芸と犬吠埼姉妹、更には道中で出くわした球子と調の姿が。

 

「わざわざ済まな……ハックション!さ、寒い……!」

「相当な重症ね。とにかく布団に入って、あったかくして」

「やっぱり、寒い日が続いたのがこたえたんですか?」

「分からないが、そうではない」

 

樹からの質問に対し、何故か曖昧な表現をする棗。それを見て、風が何かを察する。

 

「まさかあんた、海に入ったんじゃないでしょうね?」

「お、お姉ちゃん、流石にそれは」

「入った」

「「「「「……はい?」」」」」

 

予想通りで予想外(?)な返答に、5人は空いた口が塞がらない。

 

「こんな寒い中、海なんかに入ったら風邪ひくに決まってるでしょ⁉︎」

「流石のタマでも、そこまでは出来ないな」

「それに、外より海の方が暖かかったぞ」

「んなわけないでしょどう考えても……」

「でも、棗、海に、愛されてる。寒さから、守ってくれた……?」

 

普通ならばありえない考察ではあるが、棗と海の一体感はこれまで何度も目撃している為、否定しづらい。では、何故棗は風邪をひく事態に陥ってしまったのであろうか……?

 

「陸に上がって油断して、薄着でいたらいつの間にか」

「……自業自得ね」

 

それ以外の言葉が思いつかない安芸であった。

しかし、布団を重ね掛けしても、暖房を極限まで上げても、一向に回復の兆しが見えない。

このままでは何の解決にもならない。そう思った風が、何故か人差し指を額に当てながら、意味深そうに呟く。

 

「切り札を使うしかないわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうなったんですか?棗さんの容態は」

「そもそも、切り札というのは一体……?」

 

翌日。部室ではダブル昴と流星、藤四郎が、犬吠埼姉妹と球子、調から結果の報告を聞き出していた。

 

「切り札……もとい最終兵器というのは、こたつなんです。お姉ちゃんと2人で生活するようになってから、あまり使わなくなったけど、捨てるのも大変だったから押し入れにしまってあったやつを引っ張り出してきたんです」

「比較的温暖な気候の沖縄では、まずお目にかかれない代物でしょうね。棗さん、さぞや興味津々だったでしょうね」

「足元からあったまるしな!それにタマ達からは愛媛名物のみかんを用意したんだ!こたつの中で食べるみかんは最高だし、何個も食べられるからな!」

「みかんには、風邪に有効なビタミンCが含まれてますからね」

「後、紅希さんと千景さんにも協力してもらって、漫画やゲームも用意したんですよ」

「中々に大掛かりな計画だったわけだ。……にしても、当の本人は不在のようだが?」

 

藤四郎がチュッパチャプス(サワークリームオニオン味)を舐めながら、話題の中心人物がこの場にいない事に首を傾げる。

それを問われた面々は、複雑そうに呟く。

 

「いや、それが……。こたつが快適すぎて、今度は出てこれなくなっちゃったみたいでして……」

「な、なんと……」

「元気になったのは嬉しいけれど、部室に呼び戻すには、逆効果だったのかも……」

 

揃ってため息をつく犬吠埼姉妹。

こたつは『魔性の家電』と揶揄される事が多いそうだが、棗の様子を見る限り、その表現もあながち間違いではないのかもしれない……。

 

 

 




ここから先、しばらくは諸事情で投稿が遅れる事になりますが、年末までには1、2話くらいは投稿できるように頑張りますので、今しばらくお待ちください。
一先ずは、舞台版『結城友奈は勇者である』を楽しんでいきます!


〜次回予告〜


「年越しそばに決まってるでしょ⁉︎」

「うどんだ!」

「喧嘩すんなや⁉︎」

「理不尽〜……」

「何を隠してるのかしら?」


〜香川では「年越しそば」よりも「年明けうどん」が主流らしい〜



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