奥さん、貸した金が払えないなら身体で払ってもらおうか!   作:筆先文十郎
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自分を妹のように可愛がってくれた先輩、ジェニュイン・バスターバインを救うために某国の女諜報員であるリンダ・シェルは黒い噂が絶えない製薬会社に忍び込む。
身悶える先輩諜報員を発見し救い出そうとするリンダ。しかしそんな彼女の行動は筒抜けでリンダは敵の手に落ちてしまう。
拘束されるリンダの前に、怪しげな液体を持った下卑な笑みを浮かべる研究員。
抵抗するリンダ。しかし無情にも粘度の高い白濁とした謎の液体は彼女の喉を通過し……


女スパイ・屈辱的拷問2~白濁陥落~

 田中製薬会社。

 日本では知る者はいないと言われる国内で急激にシェアを拡大させた製薬会社である。その一方で秘密裏に人体実験などを行い様々な所と繋がっているという情報も絶えない。

 その詳細を調べるため某国は一人のスパイを送り込んだ。しかし送り込んだスパイから連絡が途絶えた。

 事態を重く捉えた某国の上層部は新たなスパイを送り込んだ。

 

 

 

「先輩、今助けに行きます。待っていてください!」

 狭い天井通路を慎重に進みながら少女のような小柄な女性は小さく、それでいて力強く呟いた。

 彼女の名前はリンダ・シェル。某国の女スパイだ。

 子どものような愛らしく幼い顔立ちと平均的な成人男性の胸辺りしかない身長。長く艶やかなショートヘアが幼い顔立ちをより強調させている。

 身長に反して胸元は程よく膨らみ、体型がはっきりと出ている漆黒のライダースーツを魅力的にもちあげている。やせすぎず太すぎないくびれに、ほどほどに盛り上がったヒップライン。女性らしさと子どもの可愛らしさと相反しそうな要素を見事に融合させた女性だった。

 彼女の脳裏に一人の女性が映し出される。

 

 ジェニュイン・バスターバイン。

 

 某国の女スパイでありリンダの一つ上の先輩にあたる。ジェニュインはリンダを実の妹のように可愛がった。仕事のミスをしても励ましどこが悪かったのか一緒に考えてくれる、リンダにとって姉のような存在だった。

 

 一刻も早く会いたい気持ちを抑え、リンダはある部屋の前に立つと予め盗んでおいたカードキーを通す。ジェニュイン・バスターバイン

 

 ガチャッ

 

 重々しい扉がゆっくりと開く。リンダは周囲にセンサーやトラップなどがないことを確認しながら薄暗い部屋へと入っていく。

 

 ウィンウィンウィンッ…………ウィンウィンウィンッ…………ウィンウィンウィンッ…………

 

 卑猥さを感じる小刻みに震える音がリンダの耳に届く。その音を頼りにゆっくり奥へと進む。

「!?」

 リンダは声が出そうになるのを慌てて口を抑えながら、目を大きく見開いた。

 そこには鉄格子の中でバンザイをするように鎖でつながれ、目隠しと猿轡をされた金髪の女性、ジェニュイン・バスターバインがいたからだ。

 先ほどの振動音が聞こえるたびに尊敬する先輩の体がビクンッ!と震える。

「先輩!私です、リンダ・シェルです!今助けます!!」

 リンダはすぐさま鉄格子の鍵を破壊すると振動音が聞こえるたびにうめき声を上げる先輩に近づく。

「先輩!大丈夫ですか!?」

「リンダ!今すぐ逃げ―――」

 リンダが猿轡を外すとジェニュインは何かを言おうとした。しかし彼女がその言葉を最後まで言うことは出来なかった。

 

 ガシャンッ!!ブシューーーッッッ!!

 

 鉄格子にシャッターが下り、天井のスプリンクラーから真っ白なガスがあっという間に逃げ場のない部屋に満ちていく。

「う、ゲホゲホッ……!?」

 ガスを吸った瞬間、全身の力が抜けてリンダは糸が切れた人形のように床に崩れ落ちる。「せ、せん……ぱ…………い………………―――」

 わずかに残った力を振り絞って少女のような女性は愛する先輩の方へ手を伸ばし、力尽きた。

 

 

 

「んっ」

 リンダはゆっくりと目を開ける。一瞬何が起こったのか分からない。どういうわけか体が動かなかった。辺りを見回すと先ほどの部屋と同じ薄暗い部屋だった。

(でも先輩がいないということは……別の部屋みたいね)

 彼女は自分が置かれている状況に気付き自虐的に笑う。

 自分もジェニュイン・バスターバインと同じように敵の手に落ちたことを。バンザイをするように両腕を上げた状態で拘束されていることが彼女に絶望と不安をより強調させる。更に言えば足首も固定されて身動きが取れない。

 何とかして手首の縄を解こうとしたが特殊な訓練を受けた彼女をもってしても切れる気配はない。自分のような専門的な者に用意された縄なのだとリンダは理解する。

 無様だな……

 じわじわと悔しさがこみ上げてくる。愛する先輩を助けるために乗り込んだのに助けるどころか自分も敵の手に落ちた自分が。

「お目覚めですかな」

 声のした方へ振り返る。そこにはでっぷりとした白衣の男が立っていた。

「お前は、田中(たなか)海一郎(うみいちろう)!」

 田中海一郎。田中製薬会社の研究員で、田中製薬会長の孫に当たる男だ。

「ほう、流石は某国の女諜報員様だ。先日我が社に潜入したジェニュイン・バスターバインさんに色々と僕が誰なのかご存知とは」

 ニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら話す男に、リンダはもうすでに自分が何者で何のために潜入したのか相手は知っているのだと悟った。

「殺すなら早く殺せ!先輩を救えなかった以上、私に生きる価値などないのだから!」

 自嘲しながら言い放つリンダに男は意外な言葉を発する。

「殺す?何故殺さなければならないのです?」

「え?」

 予想外の返答に目を大きく見開くリンダ。そんな女スパイを見ながら男は続ける。

「殺すなんてもったいないことなどしませんよ。あなたには生まれ変わってもらいます。私の忠実な奴隷……いえ、実験体として」

「ど、奴隷だと……」

 リンダの脳裏に先ほどのジェニュイン・バスターバインの姿が映る。姉のような先輩は目隠しと猿轡をつけられ、部屋が暗くて発生源がどこか分からなかったが怪しげな振動音をするものを付けられていた。それが何であるか少女のようなリンダでも知識としてあった。

「私に何をする気だ!?」

「ふふふ、なぁに。大したことはしませんよ。まだね」

 恐怖を隠すように声を荒げる女諜報員に男は生理的嫌悪感を抱く満面の笑みを浮かべながらペットボトルを取り出す。

「な、何だ……それは?」

 ペットボトルに入ったドロッとした謎の白い液体を見て、リンダは顔を引きつらせる。

「いえ、なぁに。怪しいものではないですよ」

 そう言いながらベロッと唇を舐める白衣の男。その気色の悪い光景を見てペットボトルの中身を怪しいものではないと思う女性はいないだろう。

 男はペットボトルの蓋を開けると男は気持ち悪い笑みを浮かべながら近づいていく。

「や、やめろ!近づくな!!」

「ふふふ、そんなに怯えなくていいですよ。きっと気に入るはずですから」

 そう言ってペットボトルを口につけさせようとする男の思い通りになるまいと、リンダは顔を背け唇をキッ!と結ぶ。しかしそれはほんの数秒先送りにするだけだった。

「グエェッ!ゲホゲホッ!?」

 男の拳が女諜報員の腹にめり込む。いくら訓練を受けているリンダであっても両手両足が固定されている状態では攻撃を避けることも緩和することも出来ない。ましてやペットボトルに意識が向いていたためなおのことダメージを受けてしまう。

 痛みで意識が一瞬失う。

 その隙を見逃す男ではなかった。男はリンダの顎を上に持ち上げるとペットボトルの中身をリンダの口に流し込んだ。

「ウッ、ウグッ!ウウウッッ!!」

 流れ込む白濁とした粘度の高い液体を吐き出そうとするリンダ。しかしいつの間に手にしたのか喉に当てられたナイフを見た瞬間に、理解した。飲まなければこのナイフで喉元を切り裂かれると。

 吐き出すという選択肢を消された彼女に残された唯一の方法は、得体の知らない不気味な液体を飲むということ。

「ウゥ、ウッ……ゴクンッ」

 涙を流しながらリンダは液体を呑み込む。

「あ、あれ?……これ……美味しい!」

 初めて味わう味にリンダは感激の声を漏らす。その感想に男は嬉しそうな笑みを浮かべる。

「それはそうでしょう。これは『飲む点滴』と言われ注目を集めている発酵飲料、甘酒。しかもより飲みやすく、より健康的になるよう僕が改良に改良を重ねた甘酒なのですから!」

「そんなことどうでもいいの!」

 リンダは先ほどとは違う、懇願の涙を浮かべながら訴える。

「お願い!その白くてドロッとした液体、私に飲ませて!」

「ええ、いいですとも」

 男がペットボトルを彼女の口に傾けると、女諜報員はゴクゴクと白濁の液体を嬉しそうに嚥下していく。

 こうして愛する先輩を救うために田中製薬会社に乗り込んだ女諜報員、リンダ・シェルは白濁とした粘度の高い液体の前に堕ちていった。

 

 

 

 一方。ジェニュイン・バスターバインが拘束されている部屋。

「あ、あぁ……あぁん!き、気持ちいい!気持ちいいのぉ!!」

 後輩のリンダ・シェルが白濁とした液体の前に堕ちたことを知らない金髪でグラマラスな女諜報員、ジェニュイン・バスターバインは背中に付けられた肩周り専用のマッサージ器に恍惚とした表情を浮かべていた。




星野仙一氏に続き野球界に多大な貢献をしてきた鉄人、衣笠祥雄氏も天国へと旅立たれました。
星野さんに続いて貴方もか!という消失感に数日苦しめられました。

そして数日考えました。一野球ファンとして何が出来るか。そして小説家を目指す者として何が出来るか。
その結果ある結論に至りました。それは『小説で多くの人を感動させる小説を書くことだ!』と。
そして筆を進めました。

・・・・・・その結果がこの小説(これ)かよ!という謎の自己嫌悪(涙)。
なんで決意と裏腹にこんな話が思いつくんだろう・・・・・・。




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