割とガチ対応をする、ぐだの話   作:風呂

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ぐだ男の息抜き。


オリオンへの対応

 カルデア内時刻、午後十時を過ぎた頃。

「う~~ん、終わったー」

 自室にて、メディアから出された魔術の課題を終えたぐだ男は、大きく伸びをした。

 長い事机に向かっていた為、凝り固まった身体を解していく。

「うう~ん」

 身体を捻ったり、腕を回したりしていると、思わず心地良さと共にため息が漏れる。

 この後の予定としてはもう寝るだけであり、明日もオフ日という事で完全自由時間である。しかしまだ寝ようという気分にもならない。

 さてどうしようかと、つらつら考えていると、

「――――ん?」

 マイルームのインターフォンが鳴った。

 こんな時間に誰だろうと、椅子から腰を上げる。

 マシュは健康管理上の理由により夜更かしはしないので除外。

 その他カルデア職員も大体は先にアポを取ってくるので考えなくてもいい。

 その他常識的なサーヴァントもあまり考えられないので、溶岩水泳部等に代表される破天荒(オブラートな表現)な連中か、と少し警戒しつつ扉に近づく。

「はい、どなた?」

 誰何しつつ備え付けのカメラの画像を見ると、そこには誰も映ってはいなかった。

 子供サーヴァントだろうか? しかしいくら子供の身長でも頭頂部くらいは見える筈である。では彼女達の悪戯か? とも考えるも、何となく腑に落ちない。

 そんな事を二秒ほど考えるが、開けたほうが早いと結論に至り行動に移す。

 果たしてそこにいたのは――、

「あれ、オリオン? どうしたのこんな時間に?」

「何となく暇だから遊びに来た? みたいな?」

 足元にあまり可愛らしいとは言えない熊のぬいぐるみ、オリオンがいた。

「邪魔するぜー」

 断りを入れつつ彼は、手に袋を提げて(体格的に引き摺っているが)部屋に入ってきた。

「別に良いけど、アルテミスは?」

「女子会の最中。男子禁制だと」

「アルテミスから遠ざけられるなんて珍しい」

「俺もびっくりだぜー。けどまあ偶には良いんじゃないですかね? というかそういう方向にもっていった。あの面子の中にいるとか冗談抜きでSAN値削られる」

「……ふぅん? メンバーは?」

「確か、小さい方のメディア、キルケー、イシュタル、エレシュキガル、ケツァル・コアトル、ステンノ、エウリュアレ、ちびメデューサ、スカサハ、ニトクリス、玉藻、刑部姫、鈴鹿御前、メルトリリス、パッションリップ、殺生院キアラ、だったっけ?」

「げっ、神霊や神代の恋バナ好きそうなのほぼ全員じゃん。何? 縛り?」

「あー、他の神様連中の話もネタにするからその辺気を使わなくていいメンバーだけ集めようとしたら大人数になっちまったんだと。因みに最後のヤバい尼さんはどこからか話を聞きつけていつの間にか潜り込んでた」

「それ絶対後で碌なことならないって。なんで止めなか……いや、無理か。無理だよね。ごめん」

「うん、恋愛脳(スイーツ)には勝てなかったよ……」

 どうにもならんかー、と諦めの境地に達したぐだ男はオリオンをテーブルの上に座らせつつ、自分も席に座る。

「で、なんでここに?」

「いや、ホント暇だから何となく顔出してみただけっす。お邪魔だったならすぐ出てくけど?」

「構わないよ全然。こっちも暇してたしさ」

 

 

「そんななぞる訳ないだろ?」

「いーや、なぞるね」

『なぞったあああああああああああ!!』

 

「なあ正直、今の熊のぬいぐるみな俺より、この黒猫のオリオンの方が可愛くね?」

「それ俺の口から言って良いの?」

「やっぱやめて。座に帰っちゃいそうになるから」

「ですよねー。露骨に話題逸らすけどさ、この映画初めて見た時、オリオンのベルトってそっちかーって膝を打ったね」

「単純だけど、効果的な伏線だと思うわ」

 

「そういえば、オリオン座をモチーフにしたライダーの怪人がいてね?」

「マジで!?」

「怪力自慢のパワーファイター」

「おお、なんか強そう!」

「けどそのライダーに倒される犠牲者第一号」

「マジっすか……」

「見てみる?」

「気になっちゃうから見るぅ!」

 

「オリオンって十回言ってみ?」

「オリオンオリオンオリオンオリオンオリオンオリオンオリオンオリオンオリオンオリオン」

「海の?」

「オリオン……、ハッ!?」

「うひゃははは!!」

「なんでそのネタ知ってるのさ。というか大丈夫なの? 神話的に」

「ギリ、ギリオッケー!」

「ホントかよ」

 

 このような毒にも薬にもならない他愛のない会話や、その合間にライブラリから映像作品を見たり、秘蔵のお菓子を食べたりと、二人は気ままに気の抜けた時間を過ごした。

「って、もうこんな時間か。んじゃそろそろお暇しますかね」

 気づけばもう朝にほど近い時間になっていた。

「ああ、そうだね。流石にもう寝る時間かな」

 ぐだ男自身、そろそろ無視できないレベルの眠気を感じてきたところだった。

「眠たいって顔に書いてるしな」

「ハハ、なんだか恥ずかしいな」

 そう言って、オリオンは机から飛び降り華麗に着地。トコトコと扉へと歩いていく。

 ぐだ男も見送りに立ち上がる。

「……明日はゆっくりしとけよ」

「ん? まあ、こんな時間まで起きてたからね。嫌でも寝てるだろうけど」

「じゃなくてよ。最近、色々あっただろ? 疲れてそうだなって」

「…………」

 オリオンの指摘は正鵠を射ていた。

 『彼』がいなくなって暫く。新宿幻影事件も解決し、更にカルデア内でのゴタゴタをいくつか経験した時期だ。

 流石のぐだ男も、疲れが見え始めていた。

「……そんなに分かりやすかった?」

「いんや、勘の良い一部の英霊くらいだろ、気づいてるの。カルデアの職員やマシュマロちゃんは気づいてないだろうなあ」

「なら、良いんだけど」

 詳しく聞くと、少し前にサーヴァント同士で会話している時にそういう話題になったらしい。

 それを覚えていたオリオンが、厄介なサーヴァントが女子会なんぞをしているこのタイミングで息抜きさせてやろうと、今回ぐだ男の部屋を訪れたらしい。

「なんというか、まいったな」

「気にすんな気にすんな。たまたまさ、たまたま。普段ならこんな事しないしなー」

「ありがとう、オリオン」

「……照れるじゃねえか」

 そう言って頭をかくオリオンだった。




心がイケメンなオリオンを演出する、の巻。
口調には全く自身はない。と言うか多分違う気がする。
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