結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜 作:スターダストライダー
『魔法少女育成計画 restart』の人気が凄いらしく、主に海外勢から人気が根強いようです。一ファンであり、ここハーメルンでも『まほいく×龍騎』を投稿していた自分としても嬉しい限りです。
それに際して、エピローグでも話していた通り、続編のアニメ化が決まれば新作として投稿予定、と宣言した事もある為、まだ確定ではありませんが、別の仮面ライダーとクロスした新作を考えています。設定等が煮詰まり次第、改めて報告させていただきます。(もしかしたらアニメ放送終了後に投稿開始になるかもしれませんが、ご了承ください)
樹達が源道らの指導の下、泳ぎの練習に励んでいた頃……。
「そういえば、プールに行く日ってもう決めたのか?」
「まだだが、銀と球子があれだけ急かしてるしな。今月中には詰めておきたいな」
元々泳げる派の兎角と遊月が今後の日程を考え始めた時、女子達の間で忘れてはいけない事情を話し合っていた。
「となると、それまでに水着を新調しておかないといけないわね」
「折角だから、みんなで買いに行っちゃう〜?」
「いいわね!水着を選んで泳いで食べて、家に帰るまでが夏のプールリゾート!」
「フーミン先輩の言う通り〜。ここにいるみんなは参加でいいよね〜?」
部長の了承も得た事で、神世紀組に顔を向ける園子(中)。皆も特に反対する理由はないので、週末に買い出しの予定を入れようとした矢先、意外な人物が待ったをかけた。
「あ、ごめんね!実は私、一緒に買いに行く相手、もう決まってるんだ!」
「?東郷と行く予定が決まってたのか」
友奈が慌てて声を上げたが、大方大親友と予め日程を決めていたのだろうと、すんなり納得した様子の面々。
……が、彼女の反応は予想に反したものだった。
「友奈ちゃん、私に内緒で、誰と……?」
「んっ?じゃあ兎角と?」
「いや、そんな予定は立ててないですよ……」
東郷どころか、幼馴染みまで首を傾げる始末。
流石の園子も、訝しんでいる。
「ま、まさかゆーゆ、2人に内緒で何処かの姫とアバンチュールを〜⁉︎」
「あばんちゅーる……何スかそれ?猫のおやつみたいな名前ッスね」
「アバンチュール。フランス語で『冒険』っていう意味だった筈だ。確か、危険を伴う恋を示していたんだっけな」
巧(中)が朧げに語る中、何か誤解していると言わんばかりに、友奈が慌てふためきながら、相手の名を口にする。
「違うよみんな!私が一緒に行くのは、夏凜ちゃんだよ!」
「えっ、私⁉︎」
まさかの名指しに、東郷からの冷たい視線を避けようとする夏凜。
「何で夏凜と?いつ決めたんだよ?」
「あの時、約束したから」
「約束……?」
約束、と言われてもピンとこない張本人。ややあって思い出したように声を上げたのは、昴(中)だった。
「あの時……あ!お正月の件ですね!」
「そっか、そういやそんな話だったな」
「なら納得ね」
「?何の話だ」
不意に落ち着きを取り戻した東郷を見て、未だ全容が見えてこない藤四郎が尋ねる。
「約束したんです!私の今年の水着は、夏凜ちゃんに選んでもらうって!」
それは、今年の正月。初詣に向かおうとする犬吠埼姉妹の着付けが終わり、広げた着物を片付けようとした際に友奈の発案で写真撮影だけでも良いから着物を着たいと言い出し、当の本人に何色の着物を着せようかと論争が繰り広げられ、最終的には園子の提案で部員達に投票してもらった結果、夏凜のチョイスした色こそ選ばれなかったが、そんな彼女を元気付けるべく、今年の水着選びは彼女に任せる事を約束したのだ。
約束された本人ですら忘れかけていたにも関わらず、その事を平然と語る友奈に、夏凜も呆れと感心が入り混じっている様子だ。
「よ、よく覚えてたわねそんな大分前の話……。別に構わないけど」
「あら、夏凜ちゃんが行かないなら私が」
「わ、私の権利だって言ったでしょ!ほら、ややこしくなる前に、行くわよ友奈!」
「え、今から⁉︎」
そう言って慌てて東郷から遠ざかるように、友奈の手を握って部室を後にする夏凜。園子(中)も呆然とした様子で扉に目を向ける。
「にぼっしー、あっという間にゆーゆを攫っていったね〜」
「てか須美、わざと煽ったよな?」
「さぁ、どうかしら?」
銀(中)の問いかけに、不適な笑みで答える東郷。
小学生からの付き合いとはいえ、未だ底が知れない彼女に、畏怖を覚える銀(中)であった。
「夏凜ちゃんとお買い物できて、嬉しいな〜」
「ちょっと浮かれすぎよ友奈!そんなに期待されると、やり辛いじゃない」
ようやく2人きりになれた所で、並んで商店街を歩く友奈と夏凜。
友奈はいつも通りに心底嬉しそうだが、隣を歩いている夏凜としては気が気じゃない様子だ。
「ごめんごめん!だってお正月からずーっと楽しみにしてたんだもん!」
「そ、そうなの?偶々思い出しただけかと思ってたけど」
「そんな事ないよ。お正月は東郷さんの選んでくれた桜色の着物を着たけど」
「覚えてるわよ。私は黄色で、銀はオレンジ、園子は紫だったわよね」
「けど、夏凜ちゃんの選んでくれた着物もすっごく素敵だったから!」
「そ、そーいうのはあの時言いなさいよ!」
「あれ?多分言ったと思うよ?だって本当に可愛かったもん!」
首を傾げる友奈を見て、クールダウンする夏凜。
「……もう忘れちゃったわ。ま、取り敢えず友奈には、水着もピンク系が無難よね」
「そんな事ないよ!夏凜ちゃんこ選んでくれる色なら何色でも着てみたいよ!」
「そ、そう……。まぁ頼まれたからには私が良いと思うものを、責任もって選ぶわ」
色々と責任感が強い夏凜が、胸を張ってそう宣言する。
「やったー!あ、そういえば夏凜ちゃんのは?真琴君に選んでもらうの?」
「そ、そんなわけないじゃない!何であいつの名前がそこで出てくんのよ⁉︎去年ので十分よ」
必要以上に顔を紅くしながらそう語る夏凜。
「えー、折角だから今年も買えばいいのに」
「別にわざわざ買わなくても……」
「良いこと思いついた!私が夏凜ちゃんの水着、選んでも良い?」
「何でそんな事⁉︎私よりも東郷のでも選んでやりなさいよ!」
「前に、せっちゃんが歌野さんと水都ちゃんの服を選んだ事あったでしょ?あれ見て、何か良いなと思ってたから、やりたかったんだ!」
「全然聞いてないし……」
「あ、勿論東郷さんのも選びたいけどね!」
無邪気に語り続ける友奈を見て、夏凜も折れた様子だ。
「……もう、こういう所が友奈らしいっていうか」
「ほほぅ、真琴にも頼られて、モテモテですな〜」
「やれやれね……って雪花⁉︎あんたいつの間に⁉︎」
「何か呼ばれた気がするから〜。にしても珍しいツーショットだね」
不意に横手から現れたのは、久々に若葉からの熱血指導から解放され、新しい服を買いに来たであろう、雪花。
そんな彼女も、普段から一緒にいるイメージが薄い2人きりというシチュエーションに興味をそそられたらしく、友奈から事の次第を聞く事に。
「……なるほど。東郷vs夏凜の晴れ着コーディネート対決かぁ。そんな面白そうな事やってたとは。参加したかったなぁ」
この発言に、友奈は頭に『?』を浮かべる。
「あれ?園子ちゃんからメッセージ来なかった?どっちの色が良いか、多数決で決めたんだよ。で、投票の結果、東郷さんの選んだ色にしたんだけど、夏凜ちゃんの選んだ黄色の着物も可愛かったんだ〜」
「い、今更蒸し返す必要ないじゃない⁉︎」
それを聞いて、雪花もようやく思い出したようで、顔を上げた。
「あれ?今年の正月……、思い出した!あったねそんな話!あ、因みに私は黄色に一票入れたんだ」
「そうなの?雪花とは案外趣味合うのかも」
投票の割合としては、東郷の桜色が過半数を占めていたが、次点で多かったのは夏凜の黄色。その色の投票者がファッションセンスにおいて1番の雪花と聞いては、夏凜も鼻を高くしている。
「確かに結城っちのイメージカラーは桜色だけど、元気いっぱいのビタミンカラーも良いなと思ってね」
「あんたがそう言ってくれると心強いわね。あの時は数で負けたような気がしてたけど、やっぱり私は間違ってなかったって事ね」
「何かいきなり元気になったわね」
「べ、別に自信がついたとかじゃないわよ!」
「けど、夏凜プロデュースの結城っちの水着姿!私も興味あるにゃあ」
それを聞いて、友奈が発案する。
「じゃあせっちゃんも一緒に行こうよ!」
「いいの?」
「勿論だよ!ね、夏凜ちゃん!」
「別に良いけど、それなら雪花に選んであげれば良いんじゃない?」
「それはマズいでしょ。約束なんだし、私は横でニヤニヤ見てるだけだ口挟まないから」
「ニヤニヤってワードだけで嫌な予感しかしないんですけど⁉︎ってか選び辛いし!友奈、何とか言ってやってよ!」
「そうだ!せっちゃんの水着も選んであげたいな〜」
が、当の本人は上の空なのか、雪花の水着選びまで計画している様子だ。その様子に、雪花も苦笑いを浮かべる。
「また随分と話飛んだね……」
「こーいう所あるのが友奈なのよ……。けど確かに、あんたの水着もあるわね」
「まぁ可愛いのがあれば買おうとは思ってたけど」
「じゃあ決まり!せっちゃんの水着は、私と夏凜ちゃんで選んであげるね!」
「その話!乗った!」
折角のお招きとあらば、断る理由もない為、雪花も同行。そうして辿り着いたのは、昨年雪花達が買いに出かけた水着専門店。
数多くの衣類を前に、珍しく吟味する友奈の後ろ姿を捉えながら、辺りに並べられているものに目がいく雪花。
「去年も思ったけど、本当に凄い沢山種類あるよね〜」
「そっか。あんたは去年もここにきたんだっけ」
「いや〜、あの時はツッコミ担当が不足しててね。もうカオスそのもの。夏凜も誘っとけば良かったって後悔した」
「何があったのよ……」
夏凜の顔が引き攣る中、ようやく友奈が手にした水着を見て、更に表情を強張らせる事となる。
「あ、これすっごく可愛い!夏凜ちゃん、これどうかな?」
「うぇぇ⁉︎こ、こんなフリフリの乙女趣味、私のキャラじゃないでしょ⁉︎」
「そうかな?夏凜ちゃん可愛いから、こういうのも似合うと思うんだけど。せっちゃん、どう思う?」
夏凜に拒絶されたものの、諦めきれない友奈は専門家に意見を聞く事に。
「ん〜、悪くはないと思うけど、ちょっと残念な気がするねぇ」
「ほら、雪花だってこう言ってるし、そんなフリフリ戻してき」
「いやフリフリ付いてるは全然オッケーなんだけど。寧ろ似合ってるし」
「フムフム」
「ちょ……」
「大事なのは色合い。淡い色よりも、ハッキリしたタイプの方が合うから」
「流石せっちゃん!」
専門家の指摘を受けて再度選び直す友奈。もうフリフリの水着を着る事が確定してある種諦めがついたのか、その点について否定する事は無くなった夏凜。
「雪花が言うと説得力あるわね」
「せっちゃんは、どんなのが似合うかなぁ?」
「私はあんまり日焼けしたくないから、布の面積が多いやつを希望するね」
「面積って、斬新な選び方するのね……」
「でも確かにせっちゃん、日焼けするのが勿体無いくらいに色白だもんねぇ」
「にゃはは、そこまで言われると夏凜みたいになっちゃいますな〜」
「どういう意味よそれ⁉︎」
また茹で蛸のような顔色の夏凜を宥めながら、今度は友奈の水着選びが行われた。
「それより、結城っちの水着は?」
「こんなのどう?」
そうして夏凜が手にした水着を見て、今度は珍しく友奈が難色を示した。
「えー、こんなセクシーなの、私のイメージと違うんじゃ……」
「そんなの着てみないと分かんないでしょ!」
「そーそー、試着だけならタダだし。大人の階段、登ってみたら?」
「でも……」
雪花に説得されるも、未だに一歩踏み出せない様子の友奈。
そんな彼女を死角から見つめる男女の姿が。
「随分躊躇してますね。あんな友奈ちゃん、初めて見たかも……」
「あぁ。俺もだ」
「偶には夏凜ちゃんともゆっくり、と思ったから遠慮したけど、雪花も一緒だったとは……」
一応権利を譲ったとはいえ、気になって仕方なかった東郷が、兎角と真琴を引き連れて店に足を踏み入れたのだが、この世界で比較的仲を深めた雪花が同行しているとは思わなかったらしく、やはりついていった方が良かったのではと後悔し始めている。
男子2人も、友奈や夏凜が四苦八苦している様子が気になる中、3人の背後からのほほんとした声が。
「へいへ〜い、素直に行っちゃいなよ〜。我慢は良くないよ〜」
「⁉︎園子、お前さては後をつけてたな⁉︎」
「それはとっくん達もでしょ〜?ゆーゆの後をつけるわっしー達を、私がつけていたんだよ〜」
「ぐぬぬ……」
否定できるだけの要素が足りず、押し黙る兎角。そんな彼に構わず、園子(中)は大胆にも友奈達の前に躍り出た。
「てなわけで、私達もい〜れ〜て〜!」
「!園ちゃんに……兎角⁉︎それに東郷さんと真琴君も!わ、何だか恥ずかしい……」
そう呟く友奈は、夏凜がチョイスした水着を身につけている。心なしか縮こまった様子の幼馴染みを見て、彼も精一杯のフォローを試みる。
「け、結構似合ってるじゃねぇか……。夏凜のコーディネート、か?」
「ふ、ふん!当然でしょ!いつもとはちょっと違った感じも悪くないし」
「そ、そっか。兎角が喜んでくれるなら……、ありがとう夏凜ちゃん!」
礼を言われて口元が緩んだ様子の夏凜。そんな彼女を見て、真琴も少し前の東郷と同じ笑みを浮かべる。
「やるね、夏凜ちゃん」
「な、何よ真琴……。まぁ私もそれなりに楽しんでるし」
雪花を含め、自然と笑みが溢れる一同。
後は、当日を迎えるだけ。普段とは違う水着を身につけている姿を見た時の、皆の反応が少しだけ楽しみになる友奈と夏凜であった。
半年前の約束を、ちゃんと覚えてる友奈に感嘆した回でありました……。
やっぱり良い娘すぎるよ友奈ちゃん。そりゃあ色んな女子に好かれますよ。
〜次回予告〜
「タマがドーンと」
「ここは任せろ!」
「浮かれすぎです!」
「やけに多いな」
「遊びもお役目も、全力でいかんとな!」
〜世の中、真面目な人程損している気がする〜