結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。


今更ながら、まさかのスーパー戦隊シリーズの終了……!
直近で色々な騒動もありましたし、私自身そこまでスーパー戦隊にハマっていた訳ではないのですが、50年近い歴史に幕を下ろすというのは、仮面ライダー派の自分にとっても、寂しいものですね。

既に完結しているゆゆゆにも言える話ですが、皆の記憶から忘れ去られないように、いろんな形で確かに歩んできたものを刻んでいってほしいですね。




EV25:外見よりも中身で評価されたいお年頃

「この間のファッションショーの写真、出来上がりましたよ〜!」

 

昼下がりの部室に、昴(中)の声が響き渡る。先日開催されたファッションショーで、ひなたを中心に撮っていた写真を現像したらしく、部室に篭っていた面々が早速彼の周りに群がる。

 

「5人とも可愛く写ってるなぁ」

「うぅ……。夏凜ちゃんに見てもらう為とはいえ、流石に恥ずかしいです……」

「今回は手持ちの服だけでやったけど、案外盛り上がったよねぇ」

「うん、せっちゃんの服、可愛いのばっかりで楽しかったよ〜」

 

鼻を高くする雪花を褒める友奈。そんな中、銀(中)が、巧(小)がソロで写っているものを手に取り、本人に見せつける。

 

「お、巧見てみろよ」

「……何処か見えない所にやってくれ」

「じゃあ生徒手帳にしまっておくかね」

 

元々同じ写真を複数枚現像しておいたのだろう。手に取った写真を迷いなく自分の生徒手帳に入れる銀(中)。その光景を見て、自分が関わらなくて良かったと、心底ホッとする巧(中)。

そんな銀(中)の様子を見て、小学生組も行動を起こす。

 

「では、銀のは私が」

「わっしーずるーい!私も欲しい〜!」

「え〜、じゃあ私も!」

「私だって欲しいわ!」

 

などと、東郷と園子(中)も加わる様子を見て、笑みをこぼす友奈。

 

「モテモテだね〜」

「いやぁ、ま、そんだけ喜んでくれるなら、やってよかったです。雪花さん、ありがとです」

「どういたしまして。けど、元々は服を買いに行くつもりだったのよね」

 

ふと、事の発端を思い返す雪花。いよいよ暖房なしでも動き回れる程の気候になり、当時その場には居合わせていなかった美羽も、成る程と頷く。

 

「あぁ、もうそんな季節だね。そろそろタンスの中も入れ替えないと」

「そうよね〜、もう衣替えの……しまっ⁉︎タマにオカンくさいって……」

「まだ気にしてたのか?」

「風姐さん……」

「し、してないわ、別に!」

 

今更気にする事はないだろう、と肩をすくめる藤四郎と冬弥に対し、顔を赤くして否定する風。

 

「雪花、じゃあ今度買いに行こうか?」

「お店案内するよ!」

 

と、東郷と友奈の誘いを聞いた途端、ファッションショーの当事者5人の背中に、冷たい汗が滴る事に。

 

「これ、多分すっごく危険な流れだよな」

「ですね。ここは一つ、捕まる前に退散かと!」

「……?誰も追ってきませんね」

「丸見えだからな」

 

そう冷ややかにツッコミを入れる巧(中)。そんな5人を見て、苦笑いを浮かべながら、雪花は語る。

 

「安心して、あんた達のコーディネートは満足したから」

「「「「「ほっ」」」」」

「5人の事も気になってたけど、他にも服が気になってる人がいてねぇ」

「そうなんですか?」

 

どうやらこの5人以外にも、服装についてテコ入れしたい標的がいたようだ。それを知り、何を思ったかハッとなり、思わず身構えるひなた。

 

「……!もしかして、うちの若葉ちゃんを⁉︎」

「ノギーはひなたが付いてるから、そんなにおかしな事にはならないんだけど、ね」

 

事実、服装を初め、若葉の生活スタイルは、ひなたが側にいて成り立っている事を知る雪花は、苦笑いしながら首を横に振る。

では、彼女以外にファッションが気になる人とは如何に?

その答えは、唐突に部室のドアを開け放たれた事で明らかとなった。

 

「はーい、誰か暇な人いない?ちょっと人手が必要な農作業があるんだけど。手伝ってもらえないかしら?」

『……』

 

その場にいた全員の思考が、合致する。

嗚呼、思い出した。

いるではないか。白いTシャツのど真ん中に『農業王』と刻まれている、明らかに異質を放つファッションを常に自分達の前に、堂々と曝け出す少女が。

 

「?どうしたのみんな。農業王への道、トゥギャザーしましょう!」

「だから!農業王って何なのよ⁉︎」

「農作業は農業王!私の将来の夢よ!」

「あの……、多分そういう意味ではないかと……」

「ワッツ?」

 

昴(中)の指摘を受けても尚、首を傾げる農業王に、真琴が声をかける。

 

「今、服装の話をしてまして」

「あぁ、このTシャツね!クールでしょ?」

「うたのん、それは流石にないと思う……」

 

と、横から指摘したのは、彼女に就く巫女の水都。しかしそんな彼女に対し、更に指摘の声が。

 

「……水都、そう言ってるけど、あなたも歌野よりはマシなだけで、大差ないからね?」

「えっ……」

 

予想外の口撃に、頭が一瞬真っ白になる水都。だが雪花の指摘する通り、彼女のセンスも決して良好とは言えない事は、粗方周知済みだ。

 

「あれ?みーちゃん固まってる。どうしよう、困ったわ。誰もいなかったらみーちゃんに手伝ってもらおうと思ってたのに。ねー、他に誰かいない?」

 

……さて、話を元に戻すが、今回歌野が部室を訪れたのは、人手の確保。童山は引き続き農作業をしてこの場にはいないが、広大な土地を耕すのに、2人では今日中に終わらないかもしれない。尚、力自慢の男性部員は、殆ど部活の助っ人や用事等で席を外しており、残っているのは冬弥を除けばインドア派の面子だけとなっている。

 

「こうなったら最終手段!手伝ってくれた人には私から特別にプレゼントを!」

「おっ、そういう事ならこの三ノ輪銀様に」

「待て銀、一応何がもらえる確認した方が良いと思うぞ」

 

何かを悟った様子の、巧(中)の待ったを受け、念の為に景品の内容を確認する事に。

 

「私とお揃いの、このTシャツをプレゼント!」

「……やっぱやめとく」

 

巧の忠告を聞いておいて良かった、と安堵する銀(中)。困っている人を放っておけない主義の彼女と言えど、その見返りは今現在の空気的に、避けるべき案件だと気づいた様子だ。

そんな中、不意に友奈が、普段の歌野の服装について言及する。

 

「歌野ちゃんって、スカート履かないのかなぁ?」

「そういえば、私服はいつもパンツ姿ね」

「スタイルも良いですし、似合いそうですけどねぇ、スカート」

「確かに歌野なら、ミニもロングも着こなせそう!イメージ膨らむなぁ!」

 

などと雪花が唸る中、当の本人が真っ向から否定する。

 

「ノンノン!スカートなんて履いたら、農作業が出来ないわ!制服だけで十分よ!」

「あぁ、やっぱりそれが理由なのね……」

「農業基準かよ……」

 

みたらし団子を食べながら、呆れたように項垂れる照彦。

一方で、水都はそんな彼女をフォローするかのように、こんな事を話し始める。

 

「諏訪では学校も無くなっちゃったから、制服のスカートも履いてなかったけどね」

「そうなの?じゃあ今着てる制服は?」

「これは、ここに召喚された時に神樹様が……」

「なんと!意外なサポートもあったのね」

「それで、若葉さん達と同じ制服だったのね」

「偶然お揃いなのかと思ってたよ〜」

 

言われてみれば、丸亀と諏訪、環境の違う土地で生活していたにもかかわらず、制服が同じだった事に今更ながら気づく面々。神樹のテコ入れで上手く帳尻を合わせたのかもしれない。

 

「だから、諏訪にいた頃は、ずっとこの格好だったの」

「諏訪では物資が足りないって言ってたものね」

「それは……大変でしたね」

 

東郷や真琴がそう呟くように、西暦当時、四国と違って神樹からの恩恵を殆ど受けられなかった諏訪は、生活面でも過酷な生活を強いられ、食糧の支援も必然的に減らされた。

そんな中でも、歌野は周りの大人達を鼓舞し、自らも鍬を振るい続けた。そして3年もの間、童山と共に星屑の侵攻を食い止めてきた。

だからこそ、水都には理解できた。歌野が頑なにファッションを変えないのは、元の過酷な環境が、彼女をそうさせてしまったのだ、と……。

 

「そんな理由じゃないわ!私はこだわりを持ってこの服を選んだのよ」

「そうなの⁉︎」

 

否、訂正しよう。

巫女として3年近く苦楽を共に過ごしてきた彼女でさえも、農業王の口から出たのは、予想外の返答だった。

 

「こだわり……ですか?」

「その、こだわりとは……?」

「動きやすい!汗をよく吸う!日焼けしない!」

「何その三原則⁉︎」

「……独特」

 

風の鋭いツッコミは尤もで、調を含む面々は軽く項垂れる。

 

「ダメだこりゃ……。よし、こうなりゃファッションのいろはを……」

 

雪花が何かを決意したその時、室内にアラーム音が響き渡る。

 

「!樹海化警報です!」

「あぁもう!肝心な所なのに!」

「農作業の途中だったのに!」

「かみ合ってないッスね」

「一先ず続きは、戦いの後で!」

「オッケー!農作業の為にも、さっさとやりましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして樹海化した空間に足を運んだ一同だが……。

 

「歌野!バーテックス撃退したら、服を買いに行くからね!」

「ソーリー、農作業の途中だから付き合えないわ」

「ん?何か服の話で揉めてんのか?」

 

司を初め、外に出ていて諸事情を知らない面々は、何事かと集まり始めた。

 

「だって歌野の服装、流石にあのままじゃ、マズイでしょ?」

「確かに、ちょっと気にはなってたけど……」

 

杏らが同調する中、歌野も頷きながらこう語る。

 

「うんうん。私もこのままじゃ良くないと思ってはいるのよ」

「自覚してたんかい⁉︎」

「なんだ、それなら話が早」

「破けたポケットの穴、そのままにしといたら、この間大変な事が起きたのよ」

「……ん?」

 

何人かが前のめりに崩れる中、歌野は淡々と当時を振り返る。

 

「ポケットに入れといた種が知らないうちに、全部溢れてて。気がついたら種を食べに来た鳥達に囲まれてたの。驚いたわ、アハハ!」

「アハハ、じゃないわよ!女の子が穴の空いた服なんてありえないし!」

「そうなの!貴重な種を無駄にしちゃって、本当、ありえないわ!」

 

全然噛み合っていない。ここまで来ると、最早指摘するのが億劫になる。事実、ダブル巧も、関わるのを拒んでか、2人から距離を置いて待機しているのが丸わかりだ。

 

「……とにかく戦闘が終わったら、新しい服、買いに行くからね!」

「気持ちは嬉しいけど、種まきで忙しいのよ。……あ、そうだ!こんな時こそ、ポケットに種を入れておけば、自然と……」

「もう、良いから買い物に!」

「ダメよ、農作業が!」

「買い物に!」

「農作業が!」

 

そんなやりとりを見て、不意に何人かが呟く。

 

「なんかこの感じ、どっかで……」

「何だっけ……?」

「!思い出した!大晦日の、若葉さんと歌野さんのうどん蕎麦論争!」

「残念だが、今回も決着のつかない戦いになりそうだな……」

「もう良いから!先ずは目の前のバーテックスとの決着をつけるわよ!」

 

これ以上は埒が開かないと感じた風の号令で、向かってくる敵に集中する事に。

 

「ハァ、ハァ……!買い物に!」

「ハァ、ハァ……!農作業が!」

「まだやってたのかよ」

「あぁいうのは関わらないのが一番だな。近づくと火傷する」

 

誠也も、これまでの勇者部の動向を見習ってか、積極的に首を突っ込むのは危険と判断したようだ。

と、ここで『買い物・農作業論争(?)』に動きが。

 

「……わ、わかったわ。そこまで言うなら……」

「分かってくれた?美味しい食べ物を生み出す事よりインポータントな事はないの」

「ちっがーう!さっき手伝いを探してたよね?私と一緒に買い物に行って服を買うなら、その後農作業手伝うわ!」

「取引までし始めたぞ⁉︎」

「必死ですね……」

「でも歌野ちゃん可愛いから、可愛い格好してみてもらいたい気持ちは、私も分かるよ!」

「どう?悪い話じゃないでしょ?」

 

そんなやりとりを見て、若葉は確信めいたように呟く。

 

「残念だが無理だろうな。大晦日の件も、結局譲らなかった歌野の事だから……」

「タマもあのくらい強くいられたら、逃げ切れたのかなぁ……」

「まだ気にしてたのか」

「タマっち先輩の意思が弱かったお陰で、私は良いもの見れました♪」

 

……一瞬、杏の邪の面が垣間見えたような気がするが、ここでは触れないようにしておく。

 

「グゥ……!こうなったら、歌野には何がなんでも逃げ切ってほしい!」

「大丈夫だ。歌野なら逃げ切れるだろう」

「オッケー、乗るわ!その取引!」

「えぇぇぇぇぇ⁉︎」

 

だが若葉達の思惑とは裏腹に、歌野はその提案を承諾する事に。

 

「まさかの取引成立!」

「やったね!可愛い歌野ちゃんが見れる!」

「となったら先ずは、目の前の厄介な連中を片付けちゃいましょ!」

 

とまぁ、俄然やる気になった雪花を筆頭に、気がついた時には敵も殲滅し、その日は前衛メンバーの活躍は殆どないまま、世界は元の空間に戻り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワォ!こんなロングなスカートで、田んぼに入ったら泥だらけになるわ!」

「田んぼに入る前提で選んでないから……。あと、靴はこれね」

 

そうして公言通り、部室を離れて、友奈と東郷が紹介した服屋に足を運んだ歌野。加えて高嶋を含めた数名が、付き添いでついてきている。

尚、農作業のヘルプには、

 

「さっき戦闘の合間に、流星達に頼んだら、片付けが終わったらその足で手伝ってくれるそうじゃ。だから暫くはそっちの用に出向いてて構わんぞ」

 

と童山が語るように、流星らが駆けつけてくれるらしく、雪花もこうして服選びに専念できるのだ。

 

「ダメだめ、ハイヒールなんて農作業には……あ。でもそうね!これはいいかも!」

「どしたの突然?もしかしてようやく、ファッションに目覚めた⁉︎」

「この靴で畑を歩けば、種まきに丁度いいサイズの穴が開けられるわ!」

「……ブレないなぁ、歌野は。そんな使われ方、靴が可哀想。別のにしよ」

「グッドアイデアだと思ったのに」

「いいから、早く着替えてきて!」

 

とまぁそんなやりとりが続き、いよいよ試着の時間となった。

 

「うん、やっぱり見立てた通りだわ!こっちは準備オッケーだよ!」

「やったー!じゃあカーテン開けるね!」

「「じゃじゃ〜ん!」」

 

そうしてダブル友奈の手で開けられたカーテンの向こう側には……。

 

「「可愛い〜!」」

 

雪花のコーディネートで選ばれた、大人じみた服装に包まれ、ホホォ、と本人も納得の様子で自身の容姿を見ていた。そんな歌野の隣には、これまた可憐な服装に身を包んだ水都の姿が。

 

「……ねぇ、何で私まで」

「歌野さん、モデルみたいでカッコいいです!」

「でしょでしょ?雪花さんがコーディネートすれば、この通り!」

「いーなー、私もせっちゃんに選んでもらいたいなー、ね、ぐんちゃん!」

「た、高嶋さんと、ペアルック⁉︎」

「いや、そうは言ってないだろ……」

 

などと、異様に興奮している千景を他所に、若葉が不意に疑問を投げかける。

 

「所で歌野、さっきはあんなに嫌がっていたのに、今は断らないんだな」

「私は着飾るのが嫌いなわけではないわ。優先順位が違うだけよ!」

「プロポーションがいいので、体にフィットする服が似合いますね。若葉ちゃんもそうなんですよ」

「でしょでしょ?」

 

流石は将来ファッションデザイナーを目指しているだけあって、そのセンスは光るものがあるようだ。

一方で友奈も、本日の主役の隣に並び立つ、彼女の存在も忘れる事なく褒めちぎる。

 

「水都ちゃんも可愛いよ!フワフワしてて、女の子らしいのがすっごく似合ってるよ!」

「は、恥ずかしい……」

「みーちゃん、ベリーキュートで素敵!偶にはオシャレ、した方が良いよ!」

「……うたのんには言われたくない」

 

尤もな事を呟く水都。

ともあれ、これで少しは農業王もファッションに目覚めてくれればいいのだが、と切願する雪花だが、その道のりは北海道特有の広大な一本道よりも、長く険しいものになるだろう。

 

 

 

 




最近急に寒くなってきましたね。
皆さんも体調管理に十分お気をつけください。


〜次回予告〜


「将来の、夢……」

「海と共にある事……」

「予想通りだな」

「妹と聞いては黙っていられません」

「みんな凄いなぁ……」


〜夢を叶えた時の達成感は、何事にも勝る宝物〜

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