結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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本年度最後の投稿となります。

先日、ゆゆゆ10周年という事で、3度目となる聖地巡礼を、友人と共に堪能しました。3年前よりもゆゆゆグッズを取り扱う所が増えていたり、友奈ちゃんの紹介ボイスも聞けたり、そして何より、道の駅とよはまで、念願のサンチョ枕(モフモフで癒されます!)を購入できたりと、至れり尽くせりの2日間でした!

観音寺を初め、ゆゆゆの聖地は何度来てもいい街なので、また訪れる時は、今以上にパワーアップした観光地になってると良いですね。




EV20:晴れ着姿って、妙に緊張するよね

それは、犬吠埼姉妹への晴れ着サプライズが成功し、その流れで初詣を済ませた友奈達が、東郷の家に戻ってきてからの事だった。

 

「今年も幸先よさそうですね」

「姉妹で晴れ着って、華やかで良いよね〜。喜んでくれたし、万々歳だよ〜」

「本当ね。あの2人、きっと神社でも目立ったんじゃないかしら」

 

とりわけ、このサプライズを敢行するにあたり、着物を幾つか用意していた園子や東郷の鼻は高い。

 

「えぇ。とても綺麗でしたね」

「ま、風の方が緊張してガッチガチだったのは笑えたけどな!」

「慣れてないって事だろ。早々着る機会ないしな」

「それが初々しくて良いってとこだな」

 

などと、当時の風の様相を語り合っていた時だった。

 

「ところで東郷さん、園ちゃん。この晴れ着って、後はどうするの?」

「どうって?」

「普段は着ないから、またしまっておくよ〜?」

「さっき巧も言ってたけど、晴れ着なんて着る機会、そんなにないしな」

「なんだか、勿体無いね」

「まぁそもそもそういう話から、みんなで着ようかってなったわけだし」

「今年はふーみん先輩達で時間切れだったけど、また来年があるから、それまでお休み〜」

 

思い返せば、当初は誰がどの晴れ着を着るかで話し合いになり、そこへバーテックスの襲来や、犬吠埼姉妹にはどの着物が似合うかで時間が思った以上に押してしまい、結果として友奈達は晴れ着を身につける事なく、流れるように初詣を私服のままで済ませてしまった。とはいえ土地の奪還も含め、元の世界に戻るまでには何年かはこの世界で過ごす事になりそうだと、ひなたの話を聞いていた園子は、来年度に持ち越す事で納得した様子だ。

 

「ねぇ!私、みんなの晴れ着姿も見たい!」

 

だが突然、友奈は是が非でも皆の晴れ着姿を見たいと、言い出し始める。

 

「はぁ?だからもう時間ないって」

「ていうか、初詣も済ませた後だし、今更着替えたって……」

 

当然、夏凜や兎角は難色を示すわけだが、友奈も負けじと説得する。

 

「だって、こんなに素敵な着物なのに、すぐ仕舞われちゃうの、可哀想だよ」

「着物に対して可哀想って……」

「友奈ちゃんは本当に優しいですね」

 

友奈らしいこの発言に対して微妙な表情を浮かべる巧(中)と、思わず微笑んでしまう真琴。

 

「そういう問題?」

「どういう問題〜?」

「いや、こっちが聞いてるのよ」

「ダメかな?みんなの晴れ着姿。東郷さん、お願い!」

「う、う〜ん……。そうね……」

 

どうにかして今年最初の思い出を作りたいという事で、大親友に懇願する友奈だが、当の本人は、難しい顔つきである。基本的に彼女のいう事には全肯定の東郷といえど、片付けの時間を考慮すると、素直に首を縦に振れないようだ。

 

「ほら友奈。新年早々、わがまま言わない」

「そうだよ、ゆーゆ。言うならもっと、こういう風に〜……」

 

夏凜のお叱りに続いて、園子(中)が何故か声を潜ませて、友奈に耳打ちする。その様子に、蚊帳の外だった男子達は嫌な予感を覚えたのは言うまでもない。

 

「……ふんふん?大好きな東郷さんの晴れ着姿を写真に収めて、枕元に飾っておきたいって、遊月君が言ってるの!だからお願い!」

「⁉︎園子ぉ⁉︎」

「ていうか、そこまであからさまに耳打ちとか⁉︎」

「そうよ!いくら東郷でも、そんな露骨な手には」

「枕元に私の写真を⁉︎遊月君がそういうなら、私からも是非、喜んで!」

「……」

「……そしていともあっさりと引っかかる鷲尾須美であった」

 

数名が絶句する中、東郷は早速床に敷かれている着物を吟味しながら、遊月に問いかける。

 

「それで、遊月君。私にはどれが1番似合うかしら?」

「え?えぇっとまぁ……。東郷なら可愛いし、何でも合いそうな気がするけど……、確かに迷うよなぁ」

「やだわ遊月君。お世辞を言われても、今は人目もあるし、牡丹餅ぐらいしか出ないわよ?」

「あ、牡丹餅は出せるんですね」

「……ていうか、何なのよこの空気」

「安定のラブラブオーラですなぁ〜」

 

例によって2人だけの空間が出来上がってしまい、他の面々が介入する隙すら見せてくれない。

それを見て、やれやれといった表情で踵を返す夏凜。

 

「いつもの事ね。じゃあ私、そろそろ帰るわ」

「あれ?夏凜ちゃん、もう帰っちゃうの?」

「あ、ダメだよ夏凜ちゃん!夏凜ちゃんも着てくれないと!」

「私は結構よ。言ったでしょ?付き合いでここにいただけだって」

 

どうにかして説得しようとする友奈だが、このままでは我の強い夏凜に押し切られてしまう。それを見て、園子(中)が再び友奈に耳打ちを始める。

 

「……ふんふん?あのね!夏凜ちゃんも着物すっごく似合うと思うの!可愛いから!」

「なっ、ぁ……!ふ、ふん!私はそんなセリフには騙されないんだからね!大体、園子の入れ知恵だし!」

 

流石にパターンが読めたからか、簡単には引っかかりそうにないツンデレ勇者。が、友奈の説得はそれだけに留まらなかった。

 

「でも、真琴君とも相談してたんだけど、夏凜ちゃんの着物は、この赤いのって、もう決めてるんだよ?素敵だと思うなぁ!」

「え……、なに、何で、もう決めて……」

「最初に見た時から、これは夏凜ちゃんの色だって思ってたから!ね、真琴君!」

「ひぇ⁉︎は、はい……!夏凜ちゃんのイメージにピッタリだったから、その……」

「……しゃ、しゃーないわね!あ、あんた達がそこまで言うなら、まぁ、ちょっとだけ……」

「やったー!すっごく嬉しいよ!」

「ま、まったく……!友奈ってば、無邪気なんだから……」

「……チョロい」

 

顔を茹で蛸のように染め上げる彼女を見て、小さく呟く者がいたが、軽く興奮している本人の耳には届かなかった様子だ。

 

「耳打ちしといてなんだけど、ゆーゆパワーって凄いなぁ〜」

「?私のパワーって、何のこと?」

「ううん、何でもないんよ〜」

 

実際、セリフ等は耳打ちして友奈にボイスレコーダーのように言わせたようなものだが、その巧みな声色や説得時の雰囲気は、彼女にしか表せない代物だ。園子自身、初めて会った時にも感じたが、友奈一族(?)には、何やら現代科学では説明がつかない、スピリチュアルなものを秘めているのかもしれない。

その後は、流れるように銀(中)にも着物を着てもらうように友奈が説得し、最初こそ訳あって着物を着る事に抵抗感のあった彼女だが、先に言いくるめられた夏凜や巧(中)に促され、少しの間だけならば、という事で、了承を得た。

 

「さぁさぁ、みんな早く着替えて!」

「ちょっと待てよ。友奈、自分のやつを選んでないだろ?」

「あ、そうよ。自分のも選んだの?」

「え?私も着ていいの?じゃあ、どれにしようかな……?」

 

どうやら自分が着る用は勘定に入れてなかったらしく、唸り始める友奈。

 

「この、桜色のが良いんじゃないかしら?」

「意外と、黄色のも似合うんじゃない?」

「オレンジのもアリじゃないか?」

 

などと、3色に絞られたわけだが、どれも決め手に欠けるらしく、本気で悩んでいる様子だ。

これを見て、唐突に目を輝かせたのは言わずもがな。

 

「ほほぅ。これは美味しいシチュエーション〜。板挟みゆーゆ!メモの準備が必要だね〜」

「ねぇ、園ちゃんはどう思う?」

「お……?こ、これは困ったね〜。煽ったツケが回ってきたよ〜……」

 

皆の輪から少し身を引いて、例の如くメモを取ろうとしたその時、友奈から意見を求められてしまい、逃げ場を失ってしまった園子(中)。

それを良い事に、普段から園子にかき回されてばかりだった連中が、ここぞとばかりに、彼女に詰め寄る。

 

「やっぱり、友奈ちゃんには桜色よね?そうでしょそのっち」

「偶には違う色とかが新鮮でしょ?そう思わない、園子?」

「オレンジとかが似合うだろ、園子?」

「あ〜、えぇ〜っと、う〜ん……」

 

流石の園子も、この剣幕に返しが思いつかない。

すると友奈が、園子がいつもそうしているように、メモ帳とペンを手に取って、意見を求め始めた。

 

「園ちゃん!私が代わりにメモを取るから、どっちか決めてくれる?」

「えぇ〜。想定外の謎理論〜」

「お前がそれを言える立場か⁉︎」

「そうていがいの、ナゾりろん……と」

「あ、あの、友奈ちゃん。そのメモの取り方はちょっと違うと言いますか……」

 

すかさず幼馴染みのフォローに入る昴(中)。

 

「で、どうなんだよ園子、正直に!」

「どうするんだ園子。嘘偽りなく頼むぞ」

 

男性陣にも詰め寄られ、いよいよ万事休すか……と思っていた所に、園子が口を開く。

 

「う〜んとねぇ、この際、紫色とかでも良いかな〜」

「そう?」

「ここで新たに選択肢増やす⁉︎」

「毎度思うけど、ほんっとに園子って斜め上いくよな〜」

「アハハ……」

 

ここに来てまさかの選択肢追加。小学生時代に勇者として仲を深めた面々は呆れ、幼馴染みは苦笑いを浮かべる他なかった。

 

「そりゃあ友奈ちゃんにはどんな色でも似合うけど……」

「紫って、あんまり着た事ないかなぁ」

「確かにな、友奈の服のセンスって独特すぎて、母親からも呆れられてたって話だし……」

 

流石は幼馴染みと言うべきか、友奈のセンスの皆無さを誰よりも認知している兎角が、顎に手を当ててそう呟く。

 

「でしょ〜。だったら〜」

「でも、晴れ着は本人のイメージに合わせて、桜色が良いと思うわ」

「いやいや、黄色でしょ」

「オレンジだって十分似合いそうだろ?」

 

ああだこうだと意見が飛び交うが、このままでは数時間前と同じ事のぶり返しになる。そう思った園子(中)が、こんな提案を。

 

「わかった!投票で決めよ〜!」

『投票?』

 

皆が首を傾げる中、手際よく端末を操作する園子(中)。程なくして顔を上げた彼女の提案とは……。

 

「今みんなにメッセージを送ったから、ちょっと待ってね〜」

「えぇ?みんなって、勇者部のみんな?何だか悪いなぁ」

 

まさか年明けを有意義に楽しんでいるであろう面々に、割とどうでもよさそうな内容の投票に協力してもらうとは思ってもみなかったのか、申し訳なさそうな様子の友奈。

すると、1分も待たずして、最初の返信が送られてきて、それを皮切りに秒単位で端末から音が鳴り響いてくるのが確認できた。

 

「な、何だ⁉︎スゲェ早さで返信が⁉︎」

「桜、桜、黄、桜、黄、桜、桜……」

「ほ、ほんとに投票してくれましたよ⁉︎」

「みんなして付き合い良すぎだろ⁉︎」

「暇なのか?」

 

とまぁそんな感じで、5分後には、(2人の顧問も含めた)勇者部全員の投票が終わり、その結果、桜色が圧倒的多数という結果となった。因みに黄色が少々、オレンジと紫に至っては0票だったようだ。

 

「ま、そんな感じだと思ったけどな」

「そうね」

「ごめんね夏凜ちゃん。でも、今年の水着は夏凜ちゃんに選んでもらうから!」

「は、はぁ⁉︎み、水着って、わ、私はそんな……、あんたの水着なんかに興味ないし!」

「それじゃあ、水着もわっしーかとっくんが選んだら良いんよ〜」

「ダメ!私の権利よ!……べ、別に、欲しくて得た権利じゃない、けど」

 

唐突に顔を赤くして捲し立てる夏凜。新年早々、変わらぬ彼女らしさを目の当たりにして、真琴は彼女に見えない位置でニッコリと微笑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして一旦別室に分かれて、女性陣は選んだ着物に、男性陣は予め用意してもらっていた袴姿に着替えて、再び合流する一同。

 

「うっわぁー!みんなすっごく綺麗!」

「お前も似合ってるぜ、友奈」

「にぼっしーも素敵だよ〜」

「あーはいはい」

「おうおう、早速恒例のツンデレっぷり炸裂ですな〜」

「う、うっさいわよ銀!あんただってあんだけ抵抗してた割に、気合い入ってるじゃない!」

「わ!夏凜ちゃんのほっぺも、桜色になってるよ⁉︎」

「ほ、ほっぺ⁉︎べ、別に照れてなんか……!ってか遊月!今どさくさに紛れて写真撮ってたでしょ!気配で見えてんのよ!」

「お、バレたか。中々に良い写真だったからな。この後大赦に顔を出す時に、春信さんに見せようと思って」

「ギャアァァァァァァァァァァァァ!ヤメテェ!」

 

着物を身につけているにも関わらず、俊敏な動きで遊月に飛びつく夏凜。

そんな光景を見ていた兎角が、不意にある事を尋ねる。

 

「そういえば、夏凜もそうだし、昴んとこの兄貴も、大赦勤めだろ?正月とかに、会ったりしないのか?」

「え⁉︎だってそんな、大赦なんて、お正月こそ大忙しだから……」

「夏凜ちゃんの仰る通りですね。兄さんも今頃忙しなく動いてる頃でしょうから。一応行事が落ち着いた3日目ぐらいに、やっと新年の挨拶ができますね」

「本当に大変なんだな。大赦の幹部って」

「遊月君も、本格的に大赦に関わるようになって、大変でしょう?何かあったら、微力ながら手伝えると思うから、すぐに駆けつけるわ」

「あぁ。ありがとな、東郷」

 

皆さん、神事に携わる家庭は何かと今が大変なのだ。

 

「なら尚更、写真送ってやらないとな!」

「だよね〜」

「ヤメテェ!わ、私のこんな姿、見たら絶対変に思うんだから!」

「何でですか?」

「そ、それは……」

「荒ぶった修行中の妹しか見た事がなくて、可愛らしい女の子してる妹を知らないから、とか?」

「うっ……、あながち間違ってるとも言えないから否定しづらい……。だ、だからやめてよね!晴れ着姿の写真とか!」

「もう送っちゃったよ〜」

「な、なぁァァァァァァァァァ⁉︎」

「ウソウソ。こういう事は、自分でしないとね〜。私ってデリカシーあるでしょ〜」

「そういう冗談をやる事自体、とっくにデリカシーないっていうの!」

 

などと一悶着あったものの、友奈の提案で、10人並んでの集合写真を撮って、皆のデータに送り合う事に。夏凜もそれには賛同の意を示し、早速各々の端末で画像をシェアしていると……。

 

「ポチポチッと……。あ、にぼっしーゴメンね〜。さっきの写真、間違って大赦に送っちゃった〜」

「は⁉︎兄貴に⁉︎」

「ううん。大赦の総合窓口に〜」

「な、何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎」

 

今日一の絶叫が、閑静な住宅街に木霊する。

考えてみれば、大赦に出入りする事の多い遊月だけでなく、園子も大赦のツートップの一角である乃木家の一人娘である以上、大赦との繋がりも太い方だ。故に大赦の総合窓口も知っている訳だが……。

 

「多分巡りめぐって、春信さんや、僕の兄さんにも届きますよね、これ」

「で、でもきっと喜びますよ!勇者夏凜ちゃんの晴れ着姿なら!」

「そういう問題か?」

「くぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!ぜ、絶対に今年こそは……!園子にデリカシーの意味を、教えてやるんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

讃州中学2年生一同が和気藹々と晴れ着姿を評価し合う中、彼女はただ1人、今年の抱負を声に出して堂々と叫んでいた。

 

 

 




前書きで言い忘れてましたが、『魔法少女リリカルなのは』、新作テレビアニメ、並びに漫画での新連載、おめでとうございます!実質空白期の中学生時代を描くという事で、待ち遠しいです!

それでは、ゆゆゆも10周年のその先を迎えられるように頑張って参りますので、来年度もよろしくお願いいたします!


〜次回予告〜


「あけましておめでとう!」

「……エンドレス」

「初メモ〜」

「新年早々荒事とは……」

「似合ってるぜ!」


〜お賽銭用に五円玉を用意するのって、結構苦労する〜

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