奥さん、貸した金が払えないなら身体で払ってもらおうか! 作:筆先文十郎
恋愛経験ゼロの男と年上女性が漏らす熱く艶かしい声を聞いて、ヒロインは絶望に落とされる。
私はとある地方の大学に通う3年生。私には高校時代に知り合った彼氏がいる。
高校時代、プロ野球のスカウトの目に留まった彼は育成でとある球団に入団。そこからメキメキと実力を伸ばし、ついには支配下登録を勝ち取った。
久しぶりに会えたある日。彼はふと私にこんなことを打ち明けた。
「先輩から言われたんだよね。『お前は一軍レベルで通用する
その言葉にあることを思い出した私は彼にある提案をする。
私には
170㎝を超える高身長に全体的に無駄のない筋肉で引き締まっていながら、胸元は服のボタンが今にも飛んでしまうのではないと思うほど大きく膨らんでいる。それでいてキュッと腰がくびれて、服の上からでもはっきりと分かるほど形の整ったヒップライン。モデルやセクシーアイドルと言っても通じるほどの顔立ちとスタイルを持つ才色兼備。
特長が無いのが特徴の自分とこの人は本当に実の姉妹なのだろうか?
そう時々考えてしまうほど自慢の姉だった。
そんな姉は高校卒業後にアメリカの大学に入学。大学での知識と経験を活かして現地でスポーツ科学の研究をしつつトレーナー業に就いている。その実力は実際にプロのスポーツ選手にアドバイスをするほどだ。そんな姉が長期休暇で日本に戻ってきたのだ。
自分には姉がいることをすでに教えているが、アメリカにいたということもあり紹介をしていなかった。そんな姉ならば彼の役に立てるのではないか。
そう思った私は彼に姉を紹介した。お互い紹介を終えると「ちょっと軽くバットを持ったつもりでスイングしてみて」と言った。その場でスイングをした彼を見た後、姉は「服の上からわかるほど身体は出来上がっているけど動きが固いわね」と言った。
その場でスイングをしただけでどこを改善するべきかを見抜いた姉に感動した彼はすぐに「ご指導お願い出来ませんか?」と頭を下げた。
そんな彼のお願いに姉は
後日。大学のカフェテリアで私は高校時代からの付き合いで全国の女子大生を平均化させた容姿の親友、
「助子、実はね……」
私は彼に姉を紹介し、今日から姉がマンツーマンで彼を指導することになったことを伝えた。すると助子の顔が難しいものへと変化していく。
「……どうしたの、助子?」
「……」
首を傾げる私に、助子は一瞬言おうか言うまいか悩んだ後に口を開く。
「アンタ、それってめちゃくちゃヤバいんじゃないの?」
「……え?」
意味が理解できずにポカーンとする私に助子は続ける。
「……彼って野球一筋だったわけでしょう? そんでもって初めての彼女は恋愛素人のアンタ。交際して数年。なのにキスはおろか一緒に映画を見て手を握るだけで進展してない。そんなお子ちゃま同然の恋愛しかしてこなかった男にアンタのお姉さんみたいなお色気ムンムンな人が現れたらどうなる? しかもマンツーマンと言うことは二人っきりって訳でしょう? 間違いがないって言い切れる?」
「え? 『間違い』って?」
意味が理解できずに目をパチパチさせる私に、助子は「……はあぁ!」と重いため息を漏らす。
「アンタの彼氏がお姉さんの彼氏になっちゃうって意味よ! 要は『寝取られる』ってことよ!」
「……『寝取られ』?」
首を傾げて頭の上に? マークをいくつも浮かべる私に、助子はその意味を懇切丁寧に教える。
「……あぁ、あぁぁ……」
私は完全に青ざめ震えが止まらなくなっていた。自分の彼氏が、いつまでも隣にいてくれると思っていた彼氏がいなくなり、代わりに姉の隣に立つ姿を。その二人が幸せそうに歩いていく姿を想像して。孤独になった私を置いて。
「あとこないだお姉さんと会ったけど。普通の人なら
「…………ッ!!」
自慢である姉が大好きな彼氏を誘惑して私から彼氏を奪う。その想像に絶望と恐怖に陥った私に助子の言葉は耳に入っていなかった。
「私、二人のところへ行ってくる!!」
いてもたってもいられず、私はカフェテリアを飛び出した。
「ちょ、ちょっと! お会計!!」
遠くで助子が叫ぶ声を無視して私は走った。
目と鼻の先にある駅に飛び込むように入る。ホームにはタイミングよく電車が入り、プシュー! と扉が開いた。一目散にダッシュした私は空いている電車の中で呼吸を整えると「助子の言っていた状況になっていませんように」と必死に祈る。
焦るあまり一秒が数時間にも感じる中、駅に着いた私は急いで自宅にある防音設備のトレーニング室に向かう。
「……はぁ、はぁ、はぁ……ッ!? うぅっ……」
扉を開けようとドアノブに手を伸ばそうとしたが、急な身体の酷使で
……ハァッ、ハァッ……いいわ! そう、もっと腰を……もっと大きく動かしてぇっ!!
ハァッ、ハァッ、ハイッ! ……こ、こうですか?
アァンッ! いいわぁ! そう、もっと激しく! もっと激しくぅっ!!
「ッ!?」
二人の口から吐き出される、
「私の彼を取らないでッ!!」
そう扉を開けた瞬間。
「うわぁっ!?」
全身に浴びせられる湿度を
「へ?」
二人の姿を見て、私は固まる。そこにあったのは夏も目前なのにストーブに載せたヤカンがピーッ! とやかましく音を鳴らすほどガンガンに暑くした部屋で、フラフープをするジャージ姿の二人が「え?」と困惑した汗まみれ顔で私を見る光景だった。
「……何を、してるの?」
状況が理解できない私はとりあえず尋ねる。
「トレーニングだけど?」
そう言って彼に「水分休憩ね」とペットボトルを手渡すと私の方へ振り返る。
「彼、次の交流戦で一軍出場が決まったらしいのよ。セ・リーグは屋外球場がほとんどだからね。暑さに慣れておくのと腰回りの可動域を大きくする目的を兼ねて」
そう説明すると姉もペットボトルに手を伸ばしてゴクゴクと一気に飲み干す。
「ところで『私の彼を取らないでッ!!』って何のこと?」
「トレーニング頑張ってね!!」
私は急いで扉を閉めた。
「ま、まぎらわしいわよ……」
心臓をバクバクと鳴らし、顔を真っ赤にさせた私は扉にもたれかかるようにへたり込む。扉の向こうではトレーニングを再開したのか、二人の艶かしい熱い吐息が聞こえた。
一ヶ月後。予定通り交流戦で投手の代打で登場した彼は、姉とのマンツーマンの効果を存分に発揮した、身体全体を無駄なく使ったフルスイングで逆転ホームラン。その後の守備でもセンター前ヒットになる打球に飛び付きゲッツーにするというファインプレーをして人生初のお立ち台にあがる活躍をみせた。
だけどそれはまた別のお話。
筆先文十郎の一言。
恋愛経験ゼロの男と年上女性が誰もいない部屋にいたら(R18的な内容)しかないだろうが!! 書いたやつ出てこいや!!