結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

祝!『キン肉マン 完璧超人始祖編』season3制作決定!
ここからがマジで面白いので、是非観てほしいですね。

さて、今回はツンデレ代表格(?)がメインの回です。


30:Tsundere 〜hot and cold〜

突如として、讃州中学勇者部の面々の前に姿を現した、大赦の名家『赤嶺』の名を冠する兄妹。あまりにも衝撃的な登場は、その後友奈達から2人の顧問に、そして大赦にも伝わり、大赦内部では波乱の如く、様々な憶測が飛び交い、大混乱を極めている、との事。

一方で源道は、そんな大赦の有り様に軽く呆れつつも、実際に表立って戦う事になる生徒達の不安を払拭させようと、警戒心を持ちつつも、普段通りの生活を送るようにと指示を出していた。

幸いにも、あの宣戦布告以来、造反神側に特に目立った動きは見受けられない。向こうも勇者達の実力を測って、策を練っているのかもしれない。ならば神託が降りるその時まで、日常を謳歌する事に決めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……」」

 

そしてここに2人、普段と変わらぬスタイルを貫く勇者達が黙々と、片や部室に持ち込んだゲーム機を、片や名称も分からない工具を持って、忙しく手を動かしていた。

いつもなら自室に篭ってゲームをしている彼女だが、気分転換に外を歩いていて、鋭い日差しにやられかけ、かと言って寮に戻るだけの気力もなく、校舎前にさしかかった所で、部室内に避難しようと思い、目的地に辿り着くと、そこには工具を持って製品の解体作業をしている、隻眼の少年の姿が。どうやら依頼を受けてただ1人、黙々と作業をしていたようだ。目を合わせた直後は軽く会釈をした2人だが、その後はお互い干渉する事なく、扇風機の効いた室内で各々の時間を過ごしていた。

と、そこへ……。

 

「戻ったわよ。はー、良い汗かいた!あら……?」

 

首かけタオルで汗を拭きながら、夏凜が入室する。

 

「あんた達いたの?他のみんなは?」

「委員会とか、買い物とか……色々だろ」

「あぁ、そう……」

「んで、お前は……銀は猫の里親探しで出かけてるから、自主練か?」

「その通りよ。毎日の鍛錬があってこその、完成型勇者だから!」

「ふぅん……」

 

そう呟くと、再び目線をゲーム機に向ける千景。

 

「あんたは、またそれなの?ホント、ゲームばっかよね」

「汗臭いのが嫌いなの」

「悪かったわね!」

「別に今あなたが臭いという意味じゃない。失礼したわ……」

 

バツの悪そうな表情で謝る千景。

 

「そ、それなら良いのよ」

「うん……」

『……』

 

再びの沈黙……正確にはゲーム機のボタンを押す音や、ガチャガチャと金属音が室内に鳴り響いているが、どうにも居心地が悪そうな様子の夏凜が、たまらず声を張り上げる。

 

「ね、ねぇ!ちょっとくらい手を止めて、話でもしてみない?」

「どんな話?」

「どんなってそれは……、まぁ、世間話とか……さ」

「……」

 

興味ない、と言わんばかりに、再び目線を下に向ける千景。

 

「だからやめなさいっての!」

「分かったわよ。そんなに話したいなら、仕方ないわね……。セーブするから待ってて」

 

やれやれと思いつつも、セーブデータを作成する事に。と、そこへ。

 

「……ん、先客か」

「あれ、照彦も用事?」

「いや、忘れ物を取りに来ただけ」

「ならこの後は暇なんでしょ?丁度良かった。あんたの方が千景とは付き合いも長そうだから、あんたからもビシッと言ってあげ」

「何を言ってあげてほしいって?」

 

不意に振り返ると、ものの数秒で夏凜に向き直った千景の姿が。

 

「はいどうぞ、世間話してちょうだい」

「どうぞって言われると、それはそれで困るんだけど……」

 

とはいえここで会話を成立させなければ、じゃあ何のためにゲームを中断させたんだ、となって軽い喧騒になりかねない。こうして巧(中)と、途中参加の照彦を巻き込みつつも、口を開いた。

 

「えぇっと、最近どう?」

「どうって、別に……。三好さんって、話好きなタイプじゃないと思ってたのに、意外ね」

「言われてみればそうだな」

 

照彦も同調するように、この世界に召喚された西暦時代の勇者から見て、夏凜の第一印象といえば、鍛錬に精を尽くす、同期のメンバーで例えるなら若葉に近しい感じだと思っていただけに、こんな風に分け隔てなく話しかけてくるようには見えなかったからだ。

そう言われたとあっては、彼女も気になる点が。

 

「はぁ?じゃあ、どういうタイプだと認識してたわけ?今まで」

「そうね……」

 

改めて、これまでの三好夏凜の言動を思い返し、しばらく思考してまとまった結論はと言うと……。

 

「……ツンデレ」

「ハァァァァ⁉︎」

 

返す刀で発狂する完成型勇者。あまりの煩さに耳を塞ぐ3人。

 

「わ、私が何ですってぇ⁉︎」

「ツンデレ」

 

今度は躊躇いもなくオウム返しする千景。巧(中)と照彦も頷くばかりだ。

 

「どうして急にそんな事言い出すのよ⁉︎」

「園子さんが言ってたのを思い出したから」

 

それを聞いて、何処となくホッとする夏凜。

 

「あぁ〜……。あんた達が個人的に思ったわけじゃないのね?なら安心したわ」

「まぁ、納得はいくけどな」

「何でよ⁉︎」

「だってツンツンしてたかと思えば、唐突にデレるもの……あなた」

「なぁっ⁉︎そんな事ないでしょ⁉︎」

 

それを聞いて、3人は意外そうな表情を浮かべ……。

 

「やれやれだな」

「……無自覚か」

「呆れた」

「あああんたらに言われたくないわよ!」

「「「?」」」

 

顔を真っ赤にしてシャウトする夏凜に、首を傾げる3人。反撃とばかりに、更に捲し立てる。

 

「私は確かにツンツンしてるかもだけど、デレたりなんかしてない!」

「しているわ……。頻繁に」

「それは、あんたの方でしょ⁉︎」

「私はデレたりなんかしていないわ」

 

千景の発言に対し、急に元の表情に戻して口を開く夏凜。

 

「……それ本気?園子ズが『ツンデレちーちゃん』って言ってたわよ?」

「……そんな事言ってるのは、あの2人だけじゃなくて?」

「いやいやいや。私は違うけど、千景はそうでしょ!」

「私は違うけど、三好さんはそうよ」

 

それを聞いて、今度は夏凜が驚く番だった。

 

「無自覚って、怖い……」

「その言葉、そのままそっくりお返しするわ」

「何言ってるのよ!だってあんたがデレてるの、私いつも見てるし!」

「見当違いも甚だしいわね。私がいつ誰にそんな真似を……」

「いや、いつも紅希に」

「……っ⁉︎」

 

紅希の名を出した途端、それまで微々たる変化だった表情が、あからさまに色つきまで変化する事に。動悸が治らないのか、胸を押さえる姿に、流石の夏凜も戸惑いを隠せない。

 

「う……っわ。な、何赤くなってんのよ……」

「な、なってな……ぃ」

「今それは、流石に無理があるでしょ……」

「くっ……!」

 

そう指摘されては、ぐうの音も出ない様子の千景。それを見て、巧がポツリと一言。

 

「今更ながら、その反応を見ると、園子の言う事は正しそうだな」

「それ……、自分の首を絞めてるって、少しも思わないの?」

「……何の話だ?」

「三ノ輪銀さん。普段は面倒な事なんてしないあなたが、彼女の事になると積極的になってるって、園子さん達から聞いてるけど?」

「……」

 

何やら苦悶の様子を見せる巧(中)。

 

「まぁ、デレるってのは言い過ぎかも。ただ、あいつ以外と反応が違うのは確かでしょ」

「そんな……!……そんなに?」

「そりゃもう!さっきの巧の話もそうだけど、紅希の言う事なら、何でも聞いちゃうんじゃないかってくらい」

「そ、そんなつ、つもりは……なぃ……わ」

「声小さいぞ」

「うっ……」

 

照彦に指摘されて、更に縮こまる千景であった。

これ以上千景を辱めると酷だな、と空気を読んだのか、夏凜は続いて照彦に向き直る。

 

「……ねぇ、この際だから聞いておきたいんだけど」

「……何だ(面倒な事に巻き込まれたな……。早く帰りてぇ)」

「あんたにとって、高嶋って何?」

 

その問いに、ビクッとなる照彦。

 

「何って……、どういう意味だ?」

「例えば……友奈と兎角みたいに、幼馴染みとか?」

「それはねぇよ。俺もあいつも、生まれも育ちも四国外だが、出会ったのは丸亀だ。ってか何でそんな事聞く」

「何でって……。高嶋ってやけに照彦に取り繕うっていうか、今日はアレでも、普段からよく一緒に行動してるでしょ?あぁいうの見てると、友奈と兎角の感じに似てるなって思って……」

「……」

 

そう指摘されて、返す言葉が見つからない照彦。しばらく思案している様子を見せたが、やがて首を横に振る事に。

 

「……よく分かんねぇよ。俺はとにかく群れる事が苦手なのに、あいつは無理矢理体ごと捻りこんでくるっていうか。俺を1人にさせないつもりなのか、あいつが誰かの側に寄っていたいから、なのか……。だからあいつの事、良く知らねぇんだよ。……つーかこれ、勝手に決める話じゃねぇだろうから」

「……そっか」

 

未だミステリアスな部分が多い高嶋だが、照彦との関係はさほど悪いようには見えない。

 

「……って、さっきから何なの?いきなり図々しいわよ」

「勇者同士なんだし、戦友の事をもっとよく知りたいと思ってね」

「お節介な奴だ」

「何とでも言って」

 

得意げに鼻を鳴らす夏凜だが、不意に千景が指摘する。

 

「……そういう、あなたの方はどうなの?」

「私が……何?」

「私が見る限り、三好さんがデレるのって、一ノ瀬君に対してだけじゃないと思うんだけど?」

「ハァァァァ⁉︎な、なな何言い出すのよぉ⁉︎どういう事よそれ⁉︎」

 

これを聞いて再びシャウトする夏凜。その反応が面白かったのか、今度はこっちのターンだと言わんばかりに攻め上がる千景。

 

「こっちが聞きたいわ。先ずは、三ノ輪銀さんでしょ?」

「ぎ、銀が何よ⁉︎」

「……分かりやすい人。次に、そうね……結城さんに、犬吠埼さん」

「ふぉぉぉぉぉ⁉︎な、な、な⁉︎」

「あら面白い」

「ば、ば、バカじゃないの⁉︎ふ、風が一体何だったのよ⁉︎」

「(チョロい)」

「さぁ?私には解らないけど……。他に、樹さんとか」

 

それまではあからさまに顔を紅潮させていた夏凜だが、そこで少し熱が冷めたのか、元の口調に戻りつつある。

 

「樹……?樹はまぁ……、危なっかしいから、放っておけないってだけよ」

「じゃあ、鷲尾さん」

「ま、まぁ年下はみんな面倒見てあげないとアレでしょ……アレ!」

「アレと言われても……ね。後……乃木さんは?」

「わ、若葉?若葉ね!尊敬に値する人よ。勇者として。勇者としてよ!」

「何も言ってないでしょ……。乃木繋がりで、子孫の園子さん達は?」

「園子ズ!そもそも、あの2人のせいでこんな変な話に……!」

 

ここで元凶に触れたからか、怒りのボルテージが上昇しつつある彼女に対し、千景はここぞとばかりに仕掛け始める事に。

 

「ここでもう一回……一ノ瀬君」

「えっ⁉︎」

「更にダメ押しで……。犬吠埼さん」

「な、なななな⁉︎」

 

最早自分でも制御が効かないらしく、全身が小刻みに震える様を見て、内心笑みを浮かべるゲーマー。

 

「何というか……。あなたって、節操がないのね」

「くぁぁぁぁぁ……!ど、どうしてそうなるの⁉︎」

「だって、誰の名前を出しても赤くなって……。あぁ、もしかして……」

「な、何よ……」

 

何を言わされるのかと、必死に身構える夏凜。

 

「幼馴染みとか、仲間とか、友達っていう関係自体に照れが生じる……とかなのかしら」

「と、トモダチがどうしたのよ!普通でしょ、普通の関係よ!」

「誰にでも満遍なくツンデレって……」

「それは最早、ただの恥ずかしがり屋だろ」

「そ、そういう事にしておいてあげる」

「という事は……違うの?」

「グゥ……!」

 

幾度となく振り回されて、内心悔しげな夏凜が、これ以上プライドをへし折られまいと、細やかな反撃を試みる。

 

「あっ……!千景、後ろに紅希が!」

「えっ、三ノ輪君⁉︎……いないじゃない!」

「フン!慌てちゃって。いい気味よ!」

「うぅ……!」

 

何故か胸を張る夏凜と、顔を手で覆い隠す千景。見兼ねた巧が、口を開いた。

 

「……なぁ、提案なんだが」

「「……何?」」

「……今日の、この会話。全て、なかった事にしないか」

「良いアイデアね」

「っていうか……、私も同じ事考えてた……」

「だな」

 

とにかく疲れた。

これ以上内面を掘り返されたくない。

そう思いつつも、お互いの一面が知れただけ、今回の対話もそれなりに意義はあったのかもしれない。そう思えるのを願う4人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼らは知る由もない。

 

 

そのやり取りを秘密裏に盗聴していた、金髪の少女2人が額を光らせながら、ネットで書き上げて投稿した新作小説が、かつてない大反響を呼んだ事を……。

 

 

 

 




夏凜はいつ何時もチョロいな(笑)。

そういえば夏の風物詩である『ほんとにあった怖い話』が、今年度は投票形式で、新作は出ないとの事でして、若干落胆している作者であります……。まぁ、今年はフジテレビが大いに荒れて、制作に取り掛かる時間がなかったのもあるかと思いますが……。個人的にはもう少し選択肢を増やしてもらえれば良かったんですよね。
因みに個人的No.1作品は『幽惑ドライブ』ですが。
皆さんもよければコメント等で、どの話が印象に残っているかお聞かせください。


〜次回予告〜


「衣替えはするでしょ⁉︎」

「大人になったわね」

「……やる」

「あの屈辱……!」

「お婆ちゃんの知恵袋?」

「た、助けてくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」


〜暑い日が長くて衣替えの感覚が狂ってる人、挙手〜


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