悪食女と美食竜   作:あかいかあ

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一幕 第九話

ランポスの群れと激闘を繰り広げた次の日。

 

今日も今日とて、採取である。

俺はモスカバンに、ミツネはランポスカバン(昨日の素材で作った)に採取したものを入れている。

 

重点的に探しているのは、属性又は特殊要素のありそうな食材。龍殺しの実とか、毒テングダケとか。他にも、マヒダケ、ネムリ草なんかもどこかにあるはず。

 

 

お、毒テングダケ見っけ〜〜

 

 

「アルーーー!助けて〜〜!」

ミツネの声がする!何があった!どうした!

 

「どうした!ミツネ!」

 

「くっついて取れないよう…」

 

そこには岩の上に立ち、ぐらぐら揺れているミツネがいた。

 

「何してんの…」

 

「なんかベタベタしたもの踏んじゃって、岩で擦り落とそうとしたら離れなくなっちゃった…」

 

「えぇ…?何それ…」

 

「どうしよう…動けない…」

ぐらぐら。

 

「とりあえず靴脱いだら?」

 

「……はっ!天才ですかアルは!」

 

ミツネの近くへ寄り、靴を脱ぐための手摺の代わりになる。

ミツネはぐらぐらと揺れながら、白ジィから貰った靴を脱いだ。裸足で地面に立つ。

 

岩の上で残っている靴を落とそうと叩いてみるが、これまた驚き。本当にくっついている。それも結構ガッチリ。

 

「何踏んだんだよ、ミツネ。ガムでも落ちてる訳じゃあるまいし」

 

「わからないけど、この辺かなぁ。」

ミツネは裸足で足元を確認しながら歩く。

 

「ヒィィィ!アルゥ!」

ミツネがこちらへ飛んでくる。

本日二度目のミツネの悲鳴タイム。次はなんだろうか。

 

 

~~~~~~~~

 

 

蟻だ。

それもちょっとでかい。大体人差し手のひら分くらいの大きさがあって、体は黒い。

 

「でっかい蟻だ」

 

ミツネが恐る恐る俺の後ろから覗く。

「あぁ、でっかい蟻だねぇ」

 

「あれ、ミツネは虫平気なの?」

 

「うん。さっきは大きさにびっくりしちゃったけど、蟻だってわかれば特に怖くないよ。」

 

「そうか。しかしなんだろうこの虫。でっかいクロアリだね」

 

ミツネは俺にまたがり、足に付いた土を払う。

こら、俺は椅子じゃないぞ。

 

そのままデカクロアリを観察していた。ミツネは俺の上で起用にうつ伏せになる。

デカクロアリの方はと言えば、草木の枝を噛み切るほど強い顎の力があるようで、噛み切っては運び、噛み切っては運ぶ。

運んだ先には、小さなドームの様な形のものがある。

 

 

「あれが巣なのかなあ」

ミツネが言う。

 

「そうなのかな、しかしよく作るなぁ。」

 

「ね、私たちなんかいっつもその場で野宿なのに」

 

「くぅ…アリンコに負けるとはなぁ…」

 

なんてくだらない会話(実際死活問題だけど)をしていると、ミツネがボソッと言った。

「よく崩れないね、あのお家」

 

そう言うのでよく見てみると、確かにそうだ。明らかに崩れそうな位置に枝が置いてある。しかし、デカクロアリは

そのドームの上を悠々と歩き、枝を組んで行く。

 

「くっついてるのかなぁ」

 

「アロンアルファでも持ってるんじゃね?」

 

「あるわけないでしょ〜!…でもそうにしか見えないよなぁ。」

 

「接着剤か、あれば色々便利なんだけどな」

 

「接着剤ねぇ…」

 

 

沈黙。

 

 

「ミツネ、俺わかった。」

 

「奇遇だねぇアルさんや。私もだよ」

 

「おやおや、奇遇ですなぁ」

 

「じゃあ、せーの!で言おう!行くよ〜〜

 

せーの!」

 

「「セッチャクロアリ!」」

 

 

絶対そうだ。黒いし、蟻だし、くっつけてるし。

きっとミツネはセッチャクロアリを踏んで靴が岩に張り付いたんだ。そうと決まれば話は早い。

 

「ミツネ!捕まえるぞ!」

 

「がってん承知の助〜〜!」

古いぞ、ミツネ。

 

 

~~~~~~~~

 

 

カプッ

 

はぁ、はぁ、やっとだ…やっと捕まえた…

やたらすばしっこいセッチャクロアリをなんとか捕まえた。捕まえたと言うか、咥えた。時間にして15分くらいかけて。

 

やっぱり虫あみは偉大なんだなぁ。

 

 

「ひふへ、ふははへはほ」(ミツネ、捕まえたぞ)

咥えているせいで話せない。

 

「あはは、喋れないのかい、アルさんや」

 

「ふはへへはひへはふへへ」(ふざけてないで助けて)

 

「こりゃ失礼しました。で、どこにしまう?」

 

 

虫かごなんて無いもんなぁ…どうしよう?

すると、ミツネはランポスカバンからツタの葉を出し、葉っぱを千切ってツタにした。

そのツタをセッチャクロアリに結び、殺してしまわないように縛った。

 

「完成!ヒモセッチャクロアリ!アル、離していいよ!」

 

そう言うので、離す。

セッチャクロアリは、釣り糸に吊られる餌の様にぷらぷらとぶら下がっていた。

 

「おお、ミツネ、君は天才か!」

 

「へっへーんだ!讃えよ!敬え〜〜!」

 

「ははーっ!……ちょっと待ってミツネ、なんか口の中苦い。」

これは…セッチャクロアリにやられたのか?接着剤を口の中にぶち込まれた…?

 

「それ、やばいんじゃない?」

 

「やばい。」

 

急いで水場へ向かう。大体地理はわかるのでそこまで一直線で行く。

 

幸い、まだ粘着剤は固まっていなかった。

口の中の違和感がなくなるまで何度も口をゆすぐ。

 

 

~~~~~~~~

 

 

「さて、ここに骨の双剣とランポスの素材があります。」

 

「はい。」

 

「そして、我々は接着剤を手に入れました。」

 

「はい」

 

「それも結構強いやつ」

 

「はい。私の靴が犠牲となりました。」

 

「そうですね。残念な事です。」

 

「はい。」

 

「私はここで、一つ提案があります。」

 

「なんでしょうか。アル氏。」

 

「骨双剣に、爪と牙を貼り付けて強化してみませんか?

ただ、上手く行く保証はありません。」

 

「ものは試しです。やりましょう。レッツ3分クッキング!」

 

 

…絶対3分で終わらないけどね

 

 

~~~~~~~~

 

 

ということで、出来た。釘バットならぬ牙爪バット。

今持っているモンスター素材をフルに使って完成した。

 

セッチャクロアリのお尻を木の枝とかで叩いてやると、お尻の先から粘液を出す。それを爪と牙に付けて、骨双剣にくっつける。今は接着中。見た目は無骨だけど、まぁ前の骨双剣よりはマシだと思う。

一応ダメージを与える為の道具だし。武器は。

 

その辺の魚を捕って、昼食をとりながら接着剤が硬化するのを待つ。

 

 

「取れたーーーー!!」

ん?ミツネは何してたの?

 

ミツネは岩に張り付いていた靴を回収した様だった。

回収した靴を天高く掲げている。

 

「おお、やったな」

 

「よかった〜〜片っぽだけしか靴が無かったからなんかバランス悪くて。これで元どおりだよ〜〜」

 

ミツネから靴の裏を見せて貰う。

靴の裏には、ほんのすこしだけ、接着剤の跡があった。

直径1センチほどの跡。なんてこった。こんな少量であんなに硬くくっつくのか。ってことは、新骨双剣も結構使えるかもな。

 

 

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