仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング   作:エクシ

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外資系ゲーム会社 マキナビジョンに勤める天才プログラマー 南雲影成は2つのゲームを合わせることで作ったハリケーンニンジャガシャットの力を使ってとある目的を果たそうとしていた。南雲とドクター・フェイスはそれぞれ風魔、フェイスに変身し、ハリケーンニンジャガシャットを破壊するために襲い掛かってきた霧島が変化したディザストを撃破、逆にハリケーンサバイバルガシャットの破壊に成功する。しかしその戦いの中でジョニー・マキシマから借りたガシャコンバグヴァイザーを霧島に奪われてしまった。南雲はガシャコンバグヴァイザーを取り返すために再び霧島と戦わなければならぬことを覚悟する。


第3話「Level upする戦い!」

真っ暗な研究室。部屋のあちこちにスクリーンセーバーが起動したパソコンがいくつも置かれている。その1台からオレンジ色の粒子が放出し人型を形成していく。やがて霧島の姿になるとすぐに近くにあった椅子へ倒れるように腰を掛ける。

 

 

「ハァハァ…まさかハリケーンサバイバルが破壊されるとは…。」

 

 

そう言いながらも彼はこのような事態に備えてハリケーンサバイバルガシャットのコピーデータを研究室のパソコンの中に保存していた。これでどうにか新しいガシャットを作るデータのコアは作れそうだ。

 

あとは風魔とフェイスに勝つためにはどうすればいいか。それは手にしているガシャコンバグヴァイザーの中にその答えがある。このガシャコンバグヴァイザーはかつてグラファイトが使っていたものだ。彼を強くしたゲムデウスウイルス、それがまだこの中に残っていれば…!

 

 

 

 

 

霧島はまた来る。

 

ドクター・フェイスは私にそう言った。そしてそれに備えて新たなガシャットを用意する必要があると。

 

しかしそのドクター・フェイスは新しいガシャットの開発には全く手を貸そうとしなかった。いくらガシャットの開発はプログラマーである私の仕事とはいえ霧島のことをよく知る彼から少しヒントを得たいのだ。

 

 

「ドクター・フェイス、少し霧島…いやディザストの情報をくれ。これからどのようにパワーアップしてくるのか予想しておきたい。」

 

「俺にはわかんねえよ。そこはお前の仕事だろ。頑張れ~。」

 

「…。」

 

「そんな顔すんなよ、怖えよ。俺は新型バグスターウイルスがきちんとプログラム通りのゲームエリアに到達するための研究をしてるからよ。」

 

 

そういってドクター・フェイスは部屋を出ていった。自分に興味関心のある事は本気を出す。しかしそうではないことには無関心。それが彼なのだろう。天才という人種には様々な種類がある。人との関わりが苦手なもの、偏食であるもの、自分を傷つけるもの…そのようなものの1種類だと考えれば彼がそういう性格であることはそこまで不思議なことではない。

 

とにかく私はハリケーンニンジャガシャットの力を少しでも強く出来るようなガシャットを開発する必要がある。そのためのヒント…。強くなるためのヒント…。

 

…駄目だ、相手のことを知らなすぎる。相手のこと…ディザスト…。ハリケーンサバイバルのバグスター。ハリケーンサバイバルは多人数ゲーム。多くの人々を蹴散らすことが出来る強さを持っている。今回は私たちが勝つことが出来たが今度は更なる強さで私たちに襲い掛かってくるに違いない。

 

…多人数…。…そうか!それだ!

 

ひらめいた私はキーボードを無我夢中で叩き続ける。奴が多人数を蹴散らすほどの強さであるのはわかっている。だがそれを上回る多人数で蹴散らしてしまえばいいのだ。大量のプレイヤーが敵を倒す オンラインゲームのガシャットを作る…!

 

コンピューターのプログラムならば私にとってはお手の物だ。かつて軍事会社に所属していた頃はテロ組織のハッキング等も行っていた。ゲームの開発などその足元にも及ばぬ技術でこなすことが出来る…と思っていたが…。

 

オンラインゲームを作るというアイデアが思い浮かんでから私の体感時間は早まった。数か月が数日のように感じる。舐めていたゲーム開発も意外に時間と技術を要するのだな。

 

だがこれで完成した。これこそ私が作り上げたゲーム ヘヴンズオンラインだ。このガシャットはレベルアップ用のものとなる。ハリケーンニンジャと組み合わせることで…

 

 

「完成したみたいだな。」

 

 

ドクター・フェイスが私の部屋に入ってきた。久しぶりに彼に会った気がする。

 

 

「あぁ、そっちはどうだ?」

 

「ダメだな。手裏剣の中にGPSを搭載することは出来たんだが、どうしても忍者スレイヤーの位置情報が管理できない。広い範囲にゲームエリアを広げる必要があるな。」

 

 

ゲームエリアを広く…?

 

 

「ハリケーンニンジャ、まだそのガシャットを破壊すれば手遅れにはならなそうですね。」

 

 

どこからか霧島の声がした…!どこだ!?

 

私は辺りを見回すがドクター・フェイスは既に場所が分かっているようだ。ゲーマドライバーを装着しタドルホラーガシャットを起動する。

 

 

-タドルホラー!-

 

 

「ランク100、変身!」

 

 

-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!滴る生き血!甦る魂!タドルホラー!ガシャコンサイズ!-

 

 

変身からいきなり片手鎌モードのガシャコンサイズを召喚したフェイス ホラーゲーマー レベル100。近くにあったパソコンを破壊するもそこから出てきたオレンジ色の粒子は窓の外へ出ていく。

 

 

「行くぞ。」

 

 

フェイスも窓を突き破って外へ飛び出す。私も行くとしよう。

 

 

-ハリケーンニンジャ!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マキマキ!竜巻!ハリケーンニンジャ!-

 

 

風魔 ニンジャゲーマーに変身した私はフェイスが突き破った窓から飛び降りて地上に着地した。目の前では既に霧島がガシャコンバグヴァイザーを構えて立っている。

 

 

「それを返してもらおうか。」

 

「それは無理ですね。私の新たな変身に必要だ。」

 

「新たな変身だぁ?」

 

「新しいガシャットは強すぎる。ガシャコンバグヴァイザーを通して出ないとハリケーンサバイバルのバグスターである私には拒絶反応を示してしまうのですよ。」

 

 

バグスターの肉体に直接指すガシャットは自分のゲームのものでないと拒絶反応が起こることは調査済みだ。ドレミファビートのバグスターであるCRのポッピーピポパポはそれぞれ自分のゲーム以外のガシャットを使う際にバグルドライバーⅡを使用している。

 

霧島もハリケーンサバイバル以外のガシャットをやはり作ってきたということだ。彼は迷彩柄のガシャットを私たちに見せつけ起動する。

 

 

-ディザスターサバイバル!-

 

 

「ハリケーンサバイバルのアップグレード版、ディザスターサバイバルの力、見せてあげましょう。」

 

 

-ガシャット!-

 

 

霧島はディザスターサバイバルをパッドモードのガシャコンバグヴァイザーに装填しAボタンを押した。

 

 

「培養…!」

 

 

掛け声の後、グリップに装着。霧島の肉体が竜巻に包まれ変化し始めた。

 

 

-インフェクション!レッツゲーム!バッドゲーム!デッドゲーム!ワッチャネーム!?ザ バグスター!-

 

 

竜巻を吹き飛ばして現れたのは体表が黒く変化しているディザスト。体の至るところに金と赤の装飾が施されている。左手にはデウスランパートと呼ばれる盾が、右手にはデウスラッシャーと呼ばれる剣が握られている。この武器は確かCRの資料をハッキングした際に見たことがある。確か檀正宗がゲムデウスと融合した姿 ゲムデウスクロノスが持っていたものだ。…ということはまさか!

 

 

「お前…ゲムデウスウイルスを取り込んだのか?」

 

「ご名答。ガシャコンバグヴァイザーに残っていたゲムデウスウイルスをかき集めてハリケーンサバイバルのコピーデータと一体化させた!ハリケーンサバイバルはさらに進化しディザスターサバイバルとなったのだ!」

 

 

いうなれば今の霧島の姿はゲムデウスディザストでも言うべきだろう。そうか、これほどの時間私たちを襲撃してこなかったのはゲムデウスウイルスの抗体を完全に身につけるためか。

 

 

「ゲムデウスの恐ろしさ、とくと味わっていただきますよ。」

 

 

そういうとゲムデウスディザストはデウスラッシャーを振りかざし斬撃を飛ばしてきた。すぐさま避ける私とフェイス。しかし避けた先にいるのは…ゲムデウスディザストだ!

 

 

「ここだ!」

 

 

ゲムデウスディザストによる体当たりをまともに喰らってしまった…!そうだ、ホラーゲーマーはダメージをうければうけるほど強くなる形態。まずは私から倒してしまえば楽だと考えたのだろう。

 

 

「…だがそう簡単には渡さんぞ。」

 

 

私はキメワザスロットホルダーのサブガシャホルダーからヘヴンズオンラインガシャットを取り出す。

 

 

-ヘヴンズオンライン!-

 

 

「なんです、そのガシャットは?」

 

「天国は必ず私が作る。」

 

 

-ガッチョーン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マキマキ!竜巻!ハリケーンニンジャ!アガッチャ!守れ天国!攻めよ地獄!ヘヴンズオンライン!-

 

 

機械仕掛けの天使を模したオンラインゲーマが私の体に鎧となって装着される。これで私は風魔 オンラインニンジャゲーマーへとレベルアップしたことになるのだ。

 

 

「レベルを持たないあなたがレベルアップですか…?」

 

「どこが強化されたか…すぐにわかることになる。」

 

 

そういうと私は忍者プレイヤーたちをすぐさま3体召喚した。彼らにも私と同じオンラインゲーマの鎧が装備されている。

 

 

「いけ!」

 

 

まず1人目の忍者プレイヤーがゲムデウスディザストに襲い掛かる。しかしデウスランパートから伸びる鞭状の部分から繰り出された攻撃に突き刺さり消滅していく。

 

 

「雑魚ですね。」

 

「こっちも忘れんなよ!」

 

 

フェイスはゲムデウスディザストの後ろを取り、ガシャコンサイズで襲い掛かる。

 

 

「忘れているんじゃない、警戒しているんです。」

 

 

そういうとデウスラッシャーを掲げ呪文を唱えた。

 

 

「トマーレ!」

 

「な…!」

 

 

魔法の効果でフェイスの動きは止まる。後方を向くとゆっくりデウスラッシャーを構えて振り下ろした。

 

 

「ぐあ!!…アランブラの魔法か!」

 

「私はゲムデウスですよ。全てのバグスターの能力を使うことが出来る。」

 

 

だがこちらには数がある!次々と忍者プレイヤーを召喚しゲムデウスディザストへ襲い掛からせる。

 

 

「何度やっても無駄です!」

 

 

それはどうかな。ゲムデウスディザストが振り下ろしたデウスラッシャーの軌道を読んで忍者プレイヤーは後ろへ一歩あらかじめ引いていた。そして後ろにいるもう1人の忍者プレイヤーから放たれたエナジーアイテムを受け取ったまた別の忍者プレイヤーは加速しゲムデウスディザストに特攻する。

 

 

「ぐ…!これは…ロールプレイング…!?」

 

「ヘヴンズオンラインはプレイヤーである天使たちが襲い掛かる悪魔たちから天国を守り時には地獄へ攻めるオンラインゲーム。それぞれのプレイヤーには役割があるのだ。」

 

 

つまり特攻していった忍者プレイヤーはブレイカー。相手のガードを崩すことを訳ありとしている。一方後ろで引いていたのはサポーター。バフをすることで仲間を助ける。これが数による強さだ!

 

 

「へぇ…やるじゃねえか。」

 

 

フェイスは面白そうに待っている。いいからさっさと私に協力しろ。

 

 

「く…これは…!」

 

「諦めろ、お前が強化されたように私も強化されている。ハリケーンニンジャは渡さん。」

 

「…ならばこの手段を使わせてもらいましょうか!!」

 

 

ゲムデウスディザストはバグスターの粒子となってフェイスの体の中に入ろうとする。しかし余裕そうなフェイス。

 

 

「ハッ!俺の体にはCBAが埋め込まれてる!お前の影響は…」

 

「残念だが私はゲムデウスウイルスによって強化されている。いくらCBAと言えどもゲムデウスには抵抗できないです…よ!!」

 

 

フェイスの体のあちこちからゲムデウスディザストが侵入していく。悲鳴と共にフェイスの意識が消えていくのが私にも分かった。

 

 

「…この体は支配しましたよ。さぁ仲間であるフェイスの体を傷つけることが出来ますか?」

 

「貴様…どうやって…!その力はまるで…」

 

「感染者のよう…ですか?」

 

 

その通りだ。まるでゲーム病の患者とバグスターのような関係ではないか。ゲムデウスディザストの固有能力なのか?

 

 

「そうなんですよ。」

 

「何?」

 

「私はバグスターになってからドクター・フェイスに感染したバグスター。つまり元人間のバグスターとして初めて別の人間に感染したものというわけです。」

 

 

そんなことが本当に可能なのか?元人間のバグスターには檀黎斗や九条貴利矢が存在するが他の人間に感染した情報は入ってきていない。元人間のバグスターのウイルスは感染しないものだと思っていた。

 

しかしこれで辻褄が合う。ドクター・フェイスはあくまで霧島、いやディザストに感染した”ゲーム病の患者”であった。宝条永夢とパラドのような関係をドクター・フェイスとディザストもしていたに違いない。

 

しかしドクター・フェイスはディザストや財団Xを裏切ってマキナビジョンへ来た。目的はわからないが…。

 

ディザストはドクター・フェイスに感染したバグスターとしてドクター・フェイスを支配しようと試みたが出来なかった。それはCBAと呼ばれるものをドクター・フェイスが完成させ埋め込んでいたから。

 

 

「…CBAとはなんだ?」

 

「完全な抗体を人工的に作ったもの…とでも言いますか。NEVERであった私の体に常人では耐えられないほどのバグスターウイルスを投与したら発見された物質でしてね。これを普通の人間にも使用できるようにドクター・フェイスは改良したんでしょう。」

 

「完全な抗体を…簡単に身につけられるということか…!」

 

 

それを持ってドクター・フェイスはマキナビジョンにきたのか。ではドクター・フェイスはCBAを使ってマキナビジョンで何をしようというのか。それを問うにはまずフェイスの体がゲムデウスディザストによって支配されたこのゲムデウスフェイスを倒さねばならない。


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