結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

キュアエクレールの正体が遂に判明!とはいえ、個人的には敵ボスであるウソノワールの妖精姿、そしてお供妖精であるシュシュタンのまさかの潜伏先、という2大インパクトに持ってかれた感がありますが(笑)。
でもそれ以上に、今回候補に挙がっていた他3人の、今後の物語との関わり方に期待したいですね。


EV30:才能は何処で開花するか分からないから面白い

若葉とひなたの願望により実現した、満開の桜の下でのお花見。

軽食も腹に収まり、軽い運動や外観を堪能したりと各々が有意義な時間を過ごす中、部員達が一同に会する現場が作り出されていた。

 

「……で、招集を受けた訳だが何するんだ?」

「ひなたの提案で、西暦時代に流行ったゲームをするらしいぞ」

「はい。題して『山手線ゲーム』です」

「ヤマノテセンゲーム……?」

「お、聞いた事あるやつだな!」

 

紅希ら西暦組の何人かは心当たりがあるらしく、相槌を打っていたが、冬弥ら神世紀組の何人かは首を傾げている。

それを見越してか、ひなたがゲームのルールを説明する。

 

「あるテーマやジャンルを決めてお題にして、それに沿った解答を順番に答えていく遊びです。答えられなかったり、一度出たものや無関係なものを答えても負けになります」

「答える順番は時計回り、とかですか?」

「それについてですが、今回、解答の順は、球子さんが持ってきてくれたボールを使いたいと思います」

「なるほど。解答後にボールを投げて、受け取った人が答えていく、って訳だな」

「ちょっと難しそうだけど、楽しそう!」

 

友奈を初め、興味津々な反応が見て取れる中、球子が口を開く。

 

「思いっきり投げて、相手が取れなかった時はどうするんだ?投げた方が勝ち、とか?」

「別ゲーになるから無しで」

 

即座に拒否する巧(中)。ゲームの方向性に支障をきたしかねない為、この横入りは妥当と言えるだろう。

 

「なら、取れないボールを投げた人も失格、と言う事で」

「賛成。その辺りを明確にしないと、ドッジボールに発展しかねん」

「私は……そんな事しないわよ」

「た、タマもしないぞ!ちょっと確認しただけだかんな」

 

発言者の球子のみならず、夏凜も否定する中、銀(小)が不意に手を挙げた。

 

「あの……ものすんごく初歩的な質問なんですけど、『ヤマノテセン』って?」

 

それに対し答えたのは、横にいた千景。

 

「技の名前よ。両手から電車が飛び出す必殺技。このゲームを極めたら修得できるかもしれないわ」

「ホントですか⁉︎カッコいい」

「ちょっと待て千景!お前サラッととんでもねぇ嘘を子孫に植え付けるなよ⁉︎」

「……え?」

 

本気で間に受けそうな様子を見て、慌てて先祖が嗜める。見開かれた目を向けられて、不適な笑みを浮かべる千景。

……とまぁそんな一悶着がありながらも、一同は輪になって、ゲームスタート。最初にボールを高く上げて、手に取ったプレイヤーから始まる事となり、その結果、最初にボールをキャッチしたのは……。

 

「わっ!受け取っちゃった」

「じゃあ友奈、先ずはお題を」

「えっと……、お題は、勇者部部員の名前をフルネームで!」

「すぐ終わっちまうぞ⁉︎」

 

部員総勢38名のフルネームを部員全員で、となれば、一人一答が必然となり、すぐに終わってしまうのではと懸念されたが、すでに賽は投げられた、と言わんばかりに友奈が部員の名前を告げる。

 

「久利生 兎角!はい!」

「い、いきなり俺か!……じゃあ、結城 友奈!」

「おっとワシか。なら……、神奈月 流星!」

「って言いながらワイかいな!ほんなら……西園寺 司!」

 

と言った具合に、次々とボールが宙を舞っていく。

やはりこの手のお題では、全員に回って、最後に残ったプレイヤーが答えられなくなるまで続く……と思われていた最中、中盤辺りで、ゲームは思わぬ動きを見せる事となる。

 

「古波蔵 棗さん。いくよー、タマっち先輩」

「受け取った!こんなの楽勝だな!じゃあタマは……西園寺 司!」

「あ」

「おっと。球子、脱落だな」

「なんでだっ⁉︎」

「司の名前は、奏太が口にしていた」

「せやな!」

 

堂々と胸を張る奏太を見て、ハッとなる球子。この手のゲームでは、記憶力も問われる。彼女も、この時になって山手線ゲームの難易度を理解したようだ。

 

「!そうか……!このゲーム、誰が何を言ったのかを覚えてないといけないのか!」

「ムズッ……⁉︎」

「案外奥が深いなぁ」

「球子って、山手線ゲームやった事ない感じか?」

 

神世紀組も、ゲームの肝を理解したのか、徐々に自信をなくしていくのが表情から見て取れる。

それが証拠に、球子の脱落から間もなく、何人かが答えの重複が原因で脱落する事となった。

 

「大分人数も減ってきたな……」

「なぁ、この辺りで一旦お題変えてみないか?」

「賛成です。宜しければ、少し難易度を上げてみても良いかと」

 

ある程度人数が減ってきた所で、ここまで残っていた誠也がお題の変更を提案。昴(中)も賛同する中、雪花がいち早く挙手をする。

 

「なら、名城……日本のお城の名前ってのはどう?」

「……!そのお題でやりたいです!」

「これは負けられない戦いね、須美ちゃん」

「俺は……あまり詳しくはないな」

 

そう呟いたのは、大赦に頻繁に出入りするようになった遊月。戦いに一区切りつき、大赦に保管された資料を閲覧する機会も増え、四国の外にあった世界の事も習得できるようになったが、流石に日本中の城名を把握できている訳ではない。

そんな彼を安心させるように、東郷が口を開く。

 

「だったら、私の唇の動きをよく見ていて、口パクで答えを」

「ダメに決まってるでしょ⁉︎」

 

堂々と不正を働こうとする東郷を咎める風(当然の事である)。

そんなこんなでゲームは再開。先手は、現時点でボールを保有している歌野からとなった。

 

「長野の名城の一つ、松本城。はい、みーちゃん」

「え⁉︎えっと……江戸城!」

「お、俺⁉︎えぇっと……丸亀城!」

「……!(こ、紅希の野郎……!俺知ってるの丸亀城しかねぇのに……!)」

 

思わず表情を強張らせる司。その微々たる変化を、雪花は見逃さなかった。

 

「松前城。……司さん、お覚悟!」

「いや卑怯すぎだろぉ……!」

「こりゃあ隙を見せるとやられるぜ……!」

 

一気に難易度が上がり、唸る兎角。

事実、殆どのプレイヤーが1つ2つは答えられるものの、後が続かなくなり、最初のお題と打って変わって、自ら降参する者達が続出。

 

「げ、限界、です……!」

「う〜ん。私も、ここまでかな」

「気にするな。私も、首里城しか答えられなかった」

 

棗がそうであるように、大抵の者が地元の城名しか答えられず、何とも言えない気持ちで後方に下がっていく。

それを見て、早々に脱落した司がゲッソリとした表情で呟く。

 

「これ、さ。脱落せずに答え続けてる方が異常な気がする」

「あいつらのやりとりを見てれば、そうなるわな」

 

藤四郎が、チュッパチャプス(さくらんぼ味)を咥えながら顎でしゃくるその先では……。

 

「二条城。このお城は歴史的にも外せません。15代将軍足利 義昭の居城、見てみたかったです」

「う〜ん、岡山城はまだ出てないですよね?これほどの名城も中々ないと思います」

「岐阜城……稲葉山城とも言うらしいわね」

「清洲城。織田 信長が天下統一を目指す拠点となった城だ」

「熊本城。加藤 清正が改築したこのお城もそそるよねぇ」

 

何故か、解答の度に己の持ち得る雑学を披露している光景が。

 

「……っ。ここまでか」

「残るは5人……。ここからは、雑学とかは無しで回していくか」

「構わないわ」

 

誠也がギブアップした時点で、残りは歴史に精通している東郷と、同一人物である須美。そして千景、雪花、照彦の5人。このままでは時間がかかり過ぎてしまうと思ったのか、以降は城名のみを答える事となりそうだ。

 

「惜しかったね、誠也」

「誠也も案外、お城詳しかったんだな」

「一応、地元愛知にある城とか、教科書に載るレベルのやつは抑えていたけどな。照彦が狙ってかは知らないけど、清州城を言われた時点で詰んでた」

「それにしても……、東郷や須美はまだ分かるけど、あの3人がここまで善戦するとは」

「雪花は、お城巡りが好きだと前に言ってた」

 

棗からその情報を聞き出した瞬間、アッと短い悲鳴をあげる兎角。

 

「!やられた……!今回のお題は雪花が提案してたやつじゃん……!」

 

お題の変更に対し、意気揚々に発案したのはこれが理由か。嵌められた、と言わんばかりに項垂れる一同。

そんな中、関心が向けられたのはこの2名。

 

「私もしては、千景と照彦がここまで残っているのは意外だな」

「ぐんちゃんは、お城建てたり領地を拡げていくゲームとかもやってたから、そのせいかも」

「あぁ。ゲームに出てくるやつなら、調べそうだしな」

「千景も凝り性な所があるからな……」

「でも……照くんはどうだろう?」

 

千景や雪花がこの手のお題に強い理由は、彼女達の趣味を知っていればある程度納得はいくが、照彦の場合は、その限りではない。好物のみたらし団子を初め、甘いものには目がない性格の彼が、どうやってその知識を得ているのか。

 

「そういえば……。久我家は京都でも指折りの名家だと言われていますが、もしかしたら、彼も兄と同様に英才教育を受けていて、その影響で地理に詳しくなった、とも考えられますね」

 

ひなたが代表して答える中、次々とマニアックな名城を口に出すプレイヤー達に動きが。

 

「川越城」

「二条城」

「?それってさっき言わなかったか?」

「待って。二条城と呼ばれるお城には複数あるのよ?最初に言ったのは足利 義昭の居城で、今のは徳川 家康が作ったものを指しているわ」

「それは否ね。そうであるなら、先に言った方は『旧二条城』と称するべき」

「っ!」

「東郷……、お前の負けだ……!」

 

東郷の必死な弁明も虚しく、何故か目力を強くして指を指しながら、彼女の敗北を宣言する照彦(後に聞いた所、とある漫画がドラマ化した際、劇中の決め台詞を言ってみたくてこんな口調になった、との事)。

一方、東郷も込み上げる悔しさをギリギリの所で留めて、膝から崩れ落ちる。

 

「無念……!されど、二条城で果てるなら、本望……!」

「いやもうハイレベルすぎてついてけれん」

「勝負の内容も、東郷の精神性もハイレベルだわ……」

「あれ?流星の姿が見えないが」

「あいつ、最初の方で脱落してから退屈だったのか、向こうで銀達とアスレチックで遊んでる」

 

見れば、最初の方で脱落していたメンバーの殆どは、退屈を凌ぐ為、敷地内に点在している遊具で戯れていた。

そうして東郷脱落後も、次々と城名が出される中、4人の先鋭達にも限界の色が見え始めた。

 

「若、松城」

「……萩城」

「金山城。これはまだセーフよね?」

「唐津城……だな」

 

どうにかして絞り出している様子の4人。

とはいえギャラリーの殆どは、別の意味で疲れ始めていた。

 

「4人になってから、まるで終わる気配が……」

「日が暮れそー」

「大丈夫。間もなく決着がつくわ」

 

アスレチックでの遊びも飽き始めて戻ってきた晴人に対し、何故か自信満々に答える東郷。何人かが訝しむ中、その時は突然訪れた。

 

「う〜ん。白河、小峰城!はい、須美ちゃん」

「……参り、ました」

「惜しかったなぁ、須美!」

 

晴人が彼女の健闘を讃える中、残された3人は苦笑いを浮かべている。

 

「まぁ、鷲尾さんの負け、というか……」

「何かゴメンね」

「いいえ……、こうなる感じは予期していた、といいますか……」

「……はい?」

 

意味がわからず、前のめりになる銀(中)。側にいた東郷も、納得した様子だ。

その疑問に答えたのは、腕を伸ばしてリラックスしていた照彦だった。

 

「雪花が言った小峰城が、ここまで唯一被りのなかった名城だったからな」

「⁉︎って事は、次にボールを受け取った奴は、もう答えられるものが無くて、敗北確定だったのか⁉︎」

 

今回のお題では、暗黙の了解で一般見学が可能な城……約200種類の城名が発表されていた(かつては日本に4、5万程の城があったとされているが、定義が曖昧な為、実総数は不透明)ようだが、まさかそれら全てを被りなく解答していた事に、違う意味で畏怖を覚えるギャラリー達。

 

「ま、そういうこった」

「す、スゲェ……」

「恐れ入りました」

「そ、それじゃあ戦い抜いた4人に拍手!」

 

戸惑いながらも、風の号令で4人に惜しみない拍手が送られる。

一方、讃えられた側は、何とも小っ恥ずかしい気持ちに苛まれた。

 

「何だか気恥ずかしいわ」

「大好きなお城を言い合ってただけですからね」

「いやぁ、我ながらマニアックなお題を選んじゃってちと反省。凄く楽しかったけどね」

「まぁ次やる時は、動物の名前とか、メジャーなもので回していった方がいいかもな」

 

照彦がそう呟くように、気がつけば日も傾き始めており、一同はレジャーシート等を片付け始める。

余談だが、歴史に強い東郷や須美を除いて、思わぬ形で地理歴史の才能を発揮した3人に、その後数日は頭が上がらなかったそうだ。

 

 




猛暑日が続きますが、皆さん、体調管理に気を付けてお過ごしください。


〜次回予告〜


「1年間うどん食べ放題!」

「私には選べないっ!」

「個性的なのは事実だしな」

「随分拘っとるのぉ」

「学校で、一番……!」


〜ハードルの上げ過ぎは自滅の基〜

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