仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング 作:エクシ
ゲムデウスフェイス。ディザストがドクター・フェイスの体を乗っ取った姿だ。フェイス ホラーゲーマー レベル100の姿は洋風のホラーゲーム要素を加えた忍者プレイヤーに酷似した姿だったが、ゲムデウスフェイスはそのカラーリングがゲムデウスに近いものとなっている。
「CBAは完全な抗体を身につけることが出来る優れもの!しかしいくらCBAといえどもゲムデウスには敵わないのですよ!」
フェイスの声で私に語り掛けるゲムデウスフェイス。どうも聞きなれた声で妙に丁寧な口調なのは違和感がある。
「ハリケーンニンジャガシャット…破壊させてもらいますよ。」
右手にはチェーンソーモードのガシャコンバグヴァイザー、左手にはデウスラッシャーを握りゲムデウスフェイスがゆっくりと近づいてくる。私も忍者刀を構えながら忍者プレイヤーを召喚しサポーターのバフを受け取る。
-高速化!-
先手必勝…!私は一気にゲムデウスフェイスの間合いに入り込み忍者刀を振り下ろす。刀身はまっすぐにゲムデウスフェイスに斬り込まれた…かに思えたが刃はわずかにゲムデウスフェイスの肩に切れ目を入れただけで止まってしまった。
肩の部分は金属のように硬化されている。これはガットンの丈夫さを肩に集中させているのか…!?
「捕まえましたよ…!」
ゲムデウスフェイスはデウスラッシャーで私に斬りかかってきた。忍者刀をすぐに手放し後ろに下がる。危なかった…今のはカイデンの居合切り。一太刀でも喰らえばそこで終わりだ。
私が後ろに避けたタイミングでブレイカーの忍者プレイヤーがゲムデウスフェイスの後ろを取った。巨大手裏剣をゲムデウスフェイスに投げつけるもゲムデウスフェイスはバーニアの飛行能力で空中に浮かびその攻撃をかわす。
「く…!」
「だから勝てないのですよ、私にはね。」
…確かにコイツは強い。だがどんな強い敵にも弱点はある。前回出現したゲムデウスと檀正宗が一体化したゲムデウスクロノスの攻略法はレベル1によってゲムデウスとクロノスを分離するというものだった。だが私にはレベル1形態というものがない。CRのドクターたちが駆けつけるまで耐えるか…?
いやそれはおそらく不可能だ。時間が経てば経つほど強化されるゲムデウス相手に長期戦は厳禁。さっさとケリをつけなくては。
「ハリケーンニンジャさえ差し出せば命だけは助けてあげますよ。」
ハリケーンニンジャガシャットを…差し出せば…?
……………。
…ふざけるな…そんなことが…。
「…そんなことが出来るか!!」
「…!?なぜそこまで…!」
私の真意がわかってたまるか。彼女は…まどかは幼い体で今病気と闘っている…!娘をこれ以上苦しめないために私は彼女を何としてもVR空間に連れていきそこで永遠の命を与えるのだ。
それが今まで父親として何もできなかった私が彼女に出来る唯一のこと…!
そのチャンスを手放すくらいならば私はここで死んでもいい!!
「そんな意識をVR空間に転送するなど下らない仮面ライダークロニクルなどやめて大人しく我々財団Xが望むレジェンドライダークロニクルを完成させればいいのですよ!」
「黙れ…!」
…意識を転送…?…そうか、切り離すのは何もレベル1の専売特許ではなかった…!
すぐさま私はハリケーンニンジャの特殊能力である光の手裏剣を作る。これは埋め込まれた人間の意識を切り離す新型バグスターウイルスの媒体だ。そこまではもう完成しているのだ。後はコイツを奴に当てればいい。
「まだやる気ですか。いいでしょう!圧倒的な力というものを思い知るがいい!!ウオオオオオオ!!」
ゲムデウスフェイスは雄たけびと共に巨大化していく。それはまさに超ゲムデウスフェイスともいうべき姿。かつてパンデミックの際に一瞬姿を目にした超ゲムデウスに酷似している。
だがこれは当てるべき的が大きくなったともいえる。私ならば出来る、いややるしかないのだ。
超ゲムデウスフェイスの両腕から伸びてくるデウスファーブニルの怒涛の攻撃を避けながら私は超ゲムデウスフェイスに接近していく。足であるデウスカリバーはその見た目通り剣のように私目掛けて振り下ろされるが忍者プレイヤーたちによって食い止められた。
「今だ!」
飛んでいけ!光の手裏剣を投げまっすぐに超ゲムデウスフェイスの体に刺さった。悲鳴と共に超ゲムデウスフェイスの体がオレンジ色の粒子と化していく。
-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!-
ヘヴンズオンラインガシャットを取り出しキメワザスロットホルダーにすぐ装填!このガシャットの能力はロールプレイングが出来ることだけではない。広大なゲームエリアを的確に管理できる力。この力を使えばVR空間さえも私のゲームエリア内だ。
-ヘヴンズ クリティカル ストライク!-
手に大量の光の大型手裏剣が現れる。それを全て飛ばして超ゲムデウスフェイスに飛ばしていった。
「ギャアアアアア!!」
超ゲムデウスフェイスの体が小さくなっていく。オレンジ色の粒子は消えていき残ったドクター・フェイスと霧島の体が地面に落ちた。
「ぐ…なぜゲムデウスと…切り離された…!?」
「私が開発した新型バグスターウイルスは意識を人間の体から分離させVR空間に閉じ込めるものだ。バグスターはウイルスであると同時に意思を持っている。ゲムデウスウイルスはゲムデウスの意識そのものというわけだ。」
「だから光の手裏剣でゲムデウスフェイスからゲムデウスだけを取り除くことが出来たというわけか…!」
「本当ならお前もVR空間に閉じ込めたかったがな。」
霧島はVR空間へ転送されることを拒んだ。この新型ウイルスに抵抗するとはなかなかやる男だ。
「だが切り離すことには成功した。」
「へへ…助かったよ。」
ドクター・フェイスも目が覚めたようだ。だがもはや戦闘を行えるコンディションではない。自分でそれを分かっている様で立ち上がると道路の脇へ足を引きずりながら移動する。
「く…。私のバグヴァイザーが…ない…。」
「終わりだ、霧島。」
「終わり…?私が…?一度終わったこの命をNEVERとして蘇らせてくれた財団X…その恩に報いるにはまだまだ終わるわけにはいかない!!」
霧島はディザスターサバイバルガシャットを強く握りしめ前に掲げた。
-ディザスターサバイバル!-
しかしあれはガシャコンバグヴァイザーがなければ安全に使うことは出来ない。そんな過信をあざ笑うかのようにニヤリとした霧島はそのガシャットを自らの体に突き刺した。
「何!?」
「最早私の意思など残らずともあなたを止めることが出来ればそれで良い!財団X…万歳!!!」
霧島の体は再びゲムデウスディザストへと変わっていく。まだガシャットの中にゲムデウスウイルスが残っていたのか…!先ほどとは違い今度は瞳が赤くなっている。もう霧島の精神はほとんどゲムデウスに乗っ取られていると言っても過言ではない。
「我はゲムデウスディザスト!最強のバグスターである…!」
もはやディザストとゲムデウスのウイルスは完全に一体化して切り離せないか…。ヘヴンズオンラインの力は使えない。だが大本となっているゲムデウスウイルスはヘヴンズオンラインガシャットによって構築されたVR空間に閉じ込めた。
「行くぞ…天国を守るためにお前を倒す!」
再び忍者刀を出現させ手に取った。構えながらゲムデウスディザストへ駆けていく。ゲムデウスディザストは左手に持ったデウスランパートの鞭状の部分を使って私目掛けて攻撃してきた。それを見極めようとしてもとてつもないスピードから避けることが出来ない。
「グア!」
「甘い…!」
ゲムデウスディザストの超スピードで私の目の前に現れデウスラッシャーを振り下ろす。忍者刀でガードするもパワーの大きさから折れてしまい攻撃が私に命中する。
「甘い甘い甘い…!」
「く…まずい…!」
今霧島がゲムデウスディザストたるのはディザスターサバイバルガシャットに残留したゲムデウスウイルスを摂取しているからに過ぎない。CRの仮面ライダー、エグゼイドのムテキの力がなくとも倒せる可能性は十分にあるはずだと思っていた。
しかしどうやらその読みは甘かったようだ。残留したゲムデウスウイルスですらこの強さか…!私のライダーゲージは段々と削られていく。
「ハァハァ…。」
忍者プレイヤーを召喚し何とか私のところまで接近させまいとするが、それを突破するのは時間の問題だろう。ヘヴンズオンラインガシャットの力だけでは倒せない…!
「南雲!これを使え!」
ドクター・フェイスの声がした方を向くとガシャットが投げられてきてそれをキャッチした。このガシャットはタドルホラー…!
…!これなら!
-ガシャコンサイズ!-
タドルホラーガシャットを手にしたことでガシャコンサイズの召喚に成功した。次はAボタンを押し大鎌モードに変形!
-ザ・パーン!-
そしてガシャットスロットにタドルホラーガシャットを装填。これでキメワザ発動だ!
-ガシャット!キメワザ!タドル クリティカル フィニッシュ!-
タドルホラーは自分のライダーゲージが減れば減るほど強くなる能力を持つ。これほどゲムデウスディザストにゲージを減らされていればとてつもない力が発動するはずだ。
「喰らえ…!!」
静かに、ただし力強く言い放つ。ガシャコンサイズの刃先から飛ばした斬撃がゲムデウスディザストに襲い掛かる。その攻撃をデウスランパートで抑えようとするゲムデウスディザスト。
「ハアアアア!!」
「まだだ!」
-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!ハリケーン クリティカル ストライク!-
ガシャコンサイズを放り投げ、ハリケーンニンジャガシャットをキメワザスロットホルダーに装填!空高く忍者のように空中を舞いながらキックの姿勢を決める。これが私の最後の攻撃だ。タドルクリティカルフィニッシュがデウスランパートを壊したタイミングで突き出した右足が直滑降でゲムデウスディザストに向けて叩き込まれる。
「グアアアアアアア!」
ゲムデウスディザストの発する悲鳴を聞くも容赦なくより右足に力を込める。我が究極のゲームを邪魔する者は何人たりとも許さない。私は絶対にまどかを救う。それが今まで彼女に何も出来なかった私が出来る唯一のことなのだから。
私の強い決意に答えるようにゲムデウスディザストは爆散した。その散り様は本家のゲムデウスのような派手な爆発を伴うものではなく、組織に全てを捧げた男の空しさを表したかのように一瞬の爆発に留まった。