結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜 作:スターダストライダー
リリカルなのは新作も無事に完結しましたが、令和らしさが詰まった、面白いストーリーでしたね。シイナとトワの対比がよく描かれていて、引き込まれる内容だったと思います。願わくばこのまま劇場版StS編も作って欲しい所ではありますが、そこは気長に待ちましょうか。
そして10月からは魔法少女育成計画の2期がスタート!こちらは胃が確実に痛くなるデスゲームなので、今のうちに胃腸薬を準備しておかなくては……(笑)。
「コングラッチュレーションね!」
「?何の話?」
勇者部の依頼で外に出ていた東郷達が戻ってくるが早いか、歌野から賞賛を受けて戸惑う一同。
最初は思考回路が停止していた面々だったが、すぐに司が納得した表情を浮かべる。
「この間の絵画コンクールのやつか。勇者部からは園子、東郷、巧、真琴、照彦。それから須美、園子ちゃん、巧君が入賞したんだったよな」
「やるなぁ東郷」
「うふふ。遊月君の励ましもあっての結果よ」
安定のラブラブオーラを放つ2人を片隅に置き、他の部員達からも入賞者に労いの言葉をかけられる。
「へぇ、やるじゃない真琴」
「ま、まさか入賞するとは思わなかったなぁ……」
「やったね照くん!」
「……そんなに褒められる事か?」
「須美も園子も巧もスッゲーな!」
「そういえば風の噂で聞いたんだが、園子ズの合作、プロの芸術家の目にも留まるレベルだったって」
「悔し泣きしたって噂よ!」
「んなっ⁉︎て事は今日から、ライバルはプロの芸術家!」
銀(小)がオーバーリアクションをする中、園子ズの反応はというと……。
「いや〜、それは偶々なんよ〜」
「そうそう、それに私達のライバルは〜………」
「ライバルは?」
「自分自身だよ〜」
「ね〜」
「……なぁ若葉、園子って本当にお前の子孫か?」
「どういう意味だ⁉︎」
司から疑いの目を向けられる若葉。一触即発になりかけた所を、部長が割って入る。
「まぁまぁ2人とも。こういうのは血筋より本人の素質でしょ」
「確かに、樹と風姐さんが同じお題を描いても、捉える部分は全然違うッスもんね」
「なるほど」
「今の冬弥の例え、すっごくピンときたな!」
そんな中、水都がこんな話を振ってきた。
「でも、うたのんは風景画で残念だったね」
「畑を描くのも楽しかったけどね!」
「残念って……?」
「うたのん、風景画もそこそこ上手なんだけど、野菜のデッサンは物凄く得意なんだ」
「みーちゃん、そんなに褒めなくても……。野菜好きならあの位は当然よ」
「普通の人には、あのクオリティは無理だと思うよ……」
「え、そんなに上手いのか?」
苦笑いする水都を見て、兎角も興味を示したようだ。
「うん。野菜の絵のコンクールなら優勝できたかも」
「な、なぁ!ここに描いてみてくれるか?」
「オッケー。どんな野菜がいい?リクエスト、受けるわよ!」
「じゃあ無難な所から……トマトときゅうりで」
そうしてお題が提示されるが早いか、鉛筆を用いて紙に描き込み始める歌野。あまりにも無駄のない動作に、東郷達も目を見開く。
「え?何も見ないで描き始めてる」
「野菜の姿なら、頭の中にパーフェクトにインプットされてるから、当然よ!……はい出来上がり!トマトときゅうり、おまけでナスも添えて」
「早いしクオリティマジで高っ⁉︎」
「写真と見紛うレベルだぞ⁉︎」
出来上がった野菜を目の当たりにして、驚きを隠せない一同。野菜の繊維だけでなく、影の部分も事細かく描写されており、よりリアリティが強調されている。
「それ大袈裟すぎよ。他にリクエストは?」
「じゃあちょい難しめなのはアリか?」
「野菜なら何でもウェルカム!」
「よし!それじゃあ、ミントとパクチーと三つ葉と、それからモロヘイヤ!」
「……タマ、イジワル。ほぼ同じ」
「流石に厳しくないか……?」
あまりにも無茶難題を突きつけられて、周りが心配する中、彼女は鼻歌混じりに鉛筆を動かしていた。
「でも当の本人は、一切筆に迷いがないぞ」
「ま、マジで、一切の迷いが無い……!」
「記憶だけを頼りに、こんなにも精密に描けるなんて……」
「はい!左からミントとパクチー、三つ葉とモロヘイヤ!」
「えっと……どれがどれだかさっぱりわからん!」
お題を提示した張本人が把握できていないのはどうかと思うが、歌野のデッサン力を目の当たりにし、指摘する事さえ忘れていた。
「でも、確かに違いを描き分けてるな!」
「野菜限定って所が歌野らしいというか……」
「まさに、『好きこそものの上手なれ』だな」
遠目で観察していた照彦がしみじみと呟く中、紅希と高嶋が、ふと思い出したように告げる。
「絵っていえばさ、千景も得意じゃなかったっけ?」
「あ、それ知ってる!ぐんちゃんの絵、見せてもらった事あるんだ!」
「ちょ、2人とも……⁉︎そんな事みんなの前で言ったら」
「でも、入賞してないだろ?」
「私は風景画やデッサンみたいな、写実的な絵は描けないのよ」
「アニメに出てくるキャラクターの絵なんかスッゲェんだぜ!」
「そうそう!デフォルメしたキャラクターの絵が上手なんだよ」
「そんなに凄いのか?」
彼女もまた、隠れた才能を持ち合わせた逸材らしい。それを聞いて、司がこんな提案を。
「って事は、勇者部のみんなの顔とかもデフォルメして描けたりする、とか?」
「まぁ、モデルがいるなら描けない事もないわ」
「それは見てみたいわね!千景の描く勇者部のキャラ!」
「そんなにハードルを上げられると困るわ……」
風にも懇願されるが、よほど恥ずかしいのか、首を横に振る千景。そんな彼女に向かって2人から声をかけられる。
「俺は見たいけどな!千景の描く絵!」
「私も見てみた〜い!」
「……少し時間をもらうわね。流石に白鳥さんみたいな器用さはないから」
「一瞬で意見変えおった……」
ある意味予想できた反応に、苦笑する面々。
千景が顔を上げたのは、それから15分後の事だった。
「似ているかどうかはさておき、これで全員分ね」
「わぁ!可愛い!」
白紙に描かれていたのは、短時間ながらも各々の特徴をよく捉えた、勇者部員達の個性豊かな表情だった。
「おぉ、デフォルメしたキャラなのに、友奈と結城の違いまでしっかり分かるぞ!」
「違いも何も、2人は全然違うでしょ」
「「「確かに」」」
「そんなの分かるのあんたらぐらいだわ!」
未だに実写版友奈(赤嶺も含む)の違いを見出せていない風が、渾身のツッコミを入れる。
「みんなの特徴、しっかり捉えてるね」
「⁉︎おい目を凝らすと、須美と東郷さんの目の中に薄っすら『国防』って文字入ってるし!」
晴人が細かな描き手の遊び心を目の当たりにし、素っ頓狂な声を張り上げる。入賞者2人も、これには舌を巻いてしまったようだ。
「胸に秘めた情熱をこんな形で表現できるとは……!郡さんの実力、本物ね」
「絵に起こす才能も凄いですけど、これは特徴を捉える観察力もないと描けないものですね」
「それだけ千景は、普段から勇者部を観察してるって事か」
「そんな事は……。ただ、相手の良い所を強調して描くのが、デフォルメの基本よ」
「ぐんちゃんありがとう!宝物にするね!」
よほど気に入ったのか、高嶋は出来上がったデフォルメ調の絵を自室に飾るようだ。
そんな中、園子ズは唐突に寂しげな表情を浮かべた。
「写生大会終わっちゃったね〜……」
「さみし〜ね〜……」
「元気出しなさいって!別に描きたいなら好きに描けばいいじゃない」
「それだと物足りないのです〜……」
「あぁ何か分かるかも。入賞云々より、描く場所を見つける所から楽しかったし!」
「そうだな!タマは商店街の人達と仲良くなれたのが一番の思い出だ」
「タマっち先輩、絵が完成したお祝いにって、ドーナツとか色々もらってたもんね」
「なん……だと⁉︎これは失念した!商店街の飲食店を題材にしていれば、そのような形で腹を満たせるとは……無念!」
何故か本気で悔しがる、今回高屋神社からの絶景を描写していた流星。
「完成した作品だけでなく、描く過程を楽しむというのも大事な事だからな」
「そうだね。綺麗な場所も探し回ったり、新鮮な発見もあったからね」
「水の中では描き辛い事もよく分かった」
「当たり前ですから」
「それは大体分かってる事だと思うけど……」
棗が当時を振り返ると共に、一同はこれまでの事を振り返ってみたようだ。
「後は、描いた絵から皆さんの思いがけない一面が見えたのも楽しかったですね」
「あぁ、若葉の小っちゃい船……」
「わざわざ掘り起こすな紅希!」
よほどネタにされたくないのか、喝を入れる若葉。
不意に、夏凜と同じく樹海を描いていた銀(中)が呟く。
「みんなの絵を見て思ったんだけど、景色とそっくりなだけが魅力じゃないんだよな」
「分かるぞその気持ち!」
「それぞれの絵に良い所があるもんね」
「人間と一緒、という事か。人それぞれ、得意不得意があり、良い所は必ずある」
「遊月の言う通りね。絵が苦手でも、他に得意な事があるなら問題ないだろうし」
「そうね。何より勇者たる者、勇者の務めが1番得意じゃないとね!」
「だなっ!」
改めて意気投合する夏凜と銀(中)。
尚、部員達の提案により、今回完成した風景画は、校内での展示終了後、部室に保管される事になったそうな。
ところで、今回は夏凜の絵のスキルに関してそこまで触れてはいませんでしたが、人物画に関して言えば、相当エグい才能の持ち主です。
詳細は、『樹海の記憶』より『難解!神世紀アート』をご確認ください。私は当時試聴した際、1番印象に残ったストーリーでした。
〜次回予告〜
「大ニュース!」
「他に思い当たるのは……」
「流行ってるのそれ……?」
「鍛錬あるのみ!」
「過保護だなぁ……」
「楽しみだなぁ!」
〜人に物事を教えるのは、結構苦労する〜