仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング 作:エクシ
仮面ライダーフェイス チゾメノミソギゲーマー レベル40。先ほどのミソギサバイバルゲーマーとは同じレベルであるがスペックが明らかに高くなっている。恐らく他のガシャットと一緒に使うことで強すぎるチゾメノミソギガシャットの力を抑え込んでいたのだろう。
檀黎斗が変身するゲンム ゾンビアクションゲーマー レベルX-0の原理に似ている。本来デンジャラスゾンビガシャットはゲーマドライバーで使用するにはあまりにも危険な量のバグスターウイルスが内蔵されている。
しかしプロトマイティアクションXガシャットオリジンと併用することでレベル0の力が働き、デンジャラスゾンビガシャットの危険な要素を抑制出来ている。劇薬の副作用を別の薬で抑え込み最適な効果を患者にもたらすようなものだ。
今のドクター・フェイスはそれが出来ずに暴走している。
とこのように診断している場合ではないか。先ほどから俺は奴の攻撃をかわすことしか出来ていない。避けながらではスロットやルーレットの止まるタイミングを正確に測ることは出来ない。やはり奴の動きを抑えなくては…!
「協力します。」
「…!お前は!」
本物の根守川…!いつからいたのだ!?
「下がってろ!ここは危険だ!」
「私としてもこの試験が潰れてしまうのは不本意だ。」
そういうと根守川は監察医から奪ったゲーマドライバーを装着し、同じく奪ったシュシュットニンジャガシャットを起動させる。
-シュシュットニンジャ!-
「変身。」
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!シュシュット参上!シュシュットニンジャ!-
後に仮面ライダー風魔と呼ばれる姿のモノクロバージョン、プロト風魔 ニンジャゲーマー レベル2に変身した根守川。背中にはレベル1の頭部 FUヘッド-SNJ1がついているため後に現れることとなる風魔とは形状が少し異なる。
「援護する。メインの攻撃は頼みますよ。」
「…わかった。」
この男の落ち着きよう。さすがは軍事会社所属といったところか。取り出した二刀の剣を手にフェイスへ襲い掛かるプロト風魔。次々と繰り出される斬撃が確実にフェイスを翻弄させている。
今のうちにスロットを止める!
「ブハハハ!私が来たぞ!」
檀黎斗、やっと警察から解放されたか。既にゲンム アクションゲーマー レベル2に変身している。
「私の神の才能を見るがいい!」
-ガシャット!キメワザ!-
キメワザスロットホルダーに挿したのは変身に使っているプロトマイティアクションXではなくプロトマイティアクションXオリジンだ。やはり11本のプロトガシャットを持ってきていたからな、そのアタッシュケースの中にソイツも入っていると思っていたぞ。
-マイティ クリティカル ストライク!-
ゲンムの拳に紫色の炎のようなオーラが纏われる。マイティクリティカルストライクによるパンチで放たれた拳圧がプロト風魔とフェイスの戦いを襲う。プロト風魔はすぐに攻撃に気が付き後ろへ避ける。理性を失っているフェイスはそのままマイティクリティカルストライクを受けてしまった。
「…!? これは…!」
フェイスが理性を取り戻したか。レベル0の能力でチゾメノミソギガシャットの力を抑えることに成功したな。ならば今がチャンスだ!
-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!ジャラジャラ クリティカル ストライク!-
ジャラジャラカジノガシャットをキメワザスロットホルダーに装填してジャラジャラクリティカルストライクを起動!一度出来たことは必ずできるのが俺だ。スロットは7のトリプル!ルーレットはブレイブマークにイン!万全の準備だ。
「いけ!!」
胸の放出口からこれでもかとコイン型のエネルギーが放たれフェイスの体を包んでいく。出力の大きさに俺も足を踏ん張る。
「ぐあああ!!!!」
コイン型のエネルギーが容量を超えた。爆発と共に辺りは煌びやかな宝石が舞い散る。
-ゲームクリア!-
オペ、終了だ。帰るぞ、監察医。
現実の世界へ戻った俺と監察医はCRのスタッフルームへ入った。
「やっと戻ってきたか。」
「無免許医?なぜここにいる。研修医はどうした?」
「永夢はゲームオーバーになっちゃったから一足先に現実に戻ってきてたの!それで代わりに大我がヘルプに来てくれたってわけ!」
「早く帰らないと
無免許医が部屋を去ろうとした時、監察医が無免許医の肩に手を置いて止める。
「その前に情報を整理しておこうか。霧島の正体について。」
「それは俺たちが知ることが出来たぜ。なぁスナイプ。」
パラドが嬉しそうに無免許医に話しかけるも無免許医自身は興味がなさそうだ。正確には興味がなさそうなフリだろうが。
「それに関しては自分たちもわかった。財団Xとかいう組織のメンバー…らしいな。」
「同じ財団Xのメンバーにドクター・フェイスという闇医者もいた。」
闇医者という言葉に反応を示す無免許医。俺の視線を感じて舌打ちをしてくる。
「霧島はスペースギャラクシーフォーゼというレジェンドガシャットを作ろうとしていた。」
「レジェンドライダーガシャット?」
「レジェンドライダーガシャット…私が神の才能をもってしても1人で作り上げることは困難なガシャットさ。あらゆる世界のどこかにいると言われる伝説の仮面ライダーたち、その力を持ったガシャット、それがレジェンドライダーガシャットだ!」
そう言えば研修医が言っていたな。かつて他の仮面ライダーたちのガシャットを使って変身したことがあると。
「とにかくそのレジェンドライダーガシャットを集めるのが霧島…財団Xの目的ってわけだ。」
「ドクター・フェイスってやつに関してはマジでただのヤバイ奴って印象しかなかったけどなー。」
監察医は紙飛行機を飛ばしながらも真面目に会議に参加しているつもりらしい。
「しっかしよくフェイスを倒せたな、大先生。」
「あぁ俺と檀黎斗…そして…。」
「…?」
後1人…誰かいたような…。誰だったか…?
「…はい、南雲です。」
「oh、Mr.影成。ジョニー・マキシマデス。いかがですか?ゲーマドライバーの設計図の方は?」
「CRのコンピューター内には見つかりませんでした。しかしその代わりと言っては何ですが幻夢VRのプレイデータの一部を奪っておきました。」
「何に使うつもりデス?」
「鏡飛彩が参加していた試験、あそこに私は過去に参加していました。このVRを根守川岳としてプレイすればゲーム内で手に入れたゲーマドライバーとシュシュットニンジャガシャットの分析が出来ます。」
「根守川…?誰デス?」
「私です。当時は軍事会社に所属していたということもあって家族に危険が及ばぬよう偽名を使っていました。」
「あぁ…。前の会社でガシャットを軍事利用するための情報収集で参加したと言ってましたネ。I see…、思い出しましタ。それにしても私の大好きな忍者!素晴らしい!」
「鏡飛彩と九条貴利矢の記憶からも私に関するVRのデータは取り除いておいたので我々マキナヴィジョンに辿りつくことはないかと。」
「相変わらず完璧な仕事ぶりですネ。貴方を幹部として引き抜いておいてよかった。」
「ありがとうございます。では。」
ジョニー・マキシマ。外資系ゲーム会社 マキナビジョンの社長である。部下の南雲影成からの電話を切ると今度は別の番号に繋ぐ。
「oh~、Mr.明!先日はどうも。」
「社長、こちらこそありがとうございました。バグヴァイザーをお借り出来、助かりましたよ。」
「その見返りにハリケーンサバイバルのデータを頂けたじゃないですカ。しかもMr.正宗とCRのドクターたちの戦いに紛れて爆捜トレジャーのマスターデータも手に入れることが出来ましタ。」
「…え?」
「爆捜トレジャーは仮面ライダークロニクルのプロトタイプの1つ!大変参考になりマース。」
「そんなこと伺っていませんが…?我が財団の”レジェンドライダークロニクル”を完成させるというお話は…?」
「ンー、いったん白紙に戻させてくだサーイ。」
「何を…!?」
「こちらに優秀なプログラマーが入りまして…あなたの力を仰ぐ必要もなくなったんデス。ハリケーンサバイバルとシュシュットニンジャ、さらに仮面ライダークロニクルのプロトデータである爆捜トレジャーを組み合わせて新たな仮面ライダークロニクルを我が社で完成させマース!そういうことですので…失礼。」
「あ、ちょっと!」
ガチャリ。
マキシマは電話を切った。今までは財団Xの融資、そして霧島のプログラムの能力が必要だった。しかし南雲がマキナビジョンに入ったことでもう財団Xに尻尾を振らずとも自分たちの望む仮面ライダークロニクルを完成させることが出来るようになったのだ。
マキシマは”葱”と書かれた扇子を開いて仰ぎながら社長室で笑っていた。すると再び電話が鳴り響く。霧島かと思い怪訝な顔で番号を見るが先ほどと異なる番号だ。
「もしもし?……ahーー!I'm sorry、お電話せず…!……………いえいえ、手に入りそうデス、素晴らしいガシャットが!…………えぇ、そのガシャットのでお願いしまス。…………はい、いつでもお待ちしていまス。」
いつもならば鳴りやまぬ電話は応対が面倒だ。しかし今日のマキシマは違う。やっと目的に近づくことが出来るのだ。そのための電話などむしろ歓迎だ。
「私の運命…!それが決まるときが来た!」