結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜 作:スターダストライダー
皆さんも体調管理に気をつけてお過ごしください。
それはそうと、今更感があると思うのですが、今季アニメだと、『マギアレコード』と『とある科学の超電磁砲T』、そして『ダーウィンズゲーム』にハマってます。特にダーウィンズゲームは1話を観てめちゃくちゃどハマりして、後で原作も読むようになりました。スリリングな感じがとても魅力的なので、よろしければご視聴してみてはいかがでしょうか?
神樹の破壊。
スナイパーライフルで、人類守護の砦でもある壁を撃ち抜く東郷の目的を悟り、体を動かせない一同。
しかし、その停止した思考も、地響きと共に夕暮れ時の景色から、非日常を思わせる光景に切り替わった事で、我に返った。
「樹海化した……!」
「これで民間人が危険に晒される事は無くなったわけだがよ……!」
「それでもこの状況はヤバいってレベルじゃねーぞ⁉︎」
昴らが狼狽えている間にも、東郷は彼らに目も暮れず、壁を破壊し、外にいる星屑達を樹海内に招き入れている。
当然、このまま黙って成り行きを見守っているわけにもいかず、夏凜を筆頭に、彼らは動き出す。
「やめなさい!」
「これ以上は……、ダメです!」
「!」
夏凜の太刀を銃身で受け止め、真琴の散弾を跳んで回避する東郷。
「やめて東郷さん!」
「考え直せ東郷! こんな事をしたら現実世界にどんな悪影響が出るのか、分かっているはずだろ⁉︎」
「……分かっています。分かっているから、やらなければならないんです!」
「東郷……!」
「だからってこんなやり方……!」
「みんなも見たでしょ⁉︎ これが、世界の真実の姿なのよ!」
遊月が説得する前に、東郷は悲痛な声を張り上げる。
「壁の中以外は、全て滅んでいる。そしてバーテックスは12体で終わりなんかじゃない! 無数に襲来し続けるの……!」
「……っ!」
彼らも東郷と共に、残酷な真実を目の当たりにしている。それ故に、反論する余地がなくなっているようだ。
「……この世界にも、私達にも、未来なんてない。私達は、満開を繰り返して、散華によって体の機能を失いながら戦い続けて……。そしていつか……、大切な友達や、狂おしい程に楽しかった日々の記憶も失って……。ボロボロになって、自分が何の為に戦っているのかさえも分からなくなって、それでも戦い続けて……! そして最後には、自分が何者なのかさえも、忘れてしまう……!」
東郷の呟いたそれらの言葉は、先代勇者でもある巧ら5人にとって無関係な話とは言えない。事実彼らも、源道が現れるまでは、心の片隅で違和感を覚えつつも、仲間であった頃の記憶を散華によって消されていた。だからこそ、東郷の抱えている悲しみを、誰よりも理解できてしまう。
「だから決めたの……! もうこれ以上、大切な友達を犠牲にはさせない! 『勇者』という存在も、この世界も……! 私が、断ち切る!」
そう宣言し、再び銃口を壁に向ける東郷。
「『勇者』という生贄から逃れる為には、これしか方法がないの……!」
「ま、待って……!」
すかさず、夏凜が刀を向けて東郷を説得しようとするが、それで止まる彼女ではない事を、薄っすらと自覚してしまっているようだ。それが証拠に、刀を向ける腕が僅かに震えていた。
「夏凜ちゃん、なぜ止めるの?」
「わ、私は、大赦の勇者だから……」
「その大赦に真実を隠されて、そればかりか、あなたや真琴君を、『道具』として利用し続けていたのに?」
「ど、道具……!」
「夏凜ちゃん!」
東郷の一言は想像以上に、夏凜の胸の奥に突き刺さったらしく、慌てて真琴が彼女を支える。
見兼ねた遊月が声をかけようとするが……。
「東郷……! 俺は……俺達は、真実を確かめる為にはここに来たんだ! こんな事をする為に来たんじゃない! 前にも言ったよな! どんな残酷な真実だとしても、それを受け入れて前に進むって! 知る事を恐れないって! だから俺は」
「こんな世界を見ても、どうして平気でいられるの⁉︎ 何で私のこの気持ちを分かってくれないの⁉︎ あなたは強いから大丈夫なのかもしれないけど……、私には、そんな強さなんてないから……! だから! こうする事が、遊月君達を本当の意味で救う事に繋がるの!」
「東郷!」
「分かってよ遊月君! あなただけじゃない、ここにいる勇者部のみんなが傷ついていく姿を、これ以上見たくない!」
「東郷、あんたそこまで……」
涙ながらに必死に訴える東郷を目の当たりにし、風は唖然とするばかり。
「私の周りで、友達が傷ついていくのも……! 大切な人を失うのも……! 私、もう耐えきれない! 耐えきれないのぉ……!」
「東、郷……」
地面を濡らし、震えながらも、仲間を苦しみから解放しようとして、世界を壊そうとする少女が背負っているもの。それを肌で感じ取った遊月ら13人の勇者、武神。迷いが生じてしまう。
しかし、時の流れは彼らを悠長に待ってはくれなかった。
「! マズい!」
いち早く、昴が敵の気配に気づき、壁の外に目を向ける。見れば、星屑の共喰いによって体が復元された乙女型が、最初のお役目と同様に、尾から爆弾を友奈達めがけて放出してきたではないか。
「危ないッス!」
「逃げて〜!」
園子が叫ぶと同時に、東郷を含めた全員が跳んで回避する。
しかし、咄嗟に避けた事によってメンバーが分断されてしまう。東郷はただ1人、引き続き壁を破壊する為に、その場に残った。それ以外の面々は、乙女型から距離を置く為に、陸地である樹海に向かって跳んでいた。
ただ2人、友奈と遊月は東郷の所に向かおうとするが、仲間に遮られてしまう。
「東郷さん!」
「おい離せ! 東郷を置いていくわけには……!」
「ダメだ! ここは一旦引いて体制を整えるのが先決だ!」
「東郷も気がかりだけど、ウジャウジャいる星屑達もどうにかしねぇと……!」
「とにかく片っ端からやっつけるしかないよな!」
「くっ……!」
仲間達にそう言われて、反論する余地がない遊月。
乙女型の爆弾が背後から迫ってきた。昴が右腕の盾を使ってバリアを張るが、大量に降り注ぐ爆弾が爆発し、直撃こそないが、勢いまでは殺しきれない。遂にはバランスを崩してしまい、結果としてそこに固まっていた2年生達は勢いに呑まれて、樹海へと叩き落とされてしまう。
「! 友奈、みんな!」
「しまった!」
「……!」
「先輩!」
巻き込まれなかった1年生、3年生達はどうにかして着地に成功するが、2年生達の安否が気がかりとなった。しかし、彼らの事ばかり気にしてはいられない。こうしている間にも、星屑は神樹に向かって侵攻しており、その一部が藤四郎達に気づいて、向かってきている。
「! 邪魔、するなぁ!」
「やるしか……ないわね!」
2年生達の所に向かう為にも、そして東郷を止める為にも、先ずは目の前に迫り来る大軍を殲滅しなければならない。1つ気合いを入れて、4人の勇者、武神は武器を持って立ち向かった。
その頃、友奈達は根が張った地面に延びていた。落下の衝撃は、精霊達がバリアを張って和らげてくれたようだ。
その中でいち早く目が覚めた友奈、兎角、遊月は、軽い脳震盪が治った所で、自分達の変身が解けている事に気付いた後、側で倒れている銀達に声をかけた。
「夏凜ちゃん! 銀ちゃん、園ちゃん!」
「巧、昴! しっかりしろ!」
「真琴、大丈夫か⁉︎」
3人が呼びかけるが、6人とも意識を失っており、依然として目を覚まさない。
そんな中、友奈と遊月の脳裏に、先ほどの東郷の表情が浮かび上がる。あれほどまでに悩み苦しんで、悲しさを物語る彼女の顔を目にする事は、これまでに何度かあった。その度に、彼らは励ましてきた。
「今回だって、同じ事だったはずなのに……! 俺にだって、何か出来たはずなのに……!」
「一番の友達なのに、どうして、こんな……」
「……」
兎角も、口には出さなかったが、彼女を止められなかった事に痛烈な責任を感じているようだ。
しかし嘆いてばかりもいられない。こうしている間にも、星屑は迫ってきている。このままでは、東郷が望むように、世界は死を迎えてしまう。
「今は、あれを止めるしかない!」
そう叫んだ兎角は、アプリを起動し、再度武神に変身する。巧達は気絶している為、この場から離れて戦うわけにはいかなかった。防衛ラインを築き、突破されないように立ち回らなければならない。
友奈と遊月も、幼馴染みや友人の背中を追うように、端末を手に構え、画面をタップしようとする。
『私の周りで、友達が傷ついていくのも……! 大切な人を失うのも……! 私、もう耐えきれない!』
「また、失う……」
「東郷さん、私は……」
不意に脳裏をよぎる、東郷の訴え。
大切な人物である東郷の暴走を止めて説得し、既に滅びている世界を救う事に対する、不安と迷いが、2人の思考を、動作を阻害してしまう。
そしてその心情が神樹にも伝わったのだろうか。2人の端末から異様な音が鳴り響き、『警告』と称して、こんな表示が。
『勇者(武神)の精神状態が安定しない為、神樹との霊的経路を生成できません』
「なっ……⁉︎」
「どうして、変身が……!」
「何だって⁉︎」
2人の身に起きた異変。
精神の不安定によって通達された、変身の不可。予想だにしない展開を前に、兎角も驚きを隠せない。
『絶望』が、ジワジワと彼らを侵食していく……。
ちょっと短いかもしれませんが、キリがいいので今回はこの辺で。
前書きで今季アニメについて語りましたが、皆さんはどのアニメを観ていますか? よろしければ感想を書くついででも構いませんので、教えていただけると有難いです。
〜次回予告〜
「根性見せるッス!」
「どうすれば……!」
「隣は任せたわよ!」
「どうして変身できないの⁉︎」
「俺は、何の為に……!」
「やめろぉ!」
〜隣よりも前へ〜