結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

あの『名探偵コナン』と『名探偵プリキュア』が、局の垣根を越えてコラボするなどと、誰が推理出来るんですか……?
これだから人生は面白い。


36:星空の下で

「よし、この辺で良いな!ここを我々の宿営地とする!」

『オォーッ!』

 

赤嶺兄妹の精神攻撃を跳ね除け、愛媛の土地を新たに奪還する事に成功した、とある週末。勇者部一同は球子発案の下、解放された土地の一角である河原へ訪れていた。目的は勿論、アウトドアで親睦を深める事にあり、経験者である球子を中心に、早速準備に取り掛かろうとするのだが、隊長改め土居 球子より、次のルールが提示された。

 

「いいか?これはキャンプじゃない、サバイバルだ!ここにいる間は文明の利器の使用を禁止する!」

「えぇ⁉︎」

「お〜、本格的〜!」

「それじゃ、早速料理班、テント設営班、食料調達班にチーム分けするぞ!」

 

そうして球子が有志を募った結果、友奈、兎角、藤四郎、若葉、調、司、銀(小)、晴人、ダブル園子、誠也が手を挙げ、彼女達は拠点から少し下った所へ、食糧の調達へ。残りの面々でテントor料理を担当する事となる訳だが、残りのメンツで料理班へ配属される人員は、大方決まっていると言っても過言ではない。

 

「それじゃあ僕達は料理の準備ですね。美味しい料理を振る舞えるように、今のうちに道具の手入れをしましょう」

「はい!」

 

ダブル昴が俄然張り切る中、杏がふと思い出したように呟く。

 

「……あれ?そういえばタマっち先輩が言う、文明の利器って、マッチも含まれるんでしょうか?」

「だとしたら、包丁も鍋も駄目なのかしら……」

「それじゃロクな料理作れないじゃない⁉︎」

「バナナの葉があれば、蒸し焼きに使えるんだが……」

「こんな場所に生えてる訳ないしな……」

「まさにサバイバルだな」

 

思わぬ制約を前に、ダブル昴は基より、風や東郷、ひなた、美羽もお手上げ状態だ。それを聞いていた照彦が面倒臭そうに呟く。

 

「そこは適当で良くねぇか?」

「どーかん。食料調達班が戻って来た時に、火が起こせてない方が怒られそうだし」

「確かに」

 

ならば、とマッチに手をかけようとする杏だったが、不意に歌野が待ったをかける。

 

「でも面白そうだし、やってみない?火起こし。ここで慣れておけば、もしもの時に役立つわ!」

「なら、火起こしは歌野に任せるわ」

「うたのん、大丈夫……?」

「ノープロブレム!先達もこうやって火を起こしてきたからこそ、今の私達があるのよ!きっと火は起こせる!」

 

そんな熱気に惹かれたのか、この男が火起こし役に買って出た。

 

「うむ!その心意気良し!俺もやってみようぞ!」

「サンキュー、流星君!」

「私も手伝おう」

 

そうしてすぐ近くの森の中に入って、良いあんばいの木の板と棒を調達した棗。それを受け取った流星が、早速板に穴を少し開けてから、一心不乱に棒を擦り合わせていく。

 

「ムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ……!」

「ハッスルよ流星君!」

「点かなかったらどうするんだろう……?」

 

そもそも、摩擦熱を利用して火を起こすには、どんな素材やコツが必要なのかの知識も曖昧な中、無謀にも程近いような行為をしている歌野と棗、流星を見て、一抹の不安を覚える水都であった……。

その一方で、残りの面々はテント設営に励んでいたのだが、ここで現場の指揮を執る事となったのは、手先が器用なダブル巧ではなく、意外にも夏凜であった。

 

「テント設営は、先ずは場所選びが大切よ!雨が降っても大丈夫なよう、水捌けが良い所ね!」

「お、頼もしいじゃん!」

「これくらい当然よ!設営開始!」

「色々教えてくださいね」

「樹、そっち持ってくれ」

 

ペグを打ち込む動作は部活動で慣れている事もあってか、ダブル巧の活躍が輝くのだ。

そんな中、嫌々ムード全開の者がため息をつき始める。

 

「……ハァ」

「どうした千景?もう疲れたのか?」

「それもあるけど……。私は調君に似てインドア派だから、こういうの苦手で……。外でご飯食べたり寝泊まりする意味が分からないわ」

「だな」

 

照彦も同情する中、高嶋はハッスル全開だ。彼女がそこまでして奮闘するのには、ある理由があった。

 

「そっかー。でも、山で見る星って凄く綺麗なんだよ。街の明かりが届かないから」

「へぇ……」

 

どうやら彼女はサバイバル……というよりはキャンプの経験があるようだ。思えば、高嶋が勇者になる以前はどのような生活を送っていたのか、照彦は基より、西暦勇者の誰も知る由がない。無理に聞き出そうとも思っていないが、彼女自身が話そうとしないからか、ずっとミステリアスな関係が保たれている。

 

「(って、何で俺なんかがあいつの事を聞き出そうとしてんだか。あいつはアイツ、俺はオレ。結局はそこに行き着くんだから)」

「夜、一緒にテントで寝っ転がって観れると良いね!」

「……なら、もう一踏ん張り、頑張りますか」

「うん、照くん!」

 

とりあえず、高嶋が喜んでいられるなら、それで問題ないじゃないか。そう自分に言い聞かせて、千景や紅希と共にテント設営の完了を目指す事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、食糧調達班が辿り着いた先には、比較的穏やかな渓流が。事前にリサーチしていた球子からの情報によれば、この辺りには川魚が多量に生息しており、節度を守ればある程度は多めに獲っても問題ないそうだ。

 

「よーし、釣り竿完成!これで大漁は約束されたも同然!」

 

と、自前の釣り竿を組み立てた球子の側で、誠也が呟く。

 

「?なぁ、釣り竿って、文明の利器に入らねぇか?」

「言われてみれば……」

「……ここは、手掴みだ!掴み取りだぁ!」

 

……そこは切り替えの早い腕白少女。釣り竿を置いて、早速川に飛び込んでいく。他の面々もそれに続くが、経験者よろしく若葉が口を開く。

 

「しかし球子、川魚は意外とすばしっこいぞ。これは中々……」

「む、ムズい……」

「ちょっと無理があるんじゃ……」

 

流石の晴人も、水中で激しく逃げ回る川魚を前に、苦戦を強いられている。だが、彼女は屈する様子を見せない。

 

「なにおう!これしきで諦めてタマるか!見てろお前達!タマの掴み取りを!」

「おぉ!」

 

現場慣れしているのか、川魚は次々と球子の手の中でのたうち回っている。そのペースは、釣り竿を使うよりも遥かに上回っていると言っても過言ではない。

 

「球子先輩すご〜い!」

「川登りしてる鮭みたい〜」

「その例えはどうかと思うが、確かに早いな」

「……どうやら私は、球子の実力を見誤っていたようだ」

「負けてられん!」

 

男性陣も、負けじと川魚に腕を伸ばしていく。

最初こそ苦戦していた面々も、慣れ始めると岩の奥や浅瀬に追い込んで捕まえたりと、工夫して捕まえられるようになった。が、日が傾き始め、そろそろ人数分の食材は調達できたと思って水から離れ、改めて各々が捕まえた川魚を比較したが、結果は火を見るより明らかだった。

 

「いやぁ、大漁たいりょう♪」

「結局、釣果の殆どは球子の手柄だったな」

「やるじゃねぇか、球子」

「これだけあれば、すばるん達が色んな料理にしてくれますね〜」

「ま、まぁざっとこんなも……っくしょん!」

「タマ……!」

 

慌てて彼女の背中に引っ付き、暖を取ろうとする調。思えば殆ど水の中に足を入れていた球子は、全身も濡れており、身体もかなり冷えてしまっている。

 

「かなりずぶ濡れだな。早く戻って着替えた方が良いぞ」

「いやいや、向こうでも焚き火が出来上がってる頃だし、そっちに当たって乾かす方が早いかも」

 

そう言って球子達が確保した食糧を手に、拠点に戻ってきて真っ先に目に飛び込んできた光景は……。

 

「ヌォォォォォォォォォォォォォォォォ!」

「オールモストよ!」

「(料理班が恨めしい目でこっちを見てるような……)」

 

ソワソワした様子の水都に見られながら、目を血走らせながら木の棒を板に擦っている流星。そして応援に徹している歌野と棗の姿が。

 

「⁉︎今、火が点かなかったか⁉︎」

「え、えぇ確かに!でも何で急に……」

「!分かったわ、エアーよ!」

「えあー?……ふむ、空気か!」

「ザッツライト!私達には空気が足りなかったのよ!木の下に穴を掘って、空気の流れ道を作れば……!」

「むむ!今までその考えに至らなかったとは……、一生の不覚!」

「人類の叡智の火はすぐそこだ!海もそう言っている!」

「……って、まだ火点いてないし!」

 

ようやく我に帰って、ツッコミを入れる兎角。

 

「心配無用!これより点火に入る!」

「こんなの、マッチでつけちゃえば良いんだよ。う〜、さむさむ」

「え、ちょ」

 

水都が呼び止める間もなく、何処からともなく取り出したマッチに火を点け、予め組まれていた木の山に放り込むと、火はあっという間に天高く噴き上がった。

 

「な?あっという間だろ?いやぁ文明の利器様々だな!」

「文明の利器使用禁止発言はどこ行った⁉︎」

「……ま、細かい事は気にするな!」

「「「……」」」

 

これまでの徒労は何だったと言うのか。流石の流星も他の2人と同様、摩擦でめくれた手の皮の痛みが気にならなくなる程、空いた口が塞がらない、といった様子だ。

ようやく暖が取れてホッと一息つく球子、そして段々と温かくなって元気そうになる彼女を見て体を寄り添う調。そんな2人を見つめながら、水都は問う。

 

「……巧君」

「?」

「『正しい』って、何なんだろうね」

「俺に質問するな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁそんなやり取り(?)が踏まえ、調理において文明の利器使用許可が自然な形で下りたからか、ようやく本領を発揮した調理班は、捕獲した川魚を含め、道中で手に入れた食用の山菜を加えた料理を作る事に成功。全員の胃袋に収まった所で、一同はテントの中から夜空を見上げる事に。秋も本格的に到来した事もあって、綺麗な夜空に秋を代表する昆虫の音色が重なり、風情を醸し出していた。

 

「綺麗だね……」

「綺麗ッスね」

「鈴虫も鳴いて、何て風流なの……」

「お家の窓から見上げるのと全然違って見えるね、お姉ちゃん」

「ホントね……。心が洗われるようだわ」

「……ま、山ならこれくらい普通でしょ」

「情緒もへったくれもないな、完成型勇者は」

「う、うるさいわよ銀!感慨に耽るとか、性に合わないのよ!」

 

などといつもながら騒がしい雰囲気で夜空を眺める者もいれば、

 

「こうして落ち着いて星を見るのは久しぶりだ」

「……そうですね、若葉ちゃん」

「ZZZ……」

「タマっち先輩、お腹一杯になった途端、ぐっすり寝ちゃいましたね」

「……タマ、大活躍」

「そうだな。寝かしておいてやろう」

「?どうしたの照くん?そんな怖い顔して」

「いや……。ただ、周りが騒がしすぎてさ……。もう少し静かに観ておきたいっていうか……」

「……ねぇ照くん?どれか分かる星座ある?私はねぇ……」

「……」

「……あれが友奈一族の凄いとこっていうか。天然なのか狙ってやってるのか」

「うふふ。とっても仲良しさんだね」

「そういうあんたらも大概よねぇ。一緒のマットに寄り添って星空を眺めるとか、今時の熟年夫婦でも真似しないっしょ?」

 

静か……とも言い難いかもしれないが、落ち着いた様子で夜空を眺める者もいる。

 

「……やっぱり、四国の勇者達には、こういう夜空は珍しいんだな」

「そうですね。北海道とか沖縄じゃ、これが普通でしたもんね」

「あら、それだったら諏訪も負けてなかったわ。ねぇ、みーちゃん」

「うん。同じくらい、綺麗だった……」

「北海道なんて、これに加えて条件が揃えば、オーロラだって観れたんだよん♪」

「オーロラって、虹色に輝く、あの……⁉︎」

「スッゲェ!」

 

やはり壁の外の世界は別格だ。神世紀を生きる少年少女達には、魅力的な発言に他ならない。だからこそ、元の世界に戻れたら、壁の外を自由に行き来できる環境を取り戻す事が出来るなら。俄然意欲が湧く神世紀組。

 

「私も、一度は見て観たかったな」

「もう、見れないかもだけど。例え、元の世界に戻れたとしても……」

「……」

「戻ってもどうせ暗闇しかないんだったら……。ここの星空でも良いかなって、そう思うんですよ」

 

それ以上は、折角の雰囲気を壊しかねないと察しているからか、多くは語ろうとしない雪花。

何処か哀愁漂う、高嶋と同様に、未だに自分について多くを語ろうとしない北海道の勇者。その黒い瞳は、何を捉えているのだろうか……。

 

 

 

 

 

 




次回からまた暫く、イベントストーリーを軸に投稿してまいります。


〜次回予告〜


「哲学若葉?」

「「レッツ農業!」」

「サトウキビ……?」

「良い案だと思ったのになー」

「しだれ桜、見れるよ!」


〜桜って縄文時代から自生してるって知ってた?〜

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