仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング   作:エクシ

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外資系ゲーム会社 マキナビジョンに勤める天才プログラマー 南雲影成は2つのゲームを合わせることで作ったハリケーンニンジャガシャットの力を使ってとある目的を果たそうとしていた。ゲムデウスフェイスを霧島、ドクター・フェイス、ゲムデウスウイルスに分離することに成功した風魔。ディザスターサバイバルガシャットの中に残留していたゲムデウスウイルスを直接注入し霧島はゲムデウスディザストとして暴走する。風魔は3本のガシャットの力を使ってついにゲムデウスディザストを打ち破るが…。


第5話「各々のpurpose!」

-ゲームクリア-

 

 

オレンジ色の粒子が辺りを舞っている。私はゲーマドライバーのアクチュエーションレバーをそっと閉じてガシャットを抜いた。

 

 

-ガッチョーン!ガッシューン!-

 

 

風魔の姿から元の姿に戻る私。これで私の邪魔をするものはいなくなった。そう安心しているとオレンジ色の粒子がどこかへ吸い取られていくのが見えた。

 

 

「ドクター・フェイス…?」

 

「バグスターウイルスの収集成功。これだけの量があれば俺もバグスターになれそうだ。」

 

「一体何を…」

 

 

私が言い終わる前にガシャコンバグヴァイザーのビームガンエリミネーターを自分の体につけ、たった今吸収したバグスターウイルスを注入する。

 

 

「おい!」

 

「ククク…アハハハ!!馴染む!馴染むぞ!俺が人間ではなくバグスターになっていくこの感じ!最高だ…!」

 

 

もはや私には彼が何をしたいのか今の私にはわからなかった。このただ1つ言えることはこの狂気に満ちた表情を見て彼と共に研究を続けようとは思えなくなっていたということだ。向こうもそれを察したのかまた別の理由があるのかはわからないが私の前に二度と現れることはなかった。

 

 

 

 

 

社長室の扉をノックすることにマキシマは返事をした。ガチャリと扉が開くとドクター・フェイスが部屋へ入る。

 

 

「Oh、Dr.フェイス。バグヴァイザーの返却、Thank youデス。」

 

「いやいや、あれはアンタのもんだからな。そういうのはちゃんとしてるんだ、俺は。」

 

「それはそれは。あとMr.影成はヘヴンズオンラインのデータをハリケーンニンジャにコピーすることで的確に意識をVR空間に送ることが出来るようになったと言ってマシタ。あとは霧島のようなバグスターに邪魔されないためにも新型バグスターウイルスをバグスターにも確実に感染させられるように強力にしたらいよいよ完成デス。」

 

「そいつぁよかった。」

 

「…。」

 

「…。」

 

「…ずっとお話を聞きたかったデス。どういうつもりカ?」

 

「どういうとは?」

 

「あなたはゲムデウスを再び見たくて財団Xを辞めてマキナビジョン(ウチ)へ来たのですよネ?財団Xはゲムデウスの登場しないレジェンドライダークロニクルを推していたカラ。」

 

「えぇ。社長、アンタは檀正宗や財団と取引を続けていたしバグスターウイルスについて興味があるのはわかっていたからな。アンタ自身がまさかゲムデウスになって世界を支配したいなんてそんなことを考えていたとは思っていなかったが…。俺としてはゲムデウスを再び見たかったからな、都合がよかった。」

 

「なぜそこまでゲムデウスを?」

 

 

マキシマは先ほどまでの片言の日本語ではなく真顔で流暢に言葉を話し始めた。

 

 

「アンタならわかるんじゃないのか?仮面ライダークロニクルで生まれたゲムデウス、ゲムデウスクロノス、超ゲムデウス…どれも美しかった…!バグスターウイルスが作り出すまさに芸術だ!俺は再びそれを見たかった。」

 

「貴方の目的はわかりました。ではなぜ貴方自身がバグスターに?」

 

「霧島…いやゲムデウスディザストと一体化したゲムデウスフェイスになったことでわかったんだ。見ただけじゃゲムデウスの力はわからない。自分自身がゲムデウスにならないとこの崇高なる魅力を真の意味で理解することは出来ないとな!」

 

 

ドクター・フェイスは右手で頭を押さえながら笑みを浮かべ大声をあげる。

 

 

「ハリケーンニンジャを完成させアンタがゲムデウス(マキナ)として暴れる姿を見る。それも面白いが気が変わった。俺がゲムデウスとなり力を楽しむ!それが一番近くでゲムデウスを感じることが出来る…!」

 

「…私自身もなかなか変わっている方だと思っていましたが…あなたほど強烈な人は中々いませんね。」

 

「…ゲムデウスウイルスはヘヴンズオンラインで作り上げたVR空間の中にある。そのウイルスを摂取すればCBAが体に埋め込んであるアンタもバグスターになれるはずだ。だが俺の体を使って実験してみた結果、ある欠点が分かった。」

 

「欠点?」

 

「怪人体になることが出来ない。不完全なバグスターなのだ。」

 

「不完全…?」

 

「CBAは完璧ではなかった…ということだな。」

 

 

それを聞いたマキシマは机を叩きながら声を上げる。

 

 

「貴方はCBAは完璧だと言った!だから迎え入れたのです!それをいまさら…」

 

「話を最後まで聞け。VR空間にあるゲムデウスウイルスを摂取すればVR空間でのみ怪人体になれるバグスターにアンタはなる。その後にハリケーンニンジャを何者かにクリアさせろ。そうすればハリケーンニンジャのラスボスとして登録されているゲムデウスXとしてアンタは現実世界でゲムデウスXとして出現できるようになるはずだ。」

 

「誰かにゲームをクリアさせれば…私がゲムデウスに…!」

 

「ここまで言えば俺はもう用済みだろ。アメリカへ帰らせてもらうぜ、そこでゆっくりゲムデウスディザストのウイルスを培養する。そして俺もゲムデウスのうちの1体となる…!」

 

 

そう言うとドクター・フェイスは部屋を出ていった。マキシマの頭の中は一刻も早く南雲にハリケーンニンジャガシャットを完成させパンデミックを起こしてもらうことでいっぱいだ。そしてプレイヤーたる何者かにゲームをクリアしてもらうことで自分が完全なゲムデウスとなる。

 

ドクター・フェイスが自らの体の中でゲムデウスディザストの力を培養しきる前に。さもなくばゲムデウスディザストとなって自分がゲムデウスになる機会を奪いに来るに違いない。そんな男であることは短い付き合いながらもマキシマはわかっていた。

 

一刻も早くハリケーンニンジャを…パンデミックを起こさなくてはならない。マキシマは南雲に電話をかける。

 

 

「Mr.影成。時が来ましタ。すぐに聖都大学付属病院へ行ってターゲットにバグスターウイルスを入れてきてください。ゲームスタートデス。」

 

 

 

 

 

まどかの手術を見届けてから私は警察から事情聴取を受けることとなった。担当は若い刑事で息子が生まれたばかりだと言っていた。そんなこともあり子供を思う父親の気持ちを理解してくれたのか、一連の騒動の首謀者である私に娘と話す時間を与えてくれた。息子が生まれてすぐに父親としての自覚がある事には感服せざるを得ない。

 

事情聴取では事細かにどうしてこのパンデミックを起こしたのかを聞かれ、私は素直に全て答えた。最も突き動かされたのは仮面ライダーエグゼイド、宝条永夢が映っていた会見映像であったように思える。

 

彼は不思議な力を持っている。データでも命であるという記者会見で述べた彼の考えに感化され私はパンデミックを起こした。そしてそこでの戦いで彼から再び娘が生きようと必死で戦っていることを知らされた。なぜか彼の言葉は私を大きく動かす、そんな力を持っている。…まどかの担当が彼で良かった。今はそう思える。

 

ただ1つ心残りがあるとすれば…ドクター・フェイス、彼が今どうしているのかということだ。もちろん刑事には私が経験した全てのことを伝えた。刑事は宝条永夢と知り合いであるらしく、彼の口からドクター・フェイスの現状については伝えると言っていた。刑事はかつて仮面ライダーとして宝条永夢と共に戦ったことがあるらしい。

 

仮面ライダーならば信頼できる。仮面ライダーなら必ず皆が笑顔で暮らせる世界を作ってくれる。私はこの戦いを通してそう考えるようになっていた。


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