仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング 作:エクシ
フェイス ホラーゲーマー レベル100の能力は既に資料に乗っていた。自らのライダーゲージを失えば失うほど他の能力が上昇するというものだ。レベル100だけでも厄介だというのにダメージを与えれば与えるだけこちらが不利になる。
「怪しいと思いながらガシャットを渡してくれるなんて間抜けな奴だな。」
俺を煽ってくるあたり、俺と同じで好戦的な性格みてえだな。お前にガシャットを渡したのはすぐにでも患者からディザストを分離したかったからだ。俺やポッピーピポパポが変身してからではあの患者はおそらく間に合わなかった。患者のストレスを機器なしで推測できるのは長年の経験からだろう。
「安心しろ、すぐに取り返してやるからよ。」
患者相手でなければバンバンシューティングガシャットを使う意味もないしな。白衣からガシャットギアデュアルβを取り出しアクチュエーションダイヤルを回す。
-バンバンシミュレーションズ!I ready for Battleship!-
待機音が流れ変身準備は整った。
「第五十戦術、変身!」
-デュアルガシャット!ガッチャーン!デュアルアップ!スクランブルだ!出撃 発進 バンバンシミュレーションズ!発進!-
スナイプに変身、そしてシミュレーションゲーマが俺の体に装備されシミュレーションゲーマー レベル50になった。レベル差は2倍、鬼畜な能力持ち…オペのし甲斐があるじゃねえか。
「ポッピーピポパポ、患者は任せたぞ。」
「うん!」
オーバーブラストキャノンを手にしフェイスに向けて射撃攻撃を繰り出す。フェイスはその攻撃を避けてガシャコンバグヴァイザーⅡのビームガンエリミネーターを己の体に当て吸収したディザストのバグスターウイルスを摂取する。
「フハハ!やはり一度倒されたバグスターがレベルアップした後のウイルスは格別だ!」
「お前、自分でバグスターウイルスをばらまいてやがったな。」
「その通り、それでダメージを与えていけばバグスターはどんどんレベルアップしていく。それを吸収すればさらに力を手に入れられるからな。」
力を手に入れたいならばゲムデウスウイルスを培養すればいい話と考えるのは素人のすることだ。ゲムデウスウイルスは培養されてしまえばそう簡単に制御できるようなものではなくなってしまう。
ドクター・フェイスはそれを知っていてディザストのバグスターウイルスでゲムデウスウイルスを抑制するためにまずはディザストのバグスターウイルスを獲得しようと考えたんだろうな。体について詳しい対応の仕方をしているのは腐っても医者ということか。
「ディザストのバグスターウイルスはだいぶ培養出来た。いよいよコイツを使う時だ!」
俺の射撃攻撃をかわすのは正直意外だった。ダメージを敢えて受け全能力を上げるつもりだと思っていたからだ。だが奴はサブガシャホルダーから迷彩柄のガシャットを取り出し起動させる方を優先していた。
-ディザスターサバイバル!-
あのガシャットはエグゼイドが言っていた…!確かハリケーンサバイバルガシャットの進化版でゲムデウスウイルスがわずかに入っているらしい。サバイバルゲーマも現れるが赤と金の装飾でどこかゲムデウスを思わせる造形をしている。
-ガッチョーン!-
「ランクX-100!」
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!滴る生き血!甦る魂!タドルホラー!アガッチャ!サイ サイ 災害!ディザスターサバイバル!粉砕!-
外側のメインガシャットスロットにディザスターサバイバルガシャットを装填しアクチュエーションレバーを展開。フェイスはサバイバルホラーゲーマー レベルX-100へと更なるレベルアップを遂げた。俺たち仮面ライダーは様々な形でレベルアップを遂げて最終段階まで到達してきた。ムテキになったもの、レベル100に到達した者、レベルを超えたもの、変数のレベルを得たもの、無の力を手に入れたもの。
レベルX-100はその最終段階の2つの力を両方手にしている。こうなると最終段階にまで到達していない俺の力だけでは限界がある。何とかポッピーピポパポにも参戦してもらうしかないか。
…!?なんだこのバグスターウイルスの量は!フェイスの体から膨大な量のバグスターウイルスが放出され始めた。一般人には目に見えないだろうがスナイプに変身した俺の目にはオレンジ色の粒子が嫌というほど奴の体から放出されているのが見える。
「クック…Xと100のレベルを掛け合わせた姿…!俺のバグスターウイルスがこれでもかというほど培養されていく!」
「てめえが存在するだけで近くにいる人間はゲーム病に感染することはまず間違いない放射量だな。」
「さすがは元放射線科医。専用の機器なしでよく測れるな。」
「煽ってくれるじゃねえか。今の俺は放射線科医なんかじゃねえ、ゲーム病専門医だ!」
再び射撃攻撃を開始!今度は逃がさねえ!だが奴が手にしているガシャコンサイズによってその攻撃は全て弾かれてしまう。
「ハハハ!無駄無駄ァ!培養されていくバグスターウイルスは俺の体にも吸収されていく!俺の力はどんどんと強くなるのだ!もうライダーゲージを削る必要すらない!」
時間が経てば立つほど能力が強化されるか…クロノスと同じ領域にまで達しやがった。まさかここまでの敵だとはな。だがどんな敵にも必ず弱点というものは存在する。奴は仮面ライダー、仮面ライダーの弱点と言えば…ドライバーだ!ターゲットの照準をゲーマドライバーにセット!発射!
放った射撃攻撃はまっすぐゲーマドライバーに飛んでいくも奴が持つガシャコンサイズで弾かれてしまう。
「ククク、俺には勝てない!」
少しでも隙を見せればゲーマドライバーを確実に狙えるはず。だが奴には隙が今のところ一切ない。まずいな、これ以上ゲムデウスウイルスを培養されれば手が付けられなくなる。
するとフェイスから放出されたウイルスを吸収し続けていたゲーマドライバーに刺さったガシャット2本が火花を散らし始める。
「なんだ?」
奴がゲーマドライバーに視線が移った。今だ!俺はオーバーブラストキャノンの銃口をフェイスのゲーマドライバーに向けて攻撃を放つ。フェイスはこちらの攻撃に気が付くがもう遅いぜ。
この攻撃のダメージはレベルX-100にとっては大したものじゃないだろう。だがこの攻撃の意味はゲーマドライバーを奴の体から取り外すことに意味がある!
俺が放った攻撃によってゲーマドライバーは空中を舞う。そこから2本のガシャットが放出された。
-ガッシューン!-
ガシャットらは変身が解除されたドクター・フェイスの方へ、ゲーマドライバーとバンバンシューティングガシャットは俺の方へと飛んできた。バグスターウイルスに汚染されたゲーマドライバーを手に取る俺。正直ディザスターサバイバルガシャットの方を手に入れておくべきだったな。だがまぁこれで奴のドライバーを奪うことは出来た。
「残念だったな。いくら最強のボスキャラでも弱点はあるってことだ。」
「お前の方こそクロノスとの戦いで学んでないみたいだな。そんなチートを使ったところで倒されたボスキャラは進化するってことをよ。」
ドクター・フェイス…コイツの余裕は一体なんなんだ。だがその余裕はすぐに俺はわかることになる。奴はタドルホラーガシャット”だった”ものを俺に見せつけてきた。
「それは…!」
タドルディザスターガシャット…!ということは!
もう1つ転がっているディザスターサバイバルガシャットだったものをみるとガシャットラベルはブランク状態となっている。中のデータはもうないということだ。
「タドルホラーガシャット、元々はチゾメノミソギガシャットというガシャットだった。他のガシャットの能力を取り込むことで進化する変わり種でね。今ディザスターサバイバルガシャットの能力を吸収しこのガシャットは最強の究極段階 タドルディザスターガシャットになった!ブハハハハハ!!」
どうやら最強のガシャットを作るまでの時間稼ぎをされていたみたいだな。1つのガシャットに2つの力が合わさったことで適合率も増しているはずだ。
「さらにコイツがあるから…。」
…!ガシャコンバグヴァイザーⅡ…!奴の腰にあるバグスターバックルにポッピーピポパポから奪ったそれを装着する。
-ガッチャーン…-
「ゲーマドライバーを奪った意味はなかったようだな。」
確かに。結局奴の手にはバグルドライバーⅡがあるから変身能力を奪うことにはならなかった。
「そんなことないよ!」
振り返るとそこにはポッピーピポパポ。
「なんで戻ってきた!」
「相変わらず素直じゃないね、大我。」
「はぁ!?」
「1人じゃなくて2人の方がオペしやすいでしょ!」
「…ちっ。」
お見通しってわけか。俺はドクター・フェイスから奪ったゲーマドライバーをポッピーピポパポに投げた。
「え、これって人間用の!」
「今のそのドライバーはバグスターウイルスに汚染されてる。お前の体ともうまく適合するはずだ。もちろんドライバー内部のバグスターウイルスが抜けきったら使えなくはなるがな。」
「よぉ~し!じゃあ私もゲーマドライバーで変身しちゃうよ!」
そういうとポッピーピポパポはゲーマドライバーを装着。ときめきクライシスガシャットを起動させる。
-ときめきクライシス!-
「変身!」
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!背伸びしたいけど!ちょっぴり照れるわ ときめきクライシス!-
ポッピー ときめきクライシスゲーマー レベルX ゲーマドライバーverに変身完了。これで2人で奴と戦える。
「面白くなってきたじゃねえか。」
-タドルディザスター!-
黒光りする造形が目立つディザスターゲーマが出現した。タドルディザスターガシャットを起動させた後にバグルドライバーⅡのAボタンを押す。待機音声が流れた瞬間、ガシャットを装填しバグルアップトリガーを押し込んだ。
-ガシャット…バグルアップ…!タドル ホロビ マドウ ニオチル タドルディザスター!-
パネルがドクター・フェイスを通ることでフェイスに変身。ファンタジーゲーマに似たディザスターゲーマがフェイスの体を包み込みディザスターゲーマー レベルX-100へと姿を変えた。
ファンタジーゲーマーでいうとダークロードキュイラス、いわゆる胸部パーツにある目のような装飾は左側が欠損しておりそこから何本ものライダーゲージが一部見えている。右側はフェイスの単眼と同じように血走っておりそこから血涙を流しているように見えた。
「おぞましい姿だな…。」
思わず俺はそう呟いた。なんて恐ろしい力を感じさせる仮面ライダーなんだ。恐ろしいのは力によるものもあるのだろう。しかし俺が感じているのはそういうことではないような気がする。
もしかしたら俺もこうなっていたかもしれない…そういう恐ろしさだ。俺だけじゃない、エグゼイド、ブレイブ、レーザー。ドクターライダーたちは皆、心の闇を抱えていた。エグゼイドは自らのゲーム病、ブレイブは恋人の死、レーザーは己の死。
誰しもドクター・フェイスのように自らの目的に溺れる医者になっていた可能性がある。特に俺が心配していたのはブレイブ…アイツだ。
クロノスの元へ奴が行った時も正直俺は仕方のないことだと思っていた部分がある。恋人の命を守りたかったからアイツは仮面ライダーになったのだと思っていたからだ。
だが奴は違った。恋人だけじゃない、患者の命を守りたかったから仮面ライダーになったのだ。俺はアイツを見くびっていた。
…話が逸れちまった。ようはドクター・フェイスはドクターの闇そのものだ。自らの欲望に取りつかれた医者。そんな奴はもう医者なんかじゃねえ。
「俺がぶっ倒してやるよ、フェイス!」
「大我!俺たちが、でしょ!」
「フン…足引っ張んなよ。」
俺は再び照準をフェイスに合わせ攻撃を開始した。