結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

『わんだふるぷりきゅあ』も大円団に終わり、次はいよいよアイドル路線のプリキュアが登場!しかも今年は同系統の女児向けアニメ、つまりライバル番組が2つありますから、商戦が気になるところではありますが……。とりあえずシンフォギアファンとしては、『プリンセッション・オーケストラ』は外せませんけどね!(ただ、今のままだと仮面ライダー辺りと放送時間が被りそうで辛い……)


EV22:着物にナポリタンはNG

新年早々、着物を中心に様々なイベントに見舞われた勇者部一同だが、ここで最年少組の動向に着目してみよう。

 

「ねぇねぇ、ちょっと奥さ〜ん。お聞きになりまして〜?」

「新年早々どうした?」

「園子のやつ、一体何を始めたんだ?」

 

実家から離れて暮らしている事もあり、これといってする事がなかった小学生6人は、樹海での戦闘後も、部屋に集って暇を持て余していたのだが、唐突に園子(小)の口調が変わった事に、戸惑いを隠せない。

 

「さぁ……。でも、口調から察するに、井戸端会議ごっこ、かしら?」

「イドバダ……何だって?」

「近所の奥様方が外で集まって、雑談や噂話をする事、でしたよね」

「それって、ごっこで成立するものなのか?」

「そ、そっか。よし、井戸端会議だな」

 

何故か気合を一つ入れた銀(小)が、介入を試みる。

 

「ねぇってば、奥さ〜ん」

「ぅ……あ、な、なにかしらん?乃木様の奥様ぁ〜ん」

「勇者部の中2の方々ったらねぇ〜?」

「へぇ、なぁ〜にぃ〜?」

「お友達にお着物を着せて遊んでいるんですってよ〜?」

「あんれまぁ〜、そうですの〜ん?」

「ぶははははっ!ぎ、ギブア〜ップ!そ、それ以上はヤベェ!」

「か、堪忍してぇ!ふふふっ!」

 

流石に限界が来たのか、遠目で観察していた晴人と須美が目に涙を浮かべて腹を抱える。その2人の背後では、巧(小)と昴(小)も背を向けているが、小刻みに震えている。

 

「ちょ、笑いすぎだぞ!あたしはただ、園子に付き合ってやっただけで!」

「だからね!私達もやろーよー!」

「やるって……」

「何を?」

 

唐突に奥様モード(?)から、普段通りの園子に戻った訳だが、何をしようと言うのか。

 

「だから〜、大きな私達みたいに、お正月恒例、着物の着せ替え〜」

「あの井戸端会議の話、続いてたのかよ⁉︎」

「というより、いつから恒例になったのかしら……?」

「今年〜」

「じゃあ恒例じゃなくね?」

「(今年の園子ちゃんも、らしさ全開だな〜)」

「でも、園子先輩達、楽しそうだったし、私もやってみたいな〜って」

 

どうやら戦闘後の会話で、未来の自分達が晴れ着を着ていた事にあやかって、自分達も真似をしてみたい。そんな出来心による提案のようだが……。

 

「私は構わないけど……」

「だけど、それって難しいんじゃないか?」

「ミノさんが、まさかの難色⁉︎」

「難色っていうか、そもそも着物はどうするんだよ?そりゃあ、巧達はいっぱい持ってるんだろうけど、今は家に帰れないだろ?」

「そうね……。考えてみれば、銀の言う通りだわ」

「ていうか、俺はそもそも着物なんて持ってないし。そんな高そうな物持ってる身分じゃないだろ?」

 

確かに、今から着物を着ようとしたところで、肝心の着物が手元になくては、全てが成立しない。ましてや2年前の市川家に、着物を手に入れられるような財力は持ち合わせていない。

が、そんな状況下でも、彼女だけは不敵な笑みを浮かべている。

 

「フォッフォッフォッフォッ……」

「な、何だ……?」

「それって、笑い声、なのよね……?」

「いかにも」

「タコにも」

「話をややこしくするな」

「えへへ、メンゴ〜」

「こんな事もあろうかと、私はちゃ〜んと準備していたのでした〜!」

「「「「「えっ⁉︎」」」」」

 

言うが早いか、部屋を飛び出す園子(小)。皆がその俊敏な動作に固まる中、ややあって外から聞こえてきたのは、少女の呻き声。

 

「う〜ん、うぅ〜ん……。みんな〜、ちょっと手伝って〜……」

「わ、分かったよ!」

「力仕事なら銀様にも……って重っ⁉︎」

「私も手伝うわ!」

 

園子(小)に呼ばれて、玄関に足を運んだ5人は、見るからに重そうな鉄の箱を、男子3人が中心となって持ち上げて、他の3人もフォローに入る。

 

「ってか何だこの箱⁉︎重いし硬いし……」

「呉服箱ね。そのっち、これどこにあったの?」

「あ〜、あのね〜」

「おい、話はこいつを引っ張り出してからにしてくれ」

「そ、そうね」

 

そんなこんなで、どうにかして部屋に運び込む事に成功し、皆は誰に言われるまでもなく、腰を下ろす。

 

「ふー、酷い目にあったね〜」

「それはこっちのセリフだぜ」

「あ、それでね〜。これは、園子先輩の家から持ってきたものだよ〜?」

「こんな重たいものを園子さんの家……っていうか別荘から⁉︎どうやって運んだんだ⁉︎」

「正確には、園子先輩のお家の使用人の人が、8人がかりで車に乗せて持ってきてくれたの〜」

「あぁ、それで玄関に置かれてて……」

「……んんっ⁉︎っていうか8人もの大人が運んだものを、俺達だけで引っ張り出したってのか⁉︎」

 

幾ら源道先生らに鍛えられているとはいえ、見合っていないコスパを前に、開いた口が塞がらない晴人。

 

「正月早々、こき使ってくれるぜ、園子お嬢様は」

「ごめんなさい、うちの園子ちゃんが……」

「アハハ〜、苦しゅうな〜い」

「少しだけ苦しかった……」

 

ともあれ、肝心のブツが手元に揃ったところで、箱を開けて中に折り畳まれていた着物を、部屋の中に可能な限り広げる一同。

 

「1枚一枚見ても、素晴らしい着物だけど、こうして並べると、まさに壮観ね」

「中々良いでしょ〜?」

「中々どころか、どれも最高の着物よ。流石は園子さんの持ち物だわ」

「それ程でも〜」

「いやお前を褒めてる訳じゃ……いや、元々は未来の同一人物のものだから、合ってるの……か」

 

珍しくツッコミの歯切れが悪い巧(小)。

 

「俺達の分はそんなに差異もないけど、女子の分は、色別で迷いそうだよなぁ」

「それで、ミノさんはどれがいい〜?」

「うーん、どれが……って、まさかあたしが着るのか⁉︎」

「正しくはあたし『も』着るのか、よ」

「皆さんで試着する流れですからね」

 

自分も勘定に入れているとは思っていなかったのか、首を横に振る銀(小)。

 

「えぇ⁉︎あたしはいいよ」

「何でですか?」

「だって、着物って重いし苦しいじゃん」

「慣れれば、そんなに苦しくはないわ」

 

そう催促する須美だったが、当の本人が着物を嫌がるのには、別の理由があった。

 

「七五三の時、着物をナポリタンで汚して叱られて以来、苦手なんだよな……」

「何故に和装でそれを食べたんですか……?」

 

尤もなツッコミを入れる昴(小)。

 

「園子先輩、汚しても良いよ〜って言ってたから、大丈夫だよ〜?ミノさん」

「……そういう事じゃないだろ⁉︎あたしの苦しさはどうしてくれるんだよ」

「それはどうしようもなくね?」

「我慢できるわ。銀だって勇者ですもの。半日ぐらいの責め苦は堪えてもらいましょう」

「半日⁉︎責め苦⁉︎」

「新年早々物騒なワードを使うなよ」

「その代わり、ご褒美もあるから大丈夫。和装の着付けと髪結いには自信があるから、私が銀を、絶世の大和撫子にしてあげるわ!楽しみにしててね、巧君」

「何故そこで俺に振る?」

「ってか、あたしの意見は無視かよ⁉︎」

「凄いねミノさん、羨ましいな〜」

 

嗚呼、どうしてこうなった……。

早くも今年の先行きに不安を抱く、牡丹の勇者であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うそ……、こ、これがあたし……?ふ、ふつくしぃ!』

「ってか園子⁉︎勝手にアテレコすんなよ⁉︎」

「アハハ!でも本当に綺麗だもん、ミノさん!たっくんもそう思うでしょ〜?」

「だから何故俺に……。まぁ、似合ってると思う」

「ま、マジで……?」

「うんうん!」

「せっかくですし、鏡の前に立ってみましょうよ」

 

日が傾き始めた頃、ようやく四苦八苦していた着付けも終わり、6人全員が部屋に再度集まり、互いの容姿をカメラに収めていた。女性陣の羽織物は、どれもイメージカラーに沿っており、美しさに磨きがかかっている。

 

「須美、お前どんな魔法を使ったんだよ?」

「魔法だなんて。これは銀の実力よ」

「今明かされる!三ノ輪銀の秘められた女子力〜!」

「か、揶揄うなよ……。でもマジで……、綺麗だなぁ……あ、着物がたぞ⁉︎」

「着物『も』銀『も』、でしょ?」

「うぅ……、そ、そういう須美だって、か、可愛いと思うよな、晴人?」

「へっ?あ、あぁ、似合ってるぜ!」

「あ、ありがとう、晴人君……」

 

若干気まずい空気が漂う中、不意に園子(小)が声色を変える。

 

「ちょっと奥様、お聞きになりまして〜?銀ちゃんと須美ちゃんたらねぇ〜」

「わ、分かったよ!分かったザマス!園子も……イケてる、可愛いよ。そう思うだろ、昴?」

「えぇ、とても似合ってるよ、園子ちゃん」

「わ〜い!すばるんに褒められた〜」

「……ザマス?」

「気にするとこ、そこ?」

 

そうしてしばらく談笑に浸る中、晴人が肩の力を抜いて呟く。

 

「でも良かったぜ。着物も初めて着れたし、こうして6人で正月迎えられたのがさ。元の世界じゃまだそこまで経ってなかったし」

「こっちは小学生6人で戦わなくちゃならないから、大忙しだしな」

「えぇ。ここにいる、大勢の仲間のお陰ですね」

「皆さんには、益々感謝をしないとね」

「私はいつも感謝してるよ〜?」

「こんなに着物を借りておいて?」

「色んな人の言動をメモに認めておいてか?」

「アワワ……。そ、それは今、言いっこなしだよ〜。ミノさんもたっくんも意地悪だよ〜」

「アッハッハ!まぁとにかくさ、今年もよろしくなっ!」

 

今年も賑やかで、最高な一年になりますように。

鏡に映る、晴れ着姿の自分達にそう願掛けながら、晴人は端末のシャッターを切った。

 

 




正月イベントも一区切りつきましたので、次回から久方ぶりに本編に戻ります!


〜次回予告〜


「愛媛か……」

「デカスギィ!」

「遠くから……?」

「タマ、テンションMAXだぞ!」

「先輩冥利に尽きるわ」

「……相手してやるかねぇ」


〜視線〜

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