割とガチ対応をする、ぐだの話   作:風呂

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正直に音痴と言わないのは最後の優しさ。(他人の為に歌えば歌姫、という設定もあるし)


エリザベート・バートリーへの対応

 カルデアには日々激務をこなす職員の為に、幾つかレクリエーションルームというのが存在する。

 元々、世界トップクラスの雪山という厳しい立地条件の為、容易に外に出られない環境の中で心身の健康を保つべく設置されている。

 以前から職員の私物や取り寄せた物品等で、それぞれ特色が現れるくらいには利用されていた施設であるが、グランドオーダー発令中の今現在でも職員の他、召喚されたサーヴァントが利用する事も多々あった。

 その中の一つ、部屋の一辺に段差がついてステージ状になっているレクリエーションルームには、特定のサーヴァントが良く出入りしていた。

 その中の一人、ビキニアーマー姿のエリザベート・バートリーは同一の自分達とライブの準備を進めていた。

「さあ、早くライブを始めるわよ!」

「ええ、私。私達の美声でみんなをメロメロに堕とすんだから!」

「招待状も、事前に送ってあるから満員御礼間違いなしよ!」

 フリフリの可愛らしいドレスを着たエリザベートも、ハロウィン衣装のエリザベートも、共々テンションが高い。

 この日の為に事前準備を怠らず、ステージ準備もばっちり。観客の呼び込みも直接招待状を届けに行ったので不備はない。皆、震えていたのも自分達のトリプル美声を聞けるという奇跡に感動していた所為だろう。

 そしてあとは観客を招くだけという段になって、ふらりととある人影が会場に入ってきた。

「あっ! やっと来たわね子イヌ」

 彼女、もとい彼女達が子イヌと呼ぶ存在、此度のマスター、ぐだ男が現れたのだ。

 しかし彼は、何とも言えない難しい顔をして三人に歩み寄った。

「招待状受け取ったけど、君らホントにライブするの?」

「ええそうよ!」

「勿論じゃない!」

「今更愚問よね!」

 同音異語で、ほぼ同じタイミングで三人は肯定した。

「……そっかー。じゃあ、うん。やっぱりやるか」

 と、ぐだ男が妙に遠い目をしながら、何かを決めたようだった。

「なによ? どうかしたの?」

「いや、実は連絡事項があってね。皆にライブの招待状を渡したと思うけど、大半は来られないよ」

『え?』

 異口同音に驚愕する三人。

「どういう事よ!?」

「いや、いつもの素材集めや種火周回、その他カルデア運営なんかに人手がとられちゃっててさ。皆が来る訳にはいかないんだよ」

「何よそれー!?」

 ランサーのエリザベートが憤慨する中、

「じゃあ、ライブは中止?」

 と、困った口調でキャスターのエリザベートは弱気を口にする。

「で、でも、その言い方からしたら、全員が来られない訳じゃないわよね?」

 セイバーなエリザベートが、ぐだ男の言葉に疑問を抱き質問した。

「うん、何人かは来てくれる事になっているよ。それを伝える為に来たんだ」

「そ、そうだったの。ご苦労だったわね」

「観客が少なくなったのは嫌だけど、やることがあるのなら仕方ないわね」

「それで何人くらいになるのよ?」

 そうだね……、と暫くぐだ男は脳内で人数を数え、

「十七人程かな? この部屋の大きさならそれくらいが妥当じゃないかな?」

「う~ん。まあ仕方ないわね!」

「本当なら全員呼びたかったけど」

「折角来たのに歌を聞けないっていうのも可哀想だしね」

 そんな会話がありつつも、ライブの幕は無事に上がることになった。

 

 

「君も大概、英霊達の扱いが上手くなったよね。というより遠慮がなくなったというか」

「うーん、まあ今回はタイミングが良かったからね。最近エリちゃん達には歌わせてなかったから、変に暴走して辺り構わず歌わせていたらそれこそ大惨事になる可能性もあった訳だし」

「しかし酷な事をするねえ」

 ライブ後、ぐだ男のマイルームにて。

 部屋の主であるぐだ男と緑髪の青年、ダビデが密会をしていた。

 ぐだ男のマイルームは盗聴盗撮に対する科学的・魔術的なセキュリティによりプライベートの確保がなされており、他に聞かれたくない話をするにはもってこいの場所であった。

「まさか、彼女達のライブを他のサーヴァントの処罰に使うとは恐れ入るよ」

「これに懲りて、皆も少しは大人しくしてくれると良いんだけど」

 そう、今回のエリザベートライブに参加した観客。実はほぼ全員がなにがしかの問題を起こしたメンバーであったのだ。

 参加メンバーは、ネロ、信長、フェルグス、清姫、ジャガーマン、源頼光、黒髭、パラケルスス、エジソン、二コラ、ヒロインX、酒呑童子、静謐のハサン、ランスロット(剣)、茶々、殺生院キアラ、BB、と錚々たる顔ぶれであった。

 この内、ネロだけは良きライバルの視察として訪れて、我慢できなくなり飛び入り参加したが、他のメンバーにはいい薬になっただろうと、ぐだ男は思う。

 因みにそれぞれの罪状については推して知るべし、である。

「しかも君自身はしっかり対策した上で参加しているんだから、手が込んでるというか」

「いやまあ、どうせ彼女達は逃がしてくれないだろうし、叱る側として威厳も示さなきゃいけなかったし」

 という言葉通り、ぐだ男自身は全く気が乗らないではあったが、完全武装(ダ・ヴィンチちゃん特製耳栓、魔術礼装:月の裏側の記憶(弱体無効一回)、概念礼装:聖者の依り代(弱体無効三回)、等々)した上でライブに挑んでいたのである。

「全く、今回のこれは成長と言って良いのか、染まったと言えばいいのか。まるで新宿のアーチャーみたいだよ?」

「ごめん、それはちょっと本気で嫌かもしれない」

「ははは」

 苦い顔をするぐだ男に、ダビデは愉快そうに笑うのであった。




それぞれ何をしでかしたのかは、ご想像にお任せ。
ランスロット(剣)のみ、マシュからの要望w
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