仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング   作:エクシ

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仮面ライダーブレイブ 鏡飛彩はアメリカにいた時にブレイブに選ばれた際の試験の記憶を幻夢VRを使って思い返していた。様々な業界のエリートたちが集う中、ブレイブの変身者を決める試験に飛彩も参加することとなる。


仮面ライダーブレイブ&レーザー
第1話「Survivalの幕開け!」


…!

 

ここは…一面の砂漠の中に1本道。驚いたな、まさかここまでVRの完成度が高いものだとは思わなかった。医療技術に使えそうだと親父に進言しておくか。それにしても檀黎斗(ヤツ)の腕だけは唯一信用できる点だな。

 

 

「んじゃさっさと行こうか、大先生?」

 

 

声の主は…監察医だ。俺、鏡飛彩を大先生と呼ぶのはコイツだけだから顔を向かずとも誰なのかわかる。

 

 

「なぜお前がいる、監察医。」

 

「いやぁ大先生だけじゃ心配だからさ。ほら、ゲーム苦手でしょ?」

 

「苦手ではない。やらないだけだ。」

 

「いやだから苦手なんじゃん…。」

 

 

ゴチャゴチャと相変わらずうるさい奴だ。バグスターの体になってから機械やゲーム、プログラムの中に入ることが出来るようになってさらに面倒くさくなった。

 

 

「人の記憶を探るとは趣味が悪いぞ。」

 

「人の臓器探るのよりはまだマシだろーよ。まぁ死因探す自分に言われたくはないか。ハハ!」

 

「まぁいい、邪魔だけはするなよ。」

 

「ヘイヘイ。」

 

 

とにかくここからまずは”会場”に向かわなくては。近くに止められていた車に乗って俺はラスベガス方面へと向かった。ちょうど開催式が始まる時間には着くことが出来そうだ。

 

 

 

 

 

会場はドレスやタキシードに身を包んだ人がごっ互いしている。さすがは最高級ホテルの大広間を会場にしているだけあるな。

 

しばらくすると照明が全て消えてスポットライトが1点を照らす。そうあの男を。

 

 

「皆様、幻夢コーポレーション主催の本イベントに参加して頂き誠にありがとうございます。社長の檀黎斗です。」

 

 

フン、今思えばわざとらしい演技だ。くだらん。

 

 

「はっはー、神のやろー、こん時はちゃんと社長してるじゃんよ。」

 

 

監察医は面白がりながらボーイから白ワインのグラスを受け取り飲み干している。それにしてもこんな場所でもお前はアロハシャツを着ているのか。

 

 

「というわけで今回各業界のトップを走られている皆様に集まって頂いたのは他でもありません。わが社が開発したゲーマドライバー、ライダーガシャットをどなたにお預けするか…といういわば試験のようなものを開催させて頂こうと思います。そして勝った1名の方は最も勇敢なものとして仮面ライダーブレイブの名を送らせて頂きます!」

 

 

拍手が沸き起こる。しかしここにいる誰もが知らないだろう。この試験を通って仮面ライダーになるのはこの俺だということを。そもそもこんな企画が為されたのは無免許医のCR追放が発端だった。

 

 

 

 

 

「そこをお願いします!檀社長!ライダーシステムは衛生省が認めた聖都大学付属病院(ウチ)が使うと決まっていたじゃないですか!」

 

「とおっしゃいましてもね…変身者だった花家先生がCRにいなくなってしまいましたし、独断でプロトガシャットを利用したような医者がいた病院にお預けするのはというのがわが社の考えなのです。私としては一緒に協力してきたCRの皆さんと引き続き手を取り合いたかったのですが…。」

 

 

親父と檀黎斗の電話内容はざっとこんな感じだった。ようは無免許医が無断でプロトガシャットを使い仮面ライダーになったことで聖都大学付属病院の信用は落ちた。

 

それにそもそもライダーシステムを医療目的で使うのではなく様々な業界から…特にゲームプログラムの問題なのだからIT関連の企業に預けるのがよいのではないかというのが幻夢コーポレーション側の意見であった。ゲーム病という病気であるのだから医療機関が対応するのは当たり前のことだが、とにかく信用が落ちている聖都大学付属病院の人間が言っても聞く耳を持たない。

 

幻夢コーポレーションは次にライダーシステムをどの機関と共に利用していくのかを試験という形で決めることにした。その前夜祭がこのパーティというわけだ。

 

結果は知っての通り俺がパスして仮面ライダーブレイブとなった。それにしてもこの試験…実に楽勝だった記憶がある。

 

 

 

 

 

檀黎斗の挨拶が終わり試験の説明が始まった。要約するとこうだ。

 

・試験参加人数は50名。

・参加資格は招待状を持っていること。

・全部で第3試験まである。

・命の保証は出来ない。

 

簡単だな。結構いわゆる”やばい奴”も多かったが檀黎斗のことだ、そんなことはお構いなしだったのだろう。

 

 

「いやぁ…この試験面白そうだ。ねぇ鏡先生?」

 

 

銀髪の男が声をかけてきた。多人種国家であるアメリカで人種を特定するのは難易度が高いが相貌からしてアラブ系のアメリカ人だろう。

 

 

「なぜ俺の名を知っている?」

 

「医療業界にいてアンタの名前を知らない者がいるか。飛び級で大学を卒業して23歳にして天才と呼ばれる外科医 鏡飛彩先生。」

 

「お前も医者なのか?」

 

「俺は美容整形の方ですよ。しがない美容外科医。」

 

 

美容外科医にしがない奴などいるか。なぜこんな奴がこの場にいるのかは知らないが相手にすることはないな。

 

 

「是非お手柔らかに。」

 

「こちらこそ。」

 

 

社交辞令をすました頃に檀黎斗が壇上を下り扉から出ていくのが見えた。目があった監察医はすぐにその場から消えていった。檀黎斗の方は任せた。俺は霧島をこの場で見つける。

 

 

 

 

 

「はーいストップ~。」

 

 

檀黎斗が別フロアへ行こうと階段に差し掛かったところで監察医が彼を止めた。

 

 

「お前…九条貴利矢か?その出現方法…いつの間にバグスターに…。」

 

「あーもうそのくだりめんどくさいからはしょらせてもらうわ。単刀直入に聞くぜ、霧島は今どこにいる?」

 

「霧島…だと?誰のことを言っている?」

 

「お前開催者だろーが。パーティに参加してる奴はみーんな把握しているはずだぜ。」

 

「フン、何が目的かは知らんが今の私がやるべきことはただ1つ。私の意思なくして生まれたバグスターの削除だ!」

 

 

そういうと檀黎斗はゲーマドライバーを装着しプロトマイティアクションXガシャットを取り出す。

 

 

-マイティアクションX!-

 

 

「ったく…話聞かねえ奴だな。ほんとに!」

 

 

そういうと監察医もゲーマドライバーと爆走バイクガシャットを取り出し変身準備を整えた。

 

 

-爆走バイク!-

 

 

「「変身!」」

 

 

--ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?アイム ア カメンライダー!--

 

 

2人は仮面ライダーゲンム アクションゲーマー レベル1と仮面ライダーレーザー バイクゲーマー レベル1に変身。しかしすぐにゲンムはアクチュエーションレバーに手をかける。

 

 

「グレード2。」

 

 

-ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクショ-ン!X!-

 

 

ゲンムはアクションゲーマー レベル2にレベルアップ。こうなるとレベル2とレベル1の戦いで勝敗の行方は明らかだ。レーザーは知っての通りレベル2にレベルアップしても戦いにくいだけだ。フロントアームドユニットとリアアームドユニットを用いてレーザーは何とかゲンムの攻撃からブロックする。

 

 

「くっそ、他のガシャット、2年前(こんとき)は持ってねえからな…。」

 

「何をゴチャゴチャと言ってる!バグスター、お前たちは人間に倒されるだけの存在だ!消えろ!」

 

「お前それ自分に言えんのか!?」

 

「何を言ってるぅ!?」

 

「くっそ…話を聞け!神!」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、ゲンムの動きが止まった。

 

 

「お前…私の神の才能に気が付いたのか!?」

 

「え?あー…あぁ、そうだよ。アンタは神の才能を持ってる。」

 

 

棒読みだ。監察医の嘘と演技力ならあの檀正宗すらも騙せたはずだが、檀黎斗ならば棒読みでもいいと判断したのだろうか。それともどうしても演技できないくらい感情が込められない言葉だったのだろうか。

 

そんな言葉でもゲンムは攻撃をやめ変身を解除した。

 

 

-ガッチョーン!ガッシューン!-

 

 

「そうかそうか。君もゼロデイのことで脅迫することに飽きて私の才能に気が付いたということか!素晴らしい!いいだろう、君を私の助手に…」

 

「調子のんなよ!?」

 

 

-ガッチョーン!ガッシューン!-

 

 

ちょうどそのタイミングで俺が2人の元に合流した。そう、霧島を見つけたからだ。

 

 

 

 

 

「なるほど、よく私がレジェンドライダーガシャットを作っていることを調べたな。」

 

 

檀黎斗にはお前が持っているレジェンドライダーガシャットがいつか霧島という男に奪われるということを伝えた。檀黎斗が今まで何をしてきたのか全て知ってることを伝えると思いのほか協力的になった。自分のやろうとしていることの邪魔をしようとしなければいいらしい。

 

 

「そこで霧島という男の正体を探りたい…というわけだな?」

 

「あぁ。アンタにも協力してもらうぜ、檀黎斗。」

 

「いいだろう。私もレジェンドライダーガシャットを奪われるのは不本意だしね。しかし先ほど言ったように本当に霧島という名には心当たりはないぞ。」

 

「あぁ、霧島という名前で参加していないからな。このジェイ・カタオカという日系のアメリカ人。コイツが霧島だ。」

 

 

ジェイ・カタオカ。アメリカの殺虫害虫駆除会社に勤めているらしい。今回のライダーシステムを自社の商品の一環にすることで利益獲得を狙っている…とのことらしい。

 

 

「よっしゃ、ならすぐに自分がコイツの所へ行って問いただしてくるぜ。」

 

「待て、問題が起きれば今回の企画が台無しになる。余計なことはするな。」

 

「ならばお前は霧島を野放しにしておけというのか?」

 

「いいや、接触するならば明日の第一試験が最適だと言いたいんだ。」

 

 

第一試験…あぁあれか。やっと思い出した。第一試験の内容、それは一言でいえば”サバイバルゲーム”。ラスベガスから100kmほど車を走らせた砂漠の真ん中に幻夢コーポレーションが買い取った小さな街がある。とは言っても誰かが住んでいるわけではない。ゴーストタウンというやつだ。

 

そこで50人の参加者が一気にサバイバルゲームを行うのだ。ルールは簡単、自分たちが手にしているガシャットを破壊されるか全て奪われるかすればゲームオーバー。後は何をしてもOKというわけだ。

 

そう言えば随分前にポッピーピポパポが言っていた。「ガシャットは世界に1本」であると。

 

 

「どういうことだ?」

 

「このタドルクエストガシャットはいわば簡易版(インスタント)。一度変身し解除すればそのプレイヤーは同じガシャットで2度と変身できない。その分、使用者に対する負荷も軽い。プロト版については衛生省からゴチャゴチャうるさく言われたからな。一応こういう奴も作っておいたのさ。」

 

 

そう言えばそんな機能がついていたな。俺は全く気にしていなかったが。

 

 

「じゃあそこのサバイバル中に霧島に接触すればオッケーってわけだ。」

 

「その通り。君にも参加権を与えておこう。それなら2人で確実に仕留められるだろう?生死は問わないぞ。」

 

「ふざけるな。俺たちは医者だ。」

 

「フン…。」

 

 

とにかく勝負は明日だ。VR空間とはいえ時間を経過させることは出来ない。俺は大人しく休むことにした。

 

 

 

 

 

翌朝、俺と監察医そして試験の参加者がゴーストタウンに集められた。懐かしいな。

 

 

「さぁて大先生。どうしようか。」

 

「別々に探した方が効率的だ。俺は東から、お前は西側からだ。」

 

「相変わらず偉そうだねえ。りょーかい。」

 

 

そう言って消える監察医。ずいぶんと便利だな。

 

 

「皆さん、準備は整いましたか?それではスタートです。」

 

 

昨日とは違って清らかな声で檀黎斗が開始の合図をした。もちろん英語だがここは面倒だから日本語で書かせてもらう。

 

スタートと共にゴーストタウンの囲いのあちこちにつけられたドアが開き人々が入っていく。入った瞬間にあちこちからガシャットの音声が鳴り響く。そうだ、言い忘れていたがまだライダーではない俺は当然ゲーマドライバーを持っていない。参加者全員がそうだ(檀黎斗を脅してゲーマドライバーを手に入れた監察医は例外だが)。

 

よって簡易版タドルクエストガシャットのプレイングスターターを2度押すことで変身が出来る設定になっている。仮面ライダークロニクルのライドプレイヤーと同じだな。

 

 

-タドルクエスト!-

 

 

「変身!」

 

 

-Enter The GAME!Quest The START!-

 

 

俺もガシャットを起動することでブレイブ クエストゲーマー レベル1へと変身した。いやここでブレイブと呼んでいいのだろうか。あちこちで同じ姿をしたブレイブがいるのだから。まぁ俺はこの後正式にブレイブという名前を得る。他の奴には適当な名前を付けて呼ぶこととしよう。

 

まず初めに襲い掛かってきたのは…ブレイブだ…。

 

見た目の差がない!何といえばいいのだ!やはり名前をつけるか。…クエストプレイヤーとでも呼ぼう。

 

 

「く…これよりクエストプレイヤー切除手術を開始する!」

 

 

手にした剣を振るって襲い掛かってきたクエストプレイヤーに斬りかかる。

 

 

「ぐあ!」

 

 

クエストプレイヤーの胸のライダーゲージが一気に減ったのはリヴァーサルシールドを使わないからだ。あっという間に敵のクエストプレイヤーの変身は解除される。

 

 

「くっそー!!」

 

「残念だったな。」

 

 

さて、次の敵を倒しに行くか。その場を立ち去ろうとした時、突然どこからか現れた男が倒した男が持っていたタドルクエストガシャットを拾い上げる。

 

 

「…!お前は…一体…?」

 

 

コイツ…ゲーマドライバーを付けている!それに見た目がブレイブではない。ゲーマドライバーのメインガシャットスロットに刺さっているのは現実の檀黎斗の資料の中にあった霧島が持っていたというハリケーンサバイバルガシャット。ということはコイツ…霧島か!どうやらこの試験、一筋縄ではいかないらしい。


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