仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング   作:エクシ

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仮面ライダーレーザー 九条貴利矢はクリスマスの日にこの世から消滅する。そんな貴利矢が転送されたのはコンティニューのチャンスが与えられるゲーム世界だった。そこにはもう一人の自分がいて…。


仮面ライダーレーザーVSレーザーターボ
第1話「復活のchance!」


-ゲームオーバー-

 

 

その音声と共に何とも言えない表情を浮かべる名人…いや永夢の顔が見えなくなった。

 

最後に自分が一番に伝えたかったこと。それは永夢が人類で初めてバグスターウイルスに感染したことでも、その永夢に感染したバグスターはパラドであることでも、自分のパソコンに保存されているリプログラミングのデータを見つけてほしいことでもない。

 

永夢には運命を変える力がある。

 

ただそれを伝えたかった。

 

結局渡すことが出来た”物”といえば自分のゲーマドライバーと爆走バイクのライダーガシャットだけ。

 

でも永夢ならもう1つ渡すことが出来た”もの”に気がついてくれるはずだ。後はこれからを生きていく者に任せよう。

 

そんなことを思いながら真っ暗な奈落の中を自分は落ちていっていた。それにしてもどこまで続くんだ、この闇は。

 

もしかしたらこの終わらない闇こそが死というものなのかもしれない。そんな闇から僅かな光を捜すことが監察医である自分の仕事だったんだが。

 

 

「こんな暗いとこじゃ光を捜すのは一苦労だな。」

 

 

聞いている人がいるわけじゃないが気持ちを声に出してみた。どうやら死んだ後でも声は出せるみたいだ。

 

 

「ならば私が光になって見せようか?九条貴利矢!」

 

 

…!この声は…。先ほどまで聞いていたこの声…。なんでアイツがこんなところに?

 

そんなことを思った瞬間、自分の体に突然激痛が走った。それは見えない地面に叩きつけられたからだと気が付き、ゆっくりと立ち上がる。

 

 

「どこにいやがる!檀黎斗!」

 

 

そうだ。この声は檀黎斗。自分をたった今殺した張本人だ。もちろん仕返しをしてやりたい気持ちは山々だがそれ以上にコイツを野放しにして置くことは許されないという義務感を感じている。

 

やるときにはやる。それこそ自分のいいところだと自負している。

 

 

「この声は私自身ではない。ドライバーを所有している人間が死んだときに起動するよう細工しておいた、いわばプログラムの音声に過ぎない。」

 

 

プログラム音声か、なるほど。だが姿かたちが見えない者に話しかけるというのは奇妙だし、そもそもこれだけ腹の立つ声をプログラムに仕組む黎斗にはやはり憤りを抑えることは出来ない。

 

 

「どういう意味だ!なんでそんなことした?」

 

「君たちは仮面ライダークロニクルのデータを集めるモルモットでありテストプレイヤーでもある。このプログラムは消滅したライドプレイヤーがゲーマドライバーを使用していた場合、消滅しても1度だけコンティニュー出来るチャンスを与えるというシークレットルールのテストさ。」

 

 

後でわかった話だが仮面ライダークロニクルにおいて仮面ライダーたちは倒すとアイテムが手に入るレアキャラ扱いになっているらしい。ライダーガシャットを手にしたライドプレイヤーは武器を手にすることが出来るように、ゲーマドライバーを手にしたライドプレイヤーはコンティニュー可能なゲームへの参加条件が与えられる…ということだ。

 

 

「じゃあ自分は今から復活出来るかもしれないってことか。」

 

「その通り、察しがいいな。」

 

 

コイツの声で褒められても何も嬉しくないな。何より信用できない。

 

 

「お前のことを信じろと?」

 

「信じないのは勝手だ。いつまでもここにいるがいい。」

 

 

本当にむかつく野郎だ。でもいつまでもここにいればいつかは発狂してしまいそうだ。考えを理解したかのようにプログラム音声は案内を続ける。

 

 

「コンティニューゲームは君の意思で選ぶことが出来る。選択したまえ。」

 

 

自分を囲むようにステージ選択の画面が出現した。風車のようなタワーがある近未来都市、戦国時代の城下町、宇宙ステーション、魔法の世界…。

 

なんだこれ、多すぎだろ…。遊園地のステージには「GAME MASTER ONLY」の文字が書かれているため選べないようだが。

 

 

「このゲームの難易度には差はあんのか?」

 

「いいやそのゲームも同じくらいの難易度だ。」

 

 

ならどれでもいいな。あ、いつの間にかコイツの言ったことを信じまっている自分がいる。気が付いた時には適当なボタンをタッチしていた。

 

 

「君が選択したのは爆捜トレジャー!主人公が世界中を冒険する宝探しゲームだ。さぁ君はクリアしてコンティニュー出来るかな?」

 

「クリアしてみせる。こんなとこに戻されるのはごめんだからな。」

 

「あぁ言い忘れていたが、もしゲームオーバーになった場合、君は感染したウイルスのプロトガシャットの中でバグスターウイルスの姿として永遠にさまようことになる。気を付けたまえ。」

 

 

はぁ!?そんなこと聞いてねえぞ!

 

口に出そうとしても既に転送が始まっていて声にならない。檀黎斗…こうなったらやってやるよ。必ずクリアして復活し永夢たちの力になってみせる。

 

 

 

 

 

自分が目を覚ましたのは木が生い茂る森の中だった。このゲーム内では夜なのだろうか、辺りには何も見えない。とはいえさっきの闇の中に比べれば大した暗さじゃないけどな。

 

 

「さーてどーするかな…。」

 

「ウォオイ!こんなところに人間がいるじゃあねえかぁ!一緒に走ろうゼェェ!」

 

 

後ろの方から声がした。黎斗の声よりはマシだが友や患者の命を危機に晒してきたバグスターの声はやはり腹が立つ。

 

 

「モータスか。ん?」

 

 

革ジャンのポケットに手を突っ込むと爆走バイクのガシャットがあった。永夢に渡したはずだったが、どうやらゲーム内では使用可能のようだ。地面にはゲーマドライバーも落ちている。

 

 

「おっしゃー、付き合ってやるよ!」

 

 

拾い上げたゲーマドライバーを腰に巻き爆走バイクのガシャットを起動させた。

 

 

-爆走バイク!-

 

 

いつも通りターンしてガシャットのRGサーキットボードを下に向ける。

 

 

「変身!」

 

 

そのままゲーマドライバーのメインガシャットスロットにガシャットを装填。

 

 

-ガシャット!-

 

 

プレイヤー画面で自分の変身する仮面ライダーレーザーが来ればそれを蹴って選択する。

 

 

-レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?アイム ア カメンライダー!-

 

 

これで変身完了。自分の姿は2頭身のレーザー バイクゲーマー レベル1へと変わった。

 

右手で握っているフロントアームドユニットから銃撃を放つもそれを避けて、モータスは近くに止められていたモータスヴァイパーに跨るとすぐに発進した。

 

確かこのゲームは宝探しだと言っていた。宝探しには情報が必須。

 

バグスターからでも情報を得るのが先決だ。というわけで追いかけるに限るぜ。

 

 

「2速!」

 

 

フロントアームドユニットを捨てアクチュエーションレバーを開くとドライバーからはレベルアップ音声が鳴り響く。

 

 

-ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!-

 

 

コイツが鳴り響くと自分はバイクへと変化する。バイクゲーマー レベル2となった自分は自動運転でモータスを追いかけるが追いつかない。

 

自分には乗ってもらう相棒がいないと馬力が出ない。永夢がいればとこういう時、本当に思う。

 

走っていくと徐々に木が減っていき、景色が変わっていく。もうモータスバグスターは見えないからどこに向かっているわけでもなくまっすぐ進んでいると視線の先に街が見えてきた。

 

街とはいってもRPGゲームに出てくる怪しげな街だ。

 

 

「仕方ねえ。モータスはとりあえず保留だ。」

 

 

-ガッチョーン!ガッシューン!-

 

 

アクチュエーションレバーを閉じて一度レベル1の形態に戻ってから爆走バイクのガシャットを抜いた。

 

こんだけ騒がしいドライバーにしたのには何の意味があるんだろうか。まぁ自分は派手なのが好きだからいいけどな。

 

元の自分の姿に戻り、静かに人気のない街に近づいていく。一応敵がいるかもしれないと警戒しながら壁に沿ってすり足で歩いていく。

 

街の真ん中あたりに来ると"GAME"の看板が見えた。この街のゲームセンターだろうか。

 

 

「ゲーセンじゃ情報を得られそうにないな。」

 

 

別の方向へ行こうとしたその時、ゲームセンターの扉が開いて中から男性が1人出てきた。

 

ポップな色のTシャツに爽やかな顔立ち。

 

 

「永夢!!」

 

 

自分の声を聞いた永夢はこちらを振り向いてきた。まさかこんなに早く再会できるとは。でもなぜこんなゲーム世界に…?

 

 

「ここで何してんだ?」

 

「…あなた、誰ですか?」

 

「は?自分だ、貴利矢だ。さっき消滅したけどここでゲームクリア出来れば復活できるらしいんだ。手伝ってくれよ。」

 

「もしかして、お宝を捜しているんですか?」

 

「お、そうそう。これは宝探しゲームだからな。」

 

 

さすが永夢、察しがいいぜ。ニヤリとした瞬間、永夢の右手が自分の顔面に飛んできた。

 

 

「いってぇ!何すんだ!」

 

「お宝は見つけさせません。」

 

-マイティアクションX!-

 

 

そういうと永夢はゲーマドライバーを腰に巻きマイティアクションXを起動させた。起動と共に永夢はいつも人格が変わる。

 

檀黎斗の父親 正宗によるとあれはパラドが感染している影響らしいが…そんなことは今はどうでもいい。どうなっていやがる…?

 

 

「落ち着け永夢!どうしたんだよ!」

 

「大変身!」

 

 

問答無用でマイティアクションXをメインガシャットスロットに装填しすぐにアクチュエーションレバーを開く。

 

 

-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!X!-

 

 

そう、ガシャットを装填してすぐにアクチュエーションレバーを開けば自分たち仮面ライダーはレベル1を踏まえずそのままレベル2へと変身できる。バグスターを患者から分離するためのレベル1はライダー同士の戦いでは無意味になるため、そのまま仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマー レベル2へと変身したのだろう。

 

 

-爆走バイク!ギリギリチャンバラ!-

 

 

ギリギリチャンバラの起動によってチャンバラゲーマが出現する。

 

 

「やる気かよ。なら仕方ねえ!3速!変身!」

 

 

-ガッシャット!ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!アガッチャ!ギリ・ギリ・ギリ・ギリ!チャンバラ!-

 

 

そっちがレベル2への直接変身をするならこっちはレベル3への直接変身だ。レベル2の自分はバイクだがレベル3になれば人型になれる。

 

1人で戦う時は基本的にこのチャンバラバイクゲーマー レベル3がメイン形態になってきた。

 

 

-ガシャコンスパロー!-

 

-ガシャコンブレイカー!-

 

 

ギリギリチャンバラの力で可変弓形の武器 ガシャコンスパロー 弓モードが召喚される。一方のエグゼイドも専用武器 ガシャコンブレイカー ハンマーモードを手に襲い掛かってきた。

 

叩きつけ攻撃もガシャコンスパローで抑え射撃攻撃を繰り出す。

 

 

-ジャ・キーン!-

 

 

攻撃に怯んだエグゼイドはすぐにAボタンを押すことでガシャコンブレイカーをブレードモードに変形させて自分に斬撃を繰り出してきた。

 

いくら名人である永夢とはいえレベルはこちらの方が上。その攻撃に耐えこちらもAボタンを押すことでガシャコンスパローを鎌モードに変形させた。

 

 

-ス・パーン!-

 

 

このモードは両手で斬りつけ攻撃が繰り出せるためかなり使いやすい。エグゼイドもレベル差を埋めることが厳しいと感じたのか、キメワザスロットホルダーからゲキトツロボッツのガシャットを取り出した。

 

 

-ゲキトツロボッツ!-

 

 

エグゼイドの横にロボットゲーマが現れレベル3への変身準備は整った。

 

 

-ガッチョーン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!X!アガッチャ!ぶっ飛ばせ!突撃!ゲキトツパンチ!ゲ・キ・ト・ツロボッツ!-

 

 

ゲキトツロボッツを装填したゲーマドライバーのアクチュエーションレバーを再度操作したことでエグゼイドはロボットアクションゲーマー レベル3へとレベルアップを遂げる。

 

こうなると自分に勝ち目はなくなってくる。同じレベル下で天才ゲーマーMとして名を轟かせてきた永夢を相手にするのは厳しい。

 

案の定すぐにゲキトツスマッシャーから放出されたロケットブースターで接近し、自分にパンチを叩き込んできた。この戦い方に容赦はないし、そもそも自分と違って永夢は嘘や隠しごとをするタイプではない。

 

この永夢は”ガチ”で自分を倒そうとしている。

 

 

「やっべえな…。」

 

 

すぐに外側のメインガシャットスロットからギリギリチャンバラを抜いて左手のガシャコンスパローについているガシャットスロットに装填したがそれよりも早くエグゼイドは既にゲキトツロボッツをキメワザスロットホルダーに装填している。

 

 

-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!ゲキトツ クリティカル ストライク!-

 

-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!ギリギリ クリティカル フィニッシュ!-

 

 

ここで負けるわけにはいかない。ここで負ければ2度と復活できないのだから。

 

本当の永夢に会うために自分はここで勝つ。

 

ガシャコンスパローを振り下ろそうとした目の前には自分目掛けて放たれたゲキトツスマッシャーが迫っていた。


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