読んでくれている皆様、ありがとうございます。
めちゃくちゃ走った。
ミツネが力強く俺の体毛を掴んでいる感覚がある。
とにかく、今はハンターから離れたい。必死に駆け抜けた。
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目の前の地形を瞬時に理解して、舞うように走った。
この姿になってから初めて全力で走ったが、自分でも驚きの身体能力だった気がする。
そして、今は森の中にいる。マップには無かった場所だ。少し開けた場所へ着いたので、止まってミツネを降ろす。
「すごかったね!アル!バビューン!って走って、スタッ!って飛んで!楽しかった〜!」
さっきまでの緊張を押しのける様に、ミツネがはしゃぐ。
「びっくりしたよ。なんか野生の勘みたいなのがあるのかな、俺。って言うかこの体は。」
「ハンターには気づかれたかなあ?」
「どうだろう?一応森の中だし、気づかれていても見つけられないと思う。注意して行動しなきゃいけないのは変わらないけど」
「大丈夫だと良いけど、あの二人、また狩りに戻るって話してたし…」
「そうか…また会ってしまうかもしれないな…気をつけな……ん?なんでミツネはハンター達の会話を理解してるんだ?もしかして言語が理解出来てる?」
「うん。最初は外国語に聞こえたんだけど、なぜか理解出来てたの。文字は読めたし、そういうものなのかなって。」
「転生特典?なのか…?で、二人はなんて話をしていたんだ?」
「えっと…
「討伐対象は残り何頭だ?」
「今、八頭まで討伐しています。」
「そうか。後七頭で終わりだな」
「ええ、すばしっこくて大変です。クロックさんはよくバテませんね。」
「マランツ、お前はいちいち全力で走り過ぎなんだ。もっと緩急を付けて、相手を良く見る様にしろ。」
「わかりました。次は頑張ります。」
「おう。しかしアイテムポーチがいっぱいだ。清算アイテムを納品してアイテムの整理、少し仮眠をとったらまた向かうぞ。お前も納品を済ませろ。」
「了解です。クロックさん。」
って感じかな」
「なるほどなぁ。清算アイテムか…納品クエストかと思ってたよ。」
「討伐って言ってたけど、ターゲットは何なんだろう?」
「森丘だからな…ランポスとかブルファンゴとか…その辺かなぁ?」
「もう会いたくないね、ハンターには…」
「本当だよ…もうこりごりだ…」
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いつもより念入りに寝床を探した。枝や葉っぱを集めて自分達を隠し、眠りに着くが、眠れない。
一度、考えを整理しようと、物思いにふける。
疑問はたくさんあるが、大きなものはこの辺。
・ミツネはなぜ言語を理解出来る?
・そもそも転生とはなんだ?
・ハンターはどのくらいの頻度で狩猟へ来る?
・俺は何のモンスターだ?
細かいことは色々あるが、気になるのはこの四つ。
その事を深く考える。
・ミツネはなぜ言語を理解出来るのか。
教わってもいないし、この世界で育ってもいない。白ジィのおまけと思ってしまえば解決するが、そんな条件は出していない。
・そもそも転生とはなんなのか。
俺のイメージではあるが、異世界転生ってやつは、新しい子供として産まれ、前の記憶を持ったままで成長していく。
そんなイメージだし、他で言う異世界転移なんかは、自分の体を保ったまま異世界に行くってやつ。
ミツネはどちらでも無く、少女の姿で転生した。俺もある程度動ける体に転生したし、産まれたばかりの体では無いと思う。
転生でも転移でも無く、創造された命なのかもしれない。
憑依と言う線も考えたが、命の数が決まっていると白ジィは言った。この線は薄いと思う。ただ、ミツネが言語を理解している点から、憑依した相手の知識を使っているとも考えられる。だからゼロでは無い…
・ハンターが来る頻度は?
単純に危機管理として問題だと思う。
ゲームではロード画面で一瞬だったけど、現実ではマップの移動に数時間かかるし、森丘から村やギルドまでどのくらい離れているのかもわからない。
ハンター自体どのくらいの人数がいて、どのくらいの頻度でクエストへ出ているのかもわからない。何か知る方法があれば良いのか。
・俺は何のモンスター?
転生してから次の日辺りに、ミツネがチラッと言った事から考え始めたことだ。
「そういえばアルは何のモンスターなの?ゲームには出てこなかったよね」
言われてみればそうだった。
ミツネ曰く、見た目は犬。犬よりは体は大きいけど。1番近いところで言えばジンオウガだけど、体毛の色も違うし、角も無い。尻尾だってジンオウガよりはずっと細い。
成長したら変わるかも。でも、これが成体なのかも。わからん。
正直、タマミツネに転生したかったのは内緒。
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次の日。ミツネが先に起きていた。
「おはよう、アル」
「早いな、どうしたんだ?」
「なんか夜明け前に目が覚めちゃって。だからそこの川で水浴びして、体を洗ってたの。アルが寝ているうちにね」
クッッッソ!昨日あんな考え事で夜更かししなければ…
あああああ、冷静になれ、冷静に…相手はミツネとは言え、幼女だぞ…
「そうか、さっぱりしたか?」
何とか引っ張り出した一言。
「むっ、アルめ、恋人がすぐ近くですっぽんぽんになってたんだぞ、もうちょっとあわてたらどーだい?」
ぐっ、かわいい…しかし負けんぞ!
「だっておれいつもすっぽんぽんだもん。」
我ながらいい切り返しだな、こりゃ
「えっ…あっ…そうだった…そっか、アルはいつもすっぽんぽんなんだ…すっぽんぽん…」
顔真っ赤だぞ、ミツネ…
可哀想なので、話を変える。
「さあ、探検に行こうか。でも、昨日のハンターがまだいるかもしれない。なるべく静かに、こっそりな。」
「わかりました、すっぽんぽん隊長。」
「あははっ、バカ、笑わすな、本当にハンターがいたらどーするんだ」
「ごめんごめん、じゃあ行こうか、アル」
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ギルドから観測船へ
了解。そのまま観測を続行せよ。
少女と未知のモンスターに着いてだが、現在、ギルドへそう言った内容の行方不明者の連絡は無い。
森丘周辺の集落の子供である可能性が高いと見られる。
以後、発見した際には、モンスターについては、外見の特徴を明記。可能であれば捕獲。少女がいた場合は保護せよ。
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