結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜 作:スターダストライダー
『プリンセッション・オーケストラ』では、まさか(いや必然だったか?)ナビーユがラスボスになるとは……。まぁシンフォギアで前例(『終わり』の名を冠する者による策略)があったが故に、そこまで驚きはしなかったですが……。
加えて『名探偵プリキュア』では事実上敗北回、そして『仮面ライダーゼッツ』はまさかの夢オチ。何だか情緒不安定になりつつありますが、また空いた時間に投稿していきたいと思います。
「はぁ……」
「どうしたんですか風先輩?ため息なんかついちゃって」
「またのっけからテンションの浮き沈みの激しい部長様ね」
もう慣れた、と言わんばかりの夏凜。
自身に問題事があると、何かとため息から始める事の多い勇者部部長。そんな彼女の悩みを、今回は妹が代わりに説明した。
「それが……、お姉ちゃん、明日の身体測定の事を考えたら、憂鬱でうどんも喉を通らないらしくて」
「なんと⁉︎」
「うどんが喉を通らないとは、相当だな……」
流星や若葉が驚く中、言われて初めて気づいた様子を見せる者達が。
「そういえば、明日は全校挙げての身体測定だったな」
「そうよ、その通りなのよ兎角。……嗚呼、やっぱりこの世界でも行われるのね」
ため息混じりにそう呟くように、明日は年に一度の、香川県全域の学校で一斉に身体測定が行われる事となっている。何故一斉に行われるのかは定かではないが、神世紀となって人口や土地が極端に減った結果、統計も容易に行われるようになったのかもしれない。思えば大赦によって実施された次世代勇者の適性検査も、これらのデータを基に選別されていた。
さて、話を元に戻すが、来たる日に備えて、そういった体型の維持に敏感な年頃の彼女が取った対策方法はというと……。
「お姉ちゃん、体重が気になって昨日から絶食中なんです」
「えぇ⁉︎」
「そんな1日2日で体重が減るわけないでしょ!」
「いやいやこれが結構、お腹も凹んで良い感じでさ……」
「でも、体に毒ですよ?」
後輩達に心配されるも、どこ吹く風と言わんばかりに、断食の成果を惜しみなく語る風。
そんな中、神世紀300年組を除く面々が確認を取る。
「その身体測定って、タマ達も受けなきゃいけないんだよな?」
「という事は、俺達小学生組もか?」
「あぁ、全校挙げての大規模なものだからな」
チュッパチャプス(はちみつ味)を舐めながらそう呟く藤四郎は、特に身体測定というものに畏れをなしていないようだ。
たまらず声を上げたのは、メンバーきっての低身長、土居 球子だった。
「ぬぅ……。なぁ夏凜、一晩で身長が伸びるサプリとかないもんかな?」
「あるわけないでしょ!身長も体重も、一朝一夕で何とかなるもんじゃないわ!」
「じゃあ、せめて胸が大きくなるサプリとかさぁ」
どんな無理難題な注文を、と周りが冷め始める中、銀(小)が異議を唱えた。
「えぇ?球子さん、身長はあたしも欲しいですけど、胸は流石にアレじゃないですか?高望み、というか……」
「なぬ⁉︎銀、お前はあのたわわに実った双峰は要らぬと申すか⁉︎」
「タマっち先輩、またそういう事を……」
呆れ顔の杏。だが今の球子には、その視線を受け入れる余裕はない。
「そりゃあ、たわわに実ったアレには憧れますけど、あんまり大きいと流石に戦闘の邪魔になりそうだし……」
そう呟く銀(小)の視線は、困惑気味の同級生に向けられている。
「な、何で私を見るの……?」
「ま、まぁ限度ってものはある。確かに東郷くらいあると、戦いにくそうだよな」
本人なりの見解を述べる球子だが、突然名指しされた本人は戸惑いを隠せない。
「え……?べ、別にそんな事は……」
「「ホントか?」」
「けど実際、そこん所はどうなんですか、東郷さん?」
ダブル銀に疑いの視線を向けられ、更に晴人が純粋無垢な様子で尋ねてきたので、本人としても答えないわけにはいかなくなったようで、しどろもどろに回答する。
「た、確かに……。うつ伏せに寝そべって狙撃する時は、ちょっと邪魔かも……」
「それ見た事か!」
「何でちょいキレてんねん?」
「戦闘に支障をきたすなら早急に改善せねばならない!ほれ、うつ伏せがアレなら、仰向けでやってみれ!」
「え、ここで?でも、勇者にならないと銃が……」
唐突な注文に戸惑う東郷だが、いくら実演の為とはいえ、それだけの理由で勇者システムを起動するなど、以ての外だ。
だがそんな心配を払拭するかのように、友奈が外廊下に設置されている掃除道具入れから、箒を取り出して突き出してきたのだ。
「東郷さん、銃の代わりに箒持ってきたよ!」
「用意いいなオイ」
「(いやいや友奈、流石に今回はその優しさを発揮する場面じゃねぇだろ……)」
「東郷さんならきっと出来るよ!ファイト!」
「や、やってみるわ……」
「やるんかい!」
友奈の献身的な行いに心が折れたのか、早速地べたに仰向けになる東郷。
「何でここまで大仰な事になってんだ?」
「大真面目に見えて割と楽しんでるのがねぇ……」
「こ、こうかしら……?あら……?や、やっぱり仰向けは違うような……」
「い、いや、その胸で固定とかしてみたらどうだ?」
「こ、こう……?」
言われた通りに箒の持ち手を、隆起している2つの塊で挟んでみるが、それが逆に双峰の山を強調させており……。
「何てアメイジングな光景なの……」
「み、見てる方も恥ずかしい……」
「……バーテックスにハニートラップとか効くのか?」
「視線誘導という戦術か」
「セクシーですなぁ」
「えぇ⁉︎そ、そういうつもりじゃ……」
「ちょ……!もう良いだろ球子!これ以上東郷にそんな辱めは……!」
見兼ねた遊月が箒を取り上げて、東郷を抱き起こす。その際、東郷の顔がこれでもかと朱色に染まっていたが、その事に指摘する者は誰一人としていない。
そんな一連のやり取りを見て、それまで黙っていた千景が、彼女にしては珍しくモジモジしながら隣にいる少年に声をかける。
「……ねぇ三ノ輪君」
「はい?」
「やっぱり、その……。あぁいうのって、大きい方が良いのかしら……?」
「ど、どうって言われてもなぁ……」
ほぼ平地な身体に手を当てつつ尋ねる少女を前に、流石の紅希も返答に困っている様子だ。
そんな彼に代わって応えたのが、普段から行動を共にする少女だった。
「そりゃそうだよー!包容力があって、あったかい感じ……憧れるなぁ〜」
「……!」
ハッキリそう言われてしまっては、本人もやる気スイッチが入ったのか、バストアップの策を練り始める千景。
そんな彼女を見て、若葉が心配そうな顔つきになる。
「?どうした千景、胸でも痛いのか?」
「ち、違うわよ!ホント、デリカシーのない人!」
「えぇ⁉︎」
逆ギレされるとは思わず、困惑気味の若葉。とはいえ地雷を踏んだのは彼女自身の為、幼馴染みも助け舟を出すつまりはなさそうだ。
「まぁでも、東郷さんが実演してくれたお陰で、胸の大きさは戦闘に支障をきたさない事がわかったな!」
「そうなのか……?」
「よく分からん」
「アタシも一端のレディーですから!やっぱり大きいに越した事は無いって思うんです!」
「そ、それを言われると……。私もお姉ちゃんくらいに胸は、欲しい、けど……」
同じコンプレックスを抱えている樹も、銀(小)と同調する中、年長者よろしく、風がこんな意見を述べた。
「フフ、そう言ってくれるのは嬉しいけどね、樹。胸の大きさは、イコール体重増加に直結するのよ!」
「えぇ⁉︎」
「な、何だってぇ⁉︎」
「うどん食べずに腹凹ませても、お胸ばかりはどうにもならぬ……」
こればっかりは切り離せない悩みなのだ、と眉を八の字にしながら沈み気味に語る風。
それを聞いて、銀(小)の目線が未来組に向けられる。
「じゃあ……。2年後のあたしらって、実は結構胸の大きさのせいで体重に悩まされてたり?」
「どうかな〜?」(byミステリアスな雰囲気の園子)
「あたしがそんな悩み抱えてる風に見えるか?」(byちょいキレ気味な未来の自分)
「……軍事機密です」(by色んな意味でガードの固い東郷)
芳しくない収穫だったが、それで諦めるはずもなく、銀(小)の次のターゲットは……、
「じゃあひなたさんとか、美羽さんは?」
「え⁉︎わ、私も別に……」
「そ、そうだね。お風呂上がりに誠也と一緒にチェックするけど、ちゃんと維持出来てる、と思うけど……」
「嘘つけぇ!そんなけしからん胸しておってからにぃ!」
「……球子さん、また吊るされたいんですか?」
「ひなた、今回は俺も手伝うぞ」
「ごめんなさいでした」
誠也の無感情な一言が効いたのか、返す刀で土下座する球子。何故か可哀想に見えたのか、関係ないはずの調もペコリと軽く頭を下げ出す始末。
「うーん、それじゃあ杏さんは?」
「え、私?」
「杏さんも、立派なものをお持ちですし、何か日々弛まぬ努力をして体重維持をしているのかと」
自分達と歳が近い事もあって、羨ましい所もあったのだろう。だが杏の口から出た返答は、銀達の想像を大きく裏切るものだった。
「私は……、昔から病弱で、ご飯もあんまり食べられなかったの」
「え……」
「だから今は、元気な体でご飯をたくさん食べられるだけで幸せで……」
「「杏……」」
「……」
彼女の事情をよく知る球子と司、そして調が堪らず寄り添う。
日常生活を送る中で、食事は1日に必要なエネルギーを補給できる大事な習慣だ。そんな当たり前の行動がどれだけ大切な事か。とりわけ食事に気を遣うダブル昴には、その有り難さが身に沁みている事だろう。
そしてその影響は、彼女にも伝わっていた。
「……そうね。元気に美味しくうどんを食べるのが一番よね。アタシ、どうかしてたわ」
「お姉ちゃん……」
「明日は、ありのままのアタシを見せつける!身体測定がなんぼのもんじゃい!」
「そうっすね!正々堂々、行きましょう!」
「うむ!諸君らの健闘を祈る!」
流星の号令に、一同……主に女子部員達が奮起する中、若葉が首を傾げながら一言。
「?元を正せば、悩んでいたのは風さんだけだったような気がするが……」
「そこは言わぬが花、だぞ」
そして。
半日を費やして、『身体測定』という名の戦場を戦い抜いた者達の動向に目を向けてみよう。
「で、どうだった?身体測定」
「ま、可もなく不可もなくって感じだな」
「俺も」
「……ハァ」
「で、こっちは珍しくテンション低いな」
「色々吹っ切れた連中は、気楽でいいよな……」
「?」
いつになくげっそりした様子の球子。そんな彼女に代わって、杏が気まずそうに答えた。
「タマっち先輩は、その……、身長が……」
「そんなに伸びてなかったって感じか」
「いえ、伸びるどころか……縮んでいたらしくて」
「な、何ですとぉ⁉︎」
「ご愁傷様」
「わ、笑うなよぉ!違うんだよ!あれは不正だ!ちゃんと顎を引ききらないうちに測られたんだよ!」
「低身長あるあるだな」
思わぬ結果を目の当たりにし、敢えて笑い飛ばす者や、哀愁漂う視線を向けたりと、反応は様々だ。因みに球子を慰めている、部員の中でも低身長の調は特に身長は伸びなかったそうだが、体力は成長しているらしく、体力テストの項目において、前年度よりは良くなっていたらしい。
「で、風はさぞかし良い結果だったんだろうな!」
「んー、まぁね。断食の甲斐なく体重は増えてたけど、その分バストは増えてたから」
「む、胸が大きくなった分、体重も増えたってのか……」
「ま、痛み分けって所ね」
そう呟く風だが、昨日の一件で吹っ切れた分、さほど精神的ダメージは受けていない様子だ。
同志を得られなかった事に腹を立てたのか、より一層喚き始める球子。
「余裕の表情だったのはそういう事か!じゃあ、東郷とひなた、それに美羽は?」
「「「⁉︎」」」
「どうせ3人も大きくなったんだろ!お陰で体重も増えただろ!」
「ど、どうしてそこまで怒っているのか分かりませんが……」
「……私達は標準体重だったよ?」
「標準体重まで増えたんだろ!なぁそうだろ!そうだと言ってくれよぉ!」
「ノーコメントです」
あくまでドライな態度を取るひなたに、ぐうの音も出ない様子だ。
「いいなぁ、私は前に測った時と全然変わってなかったよ」
「私もそうだけど、瞬発力と握力は結城ちゃんに負けちゃったなぁ……」
「ま、そこまで引け目を感じる事ないだろ。お前は、お前だ」
「照くん……!うん、そうだね!ありがと!」
各々が自主的に結果を報告する中、若葉はひなたにこう問いかける。
「所でひなた、お前は体重が増えてたんじゃないか?」
「え⁉︎ど、どうしてそれを……」
「やはりか。ひなたの事は、膝枕の具合で微妙な変化が分かるからな」
幼馴染みなら当然の事だ。
誇らしげに胸を張る若葉に対し、目から光を無くしたひなたは、刃物を向ける代わりに、一言突き刺した。
「……若葉ちゃん。当分の間、膝枕はナシです」
「な、何でだ⁉︎」
お前が地雷踏んだからだろ。
2人のやり取りに気づいた何人かが、狼狽している若葉に鋭い視線を向けるが、これ以上ひなたに干渉するのは危険だと判断したのか、誰一人として口を出す事はなかった。
余談ですが、『魔法少女育成計画』2期が、1期の丁度十年後に放送決定。しかも1期を再放送と、大きく動き出しましたね。以前、ハーメルンで投稿していた『魔法少女育成計画×仮面ライダー龍騎(完結済み)』も、宜しければアニメの履修も含めてこの機会に読んでいただければと思いますので、よろしくお願いします。
〜次回予告〜
「行きましょっかお姉様」
「順調すぎるような……」
「……海⁉︎」
「何だこれは……!」
「こーんな風に」
「これが、新しい攻撃方法……」
〜試練(前編) 〜もう一人の自分〜 〜